稲妻がモガ村からいなくなる前の夜。ユクモ村ではクロ、シロがユキネについて話していた。
「そろそろ話した方がいいかもな」
「ええ。あの子には今話さないといけない気がするのよ」
「だけど!」
「ええ。その時は、ね」
「……わかった」
次の朝、朝食が食べ終わるとシロがユキネに大事な話があるからと言った。
「どうしたの父さん母さん?」
お互い顔を見合いながらクロが話だした。
「ユキネ落ち着いて聞いてくれないか」
「う、うん」
「お前は俺と母さんの子じゃない」
「え?」
不意を突かれたかのようにユキネが止まった。
「続き話してもいいか?」
ユキネは首を横に振った。傍にシロがより肩を抱いた。
「大丈夫。ユキネ、あなたは私たちの子じゃないけどね。けどね、他人の子だからって嫌いになったりはしないわ。だって私はあなたのことを愛しているのよ」
「ほんと…?」
俯きながらユキネは聞いた。
「ああ俺もそうだ。ユキネの事を愛している。俺たちは家族なんだ。当たり前のことだ」
クロが言うと、ユキネは顔を上げながらクロとシロを見ながら言った。
「ありがとう、父さん母さん」
シロの胸に頭を乗せながら泣いた。
ユキネが泣き終わると、クロが温かい飲み物を持ってきた。
「持ってきた。はい」
「ありがとう父さん」
ユキネはカップに入った飲み物をちびちび飲む。
クロとシロも飲むと、クロがしゃべりだした。
「じゃあ話すぞ。あれはユキネが赤ちゃんの時だ。当時、秘境の近くで狩りをした帰り、近くの村がモンスターにやられた跡だったところにお前の母さんが家の下敷きでな。助けようとしたんだが、自分の命よりユキネの命を助けてくれって言われたんだ」
「そう…なんだ」
「それでどうしたい?」
「え?」
「本当の母さんに会いに行きたいか?」
「どういうこと?」
「いい。あなたのお母さんにあなたのことを任されたわ。でもね、ユキネは一回でもいいから生まれた村に行かない?」
「お前もいい年だ。体は大丈夫なはずだから、墓参りに」
ユキネは考えた。記憶はないけど、自分が生まれた村に行ってみたいと気持ちがあった。
「どうする?」
「…………」
ユキネは顔を上げて覚悟を決めた。
「行くよ。もしかしたら決めれるかもしれないから」
二人は疑問に思ったが、ユキネから話すときに聞けると思った。
「……ねえ母さん、父さん」
「なんだ?」
「もう一回聞くんだけど、私の母さんは母さん、父さんは父さん。本当の母さんは死んだけど、それでも私のことを自分の子供と言える?」
クロはニヤっと笑ってユキネの頭を撫でた。
「何言っている。当たり前だろ」
「ええ、だって私もクロもあなたを私たちの子供だと思っているのよ。ユキネは?」
「……私も思っているよ」
そう言うとユキネが二人の所に近寄ってきて抱き着いた。
「いつもありがとう父さん、母さん」