俺と彼女の学園生活   作:杉坂 響夜

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まず初めに気まぐれ100%の不定期投稿です。2週間に1話は更新したいと思っていますが新卒社会人のため確約はできませんのでご了承ください。けれど、感想とかもらえると励みになると思いますので気分が乗ったらで良いのでよろしくお願いします。



序章

五歳の頃、父さんから

 

「お前には許嫁がいるんだよ」

 

と、唐突に知らされた。

 

何でも爺ちゃん同士の若い時の約束で子供同士を結婚させようと思っていたのが、両方とも男児で叶わなかったそうだ。

 

しかし、孫の代・・・つまり俺たちの代になって約束が果たせそうだから果たそうってことらしい

 

今思えば今の世の中では時代錯誤も良いところだと思うところだけれど、当時五歳の俺にとってはイマイチ理解できないものでしかなかった。

 

そこで父さんからされた説明によって許嫁というのが

 

『将来、俺が父さんと母さんのような関係になる女の子』

 

という説明をされて無邪気に喜んだのを覚えている。

 

僕の父さんと母さんはとても仲が良くて僕のことも凄く大切にしてくれていたからだ。

 

そんな関係になる女の子ってどんな子なんだろうか?ってワクワクしてお爺ちゃんや父さんたちに「僕と結婚する女の子ってどんな子なの?」ってしつこいくらいに聴いたり、カレンダーの会う予定になってる○の記号とその日の日付の×の記号の間を何度も数えて遠足に行くかのようにして楽しみにしていた。

 

ちなみに母さんたちの返事は「会ってからのお楽しみ」・・・要するに内緒ということだった。

 

そうして、あっという間に当日が訪れた。

 

卸したてのフォーマルシャツとズボンという格好で正装し、父さんの愛車である軽自動車のハスラーで家を出て昼間頃に相手の家の前の門の前に到着し、その門の大きさとどこまでも続いて見える塀、門の向こうに見える絵本から抜け出してきたかのような豪邸に圧倒された。

 

 

中に入ってからは更にその内装の豪華さに驚いた。ぶっちゃけると日本ではない何処か外国の城と言われた方が納得しそうな内装だった。

 

果てまで続く赤いカーペット、キラキラと輝くシャンデリア、絵画(途中にちょくちょく変な絵とかもあった)、高そうな壺と自分の家との違いをこれ以上にない程に見せつけられて「ほへー」と間抜けズラを晒していたことだろう

 

まぁ、そんなわけで勝手知りたる我が家かの様にどんどんと奥に進む両親と爺ちゃんに連れられて奥の大広間の前に到着すると流れる様な栗色の髪をハーフアップで纏めたスレンダー美人で綺麗な女性がいた(胸は申し訳程度にしかなかった)

 

何でもこのお家のメイドでハウスメイドとかいう業種らしくそこいらに居るらしいメイドさんと違って本物のメイドさんらしい

 

いや、本物とか言われてもメイドさん自体を初めて見た当時の俺に違いなんてわからんって!!

 

「ようこそ御出で下さいました。天野 天地様」

 

「やぁ、伊吹君。相変わらず元気そうだね〜、妹さんは元気かい?」

 

「はい、お陰様で。頂いた絵本を毎日読んでいますよ」

 

「それは良かった。ウチの七河(しちか)は絵本よりも外で遊ぶ方が好きみたいで、絵本も嫌いってわけじゃないが、与えてもすぐに読んでしまうらしく物足りないってことで最近は漫画を与えることにしてるよ」

 

突然だけど、俺の家系の人は代々空に関係する文字が名前に入っているらしい。父さんの場合は天がそれにあたり、俺の場合は天の川から取ってつけられたらしい。誕生日も七夕だしね

 

「なるほど、流石は天地様のご子息です。その年で漫画を苦もなくお読みになられるとは将来が楽しみですね」

 

今思うと確実にお世辞だったのだと思う…しかし、当時の俺にはそんなことわかるわけもなく、『凄いでしょ!!』とばかりに胸を張っていたことだろう

 

それを両親と伊吹さんは微笑ましそうに見つつ、伊吹さんが扉に手をかけ

 

「旦那様、天野天地様、並びに御一行の方々がご到着いたしました」

 

「そうか、通してくれ」

扉の向こうから若い男性の声がする。

 

まぁ、そんなわけでようやく件の彼女と対面することとなったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

母さんたちからはとてもかわいい子であると聞いていた

 

そのため、期待に胸を膨らませてドアをくぐるとそこには

 

 

 

・・・・・・・え?

 

---------時間が停止した。

 

いや、本当に停止したわけじゃないけれど・・・あの瞬間俺は彼女に一目ぼれをしたんだと思う。

 

---------想像以上に可愛かったから

 

 

絵本や漫画のお姫様の様だった女の子。

 

大きな窓から差し込む日差し・・・誰が書いたのかわかりもしないがなんとなく高そうなことだけはわかる鮮やかな緑の森の中で戯れる動物の絵画・・・本棚には俺が当時読んでいたような漫画や絵本ではなく絵がない文字だけしかなさそうな本が整然と並んでいた部屋の中心の丸いテーブルに先ほどの声の主と思われるウチの父さんと同い年くらいの若い男性と・・・黒く長い髪の女の子が大きな虎模様の猫のぬいぐるみを抱いて座っていた。

 

そんな状態で見とれたまま固まってしまっていた俺を再び動かしてくれたのは・・・たぶん母さんだったと思う。

 

「ほら七河、この子があなたのお嫁さんになる『古都寺 由利亜』(ことでら ゆりあ)ちゃんよ。」

 

そう言って背中をトンっと叩かれて一歩前で出た俺は・・・・確かこういったはずだ。

 

「はじめまして! ボクの名前は天野七河です!よろしくね!!ユリアちゃん」

 

何度か深呼吸をしてハキハキと笑顔を浮かべて自己紹介をしていた。

 

「・・・・・・」

 

対して由利亜ちゃんの返答はじっと俺を見つめたままでまさかの無言だった。

「・・え、と・・・ユリアちゃん?」

 

「由利亜、自己紹介は?」

 

「・・・・」

 

「あぁーー、すまない七河君。どうにも今日は由利亜の元気がないようだ。普段はもっと明るい子なんだけれどね。けれど天地。君の子は本当にいい子だね。明るくて素直そうで♪やっぱり君の子供だね。由利亜と成長した将来が楽しみだよ。これで古都寺家も安泰かな?あ、ちなみに僕の名前は古都寺 正宗(まさむね)。是非とも気軽にマサ叔父さんと呼んでくれ♪」

 

なんてマシンガントークのような挨拶に少し驚きをしたものの笑顔を向けてくれた叔父さんに僕は笑顔で応えた。

 

「はい、マサ叔父さん!!」

 

「うん、いい子だ。由利亜と仲良くしてあげてね」

 

そう言って近づいて来た叔父さんが僕の頭を撫でているといつの間にか由利亜ちゃんが僕の目の前にまで先程まで抱えていた猫のぬいぐるみではなく本を持ってやって来ていた。

 

「あ、由利亜ちゃん。そういうわけだから、これからよろしくね」

 

そういって握手をしようと右手を出して一歩近づいた。

 

 

だが、その時だった。

 

「ふんっ!」

 

「んぶぇ!!?」

 

「へ?」

 

「由利亜!?」

 

彼女は手に持っていた本を全力で僕の顔面に投げつけてきたのだ。

 

(え?ちょっ、今ボク本を投げられたの!?)

 

幸い鼻血は出なかったが、もろに鼻に当たったためズキズキと痛む鼻先を手で押さえつつ、投げつけられた影響か尻餅をついていた姿勢のまま視線を本へ・・・続いて由利亜ちゃんへ向けると・・・

 

「何すんだよーーっ!!」

 

先程までの初恋がどうとかこれまでに楽しみにしていたとかの話も全部吹っ飛んで掴みかかる勢いで立ち上がって叫んでいた。

 

「うっさいわね!アンタ風情の凡人が私に馴れ馴れしくするなんて生意気なのよ。馴れ馴れしくしないでくれる?」

 

「は?」

 

「アンタなんかじゃ、私みたいな超お金持ちの古都寺家の長女であり、最高の美少女である古都寺由利亜には釣り合わないって言ってるのよ!」

 

「・・・・(・・・え?何言ってるんだ?この子)」

 

「それとね。私、アンタみたいなのが許嫁だなんて認めてないから。」

 

なんてことを言ってきながら更に父譲りと思われるマシンガントークは止まらない

 

「どうして私みたいな美人で気品もあって頭も良い女の私がアンタみたいな貧乏くさいアホ面と婚約なんてしなきゃいけないのよ。はっきり言ってあり得ない。迷惑よ。お父様やお爺様たちが格好良くて素敵な人だって聞いてたからどんな王子様みたいなのが来てくれるのか期待して、渋々了承してあげたのに・・・・完全に騙されたわ」

 

「こ、こら由利亜!せっかく来てくれた七河君たちに対してなんて口の利き方をするんだ!!」

 

「ふ・・ふ・・ふざけんな!誰が貧乏くさいアホ面だ!!ボクだって許嫁なんて良くわかってなかったけど、新しい友達ができると思って仲良くしようと思ってたのに!!それをいきなり挨拶もせず本を投げつけてきた挙句さんざん悪口を言ってくるなんてお前なんて顔だけの性格ドブスの暴力女じゃないか!!」

 

「せ、性格ドブスの暴力女ですってぇ!?」

 

「こ、こら七河!」

 

母さんが止めようとするけど知るもんか!!

 

「こっちこそお前みたいな暴力女との婚約なんてお断りだ!!」

 

「くっ・・・こいつ、へぼ男のくせに生意気よ!アンタなんて・・・アンタなんて・・・・ぜったい・・・ぜぇーーーったい認めないんだからぁーーーーーっ!!」

 

「うわっ!!」

 

そう言ってどこから取り出したのか由利亜から再び投げつけられた分厚い本を避ける。

 

そうして投げられた辞書サイズの本は先程まで僕の顔のあった辺りを鋭く通過して壁に激突し、視線を由利亜に戻すと両手には先程投げた本と同じくらいに分厚い本が握られており、僕に投げつける気満々の由利亜の姿があり、それを慌てて叔父さんが両手を拘束して止めるが、なおも拘束されている由利亜の眼光は僕を自由な足で蹴り飛ばそうという意思を込めた眼差しで睨んでバタバタと暴れ、暴れた反動で両手に持っていた本を取り落とすもその内の片方を暴れている足が見事に捉え、反応できなかった僕の顔面すれすれを飛んで行って再び壁に激突し、蹴り飛ばした当の由利亜は「チッ!」っと吐き捨てるように舌打ちをしていた。

 

 

それを見て僕は・・・こ、古都寺由利亜・・・なんて暴力的でワガママな女なんだ。

 

いらない・・・・こんな許嫁なんて、絶対にいるもんかーーーーーーー!

 

----------これが今から11年前の5歳の頃、初めて俺が許嫁の少女『古都寺由利亜』との出会いだった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

この作品を見て
「どっかで聞いたことのある話だなーー」と感じた人がいるかもしれませんがキャラ設定をいくつかのギャルゲーから口調とかを少し変えて引っ張ってきてたりします。その作品の本筋をなぞるつもりは毛頭ありませんが、元ネタの作品を知っている方にはキャラを見て懐かしいな~とか思っていただければ幸いです。
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