リューズは、適合試験を終え、メディカルチェックをするために、同じく別館にあるサカキ博士の研究室に向かっていた。
(そういえば、ペイラー・サカキって何者なのかしら…。副校長なのに、自分の研究室を持ってるなんて…。そもそも名前からしてどこの人かも分からないし…。)
そんなことを考えながら研究室に向かっていると、話し声が聞こえてきた。
気になって近くに行ってみると、九頭竜ハヤトと他に2人の青年が会話をしていた。
「おっ、アンタも今日適合試験を受けたのか?」
と、明るい茶髪の青年が話しかけてきた。全体的にあどけなさが残る雰囲気であり、長身の他2人に挟まれると年齢もいくらか下に感じさせる。
「…えぇ、そうよ。アンタもってことはアナタも受けたの?」
リューズがそう訪ねると、茶髪の青年は、
「そうだよ。俺がこの中で多分1番早く受けたハズ。」
そう言って他の2人に目をやると、白髪の青年の方が、
「俺が受けるときにコウタが部屋から出てきたし、ハヤトは俺が部屋から出たあとに来たから多分そうだろうね。」
そう答えたので、ハヤトの後に来た自分はこの中では1番遅く受けということになる。
「そう言えば、名前言ってなかったね。俺は藤木コウタってんだ。よろしくな!」
「俺は神代ハジメ、よろしく。」
「俺は…「アナタは知ってるから言わなくてもいいわよ。」
「そういや、同じクラスだったか…。」
「…覚えてなかったのね。まあ、いいわ。私はリューズ。よろしくね。」
各々の自己紹介を終えると、コウタがリューズに聞いてきた。
「ハヤトとハジメは新型ってさっき聞いたけど、アンタはどうなの?」
「どうっていうと?」
「だから、新型か、旧型かってことだよ。」
「適合試験を受けたときに新型って言われたけど、正直な話違いはなんなの?」
素朴な疑問をぶつけてみると、
「俺は神機が変形するか、しないかで決まるって聞いたけど。」
ハジメがそう答えると、
「「へぇ、そうなのか(なんだ)」」
ハヤトとコウタが納得したようにしゃべった。どうやら、この2人もよく知らなかったらしい。
「そういう違いがあるのね。ところで、コウタはどっちなの?」
「俺?俺は旧型だよ。旧型の銃の神機を使うんだ。」
コウタはそう言うと、何かを思い出したようにポケットに手を突っ込んで、
「そういや、俺ガム持ってるけどガム食べる?」
「「「いや、私はいらな…(食う!)」」」
ハヤトとハジメがそう言ったので、一人だけ貰はないのもアレだからと、結局貰うことになってしまった。
(別にいらないのにな…。)
とはいえ、貰ってしまったものをそのまま、というのもアレなので、取り敢えず食べることにした。
4人でしばらく話していると、もう1人入ってきた。特にこれといった特徴は無いが中々に可愛らしい女性だ。
「あの…、みなさんも今日適合試験を受けた人たちですか?」
「ええ、そうよ。今日受けたばかりなの。」
「そうなんですか。私も今日受けたばかりで。」
どうやら、彼女は私の後に受けたらしい。
「そうだ。アンタもガム食べる?」
コウタがそう尋ねると、
「あっ、ハイ。いただきます…。」
そう言って、ガムを貰おうとしたとき、
「………ゴメン。もうガム無かった。まだ残ってた気したんだけどな…。」
「…そうですか…。」
少し残念そうに彼女が呟く。コウタのせいでなんともいえない気まずい空気になってしまったので、
「そういえば、あなたの名前聞いてなかったわね。私はリューズ。あなたは?」
「えぇと、私は…「どうやら、全員終わったようだな。」
彼女が名乗る直前、後ろから声が聞こえてきた。少し威圧的な感じの女性の声だ。
「何をしている‼さっさと立てっ‼」
「「「「「ハイッ‼‼」」」」」
女性が怒鳴ると、皆一瞬にして立ち上がった。
「私の名前は雨宮ツバキ。普段は体育の授業を受け持っているが、お前たちの教官でもある。死にたくなければ、私の命令には全てyesで答えろ。いいな?」
「「「「「………………。」」」」」
「返事はっ‼‼」
「「「「「ハイッ‼‼‼」」」」」
ツバキ教官に、圧倒されてしまい声が出ないでいると、思いっきり怒られてしまった。
(((((このヒト、コワイ……)))))
その場にいた全員が同じ事を感じてしまったが、こんなことは口が裂けても言えないので、取り敢えず黙ることにした。
「お前たちのこれからの日程を話すぞ。聞き流すなよ。まず15:00になったら、メディカルチェックを行う。順番に呼びに来るから、すぐに榊博士の研究室に向かえ。それまでは、この場所で待機だ。いいな?」
「「「「「ハイッ‼‼‼‼」」」」」
ツバキ教官に聞かれ、今度は即座に答える事ができた。
「では、まずはお前からだ。すぐに研究室にむかえ。」
「ハイッ‼」
さきほど来たばかりの女性は駆け足でその場を離れた。
彼女が、行ってからしばらくすると、また、ツバキ教官がきて、
「次はお前だ。すぐに行け。」
「はい。」
次にハジメが行った。先に行った女性はまだ帰ってこないが、どうしたのだろうか?
(直接寮に帰ったかしら?それとも他にも何かあるのかしら?)
そんなことを考えていると、
「しかし、始めに行ったヤツ帰って来ないな…。直接寮に帰ったのか?」
ハヤトが呟いた。どうやら彼も気になっているらしい。
「まあ、そんなもんじゃないの?」
コウタがその呟きに反応してしゃべった。また、しばらくすると、
「次はお前だ。すぐにむかえ。」
「ハイ。」
そうこうしてるうちに、ハヤトも行ってしまった。まだ2人は帰って来ない。
「それにしても、メディカルチェックって何をするんだろうな?」
「う~ん…。あくまで私のイメージだけど、ベッドで横になって色々検査するんじゃない?オラクル細胞が安定してるかとか、適合率がどうとか。きっとそんなもんよ。」
コウタの疑問に対して、そう答えてみたが、実際よくは分からないし、それだったらすぐに帰って来れそうである。
(でも、さすがに遅いわね…。やっぱり寮に直接帰ったのかしら?)
色々検査に対しての不安も出てきたので、早くこないかと、待っていると、
「次は、お前だ。すぐに行け。」
「ハイッ」
(ようやく私の番か…。意外と待ったわね…。さて、なにが始まるのかしら…)
サカキ博士の研究室に入ってまず1番に、内装に驚いてしまった。
(な、何なの?この部屋…)
壁やパソコンからそこら中に伸びた配線が床にも置かれており、ハッキリ言ってかなり汚い。また、この部屋には不釣り合いな掛け軸や、日本刀がある。また、思いがけない人物が中にいたのでさらに驚いてしまった。
(どうして、ヨハネス校長がここに⁉)
驚くのもつかの間、サカキ博士が喋り出した。
「やあ、よく来たね。私はペイラー・サカキ。この学園の副校長で極東支部のアラガミ技術開発の統括責任者でもあるんだ。思いがけず検査がスムーズに進んだから本来の予定よりも726秒も早く君の検査まで進んだ。まあ、そのお陰でこの通り準備の方がまだなんだ。ヨハン、先に君の用事を済ませたらどうだい?」
サカキ博士はそう言って、再びパソコンに向き合い始めた。その様子を見て、ヨハネス校長は
「サカキ博士、そろそろ公私のケジメを覚えていただきたい。」
と、サカキ博士をたしなめた。そして私の方に向きなおって、
「適合テストではご苦労だった。私はヨハネス・フォン・シックザール。知っているとは思うがこの学園の校長だ。改めて適合おめでとう。君には期待しているよ。」
と、ヨハネス校長が喋ったら。するとサカキ博士は、
「彼は、極東支部の支部長でもあるんだが、元は技術屋なんだよ。ヨハンも新型に興味津々なんだよね。」
そんなことを喋り出した。すると、
「君がいるから、私は技術屋を廃業したんだ。…自覚したまえ。」
ヨハネス校長がこう言うと、
「ホントに廃業しちゃったのかい?」
と、明らかに意味深な事をサカキ博士は聞いてきたが、ヨハネス校長はその問いには答えず、再び私の方に向きなおって、
「さて、ここからが本題だ。君にはこの学園で、学生生活を送ってもらいながら、アラガミの撃退と、資源の回収を行って貰う。得た資源は全てこの学園の維持と、きたるべきエイジス計画の資源として利用させて貰う。」
ここまで喋ると、突然、サカキ博士が
「この数値は……‼」
思わずそちらを見てしまったが、すぐに向き直ると、ヨハネス校長は改めて喋り出した。
「エイジス計画とは旧日本海の海溝付近に建設中の建物のことだ。アラガミの脅威から、身を守る楽園を作るという計画なのだが…「ほほぅ、」
「この計画が完遂できたなら、全世界の人々をアラガミの脅威から、守る事ができるだろう。「スゴイ、スゴイ‼これが新型か‼」
「…ペイラー、説明の邪魔だ。」
「いやぁ、すまない。予想以上の数値にちょっと舞い上がってしまって…。」
「…まあ、いい。サカキ博士、後は任せた。後でデータを送ってくれ。」
そんなやり取りのあと、ヨハネス校長は研究室を去っていった。サカキ博士はそれを見送った後、こちらに向き直って喋り出した
「さて、取り敢えず準備完了だ。そこのベッドで横になってくれ。少し眠くなると思うが、心配しなくていい。次に起きるときは自分の部屋のベッドだ。戦士のつかの間の休息というヤツだね。予定では10800秒だ。ゆっくりお休み。」
(なるほど。だから誰も帰って来ないのね…。てか、10800秒って。3時間って言いなさいよ……。)
そんなことを思いながらベッドで横になると、適合試験の疲れからか、あっという間に睡魔に襲われ、すぐに眠ってしまった…。
目が覚めると確かに自分の部屋におり、荷物も部屋に置いてあった。外を見ると、すっかり夜も更けていて、あれからだいぶ寝てしまったらしい。
「もう夕御飯は要らないから、お風呂に入って明日に備えましょう…。」
結局疲労が抜けきっていないので、入浴した後、寝間着に着替えて再び寝てしまった。
翌朝からは普通の学園生活が始まり、普通の授業の傍ら、ゴッドイーターとしての基本の知識を身につけるため、専門的な授業を行う、という生活が続いた。そんな生活が1週間ほど続いたある日、教室に入るとクラスのみんながざわついていた。見ると、黒板に貼り紙が貼ってあり、皆それを見てざわついているらしい。その貼り紙には、
「今日は部隊配属があります。ゴッドイーター科の生徒は着替えて教室に待機していて下さい。」
と、書いてあった。
「部隊配属か…。私はどの部隊に入るのかしらね。」
(できれば、そんなにギスギスしてない部隊がいいな……。)
リューズはまだ分からなかった。自分の入る部隊が、かなりギスギスするということを。また、これから待ち受ける過酷な出来事をこの時はまだ分からなかったのであった………。
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~次回予告~
RyuZU
「それにしても、メディカルチェックなんて何をやるのかしら?」
sakaki
「もし、興味があるというなら教えるけど、本当に聞くのかい?」
RyuZU
「遠慮します。」
sakaki
「流石、賢明な判断だよ。」
hayato
「ところで、次は部隊配属だが、どこの部隊に入るんだろうな」
hazime
「モルモ○ト隊とか、サイ○ロプス隊とかかな?」
hayato
「そこは世界が違うだろ。でも、○8小隊なんてのはありそうだな。」
RyuZU
「全部あり得ないわよ‼‼」
???
「でも、全員で同じ部隊ならきっと少しは楽しいですよ。」
hayato
「お前誰だっけ?」
hazime
「そう言えば、本編で名乗ってないよね。完全にモブだね。」
RyuZU
「それもそうね。そんなわけで次回は、
『第3話~数はちゃんと数えよう。(仮)~』
乞うご期下さい。」
air
「私はアイリ!花月アイリです‼これでも、主役の1人なんです‼」
hazime
「おっ、やっと名乗った。」
hayato
「まさか、ここで名乗るとはな…。」