モモンガさま漫遊記   作:ryu-

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今回から会話が繋がる際の改行を埋めてみました。
見やすい方に全部合わせようと思いますので、ご感想を頂ける際にでもご意見頂けますと幸いです。


第12話

 モモンガは自らの片手で軽く押さえるように頭を抱えていた。一見して「面倒な事になった」と言わんばかりのポーズである。実際、今のモモンガは少々面倒なことを抱えている。

 

「―――ごめんなさい」

 

 その面倒なことの元凶である少女が、申し訳なさそうに謝罪する。そうやって下手に出られることが面倒だと突っぱねられない要因の一つだ。

 

「いえ、私も考えなしでした」

 

 机に落としていた視線を上げて少女を見やる。

 アルシェ・イーブ・リイル・フルト。元〝フォーサイト〟というワーカーチームの一人にして、凄腕の魔法詠唱者だ。そこに『人間としては』という枕詞が付くが。

 そう、『元』なのである。

 

「―――ヘッケラン達は貴方に祝ってもらって嬉しそうだった。少なくないお金……ゴシューギ? まで貰って、そこまでしてもらう義理はないのにって」

「まあ、私も焚きつけましたしね。それに結婚式に参加というのも初めてだったので、良い経験をさせてもらったお礼ですよ」

 

 彼女のチームはヘッケランとイミーナの結婚により解散してしまった。さすがにチームの二人が結婚しているとなると活動にも支障がでるだろうと、彼らの内で決まったことである。

 ロバーデイクはこれを機にやりたかった活動をすると言い、既にこの街にいない。どこの教会にも属せず、貧しくも助けを求める人々を探し歩き回るのだろう。

 そうして、アルシェは一人残ってしまった。

 

『厚かましいとは分かってるんだが、どうかアルシェを頼みたいんだ』

 

 アルシェを除いた三人に、そう言って頭を深く下げられたことを思い出す。

 

『あいつは俺らとは違って、危ない道を行っても金を稼がなきゃいけない理由があるみたいなんだ』

『私達はそれを問いただしたことは無いし、彼女が言い出さない限り聞かない』

『だからといって放りだす訳にもいかないんですよ』

 

 彼らはモモンガが断っても何度も頭を下げて諦めない。チームとは言っても他人だというのに、その心配の仕方はまるで妹か娘のような扱いだとモモンガが感じるほどだ。

 実のところモモンガとしてもアルシェのことを気にしていた。彼女個人はどうでもいいが、その状況にひどく共感を覚えてしまったのだ。

 ――――生活のためにチームから抜けていくメンバーと、一人残される自分。

 それを間接的とはいえ作ってしまったことに対して、モモンガは少し昔を思い出し心を痛めていた。

 

「―――やっぱり次のチームは自分で探す。これ以上貴方に迷惑ばかりかけられない」

「……ふむ、まあ待ってください。私としても貴方を放っておくことはできません」

「―――でも、冒険者モモンはチームを組まない筈じゃあ?」

「ええ、ですのであくまでも一時的に、条件付きでということにはなりますが」

「―――条件?」

 

 小首を傾げるアルシェに手を向け、指を三本たててその一つを折る。

 

「まずは一つ、あくまでも我々はビジネスパートナー。仕事の時を除いて互いのプライベートに深追いはしないこと」

 

 アルシェが頷くのを見て、モモンガは次の指を折る。

 

「次に仕事は冒険者として私が一人で受け、貴方はその助手という形を取ること。これに深い意味はありませんが、対外的にはチームではなくただの協力関係だと知らせるためです」

 

 下手にモモンガがチームを組んだりすると、それを聞きつけた加入希望者がうるさくなるだろう。王国では毎日のように勧誘と加入希望を受けていたので、今更その対応に追われたくない。後は異形種以外とは組まないといういつも通りの小さな拘りである。

 そして最後に一つ、残った指を折る。

 

「最後に、貴方の目的、ないし目標を私に話す事。先の話を覆すようですが、こればかりは避けて通れません。いくら稼ぎ、いつまでに必要で、何のために使うか。悪いですがここでただ金が好きだからという理由ならさすがに付き合っていられません」

「……それは」

「話せませんか? 無理に聞きだすつもりはありませんが、そうなると一時的とはいえ組むのは難しいですね」

「―――いえ、話させてほしい。せめて、貴方には誠意をみせたい」

 

 家の恥だから誰にも言えなかった、と彼女は切り出した。

 鮮血帝により没落した貴族であること。だというのに生活を改めず、借金を繰り返し続けていること。ここまで育ててもらった恩義と、二人の妹のために今まで稼いだお金を納めていたということ。

 

「……」

 

 モモンガはそれを黙って聞きながら、自らの中に小さく湧く感情に気づいた。

 彼女の状況は、同情に値する。だがやはりアンデッドになってしまったモモンガにとって、アルシェの健気さなど心を動かされることもない。ならば、この胸の奥で小さく焼け付く炎はいったいなんだというのか。

 

(親が、子を、愛さないのか?)

 

 それを認識できたとき、彼の炎に名前が付いた。

 ―――怒りだ。

 

「不愉快だな」

「―――ご、ごめんなさい。くだらないことを話した……」

「いや、いえ。アルシェさん、貴方のことではありません」

 

 ビクリと顔を青白く染めるアルシェを、できるだけ平静な声でなだめる。モモンガの口からこぼれでた言葉には、はっきりとした怒りがあった。彼女がそれを怖がってもしょうがない。

 

(……そうか、異世界でもやっぱりそんな事がありえるんだな)

 

 モモンガの母は、過労が故に倒れ、死んだ。だが母が生活に余裕がなくとも自身を愛してくれていたことを子供ながらに覚えている。親とは、子供にとって全てである。そして子とは、親にとって無償の愛をかけるものである。そうでなくてはならない、そうであってほしい。モモンガには何処かにそういう気持ちがあった。

 

(胸糞悪い話だが……)

 

 どうしようもない者はどこかには居る。あらためてモモンガはそれを認識しなおした。

 何はともあれ、少なくとも付き合いきれないというほどの理由ではなかった。ならば後は具体的な話だ。

 

「貴方の事情は分かりました。それで、その借金はいくらほどなんですか?」

「―――金貨、300枚」

「さ―――!」

 

 だが、挙げられた金額は想像の一つ上にあった。まさしく桁が違う、というやつだ。

 

「……随分な金額ですね、いったいどんな使い方をしたらそんなことに?」

「―――食生活や従者の給料もあるけど、一番は見栄のために買っている芸術品」

「両親はそこを改める気は? なければ稼いでもまた借金を繰り返すと思いますが」

「―――そこは考えている。何も300枚用意せずとも、頭金さえあれば返済の期限は伸ばせる。

 それを最後に親とは縁を切り、妹達を連れて家を出るつもり」

「なるほど……」

 

 アルシェの語る未来は十分現実的なものだった。

 

「分かりました、その条件なら一時的なチームを組んでも構いません。ただ、金額目標としましては金貨300枚としておきましょう。貴方が独り立ちするための資金としても必要でしょうし」

「―――ありがとう、モモンさん。可能な限り力になれるように頑張ります」

「モモンでいい……私もアルシェと呼ばせてもらう。一時的とはいえチームだからな」

「―――分かった、モモン」

 

 お互いに頬笑みながら(片方はフルフェイスで内側は骨だが)固い握手をする。

 

「それで期間の事だが、さすがに金貨300枚となると時間がかかる」

「―――うん、分かっているつもり」

「私が王国で活動していたときには一月少しで金貨500枚ほどだったから、等分なら金貨300まで二月少しといったところかな」

「―――うん……うん? 一月金貨500!?」

「ああ、まあな」

「―――驚いた……まだアダマンタイト級冒険者を侮っていたみたい」

 

 アルシェの驚く顔に、モモンガも内心苦笑する。実際今の稼ぎを日本円に直せばいくらになるか―――考え始めるとちょっと無いはずの心臓がキュッとするので極力意識しないようにしていた。

 

「では、今日はここまでにして明日から動き出そう。明日の朝にでも冒険者組合の前で待ち合わせだな」

「―――分かった。ちなみに帝国にいたままでいいの? こっちにいたままで支障が出るなら……」

「それについては気にしないでいい、あてがあるからな。それにアルシェは妹がいるのだから、拠点を変えるというのは難しいだろう?」

 

 アルシェはモモンガの気遣いに感激し、あらためて礼を言った。

 

 こういった経緯で、彼らは一時的なチームを組むことになったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿に戻り、鎧を消してから<伝言>を使う。

 

(困ったときのなんとやら、というやつだな)

 

 数分としないうちに<伝言(メッセージ)>がモモンガの言う「あて」に繋がった。

 

『モモンだが、聞こえるか?』

 

『はっ。お久しぶりですわモモン様。何か御用でしょうか』

 

『ああ、少々お前の力を借りたくてな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、アルシェ」

「―――モモンさ、じゃなくてモモン、おはよう」

「……少し、顔色が悪いか?」

「大丈夫。家に帰ったら増えた借金を伝えられただけ。やることは変わらないから問題ない」

「それは、難儀なものだな」

 

 朝から少し重めの話をしつつ、二人は冒険者組合へと入る。

 先日と変わらぬ閑散とした組合には、人の出入り自体が珍しい。その少ない出入りの中でも、モモンガのように立派な体躯をした全身鎧の男はさらに珍しい。受付に居た女性は当然のようにモモンガの姿を見つけると、はじけるように立ち上がって此方へと駆けつけた。

 

「いらっしゃいませ、モモン様。実は王国からの連絡がありまして使いを手配するところでした」

「それは行き違いにならなくてよかった。仕事の依頼かね?」

「はい! 指名の依頼が多数きております!」

「分かった、では話を聞きたいから案内してくれ」

「では、此方へ……あの、お隣の方は?」

 

 受付の女性はアルシェをみやると、好奇心に負けて問いかける。モモンは一人の冒険者だし、アルシェには冒険者のプレートがないので当然と言えば当然だ。

 

「ああ、彼女は一時的な協力者だ。私が一方的に雇っている形だから、人間性や実力の保証は私がする。今日の話も場合によって彼女の力を借りるので、依頼の話には彼女も参加させていいだろうか?」

 

 受付はモモンの言葉を受け、目を白黒させる。噂で聞いているチームを組まないモモンが女性を連れ歩いている、それだけでスクープだ。受付の彼女も冒険者組合に居る以上は情報通(噂好き)だ、何かを勘ぐらないでくれという方が難しい。

 とはいえ彼女もプロだ、その興奮をおくびにも出さないで受付らしい毅然とした態度を取る。

 

「かしこまりました。モモン様がそう仰られるのであれば、我々としても問題はございません。あらためてご案内致します」

 

 先導して歩き始める彼女は、モモン達に顔を見られないと分かると固めていた表情を大きく崩す。

 

(速報! 速報! 英雄モモンに女の影有り、よ! これは盛り上がってきたわね……!)

 

 対してモモンガ達はそれにおとなしく付いていきながらも、受付に聞こえないよう小さな声で話し合う。

 

「話は通った、よな? しかし何というか、妙に変な目で見られなかったか?」

「――――目力が凄かった」

「うむ。ビームでも出そうだ」

「ビーム?」

「いや、こっちの話だ」

 

 雑談しながら奥へと進むと、普段冒険者が自由に使える会議室、ではなく応接室へと通される。数少ないアダマンタイト級冒険者であるからこそ、上級の客と同等の扱いをされていた。

 

「では、こちらで少々お待ちください。組合長がすぐに―――」

「失礼する。初めましてモモン殿、挨拶が遅れてしまい申し訳ない」

 

 受付が言いきる前に、組合長らしき者があらわれた。余程焦っていたのか、軽く肩で息をしているほどだ。

 この下にも置かない扱いに、モモンガはリアルの営業時代を思い出して苦笑する。まさしく重役が来たときに自分達がしていた対処そのままだからだ。

 

(今だってただの雇われ社員のはずなのにな)

 

 ビジネスマナーにのっとり応対し、少しの雑談タイム。ここまではリアルと何も変わらない。だが、これから語られるのは仕事ではなくクエストだ。

 

(さて、今回はどんな冒険ができるだろうか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――待たせた」

「いや、気にしないでくれ。それでどうだった?」

「―――目的地と関わりの深い商人に確認をとってみたけど、確かに目撃情報があった。まだ実害がないから急ぎの依頼ではなかったみたいだけど、近くの町を治めてる貴族がこの話を知って、大慌てで依頼をかけたみたい」

 

 アルシェの調査結果を聞き、モモンガは感心を覚える。半日と掛からず依頼の裏付けをしてくれたのだから、元ワーカーとしての実力はもはや疑いようもない。

 本来、組合に入っている冒険者にとってあまり必要の無い情報収集。だが緊急の依頼ということもあり、事前情報が少なかったことやアルシェのワーカーとしての技能を測るためにも調査活動を頼んでみたのだ。結果は概ね満足と言える。

 

「なるほど、とりあえず行ったはいいが徒労だったということはなさそうだな」

「―――ほ、ほんとにギガントバジリスクの討伐にいくの?」

「ああ、既に冒険者になってから倒したこともある。戦闘については何も心配はいらないさ」

 

 アルシェの言うように、今回の依頼はギガントバジリスクの討伐依頼だ。被害もなく放置されていた案件を、『彼女』が手を尽くして掘り出してきたのだろう。

 

「―――何か準備するものは?」

「ふむ、それについては歩きながら話そうか」

 

 待ち合わせに使った宿を出て、通りを歩きながら話を続ける。

 

「アルシェと組むに当たって、私にも何か得るモノがないか考えてみた」

「―――アダマンタイト級の貴方より優れているところなんて思いつかない」

「いや、案外身近なところにあったぞ」

 

 ピンと立てた指を自らの頭へ持っていく。知識、それが答えだ。

 

「冒険者としての基礎、そして一般的な知識だ。何しろ私は力で成り上がった粗暴な冒険者でな。当たり前のように知っているべきことを知らないときが偶にある」

 

 それに気づいたのは、まさしく〝フォーサイト〟と一時的に組んだときだ。アンデッドになり肉体的、精神的な疲労からほぼ解放されたモモンガは、当然のように人間が消耗することを忘れかけていた。それはまずい、何がまずいといえば、いずれ誰かに不審がられる可能性がある。

 モモンガとしては未だ人間の世界にいるつもりだった。英雄の地位に固執はしないまでも、捨てるにはもったいないと思っている。

 

「例えば今回の依頼だ。確か目的地までかなりの距離があったな」

「―――馬を飛ばしても半日はかかる」

「そうなった場合、お前たちはどうやって移動する?」

「―――乗り合いの馬車に乗って近くの町や村まで移動するか、数日掛けて徒歩での移動」

「ほう、直接馬を借りて移動はしないのか」

「―――できなくはないけど、何かあった場合が怖い。現地で馬を預けられる場所があるとも限らないし、怪我をさせたり逃したりしたら弁償も安くはない」

「成る程な」

「―――貴方は今までどうしていたの?」

「走ったな」

「……走った?」

「ああ、馬より速さも体力もあるからな。無駄金を使うより得だ」

「―――成る程、貴方の言いたいことがようやく分かった」

 

 アルシェの呆れた声に、少しばかり恥ずかしくなるモモンガ。

 実際は転移門(ゲート)なども活用しているが、さすがにそこまでは言うわけにもいかない。

 

「まあ、こんなわけで私には多々常識が足りないと思っていたんだ。これを機に、色々と教えてもらえると助かる」

「―――私としても貴方に少しでも返せるものがあるのは良いこと。喜んで教えさせてほしい」

「ああ、頼む」

「―――じゃあ、今回は馬車か歩きで移動するの? そうすると事前準備が必要になる」

「うむ、それも冒険者の大切な仕事だな……だがまあ今回はこれを使おう」

 

 そしてモモンガは一つの指輪を取り出し、アルシェに引き渡す。

 

「―――これは?」

「リング・オブ・サステナンス。肉体的疲労が一切なくなるマジックアイテムだ」

「はっ?」

 

 国宝レベルの一品をポンッと手に載せられたアルシェは固まる。

 

「荷物なら私の無限の背負袋(インフィニティ・ハヴァザック)に入れておこう、500kgまでなら入るからな」

「へっ、はえ?」

 

 次々と便利アイテム、もとい高価なマジックアイテムを取り出すモモンガ。彼としては『これから金を貯めるのだから無駄遣いはもったいないもんな』程度の認識だ。まさに料理番組で「はい、こちらが温めたモノになりまーす」といった情緒を排した行為である。というか常識を学ぼうというのに既に常識はずれのことをしだしているということにモモンガは気づいていなかった。これを本末転倒と言う。

 対してアルシェはそれら一つ一つが借金を返してもお釣りが返ってくるものと知り、感嘆を通り越して戦慄を覚える。モモンガを少しは理解できたと思った瞬間、共感が疾風走破でどっか行った。

 

(この意識のズレを直すのは、大仕事になりそう)

 

 幸運なのか不幸なのか分からない彼とのパーティーに気合いを入れ直すアルシェ。

 ――――この日より、彼女の思った通り褒美とも試練とも判断しにくい、とんでもない冒険活劇が始まるのだが、今の彼女には知る由もないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが全て本当なら大したものだな」

 

 帝国が支配者にして、絶対的な王。その名はジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス。

 彼は手元の資料を楽しそうに、かつ不快そうに読み終わると、それを机へと放り投げた。

 

「そうですな。エ・ランテルのアンデッド事変や冒険者としての活動はともかくとして……死の騎士(デス・ナイト)と本当に渡りあえたとしたら一大事ですな」

 

 老人、フールーダ・パラダインもまた、同意を返す。屈指の宮廷魔術師とはいえ戦士ではない彼がモモンガの格を正確に推し量ることはできないが、こと死の騎士に関しては深い知識を持っている。

 

「他の活躍もそうとうなものじゃないか? ギガント・バジリスクを倒した一件もそうだが、こいつが受けた依頼はどれもこれもアダマンタイト級の名に恥じない働きだ」

「それは否定致しません。ですが、死の騎士だけは別格ですぞ」

「……そこまでのものなのか?」

「ええ、例えば四騎士が全員揃っていたとして……」

 

 そこで端に控えていた「雷光」バジウッド・ペシュメルへ二人の視線が移る。

 

「せいぜい時間稼ぎが限界でしょうな」

「倒しきれない、いや殺されないようにするのが精いっぱい、ということか」

 

 無言で頷くフールーダ。ジルクニフは小さく嘆息すると、その「雷光」へと再度視線を向ける。

 

「どう思う、バジウッド」

「そうですねえ……それが本当なら、そいつは王国戦士長すら匹敵するかもってところでしょうね」

「ガゼフ、か」

 

 ジルクニフは眉をひそめる。ガゼフ・ストロノーフの強さはジルクニフも自らの目で確認している。戦場で修羅が如き立ち回りを見せた男の名を出されては、さすがに軽視できない。なにしろジルクニフは戦場で直接勧誘する程度には彼を評価しているのだ。結果として断られたが、あの忠誠心も含めて王国には惜しい男である。ほんと欲しい。

 

「さて、その男がなぜ帝国に来たか……調べはついたのか?」

「最初の報告以外、変わっておりません。装備やアイテムの収集、後は見聞を広めるため、だとか」

「理由としては無難過ぎるな。案外ただの観光なのかもな」

 

 秘書官ロウネ・ヴァミリネンの報告に、ジルクニフは冗談めいて笑う。この皇帝、さらりとモノの本質を見抜く直感を持っているが、自らの頭の良さが邪魔をしてそれを信じられない男である。

 

「既に金や名声、力は手に入れている。さて、なら何を持って引き抜くか……」

「カルネ村や王国の裏組織の一件にも関わっているようです。正義心をうまく利用すればよいのでは?」

「それは早計だぞ、ロウネ。この男の行動や言動はそこまで偏っていない。組合とも付かず離れず、権力に対してもそう忌避感を覚えさせん。慎重に自らの立ち位置を保っている」

 

(この絶妙な距離感をそつなくこなせているとしたら、案外政治力もあるのか……?)

 

 ジルクニフの推測は深まる。

 

「……やはり一度会ってみるか」

「直接会われるのですか?」

「ああ、こいつの考えは読めないが会えば少しは分かるだろう。直接ならばこちらの本気も伝わるだろうしな。バジウッド、お前もついてこい。見れば少しは強さも判るだろう?」

「了解です、陛下」

「さて、じいはどうする?」

「そうですな……死の騎士を知っていたことだけでなく、彼がときおり見せるというマジック・アイテムの数々には興味がありますが……」

「もしそこまで乗り気ではないなら今回は譲ってくれ。話が脱線してアイテム談義などされては俺が退屈だ」

「ははっ、それもそうですな。それでは陛下が縁を結んでからということにいたしましょう」

 

 ジルクニフは机の資料を再度手に取ると、魔法で描かれた人物画を不敵に睨み、笑う。

 

「さて、英雄モモン殿は果たしてどんな男かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皇帝陛下が、私を?」

 

 とある宿屋で一息ついていた時に、帝国四騎士のバジウッドを名乗る男がモモンガの前に訪れた。何とモモンガに会うだけのために皇帝自らこの街へ訪れているらしい。

 

「ええ、もしモモンさんがよければ一度会ってもらえませんかね? 話を聞ければ報酬も出すって言ってましたよ」

「それは……断れませんね」

 

 今のモモンガにとって一国の権力程度恐れるまでもないが、とはいえ社会人としての常識は未だわきまえている。わざわざ国王がただの冒険者一人のために会いにきているのだ、相手の面子を考えて断る訳にはいかない。

 

「そりゃあよかった。そいじゃあ案内するから、付いてきてくれ。っと、お連れさんはどうする?」

「あー、アルシェ。どうする?」

 

 そこでようやく同じテーブルについていた……正確にはその机に溶けだすように突っ伏していたアルシェに注目が集まる。

 

「―――休んでる」

「そ、そうか」

 

 漏れ出るように小さな否定の声が出る。たった半月程で十数回死ぬような目にあった彼女は、疲れていた。指輪の御蔭で肉体疲労はないが精神は疲弊するものだ。

 部屋にさえ帰れれば短期間で大きく増えた資産の前で不気味ににやける程度の気力は残っているのだが。

 

「では、私一人で」

「了解だ、馬車を用意しているからついてきてくれ」

「……随分厚待遇ですね」

「分かってると思うが、陛下はアンタをそれだけ評価してるってことさ」

 

 ガゼフの言っていたとおり、引き抜きなんだろうなぁ……と思いつつも、まさか本人がくるとまでは思っていなかったモモンガは、小さな好奇心と緊張感を胸にして馬車へ乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこは街の中でもかなりの大きさを持った建造物。役所のようなものなのだろう、何処かお硬い雰囲気を持つ施設だった。

 気軽に奥へとズンズン進むバジウッドについていき、施設内でも立派な装飾が施された扉の前へと案内される。

 

「陛下ー、入りますよ」

 

 バジウッドは軽いノックとともに扉を開く。返答を待たずにだ。

 モモンガはその傍若無人ぶりに目を疑う。この男が余程の礼儀知らずなのか、皇帝が細かいことを気にしない豪気な者なのか、少々固まってしまった。

 開かれた扉の奥に皇帝らしき男を見つけて硬直が解ける。慌てて動き出し、一礼を挟んでから声を上げた。

 

「失礼致します、冒険者のモモンです」

「やあ、待っていたよモモン殿。まあ入ってくれ」

 

 フランクな対応に、聞いていた鮮血帝の印象との差異に戸惑いつつ室内へと入る。

 近づいて皇帝を見てみれば、この世界に来てから上から数えても一二を争うほどの整った容姿を持つ美男子だった。ラナーといい、高貴な身分の者は当然のように美形なのが常識なのだろうか、と少々嫉妬を覚える。

 

「皇帝陛下。この度は私のような者に謁見の機会を頂き、真にありがとうございます」

「……いや、こちらこそ突然な呼びつけに対応してもらい感謝する。立ち話も何だ、かけてくれ」

 

 案内に従い、椅子へと座るモモンガ。今の彼は全開の営業モードだ。ジルクニフにとってもその丁寧な対応は予想外だったのか、少々驚きを覚えた表情をしつつ話し始める。

 

「噂には聞いていたが、モモン殿は本当に冒険者とは思えないほどに礼儀正しいのだな」

「いえ、少々人と話す機会に恵まれただけです。もし失礼な振る舞いをしてしまった場合は遠慮なく仰ってください」

「……バジウッド、これが理想の騎士というものだぞ?」

 

 お手上げとばかりに両手を上げて笑うバジウッド。

 

「さて、改めて突然の申し出に応えてもらったこと、礼を言おう。恥ずかしい限りだが、貴殿のような英雄が我が領地に来たと聞いていてもたってもいられなくてな」

「過分なご評価、身に余る光栄です。所詮私など一介の戦士に過ぎないのですが、どうも英雄像というやつだけが独り歩きしてしまって……」

「ほう、では差し支えなければモモン殿の口からその活躍を聞かせてもらえないだろうか」

「お耳汚しにならなければよいのですが」

 

 モモンガの活躍が、本人の口から一つ一つ語られる。エ・ランテルのアンデッド事変、ギガント・バジリスクとの戦い、陰謀渦巻く護衛任務、等々。

 もちろん虚実が入り混じるのはしょうがない。クレマンティーヌは最初から居なかったことになっているし、魔法詠唱者として解決した部分はマジックアイテムの力によるものと説明した。

 

「それは凄いな……それで、彼はどうなったんだ?」

 

 ジルクニフもまた、ただ聞いているだけではない。適切なタイミングで相槌を入れては続きを促す。それは現実では営業をしていたモモンガをして、舌を巻くほどに聞き手として優秀だった。

 彼らの話は、まるで良くできた演劇のように淀みなく進んでゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茶を入れ直そう」

 

 話が盛り上がり、数十分ほど経ってようやく話に区切りがつく。モモンガはジルクニフの話しやすさに、ジルクニフはモモンガの英雄さながらの活躍に、少々時間を忘れてしまっていた。

 

「いやはや、さすがだなモモン殿。噂に聞いていた以上の豪傑だ。まるで少年のように聞き入ってしまった」

「私などにはもったいないお言葉です」

 

 メイドが入れ直した茶で一息いれつつ、ジルクニフは先程までの会話を―――正確にはモモンガの対応や所作を、思い返していた。

 

(言葉遣いは王族というより商売人、だが行き届いた教育が感じられる。大きな商家の息子、といったところか?

 悪感情は抱かれていないだろう、しかし好感もまた、大して得られていない。人との会話に慣れているな……踏み込む直前で綺麗に一線を引かれている)

 

 モモンガは目の前に出された茶を飲めないことに一言謝罪して、鼻下へ運び香りだけ楽しむ。その頭の中に有るのはやはり、先程のジルクニフとの会話だ。

 

(いやあ、さすが王様だなあ……見た目だけでなく、話し方一つに気品を感じる。皇帝なのに聞き上手ってのもさすがだ、リアルじゃ見たこともないカリスマを感じる。

 しかしこれってあれだよな、やっぱりスカウトだよな。まさか本当に王様自らくるとは……ガゼフの言うとおり凄い人だな、ホント)

 

 彼らは互いに少しすれ違いながらも、感心をおぼえる。権力に溺れず、真に人を引きつけるカリスマを持つ男。力を誇示せず、礼節をわきまえた英雄級の戦士。ある意味自分とは対極にある完璧さを兼ね備えた目の前の男に、二人は強い興味に引かれ始めていた。

 

おべっか(・・・・)が通じない以上、長引かせるのは悪手だな)

 

 手にしていたカップをコトリと置くと、ジルクニフはモモンガを真っすぐに見据えて話を切り出す。

 

「さて、いつまでも聞いていたいところだが私もそこそこに忙しい身、本題に入りたいと思う」

「本題、ですか」

 

 ジルクニフは自らの手を前へと差し出す。そのジェスチャーの意味が分からないモモンガではない。

 

「我が国に仕えないか、モモン殿。満足できるだろう待遇は約束する。地位も、そこにいる四騎士と同等……いやそれ以上の立場も用意しよう」

 

 彼は何の駆け引きもない直球勝負に出る。四騎士以上となると、この国には宮廷魔術詠唱者であるフールーダ・パラダインを置いて他はない。それだけの価値がこの男にあると、彼の勘が働いた結果だ。

 

「……」

 

 対してモモンガは即答せず、じっくりとその手を見る。

 この国を見て、生きる人々を見て、モモンガは正直に言えば好感を覚えていた。最も素晴らしい治世とは、優れた者による絶対王政であると、彼はかつて仲間に聞いたことがある。それを証明してみせているジルクニフは、まさしく理想の王だ。直接話してなお、その印象は薄れるどころか強まっていく。

 この王ならば、仕えてもいいかもしれないとモモンガは思う。彼は自らの手腕を以ってモモンガを楽しませ、飽きさせることをしないだろう。そしてこの豪胆な王ならば、モモンガの正体すら飲み込むだけの器を持っているのではないか、とすら思わせた。

 

「矮小な身に過ぎたご評価、嬉しく思います。ですが丁重にお断りさせていただきます」

 

 だが、モモンガがその要求に乗ることはない。

 

「ふむ、理由を聞かせてもらってもよいだろうか。こう言ってはなんだが、私以上にモモン殿を評価している者はいないと思っている。そしてその対価もまた、私以上に出せる者はいまい」

「単純です、皇帝陛下。私が求めているものは地位や名誉ではないのです」

 

 やはりか、とジルクニフは予想通りの返答に内心舌打ちをする。

 

「では、何だろうか。成しえないといけない宿命でもあるのか?」

「いえ……私を評価してくださる陛下にお話しするには恥ずかしいことなのですが……」

 

 モモンガは言い淀む。嘘をつくことは簡単だ、だがモモンガは理想の支配者を体現する男に敬意を持って真実で答えることにした。

 

「私は冒険がしたいのです。未知の世界を求めて、世界を見て廻りたい」

 

 子供じみた妄言。それを聞いたジルクニフは目を丸くして絶句する。少しの沈黙の後、口を開いた彼の言葉には大きな動揺がみられた。

 

「ま、まってくれモモン殿。冒険? ようは旅がしたいだけ、ということか? 貴殿ほどの力と礼節を持った男がか?」

「ええ」

「それでは何故王国の冒険者になったんだ。およそモモン殿が言うような冒険は王国では不向きなはずだ」

「それはたまたまこの地方に来て最初に着いたのが王国だから、としか。それに実はこう見えて気が小さい男でして。拠点などがない、地固めができていないとそれはそれで不安なのです」

「王国も、アダマンタイト級の地位も、全ては旅の途中の宿り木だと?」

「……随分詩的な表現ですね。まあ、そのようなものです」

 

 被せられるように浴びせられる質問に、淡々と答えていく。それを幾度か続けてもう疑問はなくなったのか、ジルクニフは呆れたように天を仰ぎみた。

 

「く、くくくっ、はっはっは!」

 

 それは自嘲じみていながら、心底楽しそうな笑いだ。

 ジルクニフはモモンガが語る言葉を冷静な部分で虚言だと判断しつつも、彼の鍛えられた人を見る目は真実だと見抜いてしまった。大英雄の余りに子供じみた発言があまりにおかしく、そしてモモンガを警戒し謀略に巻き込もうとした自身が滑稽で、彼は笑いをこらえきれなかった。

 

「ふ、ふふ……逸脱者というやつはどいつもこいつも妙な一面を持たないといけないのか?」

「……お恥ずかしい限りです」

 

 少々不機嫌さを醸し出すモモンガ、つまりちょっとだけいじけている。

 

「すまないモモン殿、別に馬鹿にしたわけではないのだ。うちのじい―――宮廷魔術師のフールーダも貴殿に少し似通った男でな」

「ほう、私と?」

「ああ、さすがに聞き及んでいると思うが、やつは魔術詠唱者としての腕は随一だ。だが少々魔術馬鹿でね、時には執務を放り出しても知的欲求に従ってしまう男だ」

 

 困った老人だ、と肩をすくめるジルクニフに悪感情は見られない。そこには親子か、はたまた師弟か。少しひねた愛情が感じられた。

 

「信頼されているのですね、フールーダ殿を」

「ああ、あいつが居なくては今の俺はいないからな、当然だ」

 

 おや、とモモンガは思う。ジルクニフの口調が砕け始めたからだ。

 

「さて、モモン殿には悪いことをした。なにしろ希代の戦士とあらばどうしてもうちに引き込みたくてな。だがモモン殿が他の国につかないというのなら、無理に勧誘するつもりはない」

「申し訳ございません、御配慮ありがとうございます」

「ああ……だが人というのは気が変わるものだ。いつモモン殿が他国につかないとも限らん。俺としては少なくとも敵対関係にならないよう、手を打っておきたい」

 

 先程までの皇帝らしい振る舞いは何処へやら、ジルクニフは気さくな態度で語り始める。いや、こうまでしても彼のカリスマに陰りは無い。むしろこの姿こそが真なる姿と言わんばかりに。

 

「バジウッド、少し部屋から出ていろ」

「はっ……は? しかし陛下、さすがにそれは」

「聞こえなかったか、出ていろと言ったんだ」

 

 バジウッドは戸惑いつつもジルクニフの言葉に従い、部屋を出る。

 戸惑いを感じたのはモモンガも同じだ。護衛である彼を追い出し二人きりになる理由が彼には思いつかなかった。

 

「……これから話すことは、皇帝に相応しくはないだろうからな」

 

 不敵に、そして何処か愛嬌のある笑みを浮かべたジルクニフは、再び手を差し出す。

 

「友にならないか、モモン殿」

 

 それは、まさしく一国の王が口にするには相応しくない、驚愕すべき言葉だった。

 

「と、友に?」

「ああ、そうだ。部下ではない。同盟でもない。友だ」

「……どういうおつもりでしょうか」

「何、大したことではない。友に剣は向けにくいだろうという、打算半分。そしてモモン殿という面白い男と気安い関係を築きたい、という本音半分だ」

 

 その何とも馬鹿正直な言葉に、モモンガは言葉を失う。

 

「思えば俺に友人はいなかった。信頼に値する保護者と部下は得られたが、対等な立場で語り合える友だけは得られなかった。まあ独裁は俺の望みどおりでもあるが」

「一国の王としがない冒険者では対等とは言いにくいのでは」

「まあ、端から見ればそうだろうな。だがモモン殿、貴方はそれだけではあるまい。フールーダと比しても遜色のない力を示している男が、まだ何かを隠しているとあってはな」

「……何故、そう思われるのですか?」

「モモン殿は人との対話に慣れているようだが、俺を甘く見ないことだ。タヌキとの会話は慣れたものでな。モモン殿が戦場で剣を振るうように、化かし合いが俺の領分だ」

 

 ニヤリ、と笑みを深めるジルクニフ。

 モモンガはその観察眼に呆れると同時に、目の前の男に強く敬意を憶えた。

 

「……はぁ、王族ってやつは力の代わりに思考回路が逸脱しているものなんですかね?」

「む、他の王族と知り合いがいるのか」

「ええまあ」

「王国……俺並に頭が切れるというと……あの女か」

 

 楽しそうなのも一転、苦虫を噛み潰したような表情を見せるジルクニフ。それに強く同意を憶えたモモンガは、苦笑しながら彼の手を取った。

 

「では皇帝陛下、謹んでそのご厚情をお受けいたします。国に敵対したくないが故の打算半分、その大きな懐と人心掌握術に敬意半分、というところで」

「言ってくれるな、モモン殿。こうして二人の時にはジルでいいぞ。友人なのだ、口調も崩して構わん」

「ああ、では俺もモモンと。お互い良い関係を築けることを祈るよ、ジル」

 

 ここに、打算という名の友という関係が新たに生まれた。だが彼等には互いに尊敬がある。独裁者と異形種というカタチの違う孤独を抱えた彼らは、ある意味相性がよかったのかもしれない。

 

 この会合の後も、彼らは時間を見てはこうして対面し、交流を深めることになる。

 

 ――――それは、出会い方が違えばあり得なかった光景の一つ。

 彼らが知ることはない、同じ言葉から別の関係が生まれる、少しばかり不思議なお話の一つである。

 




総括
①アルシェの出番はこれでほぼ終わり
②ペロキャン

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