悪意も好きですがギャグも好きだと実感が戻ってこれました。
今後は適度に割り振って書いていかせてもらいます。偏りはもう嫌だし、疲れました・・・。
*言霊ISで分岐したラブコメルートを執筆開始しました。
「・・・由々しき事態よね」
『・・・・・・・・・・・・』
部室に集まっていたイッセーを除くミステリー研究会部員一同はそろって俯いて下唇を噛み、それぞれが何事かを考えるように沈黙している。
思い煩っているのは、先日にゼノヴィアから言われた一言について。
『お前ら・・・悪魔のくせに真面目すぎるだろ。もっと自分のやり方を押しつけてこい』
・・・正直、イッセーを間近で見ているのが日常の私たちには盲点だったのだけれども、確かに私たちはメンバーが揃った当初から相手の用意した拠点に乗り込み決戦を挑むことが多かった。
それが当然だと思っていたし、事実としてそれで勝ってきていたから深く考えようとはしていなかったのだけれど・・・ディオドラとの一件でアーシアを失いかけた今となっては無視できない難題だと断言できるわ。早急に解決策を模索しないと、今度は誰が犠牲になるか判らない・・・!!
「そういう訳よ、みんな。力を貸して頂戴」
私は、彼らの主としての沽券を捨て恥を捨て、戦闘面では足を引っ張りがちになっているキングの駒としてみんなにお願いするため頭を下げると微笑みながらの暖かい反応が返ってきた。
「水臭いですよ、部長。僕の命はとっくの昔に部長に預けてます。もちろん、体も心も知恵も知識もね。御自由に使ってください。僕は部長に付いていくだけですから」
「祐斗・・・!!」
「・・・私は部長・・・リアス姉様の役に立てるのであれば何でも・・・」
「小猫・・・!」
「ぼ、ボクもです! 役に立てるか判りませんけど、精一杯がんばります!」
「ギャスパー・・・!」
「うふふ。わたくしが協力するのに、今更言葉など必要ないでしょう?」
「朱乃・・・あなたまで・・・!!」
本当に私は良い眷属に恵まれたと思う。本当に、良い眷属に恵まれた幸せな主なのだと確信できる!
だから私は彼らを頼るの! 自分では及ばぬ部分を補ってくれることを期待して!
みんななら必ず、私たちが抱えている問題を解消できるアイデアを思いつくって!
一人ではダメでも、みんなでアイデアを出し合いさえすれば必ずと・・・・・・!!
「じゃあみんな! 聞かせて頂戴! 私たちの抱えている悪魔らしくない真面目さを解決する方法を! みんなで色々なアイデアを持ち寄ればきっと・・・!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「みんなーーーーーーーーーーっ!?」
誰からもアイデアがでなかったら、数だけそろえてても意味ないじゃないの! 0になに掛けても0なままじゃないの!
始まりがあれば終わりがあるのに、始まることすら出来なかったら伝説が生まれないじゃないのよーーーっ!!!
「い、いや部長。諦めるのはまだ早いですよ。だって、ほら。今日の放課後はイッセー君がゼノヴィアと再び稽古して「問題解消手段を見つけだしてみせるぜ!」って親指立ててましたから・・・」
「転生悪魔としては後輩のイッセーに任せっ切りで恥ずかしくないの祐斗!? あなた成績では彼より圧倒的に上のはずなのよ! ペーパーテストではだけどね!」
「・・・・・・学生の本分は勉強で、剣の修行は学校の小テストに関係してはいないので・・・」
「祐斗ーーーーーーっ!?」
なんだか気づかない内にミステリー研究会がダメになっちゃってる気がするわ! ダメな子ばかりになっちゃってる気がするわ! これって一体誰のせいなのよーーっ!!
「ーーこうなったら、あなたが最後の命綱よイッセー。わたし、あなたを信じてる・・・!」
ーー人のことを誰よりも言う資格のないキング兼グレモリー家の姫君リアス、もうコリゴリ~。
『ブースト!』
ーーよし!
『ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!』
「うおりゃあああああああああああああっ!!!」
ずどがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっん!!!!!!
どうだ!? 今日一番の威力での一撃だ!
「これならさすがのゼノヴィアもぉぉぉぉぉぉぉっん!?」
「残像を残して避けるのは回避の基本。わざわざ盛大に土煙をたてまくっては相手の思う壺だぞ? もっと相手をよく見る習慣ぐらいは身につけろよ戯け」
横合いから裏拳くらって吹っ飛んでく俺に、冷たい声と視線で一瞥してくるゼノヴィア。ーーちくしょう! 今日もまた勝てないのかよ俺は! せめて問題解消のためにも糸口くらいは掴みたいのに!
「・・・なんだ。先日の件を気にしてでもいるのか? 大したことを言われたわけでもないだろうに・・・」
・・・・・・・・・へ? 今、なんて・・・。
俺が疑問符だらけの顔を向けた先ではゼノヴィアが呆れ果てたと言いたそうな顔でこちらを見ていて、白けきった瞳のまま冷静に指摘してくる。
「あれは『私の剣の理』であり、私の価値観を基準とした私個人の意見を言ったまでだ。別段、私と同じ色の旗を仰いでいるわけでもない貴様等が迎合する必要など些かもなかった。好きに解釈して、自分の得意とする分野に置換してくれて構わなかったのだ」
「で、でも、それでダメだと感じたら怒られるの俺たちなんだろ?」
俺の若干ビビりがちな声での質問にゼノヴィアは大きくうなずき「当たり前だろう?」と、平然とした口調でごく自然に答えてくる。
ううぅ・・・いや分かるんだけどさ。それが正しい戦闘技能講座で、厳しい環境で育ったから頭堅いゼノヴィアが当たり前だと言いきれるのも分かるんだけどさ。
でも俺一応、日本で生まれ育った高校生なんだぜ? 可愛い女の子に言葉で罵倒されたら少しだけじゃなくて、結構心が痛いんだけどな・・・。
俺がそう言うとゼノヴィアは奇妙な顔をした後「・・・質問を変えよう」と言いだして、
「兵藤一誠。貴様は何故、最初の一件以来ブーステッド・ギアを使った最大出力の一撃が通じなかった度に狼狽えだすのだ?」
「へ?」
え? つまり・・・ど言うこと?
「つまり、だ。特殊能力を駆使する異能バトルにおいて最強の能力者など腐るほどいる。中には当然、能力を無効化ないし無意味化させることに秀でた者もいるであろうし、お前の能力限定で特別効果が薄い類の相性が悪すぎる相手と当たる可能性だってあることだろう。
何故なら高性能な異能とは、高火力な攻撃能力を意味するものではないからだ」
あ・・・。そう言えばサジの奴がそれだった! 影が薄いから大事なときには忘れかけちまうぜ!
「むしろ、そうではない能力を持つ者たちにとっては強力な能力を持つ者を、自分の弱い異能で勝つにはどうすればいいかを考える事そのものが戦いの本質になってくる。
自分と異なる理を持ち、信じ貫かんとする者同士の信念と信念のぶつかり合い。それが戦いであるとするのが『私の戦いにおける真理』であり『戦の理』だ。
ーー兵藤、お前はこの思想を受け入れられるか?」
「・・・なんとなく・・・だけど・・・」
「ならばその想いを相手にぶつけろ。今なら私にだな。『何となくしか分かんねぇんだよ! もっと分かり易く噛み砕いて教えやがれエロ装備の糞ビッチ騎士ヤロウ!』とでも叫びながらな」
「いや、そこまで酷いことは言わないよ!? それから、そこまで酷いこと思ったことすらないからね!? お前と一緒にしないでくださる!? いやホントの本気で本当に!」
こいつ、自分に対する毒舌にも容赦ねぇ! 微塵もねぇ! チリほどもねぇ! マジぱないっすゼノヴィアさん!
俺が心の底から叫んでいるのにゼノヴィアは、欠片ほどの感銘も示すことなく「ふん」とつまらなさそうに鼻で笑うと、滔々と自説の展開を続けていく。
「良いではないか、別に。どのみち相手に『自分を否定された』と取られてしまったなら同じ結果を招くだけだ。言い方を気にするのは言ってる側の問題であって、言われている側は好きに解釈する権利があるのだからな。
想いのぶつけ合いも伝え合いも、拳で行うか言葉で語るかの違いがあるだけで、相手が『傷つけられた辛くて生きていけそうにない鬱だ死のう』と死んでしまえば同じ事だ。死体にとって事の真偽などどうでもとかろう?」
「そ、それはさすがに酷すぎる言い分なんじゃね? 極論すぎる気がするし・・・」
「極論の方が分かり易いし、簡明でいい。私好みでもあるしな。小難しく考えるのは上の役目だ。そのために士官と下士官がいる。
下士官が筋肉だけを使っていれば良くするためにこそ士官がいる。兵士たちは自分たちが楽できるようにするために新任士官を一生懸命に体張って守って育て上げてやる。
ご恩と奉公の関係が成立さえしていれば軍人として秩序に従うのに問題はない。お前たちもそれぐらいに割り切った方が気が楽というものだぞ?」
こ、この脳味噌筋肉女めが・・・。
「なんだよ、その目は。この脳味噌おっぱい男めが」
「酷いこと言われた!」
自分では普段から思ってることだけど、女の子から言われたのは生まれて初めてな気がする台詞! 「オッパイのことしか考えてない」とかはよく言われるけど、脳味噌おっぱい男は初めての罵倒だ! 新鮮だ! 悪い意味でだけどな!
「と言うか、なんでお前って戦いになる度に小難しそうな顔になるんだ? 普段通りに「おっぱいおっぱい」言ってればいいじゃないか。どうせ最後はオッパイ愛で勝つしか取り柄ないんだから」
「またしても酷いことを! いい加減に泣くぞ俺でも! 男の子のハートの半分はガラスで出来ている!」
情け容赦ない聖剣使いの攻撃は物理的にも精神的にも大ダメージだ! 俺と同じ一発屋の癖して連続で超威力の攻撃を連発して来やがる! やべぇ!マジ痛ぇ!
「そ、それにほらあれだ。俺はリアス部長のポーンなんだから部長を支えていくためには色々と出来なくならなくちゃダメだろ? 部長はやりたいこと多いみたいだし・・・」
「??? ポーンにあるのは前進だけだろう? 横にも動けず後ろにも進めない捨て駒のポーンが今更なにか考える必要があるのか? 進むしか脳がない駒なんだから、なにも考えずにただ進めよ。敵陣地内に入れたら『と金』になれる将棋の『歩』でもあるまいに」
「お前少しぐらい言葉選べよ! 泣くよ!? 本当に俺泣いちゃうよ、このままだと!?」
「知らんわ戯け。悪魔が泣けば人間が喜び嗤い転げる。当たり前の道理だろうが。自らをリアス・グレモリーに仕える転生悪魔になったというなら受け入れろよこれぐらい」
「瀕死!」
神様・・・あるいは魔王様でも構いませんので、お願いですからどうかコイツを・・・罰してくだ・・・さい・・・がくっ。
「・・・??? おい、何をいきなり不貞寝している。早く起きろ。修行の続きだ。今ので十分休めただろうが」
「今の会話、休憩扱いだったの!?」
すげぇ! そしてパネェ! ぜんぜん休めなかったって言うか、むしろ休む前より消耗しちゃっている俺がいる! パネェ!マジパネェよ教会式修行法! さすが滝に打たれて修行するのが日常の坊さん戦士だよ!
でも、俺は悪魔だから真似できません! 帰らせてもらいます!
「言い忘れていたが、今この空間は閉じてある。私を倒すか解除させない限り出ることは出来ず、時間も経過しない。勝手に出て行こうとすれば、未来永劫この空間に閉じこめられることに成りかねないぞ?」
「・・・・・・・・・」
泣きそうな顔して振り返った俺に、ゼノヴィアは普通の顔して剣を構えている。
母さん・・・たす・・・けて・・・。
・・・・・・そもそも、この訓練。なにを鍛えているんだよぉ~・・・。なんも教えてもらってないし、蹴られて殴られて転ばされ続けてるだけで訳わかんねぇよぉー・・・。
帰りたいよぉー、帰りたいよぉー。え~ん、え~ん・・・(T_T)
「ああ、それは当然のことだろうな。
何しろ私がお前に教えているのは『敗北』だけだし」
「さいっていだなお前は!」
悪びれもなく虐めてる宣言をしてのける元教会所属の聖剣使いに俺は怒りの絶叫をかましていた!
なんだよそれ! 虐めかよ!いじめだよ!少年虐待だよ!訴えてやる!
さんざんに悪口雑言をぶちまけ続ける俺に対し、ゼノヴィアはむしろ今までよりも真摯な表情を見せて穏やかさすら感じさせる声音で、当たり前のようにこう言った。
「前々から私は、お前たちに一番欠けていると思っていた物があってな。それが今回、アーシアを殺し掛けてしまう結果に繋がったので改善してやっている。ありがたく受け取れ。次からはアーシアが死ぬ確率が少しぐらいは減るかもしれん修行法なのだぞ?」
ーーピタリと。俺の悪態が止まって相手を見る。
目がマジだった。超真剣だ。コイツは本気で俺に負けさせ続ければアーシアが死ぬ確率が低くなると信じ切っている。
「・・・アーシアを死なせないで済む様になる、俺たちの改善すべき弱点ってなんだよ」
「『経験』。どれほど膨大な才能を持って生まれついた天才にも手に入れるためには時間と歳の加算が必須となる項目。
平たく言えば生まれてから今まで積み立ててきた蓄積が、お前たちには圧倒的に足りていない。だからこそ補ってやる必要がある。そう言うことだ」
「・・・・・・!!」
それは・・・俺が今まで才能頼りに楽して戦ってきたって言いたい訳か?
「少し違うが、似てはいる。お前は確かに成長著しいが、その分だけ努力と修練に対する理解が足りていない。初めてから数ヶ月のトレーニングで目に見えるほどの変化が出ている自分の異常性に慣れ親しみすぎてしまっている。
だからこそ一番根底にある自分にとっての問題点。『自分は覇龍を受け継いでいるだけの出来損ないで無能な変態高校生でしかない』と言う事実を正しく認識できなくなり、無謀としか言いようのない突貫を繰り返す要因にまで成り得ているのだよ」
「そんなこと分かっている! 俺は自分の無力さを何度も何度も痛感してきたし、実際の痛みを体で覚え込ませてもらってーー」
「ならば何故、先のディオドラとの戦いの場に赴いたときに撤兵を選択しなかった?」
「・・・え?」
てっ・・・ぺい・・・?
疑問符を浮かべた俺の顔を見てゼノヴィアは「やはりな」と言う表情になってから頷くと、「場慣れした兵士」としての当たり前な理屈でもって俺の今までの行動を・・・いや、『戦争が始まってからの俺たちすべてを』徹底的に否定してきた。
セレニアと同じで状況に合わせようとして無理している、と。
「元々あの場所に赴いたとき、お前たちに敵と殺し合う予定はなかったはずだ。にも関わらず目の前にカオス・ブリゲートが現れた途端「敵が来たぞ!戦わなくては!殺される前に倒すしかない!」という発想に直結させてしまっていた。
カオス・ブリゲードの戦争絶対論を否定している側のお前たちがだぞ? 戦闘=戦争=死ぬか生きるか、ではカオス・ブリゲードの主張を相対的に認めたことになってしまうではないか。自分たちの行動と主張が重なり合わず、ブレてきている事態をおかしいとは思わなかったのか?」
「い、いやだけどあの時には他に逃げ場もなかったし・・・」
「なら戦闘開始前に逃げ出せば良かっただろう? 試合会場に到着した瞬間、お前たちは明らかな異変に気づいていながら対処法として『厳重警戒、密集隊形』を選択した。
もし仮に私がお前たちの側にいて皆の命を預かる指揮官であったならば、異常を察知した瞬間に後ろを向いて全速力で逃走していた。味方を置き捨てでも一人でも多くの味方を生かして故郷に帰すために、恥も外聞もなく逃げて逃げて逃げまくる。
それが殺し合うこと前提出来たわけでもない場所で、自分たちを殺す気満々の敵が待ちかまえていた場合に取るべき正しき対処法だ。それが思いつかなかった時点でおまえたちも相当頭をやられているよ、戦争にな。
そんなだからセレニア様と同じで自分の在り方と乖離してる事にも気づかず間違えるんだよバーカ」
・・・・・・・・・。
「それが『危機感の無さ』だ。敗北の経験が少なすぎるから罠を察知する能力が低く、察知できても危険度を見誤り味方を危険に晒してしまう。平和ボケしてたお前が戦争に慣れるために普通の感覚を麻痺させてしまっていた。怖さを忘れた兵士は長生きしないし出来ない。
今までと違う、通常ではない。その状況下に置かれた時点でおまえたちの誰かが疑いを抱き、一時の対処法として一旦退くだけでも良かったのだ。
別に後方で安穏としていたアザゼルたちの思惑を聞かされていたわけでもあるまいに・・・律儀なことだよ全く。だから真面目すぎると言ったのさ」
「・・・・・・」
「おまえたちは軍人じゃない。巻き込まれただけの民間人と現地徴用された即席兵だ。好き好んで国家の都合とやらに合わせてやる必要もあるまい?」
「・・・・・・それは・・・出来ない・・・」
俺は絞り出すような声で言った。
俯きながらだったからゼノヴィアの顔は見れなかったけど、何故か楽しそうな声で言ってるのだけは聞こえてきた。
「ほう? 何故だ?」
「俺はリアス部長の眷属悪魔だ。そしてリアス部長はサーゼクス様の妹だ。俺のせいで立場を悪くさせてしまうことは出来ない。それだけは・・・絶対に・・・」
拳を握りしめながら吐いた俺の言葉は「パチパチパチ」という拍手の音で迎えられーーって、え? なんで?
「すばらしいな兵藤一誠。それだけ解っているお前がどうして根本的な事に気づいていないのか理解できないほどに素晴らしく明快な考え方だ。尊敬に値する」
「え? え? え?」
「なんだ? 自分の言った言葉の偉大さが理解できていないのか? 困った奴だな。では仕方ない。私がはっきり言ってやろう。
ーーお前は・・・デッカいおっぱいが自慢のリアス・グレモリーの為だけに戦ってる変態なんだから変態として戦争に参戦してればそれでいいんだよ!」
「ぶっちゃけたなお前は!」
いや、そうだけど!そうかもしれんのだけれども!
でも、飾れよ言葉をも少しだけでもさぁ! 今の俺の言葉がカッコいい台詞からダメ人間のダメ台詞に置換されそうになっちゃってるじゃん!
「今更優等生ぶったところで変態は真人間にはなれない!
貴様はただひたすらに「おっぱいおっぱい」と叫んで走り回りながら戦場をかき乱し、敵が女であれば「ドレスブレイク」で服を脱がして「おっぱい!」と勝ち鬨を上げ、ピンチになったらグレモリーおっぱいでパワーアップし、敵を倒し戦に勝ったら「おっぱい!おっぱい!おっぱい!」と拳を高らかに天へと突き上げリアス・グレモリーの丸出し巨乳を揉みしだく!
これで良かろう!?」
「良くねぇよ! ぜんぜん良くねぇよ! むしろ良いところがドコを探しても見つかりそうにねぇよ! ただの大迷惑な変態野郎じゃねぇか! 俺の評価ダダ下がり確実120パーセント以上じゃねぇか! モテなくなったらどうしてくれるんだよ!?」
「大丈夫だ。その程度で離れていくほど真っ当な精神を持ってる女だったら、まず最初にお前と出会った瞬間から通報してるし」
「今までで一番ひどい言葉を!? ええーい、このセレニアの手先め!悪霊退散!
ーーって、ぎゃああっ!? 悪魔の体だと悪霊退散でもダメージ受けるんかい!知らなかったぜ!」
一人でギャーギャー騒いでる俺を見下ろしながら(って言うか、見下しながら)ゼノヴィアは言葉を結ぶ。
「安心しろ。そんなお前の変態性を知った上で好きだと思ってくれている奴らも、実のところは相当に好き者ぞろいの変態集団だ。でなければアホ丸出しなコスチューム着て他人の前に出られる訳がない。今更お前がどれだけ醜態晒しても苦笑しながら対処してくれる。
事の最初から迷惑かけるつもりで全力でいけ。結果的に勝ちさえすれば後始末ぐらいは引き受けてくれるから」
「そ、そうかなぁ・・・? ーー本当にそう思う?」
「無論だ。ポーンだけで敵に勝てるなら、これほど安い買い物はないのだからな」
「言っちゃいけないことを平然と!」
「それにグレモリーたちなら、お返しとしてお前のカルピスでもごちそうしてやると言えばアッサリと・・・」
「言わねぇよ!? いくら俺でもそこまで変態台詞は言いたくないし言えないですし!
つーかお前、なんだった昔の日本文化にそこまで詳しい!?」
「オタクの国ジャパンに来た外国人として正しい在り方だと、陛下のお母上様から教わったのだ」
「どんなお母さん!? え、セレニアの母ちゃんってマジでどんな人なの!?
前に一度あったことある気がするんだけど、思い出せないんですけども!」
「外伝の話だからだろうな」
「なんの話だよ!? さっきからお前はいったい何の話をしているんだよ!?」
「ああもう、さっきから屁理屈をグチグチぐちぐち・・・本当に面倒くさい生き物だな悪魔って連中は!」
ええぇ~・・・。俺今回は結構まともなこと言ってるつもりだよ? 珍しく帝国さんの方が暴論言いまくっている気がするんですけども・・・。
さっきから暴論ばっかのゼノヴィアだが、最後の最後もやっぱり暴論で締めくくってくれやがった。
「もういい!結論だ!結論にはいるぞ! 私がお前に敗北を味あわせている理由は唯一つ!
『お前らは自分の得意なことしかしたくないし出来ない困ったちゃんの集まりだから、本能的に危険を察知できるよう身体に覚え込ませることにした。
生まれてから今までの十数年分の敗北を数万回分、今日一日で味あわせれば敗北の怖さが身に染みて身体が勝手に警戒してくれる。考えることが出来ないなら考える前に身体が動くようにする! 役立たずの脳味噌代わりに本能で警戒大作戦だ!』以上!」
「とんでもない暴論だなぁおい! あと、タンニーンのおっさんとは比べものにならないほどのスパルタだな!普通に死ぬわ!」
「・・・あ、言い忘れてたが、他の連中じゃなくてお前を選んだのは煩悩の塊だからでな。本能で生きてるケダモノだから一番野生に近いし、躾れば覚えるかもしれないなと」
「お前はもう少しだけでもコミュ力を学べぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
俺、全力で絶叫!
この数十分間だけで人生のすべて分の心の痛みを味わい尽くされた気分だよ!泣きたいよ!いや、泣くよ!全力で思いっきり心の底から天に届けとばかりに大声で!
「そうか。つまりは未だ泣くだけの元気と気力が漲っているという事だな。結構。もう百戦は楽勝でいけそうだ」
「・・・・・・・・・」
「言っておくが、今日は泣いたり笑ったり出来なくなるまで負けてからでないと帰さないからな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「悪夢の夜は長い。さぁ、兵藤一誠。私とともに夜が明けるまで踊り続けよう。未来永劫朝がこない、このゴルゴダの丘で」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「祭りを始めよう兵藤一誠。血祭りの始まりだ。レッツパーリィだぜ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「イッツ・ショータイム」
ーーーーズガバギゴガガッギズバシュボバババン!!!!!
「さて・・・最後ぐらいは真面目に忠告。
お前たちは戦闘狂ではない、戦争狂でもない。むしろ奴らを否定し、戦争を喧嘩で終わらせようとしている世間知らずで平和ボケした苦労知らずなガキの集まりなんだ。無理に戦争に合わせようとすれば自然と無理が生じて相手の掌で弄ばれるさ。今回のセレニア様がそうであったように」
「・・・・・・」
「自分を貫けよ、兵藤一誠。戦争という現実を前に拳ひとつでどうにかしようと言うんだったら道理のひとつや二つ無視して殴り壊してしまえ」
「・・・・・・・・・」
「おまえの夢のために制度が邪魔なら拳で壊せ。貴族が邪魔するなら結果で黙らせろ。
敵を倒すしか能がない自分を認め、カオス・ブリゲードの尊重している力の源『古くさいルール』を破りまくれ。
そうやって暴走していけば、誰かが止めにはいるし力づくで止められる。そうやって学んでいく事が経験不足のお前には絶対的に必要だし有効だ。言って聞かない子供には殴って教える。お前にはそれをやらんと聞く耳持ってくれそうにないからな。
人はそうやって他者の中で生きる自分を学んでいくものなのだよ」
「・・・・・・」
「懐かしいなぁ・・・。私も昔はヤンチャだった時期があってな。よく拳で礼儀と人道を教えられたものさ。お前もそうして学んでいけばいい。
負けることで自分の程度と現在の限界を。どこまでの範囲が自分に許された裁量なのかを。自分には今なにが出来て、なにが出来なくて、したい事のためには何が必要なのかが自然に解るようになってくる。それは良いことだよ・・・」
「・・・・・・」
「・・・さっきから黙り込んで、どうした兵藤一誠。しっかりしないか男だろ?
それとも私のお尻はそんなに魅力的か? 気持ちいいのか? 女の尻に物理的に敷かれて眠るのは変態にとって望外の幸福だろ、喜ぶがいい。あっはっはっは!」
「・・・・・・」
ーー返事がない。兵藤一誠は、ただのしかばねになっているようだ。
注:後日、事の次第を知った兵藤さんは、気絶してたせいでお尻の感触を思い出せないことを泣いて悔しがりましたとさ。ちゃんちゃん。
注2:彼が事の次第を聞けるのは泣いたり笑ったり出来るようになった、実時間にして三日後の事です。
更には、泣くことも笑うことも出来なくなって戻ってきたのは今から65時間後。
特訓当日の翌朝に、登校時間まで約一時間に迫った自宅前で棒立ちしてたところを発見されたそうです・・・Byセレニア
つづく
ゼノヴィアの言う『セレニアが間違えていた点』についての解説
先ごろ指摘を受けるまで気づかず、文章にまとめるまで時間がかかってすみませんでした。ご説明させていただきます。
――本来のセレニアは皆が大原則と認識しているだけで規定されている訳ではないルールを無視して自分の思想とやり方を敵と認識している者たちにぶつけることを本領としている娘です。
ディオドラ編での彼女は半端なルール破りと半端な規則遵守で徹底さを欠き、宙ぶらりんな精神状態で戦いに赴くという彼女らしくもなく後手後手に回り対処療法に明け暮れてしまった結果やるべき事をやらずにいました。
つまりは『セレニアらしい在り方を間違えた』と言う認識です。
彼女も一応は一勢力のトップなので、自己の主張と考えを理由に自分勝手な介入をしても良かったのにと言うのがゼノヴィアの意見ですね。
――毎度同じく長文になってしまい、申し訳ございませんでした~。