フェンリル学園組曲   作:かか雄

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記念すべき第1話です。うちの子たちのこれからを暖かい目で見守っていってくだされば幸いです。
無印までのストーリーはリューズが主役です。もちろん、他の子たちもちゃんと出るので、彼らの活躍を期待してください。



第1話~私は神喰い1年生~

(……退屈ね。……)

 そんなことを思いながら、青い髪をした少女、リューズは入学式の話を黙って聞いていた。

(そもそも、どうしてこんなことになったのかしら。)

 本来、学校の入学式となれば、おそらくは新たな生活や、出会いに胸を踊らせるものなのだろう。だが、自分にそんな期待は微塵もない。あるのは、これからゴッドイーターとして生きていく上での不安しかない。

(ホントに最悪ね……。)

そんなことを考えながら、早くこの退屈な入学式が終わってくれないか、と切に願うことしか今のリューズにはできなかった。

そもそもなぜこんなことになったかというと、理由自体は至極簡単なのだ。だが、なぜ自分なのかということに疑問しか浮かばない。 なにせ、「検査の結果、新型の神機に適合する可能性があるから。」などという当の本人からしてみれば、サッパリ意味が分からない理由で半ば強制的に入学させられたのだから、当人からすればたまったものではない。フェンリルの職員とおぼしき人も何も教えてはくれないし、いくら今よりもいい生活が保証されるからといっても、命がけでは有り難みも何もあったものではないない。むしろそうでもなければ、割りに合わない。(もちろん、いまだに納得はしていないし、この待遇でもまだ不満である。)

(…それにしても不思議ね…。)

 退屈なので辺りを見回すと、腕輪を着けている者もいれば、今の自分と同じように腕輪を着けていない者もいる。ゴッドイーターは赤い腕輪を着けていると聞いた事があるので、おそらく、腕輪を着けている連中は皆ゴッドイーターなのだろう。だが、今の自分と同じく腕輪を着けていない者は、いったいなんなのだろうか。

(自分と同じようにゴッドイーターの適正がある人達かしら、それともフェンリルの史官候補生とかなのかしら。というか、こんなにいるのなら別に自分でなくても良かったような気がするわね…。)

 そんなことを考えながらも同時に自分以外に新型のゴッドイーターがいないのではないか、という思いもよぎる。それならば貴重な新型であろう自分は大変珍しい存在であり、なんとしても戦力として利用しなければならないはずだ。それならば多少(?)強引な方法でも入学させなければならないのではないだろうか、おそらくはそうなのだろう。と、思うことにした。そうでもなければ、とてもじゃないが納得できそうにない。(納得したくはないが。)

(まあ、入学してしまったものはもうどうしようもないから諦めるしかないわね………。)

「では、校長先生からのお話をお願いします。」

 そう司会の人が言うと、校長とおぼしき人物が壇上に上がり、私たち新入生に向けて喋りだした。

「私はこの学園の校長をしているヨハネス・フォン・シックザールだ。今年もこの学園に多くの新入生が入ってきたことを嬉しく思う。………………………君達こそが、この荒廃した世界を、アラガミに怯える人々を救う存在となってくれることを、私は校長として、1人の人間として願っている‼」

 ヨハネス校長は熱弁を終えると、壇上から降りていった。

「校長先生ありがとうございました。これで入学式を終わります。生徒の皆さんは教室に戻って、待機していて下さい。」

 そう司会の先生が言うと、生徒たちはゾロゾロと体育館の入り口に向け、歩いていった。

(やっと終わったわ……。)

 リューズはそう思いながら、生徒の波にのって教室に向かった。

 教室に戻ってしばらくすると、先生が入ってきた。大人な雰囲気のキレイな女性の先生だ。

「私は橘サクヤ。あなたたちのクラスの担任よ。これから1年間よろしくね。」

 サクヤ先生はそう言って微笑んだ。その笑顔を見たクラスの男子の大半はそれに見惚れているようだった。

(男子は本当単純ね。でも確かにキレイな人ね。)

 リューズがそんなことを思うくらい、サクヤ先生の笑顔は、キレイな笑顔だった。

「さて、何人かは知ってるけど、初めましての生徒も多いから、まずは自己紹介ね。とりあえず、1番端の男子から順に前で自己紹介よろしくね。」

 サクヤ先生がそう言うと、男子から順に自己紹介が始まった。自己紹介である程度はその人がどんな人なのかは予想ができる。淡々と名前だけいう人もいれば、ボケてウケを狙う人、失敗してウケない人など様々だ。だが、ある男子が前に出るとザワザワしていた空気が一気に変わった。

「俺は九頭竜ハヤト。今年からこの学園に入学することになった。…まあ、これからよろしく。」

 特別なことは何も言ってないが、彼の雰囲気と、かなりの長身、何よりも右の頬についている十字傷から、皆が一目でヤバそうなヤツだと直感した。だが、そんなことよりもリューズは彼が言った一言が気になっていた。

(今年から入学したって言ったわね…。つまり彼も自分と同じで新型の適正があるのかしら?)

 そんなことを考えたが、確証はないし、何よりあまり関わりたくないと感じたので、すぐに考えることをやめることにした。そうしてるうちに自分の番が来たのでとりあえず自己紹介することにした。

「今年から、この学園に入学しましたリューズって言います。これからよろしくお願いします。」

 そう言って席に着くと何故か周囲からの視線を感じた。

(そんなに変なことは言ってないハズなんだけど…。)

そんなことを思ったがすぐに無視することにした。

 後に知ったことだが、この年齢になってこの学園に入学する人はかなり少ないらしく、入学できるのはゴッドイーターの適正がある人くらいらしい。つまり、あの視線は物珍しさからくるもの、とのことだ。とはいっても、そんなことはこの時理解してなかったので、単に髪型とかを珍しがったのかな程度しか考えつかなかった。

「さて、全員終わったし、今から今後の日程を話すわよ。いまからプリントを渡すから、それに目を通しながら聞いてちょうだい。」

 配られたプリントに目を通すとどうやら、近いうちに部隊配属されるらしい。他にも臨海学校やら、学園祭やらがあるようだ。

(…思いのほか行事が多いわね。まあ、楽しそうだからいいけど。)

 ようやく、少しは楽しめそうなこともあると知ったのでちょっとは安心しながら、話の続きを聞いていた。

 初日ということで、午前中に学校も終わり、寮の自室に戻ろうかと、帰る準備をしていた時、サクヤ先生が話しかけてきた。

「リューズさん、これからあなたの神機の適合試験を行うわ。別館の訓練場に行って適合試験を受けてきなさい。」

「今から…ですか?」

 こんなに早く適合試験を受けるとは思わなかったので、色々と不安になっていると、その様子を見てサクヤ先生は、

「そんなに緊張することはないわ。多少痛いかも知れないけど死ぬことはないから安心して。」

「痛かったりするんですか!?」

「大丈夫よ。痛みの感じかたには個人差があるから。そんなに怖がる必要はないわ。注射の様なものよ。」

「…そうですか……。(もし、とんでもなく痛かったらどうしよう。)」

 色々と不安はあるが適合試験を受けない限り、どうしよもうもないので、しぶしぶながらも別館の訓練場に向かうことにした。

 訓練場に行ってみると、ちょうど誰かが出て来るところだった。

(あっ、アイツは、同じクラスの…)

 九頭竜ハヤトだ。先程までは、着けていなかった腕輪をしているところを見ると、どうやら彼も適合試験を受けたようだ。

(何があったのか聞いてみたいけど、聞いたところで何も得られない気がするわね…。)

そう思ったので、特に話しかけることなくすれ違った。

 訓練場に入ると、すでに準備は完了しており、少し前のところに、何かしらの機械があることが分かる。

「今から対アラガミ討伐部隊ゴッドイーターとしての適正試験を始める。少しリラックスしてくれたまえ。その方が良い結果が出やすい。心の準備ができたら中央のケースの前に立ってくれ。」

そう校長の声が聞こえてきた。見ると、上の方にシルエットしか分からないが、2人いることがわかった。おそらく1人は、ヨハネス校長だろう。

(こんな状況でリラックスって…)

そんなことを思ったが、ここでじっとしていても何も変わるわけではないので、1度深呼吸したあと、ケースに向けて歩いていった。ケースの前に立ち、改めて目の前のケースを見るが思いのほかケースは大きく、置かれている神機と合わせて、そこだけ物々しい雰囲気を醸し出している。手を伸ばして神機を掴むと、ケースの上半分が降りてきて、腕を完全に覆い隠した直後、

「っ…!?くっ………!ぐぅ………‼」

(…なによ…これ……物凄く…痛い………‼‼)

凄まじい激痛が走り、思わず叫びそうになったが、ギリギリの所でこらえ、歯を喰い縛りながら、耐え続けた。しばらくすると、突然痛みが収まりそれに伴ってケースが開いた。息を切らしながらも神機を手に取りかざすと、根本の黄色い部分から触手の様なものが生え、腕輪の穴に差し込まれた。一瞬だが、手の甲に血管に沿った形で黒い線が浮き上がり、すぐに消えた。

(これが…、私の…、神機……‼)

「適合おめでとう。これで君はこの学園初の新型ゴッドイーターの一人だ。これから別の場所でメディカルチェックを行う。具合が悪くなったら、すぐに言ってくれたまえ。」

ヨハネス校長はそう言ったので、私は戻りながらこれからのことを考えた。

(もう引き返せないわね…。これからなにが起こるか分からないけど、こうなったらやってやるわ………‼)

そんなことを考えながら、リューズは、メディカルチェックのために、訓練場を出ていったのだった。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ~次回予告~

 

 RyuZU

「こんなに適合試験がきついなんて思わなかったわ‼」

 hayato

「あんなもん、歯ぁ喰い縛りゃあどうとでもなるだろ。」

 RyuZU

「アンタと一緒にしないでちょうだい‼」

 hayato

「にしても、次はメディカルチェックか…。嫌な予感がするな……。」

 RyuZU

「確かに…。一体何をするのかしらね。」

 hayato

「まぁ、次回は新キャラも多数登場?らしいし、なんにしてもこれからだろ。」

 RyuZU

「入学初日からこんな調子なのに、これからなにが起こるかしらね……。」

 hayato

「次回『第2話~ガム食べる?(仮)~』こうご期待ください。」

 ???

「俺の出番は無しかよ‼ま、次回の俺のバガラリーのイサムばりの活躍に期待だな‼」

 RyuZU

「アンタ誰よ……。」

 




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