「勉強と任務の両立は大変ね…。」
リューズは自分以外誰もいない寮の自室でつぶやいた。最近は任務も増え、しばしば学校を公欠することもあった。このまま任務が増えるとなると、確実に授業に支障をきたすことは目に見えている。
(このままだと、出席日数が足りないから留年なんて事は無いわよね…?)
リューズの胸中に不安がよぎる。確かに自分はゴッドイーターである。だか、それ以前に学生だ。学生の本分は当然だが勉強である。年間の行事予定を見るに定期テストはあるようなので、勉強をしなければ赤点、最悪の場合は、単位が足りず留年なんてことも当然あり得る。だが、ゴッドイーターでもある以上は任務をサボるなんて事は出来ないし、トレーニングにもキチンと時間を割かなくてはならない。(サボればその分だけ死が近づくのだからサボっている場合ではない。)
つまり、授業と任務どちらか片方だけやっていれば良いというわけではないのだ。
(思いきってサクヤ先生に相談してみようかしら…?)
予習しながらリューズはそんなことを考えた。サクヤ先生に相談したからあっという間にお悩み解決なんて事はないと分かってはいる。だが、ゴッドイーターであり、教師でもあるサクヤ先生ならもしかしたらいい解決案をくれるかもしれない、そんな考えもある。要するに、この不安を一度吐き出したいだけなのだが、周りの人物で頼れそうな人はいない。
(ハヤトや、ハジメ、コウタはなんかアレだし、アイリちゃんはいまいち頼れないしやっぱり相談するならサクヤ先生よね。)
リューズはそう心に決めつつ、勉強を続けた。
「よし、今日のノルマはおしまい。今日はもう寝ましょう。」
リューズはそう言って勉強道具をカバンにしまった。なんだかんだいって、この生活に徐々に適応しつつあるのだが、リューズ本人に自覚はない。
そしてリューズは着替えを終えるとベッドに潜り込んだ。
(明日サクヤ先生に相談しよう。そうしよう。)
リューズはそんなことを思いつつあっという間に睡魔に襲われ眠ってしまった。
そして翌日、リューズはいつも通りに学校に行き、昼休みになって、食堂へと向かった。
(今日のお昼は何かしら?)
そんなことを考えながら、食堂に入ると、
「嘘でしょ……。」
なんと、昼休みになってまだそんな時間も経ってないというのに、もう食堂は満員になっていた。どこか空いてないかと辺りを見渡してみるが、そのほとんどが埋まっていた。
「なんで今日に限って…。」
理由は分からないが、とにかく今日の食堂は埋まっていた。それだけは確かだ。リューズがどうしようかと考えていると、
「マジかよ…。今日は埋まってんのな。」
「あら、ハヤト。あんたも来たのね。」
ハヤトがやって来て見渡しながらそう言った。彼はかなり大きいので、おそらく奥もちゃんと見ただろう。
「奥にコウタとかいないの?」
「ん~…、いなさそうだな。」
「じゃあ、今日は購買ね。」
「そうだな。あ~あ、今日はパンかよ。」
そう言って二人で購買に向かい適当にパンを買いながらどこで食べるかを話し、天気も良かったので屋上に行くことにしたのだが…
「おい…、あれって…」
「なんでいるのかしらね…?」
2人が屋上に行くとそこには不良に絡まれているハジメとコウタがいた。ここからだと何を言ってるのかは聞こえないが、絡まれているのは明白だ。
「止めに行く?」
「なんで俺が…、お前がいけよ。」
「嫌よ、怖いもの。」
「怖いって、お前なあ…。」
「それよりも、早く教室に戻りましょう。このままここにいたら…、」
「いたらどうなるってんだよ?」
「不良に…、」
と、そこまで話したところで…
「なに見てんだ‼てめえら‼」
不良にバレてしまい、今度はこっちが絡まれるかと思ったのだが、
「あらっ?コイツら、前にアンタがぶっ飛ばした連中じゃない?」
「あぁ~、確かにそうかもな。」
不良どももこちらが誰か気づいたようで、
「て、てめえは、この間の…」
「いや、あの時はまぐれのはず。今日は負けないだろ。」
「そ、そうだよな?よしっ、女共々やっちまおうぜ。」
なんて会話をしたのち、不良どもが一斉にこちらに向かってきた。
「…リューズ、袋持ってろ…。」
リューズはハヤトが差し出した袋を無言で受け取ったあと、彼の暴力に巻き込まれないようにため一旦屋上から去ることにした。
ボコッ‼ガッ‼ドムッ‼ゴン‼バキッ‼
「グハッ‼」「ウッ‼」「ゲボォ‼」「アー‼」
鈍い音と不良の悲鳴が屋上に響いた。そんな音がしなくなってからしばらくして、ハヤトがコウタとハジメを連れてこちらに来た。
「もう片付いたの?」
「……片付いた…。」
「…教室に戻りましょうか。コウタとハジメもそれでいいでしょ?」
リューズがこう言うとハヤトは無言で頷いた。コウタとハジメも何も言わずについてきてくれた。
教室につくとリューズの席の周りに3人が集まり、黙ってパンを食べた。
(なにこの無言の空間…‼空気重すぎでしょ⁉)
リューズはそんなことを思ったが、何も言い出せず、ただ黙ってパンを食べていた。そんな沈黙を打ち破ったのはハヤトだった。
「…そういえばよ、なんでお前らは屋上にいたんだ?」
「ん?あぁ、それか。ハジメと今日は天気がいいから屋上に行ってみようって話になってさ。行ってしばらくしたらアレだよ。まいっちゃうよな。」
「まあ、ハヤトたちが来たおかげで助かったから良かったよ。」
「この学校の屋上は不良の溜まり場なのかしらね…。(ホッ…。ようやく会話が)」
「かもしれないね。」
ようやくの会話かと思いきや、会話はそこで終了し再び沈黙が訪れた。
(また沈黙⁉勘弁してよ‼)
どうにか出来ないかとリューズは周りをコッソリと見渡すが、1人の女子の周りに男が3人、しかもそのうちの1人はクラスでもヤバそうと評判の男である。心なしか周りから遠ざけられている気がするし、だれもこちらを見てくれない。頼りになりそうなカノンも教室にはおらずまさに四面楚歌だ。
(早く食べ終わるしかないのかしら…。)
結局あとは無言のままパンを食べ終えたところで、コウタが喋り出した。
「なあなあ、知ってるか?今度この学校に転校生が来るらしいぞ。」
「転校生?どっからだよ?」
ハヤトがコウタに聞くと、
「なんでもロシアから来るんだってさ‼しかも新型らしいぜ‼」
「新型⁉聞き間違いとかじゃないのよね?」
リューズが、信じられないと言った調子でコウタに聞くと、
「マジだって。だってオレ、職員室で先生たちがそんな話してるの聞いちゃったからな。」
「なるほど…。それなら信憑性はありそうだ。コウタの聞き間違いじゃなければな。」
ハジメがそれを聞いて納得した様子を見せた。
「他に情報はないの、コウタ?」
リューズがコウタに聞くと、
「いやぁ、これ以上は知らないなぁ。その部分くらいしか聞き取れなかったし。」
「使えないわね…。」
「それだけってのはな…。」
「これだからコウタは…。」
「ちょっ⁉3人揃ってひどくね⁉さすがのオレもちょっと泣きたくなるよ。」
みんなでコウタに呆れつつそろそろ戻ろうかというとき、コウタが思い出したように喋り出した。
「あ、そうだ。噂と言えばもう1つあってさ、なんか、リンドウさんに彼女がいるらしいんだよね。」
「リンドウさんに彼女?別に不思議な事じゃねえだろ。」
「いや、まあ、そうなんだけどさ……。」
ハヤトの反応があっさりしていたことにコウタは驚きつつも話を続けた。
「でさ、ちょいちょいデートのために任務をサボるなんてこともあるらしいぜ。」
「サボってまでデートするのか。いったいどんな人なんだろうな?」
ハジメもコウタの話に食いついてきた。
「それがさ、彼女がどこの誰なのかは誰もわからないんだよな。」
「誰も知らないなんておかしな話ね。実はいないなんてオチはないのかしら?」
「いや、実際どうなのかはマジで分かんないんだよね。オレも噂でしか聞いたことはないからなあ。」
「またかよ…。」
「使えないな。」
「それじゃあ、駄目じゃない。」
「えっ⁉今回もオレが悪いのか‼そんなに責めないでよ。オレ、マジで泣くよ(泣)」
またしても3人に責められたコウタは本当に泣きそうな顔をしつつ抗議した。さすがに少し可哀想にリューズは感じたので、
「まあ、噂はしょせん噂でしかないわ。ロシアからの転校生も、リンドウさんの彼女のことも嘘か本当かはそのうち分かるわよ。ここでコウタを責めたところでどうしようもないわよ。」
と、フォローを入れた。
「まあ、そうだな。どっちにしてもそのうち分かることだし、そこまで気にすることでもねえか。」
ハヤトも納得し、話はそこで片付いた。
「さて、午後からは演習だし、早く準備して別館にいきましょ。遅れたらツバキ先生に怒られるわ。」
リューズが話をしめたところでコウタたちもあたふたと準備を始めた。やはり、ツバキ先生には怒られたくないらしい。
(もし、コウタの話が本当だとしたら転校生はいったいどんな人なのかしら?どうせなら可愛い女の子だったら嬉しいのにな。)
リューズはそんなことを考えながら準備をし、別館へと向かっていった。
午後の演習も無事に終え、教室に戻り帰り支度をしているとハヤトがリューズに話し掛けてきた。
「おい、リューズ。放課後は暇か?」
「デートの誘いなら断るわよ?」
「そんなんじゃねえよ。」
リューズが茶化すように言うとハヤトは呆れた様子を見せた。さすがにそんなことではないらしい。
「ハイハイ。で?用件は何かしら?」
「暇なら訓練場で特訓でもしようと思ってよ。行けるか?」
「う~ん…。悪いけど今日はパスでいいかしら?」
「なんでだ?用事でもあるのか?」
「まあ、そんなところよ。今日は無理だからリッカちゃんとかに頼みなさい。」
「そうか。んじゃ、そうするとするか。」
ハヤトはそう言って教室を出ていった。それを見送ったリューズは荷物をまとめ終えると職員室へと向かった。
職員室へ入ると仕事中のサクヤ先生を見つけた。リューズはサクヤ先生の元に向かい話し掛けた。
「サクヤ先生、ちょっといいですか?」
「あら?何か用かしら?」
「実は悩みごとがありまして、サクヤ先生に相談しようかと。」
「…ここじゃない方が良いかしら?」
「…出来れば、ここじゃない方がいいです。」
「分かったわ。じゃあ、会議室で行きましょう。今日は人は来ないはずだから。」
サクヤ先生はそう言って立ち上がると、近くの会議室へと向かった。リューズもそれに付いていった。
会議室へ入ると近くのイスに腰かけテーブルを挟んで向き合った。
「さて、悩みごとは何かしら?もしかして恋の悩みとかかしら?」
サクヤ先生が茶化すようにリューズに聞いてきた。
「そんなんじゃありませんよ。第一私は第1部隊の男の人はあまりタイプじゃないんで。」
リューズはサクヤ先生からの問いを否定しつつサラっと男性陣を振った。
「あらそう。私は悪くないと思うけどね。じゃあ、いったい何のお悩みかしら?」
「しょうもないと言えば、しょうもないことなんですけど、このまま任務が増えたら学校の授業とかについていけるか心配で。」
「…確かに悩むことよね。最近公欠増えたのよね?」
サクヤ先生が雰囲気を変えて尋ねてきた。
「はい。その時にこのまま任務が増えて公欠が増えたら出席日数とかは大丈夫なのかとか色々と不安になりまして。」
「なるほどね。確かにあなたはゴッドイーターである以前に学生だものね。不安になるのも仕方ないわね。でも、安心して。そんなことにならないようにこっちでも色々と手を打ってあるから。」
「本当ですか?」
リューズが不安そうに尋ねる。するとサクヤ先生は優しい調子でリューズに話し掛けた。
「そうよ。例えば放課後に特別授業を行うとか、日程を可能な限り調整してなるべく土日に任務をいれるとか、とにかくあなた達がよりよい学園生活を送ることができるように、私たち教師も全力を尽くすから安心しなさい。」
サクヤ先生はそう言ってリューズに微笑んだ。この笑顔を見るだけでいくらか気が晴れてくる。
「リューズさんは今年入学したばかりだから不安になるのも無理はないわ。毎年って訳ではないけれど、必ずいるのよね。自分の進路を不安に思って相談に来る生徒が。」
「そうなんですか?」
「ええ、そうよ。やっぱり不安になるものよね。自分のことだもの、私も同じ立場なら不安になってくると思うわ。」
サクヤ先制は納得したように話してくれた。このあとも、サクヤ先生は親身になって色々な相談に乗ってくれた。立ち回りのコツや、アイテムの使い時などの任務における悩みや、授業で分からなかった箇所などの授業での悩み、果ては第1部隊の男性陣の品評会など悩みとは言えないものまで、本当に様々なことを話した。もうどれくらい話をしただろうか。気づけば時計は5時30分をまわっており、学校もだいぶ静かになった。
「そろそろ終わりにしましょうか。悩みは解決できたかしら?」
「はい。おかげでこれからも頑張っていけそうです。今日はありがとうございました。」
「いいのよ。これくらいならいくらでも引き受けるわ。あ、そうだわ。大事な話があった
んだったわ。」
「大事な話?」
「今週の土曜日に私とあなたとソーマとコウタくんの4人で任務に行くわ。大丈夫かしら?」
「分かりました。準備をしておきます。」
リューズはそう返事した。いつものリューズなら愕然としかねないところだが、サクヤ先生に相談した今なら、悩むことなく任務に向かうことが出来る。
「その調子なら大丈夫そうね。コウタくんたちには、明日私から言うから安心してて。じゃ、さようなら」
「今日はありがとうございました。」
リューズはそう言って会議室を出ていった。それを見送ったサクヤ先生はそこでもう1つの話を忘れていたところに気づいた。
「しまったわ…。近々、ロシアから新型使いの転校生が来ることを言うのを忘れてたわね。ま、たぶん大丈夫よね…?」
サクヤ先生はそう言って会議室を出ていったのだった。
そして任務当日、贖罪の街にリューズ、サクヤ、コウタ、ソーマの4人が出撃地点に集まっていた。が、まだ任務の開始時刻ではないので、各々が自由に行動している。そして任務開始の直前、リンドウさんがやって来て私たちに指示をした。
「あ~、本日も仕事日和だ。無事生きて帰ってくるように。以上。」
「えっ⁉」
「え?それだけ?」
リューズとコウタが同時にツッコミをいれると、
「いちいちツッコんでると、身が持たないわよ。」
サクヤさんが2人に諭した。どうやら、これがリンドウさんのスタンダードらしい。
「くだらん…。」
そんなやり取りを見て、ソーマが呟く。おそらくだが私たちがいない間もこんなやり取りしていたのだろう。リンドウさんは特に気にせず話を続けた。
「一人を除いて、心が一つになっているようで何よりだ。」
と言ってリューズを見た。
(えっ⁉私⁉ソーマじゃなくて私なの⁉)
リューズは一瞬驚いた表情をしたあと、目を伏せた。
(私だってやる気はあるのに…。)
「ハハッ…、冗談だ。そんな悲しい顔すんな。」
露骨に沈んだ様子のリューズを見たリンドウさんは笑いながら言った。どうやらリンドウさんなりの冗談だったらしい。
「このメンツでは初の4人任務だが、まあ、いつも通りやれってことで。」
「あれ?そういえばリンドウさんは?」
リンドウさんの話を聞いたコウタがリンドウさんに尋ねた。確かにミッションのメンバーにリンドウさんは入っていない。なにか特別な理由があるのかと思い返答を待つと、
「俺はこのあとちょいとお忍びのデートに誘われているんでな。今から働くのはお前らだけ…っと、」
と、想定外の返答がきた。正直色々とツッコミたくなったがツッコミをする前にリンドウさんの方から音がした。リンドウさんはポケットから携帯端末を取り出して画面を見る。どうやらメールがきたらしい。
「早く来ないと、すねて帰っちまうとさ。
…ったく、せっかちなヤツだ。」
「俺はそろそろ行く。命令はいつも通り、死ぬな、必ず生きて戻れ、だ。」
「自分で出した命令だ…。せいぜいアンタも守るんだな…。」
「リンドウもあんまり遅くならないように…ね。」
ソーマとサクヤさんが、リンドウさんを気遣うように話した。(ソーマに励ます気があったかどうかは分からないが…。)
リンドウさんは、片手を挙げながら神機を抱えて去っていった。
「さっ、行きましょうか」
リンドウさんを見送ったところでちょうど任務開始の時刻になったのでサクヤさんが出撃の合図を送り、それを聞いた3人はサクヤさんについていくように、任務へと向かっていった。
今回のミッションはザイゴート3体にコンゴウが1体、どちらもすでに何度か相手をしてきたので特に苦戦もすることなく任務を終えることができた。任務から帰投し、学校に報告へ向かうと、リンドウさんが廊下のソファーで寛いでいた。
「先に帰ってたのね。お疲れ様。」
「ああ、何とか早めに切り上げられた。そっちはどうだった?」
「ご命令に従って、『いつも通り』だ。」
ソーマがやや皮肉めいたような調子で言った。
「そうね。任務は滞りないし、人も欠けてないわ。」
サクヤさんも補足するように報告する。
「オレたち4人の華麗な連携プレイを見せたかったよ!」
「お前そんなに役立ってたか?」
「えっ⁉」
コウタが自慢げに言ったところでソーマがツッコミを入れた。ツッコまれたコウタは狼狽えた様子を見せ、大袈裟にリアクションをした。その様子を見たリューズはクスリと笑った。そんなやり取りを見たリンドウさんは、
「そうか。これならこっちももう少しデートの回数を増やしてもよさそうだな。」
としゃべった。そこですかさずコウタが
「まず、オレに女の子を紹介するのが先じゃないスッかね?」
と言った。
(アンタは節操無いわね…。)
リューズが内心で毒づいていると、
「…ふっ、お前の手には負えないと思うぞ?」
リンドウさんが脅かすようにコウタに言った。おそらくは相当なワガママな女性なのだろう。リューズがそんなことを思っていると突然校内に放送がかかった。
『業務連絡、本日第七部隊がウロヴォロスのコアの剥離に成功、技術部員は第五開発室に集合してください。』
『繰り返します。ウロヴォロスのコアの剥離に成功、技術部員は第五開発室に集合してください。』
詳しくは分からないがどうやらなにか重大な事が起こっているらしい。
「ウロヴォロス…って何?強いの?」
コウタがリューズも感じた疑問をソーマに尋ねたのだが、
「ターミナルを調べりゃ出てくる。たまには自分で調べろ。」
と、アッサリ突き放されてしまった。
「そうね…、わたしたち4人じゃ、まだ無理じゃないかな…。」
サクヤさんがそう言うと、コウタは大袈裟なリアクションをしつつ、
「マジでええええ⁉このメンツでも?」
と言った。リューズも内心では驚いていたが、取り敢えず平静を装っていると、
「1人2人は死人が出るだろ。」
「ウソ…⁉」
今度はソーマが追撃を入れた。ここで言う1人2人はリューズとコウタの事を指している気がする。
「まあアレだ、生き延びてればそのうち倒せるだろ…。今は余計なことを考えず、とにかく死なないことだけを考えろ。」
そうリンドウさんが言った。どうやらリンドウさんは生き残ることを第一に考えているらしい。
「その台詞、いい加減聞き飽きたぜ。」
「…ああ、特にお前には何度でも言っとくわ。ほっとくと1人で死にに行っちまうような奴にはな。」
ソーマが毒づくと、リンドウさんは釘を刺すように言った。この会話から察するに相当な回数言われているのだろう。
「チッ…、だまれ…。」
「へいへい。さ、俺は次のデートに備えて精のつくものでも食ってくるかな。」
再びソーマが毒づくが、リンドウさんはそれを聞き流しつつ去っていった。それを見送ったあとサクヤさんが報告に行くと言ったので今日はここで解散になった。
コウタとリューズが寮に戻る最中、コウタはリューズに話し掛けた。
「しっかし噂は本当だったんだな。」
「噂って?」
リューズがコウタに聞くと、
「この間話したじゃんか。リンドウさんに彼女がいるらしいって話。まさか本人から聞けると思わなかったな。」
「ああ…、その事ね。でも本当なのかしら…?」
リューズがずっと抱いていた疑問を口にすると、
「え?リンドウさん本人が言ったんだし本当でしょ?」
とコウタが言った。どうやらコウタはリンドウさんに彼女がいることを疑ってないようだ。
「でも、実際にリンドウさんの彼女らしき女性を見たわけではないし、もしかしたら何か隠し事があるのかも…。」
「イヤイヤ、さすがにそれはないっしょ。リンドウさん隠し事が出来るタイプには見えないし。」
リューズの疑問点をコウタが否定する。リューズもリンドウさんが隠し事が出来るタイプだとは正直思ってはいないがまだ納得は出来てない。
「それに…、」
「まだ何か気になることあるの?」
「いや、あまりにもタイミングがよすぎると思って。」
「タイミングって?」
コウタがリューズに尋ねる。
「リンドウさんのデートとウロヴォロスのコアの剥離の成功が同じタイミングって何か怪しくて…。」
「だからってリンドウさんがデートってウソついて1人でウロヴォロスを討伐していたっていうのか?いくらなんでもそれは無理があるっしょ。」
「…そうよね。私の考えすぎよね。」
「そうだって。ただの偶然だよ、偶然。」
コウタに再び否定されリューズは一旦考えることをやめた。これ以上考えても証拠がないし、何より、自分の隊長を疑っているのだ。あまり良いことではない。
(でもやっぱりタイミングが良すぎると思うのよね…。)
リューズはコウタと別れた後、寮の自室でもう一度考えてはみたがコウタの言う通りな気もするので、今度こそ考えることをやめた。
そしてリューズはベッドに横になりながら、第一部隊のこれからを少し不安に感じていた。
リューズがベッドで横になっているとき、ロシアから一台の大型ヘリコプターが極東支部へと向かっていた。ヘリコプターの中には少女が1人窓から外を眺めていた。右腕には腕輪を身に付けており一目でゴッドイーターと分かる。少女は窓の外を見ながら1人呟いた。
「極東には、新型が4人いるらしいですが、私より優秀な神機使いはいませんよ…。」
誰に自慢するわけでもなく少女は呟いた。こうして波乱の種はここ極東へと着実に向かってきていた。
~次回予告~
RyoZU
「そういえばウロヴォロスについて調べてなかったわね…。」
hayato
「なんだ?ウロヴォロスって?」
hazime
「そういえば、何か放送がかかってたね。コアの剥離がどうとか。」
kouta
「オレが教えてやるよ。」
RyoZU・hazime・hayato
「「「お断りします。」」」
kouta
「ひどくね⁉今回はオレの扱いが総じてひどくね?」
hazime
「そんなことより、ロシアからの転校生は誰なんだろうね?」
hayato
「別に誰でもいいんだが…。」
kouta
「ここはやっぱり女の子っしょ‼学園生活が華やかになるぜ。」
RyoZU
「あら?私やアイリちゃんじゃ華やかさが足りないって言うのかしら、コウタは?」
air
「コウタさん酷いです…。」
kouta
「ちょっ⁉それは誤解だって。2人も充分イケてるよ‼」
hazime
「じゃあ、俺や、ハヤトが邪魔だって言うのか?」
kouta
「いや、そうでもなくてさ…。」
hayato
「なんだか面倒になってきたな…。というわけで、次回『謎の転校生、アリサ‼(仮)』こうご期待ください。」
???
「こんなのしかいないんですね、この学校は。ドン引きです。」
どうせなら、アリウスノーヴァにフルボッコにされていた黒いカリギュラと戦ってみたいですね。