堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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なんかもう疲れたので、当初に想定していた『混沌帝国軍無双パターン』でディオドラ編を完結させてもらいますね。考えれば考えるほどドツボにはまって疲れるだけでしたので・・・。


ディオドラ編完結回「当初に想定していた内容でディオドラ編を締めさせてもらいました」

 意図的に薄暗さが保たれている豪奢な内装の一室に、玉座に座しながら宙に浮かぶ円形の投影された別空間の映像に見入っている男がいた。

 

 男の名はシャルバ・ベルゼブブ。カオス・ブリゲードに通じた悪魔勢力『旧魔王派』を率いている首魁の一人であり、血縁だけなら現魔王サーゼクス・ルシファーにも引けを取らない名門中の名門のトップでもある。

 

「ロキを利用してサーゼクスやオーディンを始末しようと思った計画は失敗に終わった。あの時は所詮、異郷の神などこの程度かと失望しかけたが悪神とは言え奴も神。ただ一方的に破れただけとも終えない。

 なにかしらの算段があるのだろうとディオドラの計画に手を貸す片手間で探ってみたのだが、思わぬ収穫が待っていたものだな・・・」

 

 彼が憂い顔で見つめる先に写っているには玉座のまで階に座り込み、異国風の杯で異国の酒を一人たしなんでいる若い男、ディオドラ・アスタロト。彼らの計画において、ただ燃やされるためだけに仕立て上げてやった藁人形でありながら、どうにも中途から行動に不審さが目立つようになり、最近では造反の可能性も考慮に入れて計画の練り直しを検討していたのだが、この段に至り遂に彼の真意をシャルバ・ベルゼブブは看破した。

 

「ディオドラの食わせ物め。はじめから己が目的のために我ら旧魔王派を含むカオス・ブリゲードすべてを利用する気しかなかったのではないか。

 絶望者故に欲がなく、狂気じみた愛欲を我が目に捉えきれなかったは不覚の極みよ。被らされた汚名は返上しなくてはな・・・」

 

 だが、この段階から彼奴めが言うところの『中止されたレーディングゲームの代わりに行う、アーシアを賭けたゲーム』に介入する余地はあるだろうか・・・?

 

 ーー難しいだろうな。

 

 シャルバ・ベルゼブブは常の傲慢さを放棄して最大限まで『敵』を過大評価し、その上で自分たちの計画した作戦で手に入れたい目的と、ディオドラが欲しているモノとを比較した場合、どう工夫しても互いの計画破綻は避けられない。そうなればサーゼクスとグレモリーを利するばかりで得がない、骨折り損の草臥れ儲けなど正当なる魔王の後継がやることではない。

 

「なにより、この神殿は奴自身が直々に設計した代物。どこになにが仕掛けてあるのか、そもそも奴の想定していない想定外な事態というのが分からん。

 敵を騙し貶め落ちるところまで落としてやるのが奴の趣味であり、特技でもある訳だからな。私まで奴の汚らしい計略の駒に組み込まれる事態など論外だ」

 

 ーーやはり自分自身が武力によって介入する形は、最終段階まで待つべきか。

 そう結論づけた彼は、思い切ってディオドラのやりたいようにさせてしまう方針に計画の一部を切り替えた。どのみち奴の目は生きることを諦めて死を望んでいる者特有の其れだ。死に場所を求めているだけなら自分たちの計画にさほどの影響を与えるほどの願いを持ってはいないであろう。

 

 むしろ、死が確定している小物に思い知らせてやろうと固執するよりかは、自分自身の求める『達成目標だけ』を横合いからかすめ取ることで残りの雑魚どもをディオドラに向かわせていく方が効率面で優れている。

 

「ならば我が同胞、ディオドラ・アスタロトよ。私から貴様への最後の手助けだ。貴様にとっては端役でしかない女を一人だけ舞台の上から退場させてやるとしよう。劇本番で余計な茶々を入れられるのは貴様も好むところではないだろうからな。くくく・・・」

 

 

 そう言って彼は右手の平を円形のスクリーンにかざして呪文を唱える。

 

 こうして彼はホストとしてゲストを居館へ招き入れるため支配階級『貴族』に与えられた当然の権利を行使し、拒否権のない招待状を紅蓮色の髪をした一人の少女貴族の元へと送りつける。

 

 悪意ある演目の、第二幕が幕を開けるーー。

 

 

 

 

「ーーあら? この気配は・・・」

 

 私は廊下の隅で蹲るように存在していた赤い球体を目にした瞬間、“その事を”察知させられて不愉快になる。

 

 何のことはない、私宛の安っぽい挑発だ。先ほど倒したはずのディオドラの眷属に生き残りが居て、グレモリー家の誇りを汚すような毒電波もどきを発散し続けている。

 

「どうしたんですか? 部長。急に立ち止まったりして・・・」

 

 イッセーが心配そうに声をかけてきてくれるけど、これは彼を頼らなければならないほどの事態じゃない。私一人で十二分に対処できる程度の範囲だわ。

 

「ちょっとね。すぐに済むから、あなたたちはここで待っててちょうだい。大丈夫よ、すぐさま終わらせて帰ってきて上げるから」

「え? いや、すんません。部長がなに言ってんだか俺にはさっぱりなんですけども・・・」

「いいからいいから♪」

 

 ーー先ほどの試合で朱乃にイッセーとのデート権を取られている手前、ここは何としても私一人で勝利してデートの一件を有耶無耶にしてやる必要性があるんだもの。たとえイッセーにだって、言うわけには行かないわよね? うん、合法合法♪

 

「さて、と。今度こそ私が手を下すに値する相手が出てきてくれると嬉しいのだけどーー」

 

 言いつつ赤い球体に触れようと近づいていった私は、気がつくと暗黒の虚空を真っ逆様になって落ちている最中だった。

 

「!!」

 

 でも、悪魔にとって突然の落下程度は大した脅威になり得ない。当然よね。

 だって、羽を出して羽ばたかせて優雅に着地を決めれば済む程度の些事だもの。

 

 密閉された屋内にあるというだけでは説明できない魔力量が充満していてくれたのもあって、私は難なく床に着地し優雅に髪をかきあげる。

 

「・・・ふっ。この程度の罠でやられる相手がいると本気で思っていたのかしらね? それこそ程度が知れると言うものよーー」

 

 ーーズドン!

 

「ぶべっ!?」

 

 ・・・・・・気のせいかしらね。優雅に着地を決めてポージングしている私の背後で何かが落下してきて無様に着地を失敗した時みたいな、見苦しいことこの上ない音と声が聞こえてきた気がしたのだけれど・・・。

 

「ーー何しているのよ、異住セレニア・ショート・・・。あなた完全無欠の部外者でしょうに・・・」

「いてて・・・存在自体が世界にとっての部外者に過ぎない巻き込まれ系少女に聞かれましても、答えようがないご質問ですねぇ・・・」

 

 鼻っ柱を押さえながらも涙目で立ち上がってきた人間族の銀髪少女に、私は盛大なため息をつかされる。全く・・・いつでもどこでもどんなことにでも介入したがりにくる子なんだから・・・。

 

 

 

 手を貸して立ち上がらせてあげるかどうしようか迷い始めてたとき、暗くてよく見渡せてなかった部屋の深奥からゆっくりとした声とともに貴族服をまとった男が姿を現してくるのを視界の隅に捉えた私は構えをとりながらも距離を置く。

 

 

「勇ましいな。だが、無駄な抵抗でもある。蛮勇は勇敢さとは真逆の臆病からくる感情であると知るべきであろうなリアス・グレモリー。それが正当なる魔王の血統に楯突く者が持つべき最低限度の資質と言うものだ」

「・・・・・・誰? 私たちをここに呼んだのはあなたなの?」

「如何にも。もっとも、そこのおチビさんは巻き込まれただけのようだがね。哀れなことだ。汚らわしき偽りの魔王の血を引く小娘の側に侍るなどという愚行を犯すからそう言う羽目にもなるのだ。死ぬまでの短い間に後悔し、よく学習しておくことだな」

 

 名乗りよりも先に説教をかまされたことで私は怒りの深度を引き上げたが、相手は依然かわらぬままで悠然と構えて戦闘態勢すらも取ってはいない。

 圧倒的自信に裏打ちされた無謀さではあるけれど・・・いったい彼は何者なの? 冥界広しと言えども私の名前を知った上でこうまで自分を持ち上げられる人材なんて数えられる程度しかいないはず・・・。

 

 私の予測を肯定するようにうなずいた男は、芝居がかった仕草で一礼して見せると、礼儀正しい名乗り方で口上を述べてくる。

 

「我は正当なる魔王の血統シャルバ・ベルゼブブ。今この場でリアス・グレモリーを殺す者」

 

 予想外すぎる大物自身の登場に、私の心かは心胆から悲鳴を上げる。

 

「シャルバ・ベルゼブブ・・・ですって!? 四大魔王の一角までもがカオス・ブリゲードに寝返ったというの!?」

「勘違いしないでもらいたい。奴らと手を組んだわけではなく、我々が奴らを利用しているに過ぎん。忌まわしい天使も堕天使も我々悪魔が利用するだけの存在でしかない。

 相互理解だ和平だなどと、サーゼクス・ルシファーは甘すぎるのだよ。どのみち最後は悪魔以外すべての種族を滅ぼすのだから、今の内から捨て駒として利用しておくことのどこに矛盾が?」

「多種族から力を借りなければお兄様と正面から戦えない卑劣感の癖して偉そうに・・・!」

「それでいい。元より我ら悪魔は知恵によって人間たちを誑かし、絶望に沈めてもがき苦しむ様を見ながら悦しむことをこそ良しとすべき種族。正々堂々真っ正面からなどと言い出す貴公等の方こそ悪魔としては異端なのだよ」

「・・・うん、微妙に正鵠を得ているところが地味に否定しづらいですね~」

 

 ーー唐突に、何の前触れもなく穏やかな声を発した異住セレニアだったけれど、その程度はいつものことと私は気にしなかった。

 如何に彼女の言葉で傷つけられた過去があろうとも、今この場において戦える戦力足り得るのは私だけ。彼女は気にくわないところもあるけど、今だけは貴族として守ってあげる対象とすべき一般市民だわ! 感謝なさい異住セレニあ・・・って、何やってんのよあなたは!? 私の前に出てシャルバと向き合うなんてバカじゃないの!? 死にたいの!? 殺されちゃうわよ一撃で!

 

「ほう。我が前に立ちはだかる人間がいるとは思いもしなかったが・・・戯れに名を尋ねてやろう。汝の名は何処や?」

「ご自由に呼んでいただいて結構ですよ? どうせ、あなたがた貴族にとって自分たちにたてつく民衆をどう呼び表すかなんて自分たち自身以外に決める権利を認めていないでしょうからね。私は無駄な徒労は嫌いなんですよ」

「ふむ、なるほど。一理ある。では、人間の小娘よ。汝は何故、我が前に立ちはだからんとする? グレモリー共々滅ぼされたがる趣味があるとも思えんが・・・例の友情とやらが理由か? あんなモノ、殺し合いの場においては何の意味もなすまいに」

「どう解釈されるかはご自由に。それは憲法で保証されている個人の自由ですから私がどうこう言うべき事ではありませんのでね。あなたの主観に口出しする気も興味すらも持ち合わせてはおりません」

 

 平然とした態度と口調と表情で言ってのける異住セレニア。

 恐れを知らない小娘の無礼を前にして急激に機嫌を悪化させるベルゼブブ。

 

 ーーそして異住セレニアの後ろで蚊帳の外にされてるはずなのに、なぜだか冷や汗と震えが停まらなくなってる紅髪の紅蓮姫リアス・グレモリー! つまりは私!

 

 なんで会話始まった直後は主役っぽかった私が端役扱いで一番の被害者も私の窮状に!? 訳が分からないわ! 誰か私に説明しにきて! そして、ついででもいいから助けて!

 みんなが居てくれたら対抗できたかもしれないシャルバのプレッシャーが怖すぎるのよーーーっ!!!

 

 

「・・・物語での勇者は常に敵より弱く、それが故に勝因となって栄光を手にするが現実においては然に非ず。勇敢であろうとも弱き者は早死にし、臆病な卑劣感は長生きする。それこそが現実の戦争。貴様のそれは勇敢でも蛮勇でもなく、無謀と称するのだよ」

「そうなのですか? 私としましてはグレモリーさんだけが殺されて密室空間に男性と二人で取り残されるよりかは、綺麗なご令嬢の隣の席で一緒に殺される方がマシかな、と思っただけなのですが?」

「ふっ・・・。そう言う覚悟の決め方か。その意気や良し、望み通りグレモリーの妹ともども二人まとめて塵一粒残さず消し飛ばしてくれようぞ」

 

 ーーあれ!? 私いま完全におまけ扱いされてなかったかしら!? カオス・ブリゲードが殺したがってるのって私だったはずよね? そうよね? そうだったわよねぇ!? 私を殺してお兄様を怒らせたいとか、私を殺せば三種族同盟は破綻させられるとか、私を殺すことで各陣営の憎しみを煽り停戦状態を破棄させるとか・・・って、全部私個人の価値とは関係なーい!?

 え、うそ? 冗談よね? 冗談なのよね? 私って今までずっと自分とは直接関係してない理由で殺されかかってきてたのかしら? それって名門グレモリー家の次期当主として以前に一人のプライド高い女の子として許すわけにはいかない行為なんですけどもぉっ!?

 

「やや過剰ではあるが・・・先ほどの無礼に対する褒美だ。苦しむ余地さえ与えぬほどに圧倒的威力の魔力弾でグレモリーの妹と一緒に消滅しろ、人間。礼はあの世についてから述べよ。さらばだ」

 

 遂には付属品扱いで殺されかけてるーーーーっ!?

 いや! こんな殺され方だけは嫌! 嫌なのよ! お願いシャルバ・ベルゼブブ! 殺すんだったら私の名前を名指しで呼んでちょうだい! このままだと私、名門の時期当主として死んでもしに切れなくなっちゃうーーーーーーーーっ!!!!!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 

 シュボォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

 

 

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 

 チュドォォォォォォォォォォッン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・少々やりすぎたか。私としたことが、大人げなかったかもしれないな」

 

 魔力弾の着弾箇所からは未だに煙が上がり続けており、その向こうに広がる悲惨な惨状が予想できて心地がよい。

 

「だが、いささか興にノりすぎたな。サーゼクスに己が愚かさを味あわせるため放り込んでやる予定だった愚妹の首まで消し飛ばしてしまうことになろうとは・・・反省の余地がある。今後のためにも多少の自制は止む無きこ・・・・・・なにーーーーっ!?」

 

 私が絶叫したのは伝統を重んじる正当悪魔勢力《真魔王派(不愉快なことに敵からは「旧」などと言う枕詞を付けられてはいるが・・・)》を率いる身でありながら“忍耐”などと言う戯言に類する概念の必要性に気づいてしまったから・・・と言うだけではなかった。より以上に驚愕すべき大事態が目の前で勃発してしまっていたからだった。

 

「何故だ!? なぜ生きている! 何故死んではおらぬのだ!?」

 

 有り得ないことに生意気な人間の小娘は生きていた。生きてそのままグレモリーの小娘の隣で自らの髪を指先でいじっている。まるでドコにでもいる平凡な町娘と変わらぬ所作で四大魔王の一角の攻撃を受けきって見せたとでも言いたいのか!?

 

「あり得ぬ! いや、この様な古き伝統に背く蛮行など決してあっては成らぬ! 成らぬ事なのだ!」

「そんなに気になさるほどの事じゃありませんよ。別に私がどうこうしたから助かったって訳でもないですからね。私たちが殺されなかった理由は非常にシンプル。

 “指揮官のたしなみ”として死んではいけなかった。ーーただそれだけですよ」

 

 そう言いながら人間の小娘は自身の目の前になにか透明な壁があるかのようにコツコツと手の甲で叩くジェスチャーをして見せることで、私を再び挑発してくる。

 

「なるほど・・・相分かった。つまりは貴様、私と力比べがしたいと申すのだな?」

「・・・・・・え?」

「よかろう。この私がーー正当なる魔王の後継、ベルゼブブの地に連なりし者シャルバ・ベルゼブブが身の程知らずな挑戦を受けてやる。己が無謀を地獄の底で悔い改めよ!」

「え、あの、ちょっと? なにかデカすぎる誤解をしてらっしゃいませんか? 私はただ・・・」

「かぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「聞けよ、人の話を。馬の耳に念仏魔王」

 

 ぶちん。

 

 よし、殺そう。絶対に。骨も残さず焼き尽くしてから内蔵引き吊り出して食い散らかして地獄の苦しみを味わい尽くさせてから殺そう。絶対にだ。

(最初の一歩目で残り全部がオジャンになってることに気づいてない冷静さを放棄しちゃったアホ悪魔思想。フィクションでは偶にいます、こういう悪魔)。

 

 

 そこから始まる一方的なシャルバ・ベルゼブブの全力攻撃魔法のオンパレード。

 

 何も出来ない(比喩ではなく、本気で立ってる以外には何も出来ない)セレニアは、為す術もなく夕麻にもらった髪に付けてるヘアピン(小型のエネルギー力場発生装置に対ビーム用ミラー・コーティングをほどこすことで強度を底上げしてある緊急防御用兵装。世界観と言うよりも戦闘規模の違いからアホみたいな強度を誇る。具体的には数光秒先を亜音速で飛翔している宇宙戦艦に当たれば撃沈可能な高出力ビーム兵器を受けても数発までなら耐えられる程度)に守ってもらっていることしか出来ず、ただ突っ立っているだけ。(有効範囲が狭いのでね)。

 

 そして彼女の直ぐ側の隣では、本来のメインヒロインであるリアス・グレモリーは「きゃー、いやー! イッセー早く助けにきてー!」と喧しく叫びまくってるだけ。(今回は本気で役立たずなお荷物キャラです)

 

 

 勘違いから始まったシャルバ・ベルゼブブの一方的で無意味で無価値で無効化されてしまう蹂躙が徐々にその威力を増していた頃、こことは違う別の部屋では別のドラマが展開され始めようとしていた。

 

 

 

「・・・ディオドラの奴、死んじまったんだな」

「・・・ああ、自らの心臓を自らの手で掴みだし、握りつぶしてさえしてみせてね。ある意味今までで一番印象的な敵の最期だよ・・・」

「・・・でも、なんでこんなにまで死に顔が・・・・・・」

 

 ーー満足そうに、うれしそうに、まるで子供が楽しい夢でも見ているかのような笑顔を浮かべて死んでいけるのか。塔城子猫にはどうしても分からなかった。理解できないし、したくもないと心の底からそう思っていた。

 

 だって自分たちは生きるために戦っているのだから。生きてほしくて敵を倒しているのだから。

 こんなーー今まで生きてきた人生こそが悪夢で、今目の前にきた自分達死を与える側の到来した今日この日こそが長年待ち続けてきた満願成就の夢が叶う日、一夜だけの幸せなユメを見ることが許された夜なんだとでも言うかのような決着の仕方なんて、私たちは決して認めない。絶対にだ。

 

「イッセー君、気持ちは分かるけど・・・今はアーシアちゃんを救うことを優先して上げなくちゃ」

「木場・・・あ、ああ、そうだな。いや、忘れてたわけじゃないけどね?」

 

 誤魔化すような照れ隠しで笑ってみせる親友の笑顔に、自分も笑って返しながら木場祐斗は了解している意志を伝えながら、もう一つの懸念事項とともに少しだけ先を急ぐよう忠告もする。

 

「わかっているよ。幸いディオドラ自身による自殺が彼女の解放条件のひとつに設定してあったみたいで、彼女を捕らえている装置は現在の所機能停止状態にある。問題なく救い出せると思うよ」

「おう、気遣いサンキューな」

「気にしなくていいよ。友達だろう?

 ーーでも、少しだけ急いだ方がいい。なんだかイヤな予感がするし、部長たちのことも気がかりだ。簡単にやられるような人じゃないのは分かっているけど、それでも何が起きるか分からないのが戦場だからね。油断すべき所じゃないと僕は思っているよ?」

「おう、了解した。今すぐアーシアを救出して、即座に部長救出作戦も決行してやるぜ! 万事おっぱいドラゴンパワーで解決だ!」

『・・・セイクリッド・ギアの力を過信しすぎるなと何度言わせれば・・・』

 

 ドライグからのお小言を聞き流しながらイッセーは、アーシアを壊れた装置の中から救い出し、メロドラマっぽい艶シーンを演出してから改めて謎の敵に浚われた部長救出に向かおうしたところでアーシア自身から待ったがかかる。神様に感謝のお祈りを捧げたいと言いだしたのだ。

 

 

「・・・んなこと言われても部長の身の安全がな~・・・」

「お願いします、イッセーさん! 私にとっては大事なことなんです!」

 

 必死の表情の女の子(しかも抜群にかわいくて自分に好意を抱いている金髪美少女)にお願いされて断れる心の強さを持ってはいないし、そんなの持ってたら切り捨てている生き方の兵藤一誠はとたんにやに崩れた表情になり「少しだけだからな? 危ないと感じたら直ぐに引き返すんだぞ?」と全面的な許可を与えて送り出し、不浄なる神殿だろうと一応は神殿としての体裁だけは保って作られたからなのか天からの光差す祈りに使うための空間へと向かい、そこで主へのお祈りを始めた彼女が光に包まれる。

 

 

 そしてーー

 

 

 

 

 ドッッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッン!!!!!!!

 

 

 

 

「ふはははははははっ! どうした? 撃ってこないのか? 防ぐだけでは敵を倒すことなど出来んのだぞ? 故に貴様は私を倒すことなど決して出来ない!

 負けぬ、死なぬ、滅ぼされたりなど決してさせない! 我こそ至高! 私こそ正当なる魔王の後継者! 真なる支配者とは私のようであるべきなのだーーーーっ!!!!」

 

 

 ーー床下から屋根までもを攻撃魔法で纏めて吹き飛ばしながら、四大魔王の一角シャルバ・ベルゼブブが飛び出してきやがった! ・・・そして、イッセーたちのことには存在自体に気が付いていなかった・・・。

 

 

 

「アーシア? アーシア? どこ行ったんだよ? ほら、帰るぞ? 家に帰るんだ。父さんも母さんも待ってる。か、隠れていたら、帰れないじゃないか。ハハハ、アーシアはお茶目さんだなぁ・・・」

「ふはははははははっ! 我こそ最強!至高!絶対にして最強無敵! これぞ真なる魔王の力なり!」

「アーシア? 帰ろう。もう、誰もアーシアをいじめる奴はいないんだ。いたって、俺がぶん殴るからさ! ほら、帰ろう。アーシア、体育祭で一緒に二人三脚するんだから・・・」

「弱者は己が弱さ故に群れるのだ! 群れねば生きていくことが出来ず、群から離れた弱者には死以外に待ってなどいない! それ故群に加わる者は臆病であり、臆病であるが故に群の長たる強い雄に尽くすのだ! 自分自身が死なぬために!

 それこそ世界の真理! この世すべての万物の法則にして悪魔天使堕天使人間あらゆる種族の雄雌すべてに通じる絶対的な摂理なのだ! 強い者には雌共を好きにする権利がある! 貴様を殺すも生かすも私の自由! 強い雄こそ世界を征するのだーっ!!」

 

 

 

 ・・・・・・念のために言っておくが、彼の言葉はイッセーに対して放たれているものではない。

 あくまで眼下で突っ立ったままのセレニアに叫んでいる征服宣言にすぎない言葉のはずなのだが、人の話が聞こえなくなってるはずのイッセーにさえ心にロンギヌスの槍がブスブス刺さりまくってハリネズミ状態にさせられるほどピンポイント攻撃になりまくってしまっていたりする。

 

 

「部長、アーシアがいないんです。やっと帰れるのに。先生が言っていた神殿の地下に隠れなきゃ。でも、アーシアがいないと・・・・・・。・・・・・・と、父さんと母さんがアーシアを娘だって。アーシアも俺の父さんと母さんを本当の親のようにって・・・・・・。俺の、俺たちの大切な家族なんですよ・・・・・・」

「やはり貴様は惰弱だな、人間! 身の程知らずに大口ばかり叩いているから斯様に無様な今の現状があるのだと思い知るがいい!

 貴様の弱さが、もろさが、傲慢きわまる自惚れが己自身と周囲の者共とを焼き尽くすのだと知れ! 傲慢こそ綻びを生む最大の元なのだと、地獄の底で二人一緒に学び直してくるがよい!」

「・・・・・・・・・許さない。許さないッ! 斬る! 斬り殺してやるっ!」

「そうだ! 戦場において必要なのは敵を殺す意志だけだ! それ以外は必要ない! 愛だの恋だの喚くことしか出来ぬ阿呆共にはそれが解せず、誰かを殺されることによってようやく気づく! それだからこそ貴様ら人間共は甘いだけの阿呆なのだーーっ!!」

「ぶあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! ブァジウアァァァァァァァァァッッ!!!!!(注*鼻水混じりに泣き叫んでいるから聞き取りづらいだけで「アーシア」と叫んでるつもりです)

 

 

 ーー勘違いによる全力戦闘再びだった。

 

 ことの推移を見守りながら(半数以上は見ていることしかできなかっただけだが)グレモリー眷属と混沌帝国軍三長官は上下幅の広すぎるテンションでイッセーの暴走とシャルバの狂乱ぶりを眺めていた。

 

 前者は焦りと驚きと驚愕と混乱とetc.etc.・・・とにかくバトル物に必要な王道展開的要素をすべて兼ね備えた心理状態で会話を交わしあっており、後者の方は白けた表情でボンヤリ見ていただけだった。

 

 その内の一人、紫藤イリナが幼馴染み故に一応の義理で最初に発言を買って出てくれた。たぶん、彼女が言い出さなければ後しばらくはこのままの状態が続いていたであろう。それぐっらいにはどうでもいい興味のもてない展開の連続でしかなかったから・・・。

 

「・・・で? あの空飛んで叫んでる人は何やりたいの?」

「バカをやりたいのだろう。高い場所で叫びたがるのは超越者を気取るバカだけだと昔から決まっているそうだからな。故にあれは只のバカだ。以上、理論的証明を終了する」

「・・・・・・理論って、そんなんだったっけ・・・?」

 

 親友から得た返答に冷や汗を浮かべながら小首を傾げるツインテ娘は放っておいて、ゼノヴィアは二人しかいない上司の片割れに意見具申を申し出る。

 

「僭越ながら天野元帥閣下。小官はこの事態を皇帝陛下が原因で生じているものと断定せざるを得ません。根拠は、これが異常事態であり、異常な事態を生じさせる原因は常にあの方が存在している事それ自体にあるからです」

「・・・・・・反論の余地がなさすぎる暴論ですね・・・。まず間違いなく合ってるんでしょうけど・・・」

 

 はぁぁぁぁ、と、盛大にため息を付かざるを得ない人間形態の堕天使レイナーレこと天野夕麻ちゃん。本当に、なんだって彼女の思い人は悪意もなく好意もなく特にこれといった意図がない発言や行動であればあるほど周囲を巻き込みまくる大暴走の原因足り得てしまうのだろうか・・・・・・? 謎である。

 

 

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さないぃぃぃぃぃぃっ!!!!!

 俺はおまえを絶対に許してやるもんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」

「・・・うぅぅぅぅるさぁぁぁぁぁっい! さっきから何なのだ横合いから騒ぎ立ておってからに! 真なる魔王の後継の御前であるぞ! 無礼ではないか! 分際をわきまえよ!」

 

 

 

『そこの悪魔よ。シャルバとか言ったな。

 お前はーー選択を間違えた』

 

 

 

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

 

 

「・・・・・・え」

 

『我、目覚めるはーー』

《始まったよ》《始まってしまうね》

 

「いやあの、ちょっと意味が・・・」

 

『覇の理を神より奪いし二天龍なりーー』

《いつだって、そうでした》《そうじゃな、いつだってそうだった》

 

「え、は、え? いつだってって言われても、いつの話で何の話かサッパリなのだが・・・」

 

『無限を嗤い、夢幻を憂うーー』

《世界が求めるのはーー》《世界が否定するのはーー》

 

「おーい、人の話を否定する前に人の話を聞いてからにしろー。私はお前から質問の答えを与えてもらっていないのだぞー」

 

『我、赤き龍の覇王と成りてーー』

《いつだって、力でした》《いつだって、愛だった》

 

《何度でもおまえたちは滅びを選択するのだなっ!》

 

 

 

「だ・か・ら・な・ん・の・は・な・し・だと聞いておろうが!人の話を聞く気がないキチガイ野郎の非行少年がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!

 

 

 

 

 

「「「うわ~・・・・・・」」」

 

 三長官、ドン引きである。ドン引きの一方通行主人公である。誰かこのアホらしい展開に祝福を与えて上げてほしい。拳骨落として正気に戻す祝福を。

 

 

「ーー貴様等が下した先ほどの予測は、大凡において間違っていない。確かに貴様等の主が事の発端を担っていた事実は否定しようがない」

「あなたは確か・・・・・・ランスロット・アルビオン?」

「・・・ヴァーリだ。そしてこいつの名はアルビオン。頭につけて呼んでいた余計なのは不要だな」

 

 彼女たちの真横に開いた空間の裂け目からカオス・ブリゲードのヴァーリチームが乱入してきてグレモリー眷属を驚かせていたが、ワープするのが当たり前の混沌帝国軍人としては驚くほどのことでもない。

 惑星上で行われる小質量の短距離ワープというのは確かにすさまじい科学力だと思いはするが、「科学じゃなくて魔術だからなー。ご都合主義でなんでも有りなんじゃね?」で通してしまえる世界においては気にしたところで意味はないからと誰も彼もがスルーしている。

 意外とルーズで適当なんです、混沌帝国人の性格とか考え方って。

 

「ヴァーリ!? どうして今このタイミングでカオス・ブリゲードの君がここに・・・まさか君まで僕たちのことを!?」

「やるつもりはないから剣を引け、グレモリーのナイトよ。赤龍帝のジャガーノート・ドライブを見に来ただけだ。ーーもっとも、そのお陰なのかせいなのかは分かりかねるが、途中で変な物を拾ってしまったのだがな・・・」

「「「「変な物? 変な物ってなんだい?(「なんですか?×3)」」」」

 

 グレモリー眷属からヴァーリチームへの質問。どうでもいい事ではあるが、グレモリー眷属は敬語キャラが多い。

 

「ほらよ、お前等の眷属だろ、この癒しの姉ちゃん」

「アーシア!(アーシアちゃん!)」

 

 開いた歪みの穴の名から出てきたヴァーリの仲間、美候より渡された金髪シスターの少女の無事な姿に皆、感激しながら飛びついてきて、見たこともないヴァーリチームの新顔である背広を着た男から拾ってくることになった経緯までもを説明してもらい安心しきったところで更なる爆弾発言が投下。物議を醸す遠因となる。

 

「・・・・・・それから、拾ってきたのと違って押し掛けられて押し切られちまった変なのが後ろの二人組な」

「お、お待たせみんな。えっと・・・元気してた?」

「「「「部長!? 今までどこに!? そして、どうして今ここに!?」」」」

「う、うん。話せば長くなっちゃうんだけど・・・・・・」

「ーー時空の歪みを感知しましたので、呼びかけてみたら出てきてくれました。私たち二人では上まで上れはしても皆さんがどこにいて何をしてるか分からなかったので頼み込んで乗せていただきました。時空の穴というのは短距離移動の際にはタクシーよりも便利な物なのですね。私も一家に一台欲しくなったほどです」

「こらっ! またあなたはそんな言葉を・・・初対面の人には割ときついんだからダメージ少なくなるよう私が工夫して上げてたのに無駄になってしまったじゃないの!

 この運び屋とテロリストを兼業している背広の人に謝りなさい」

「・・・はいです。ごめんなさいでした、背広のお兄さん。完全に私が悪かったです・・・」

「いえ、謝らなくても結構ですよ。むしろ今の謝罪が一番傷つけられた気がしましたし・・・。

 改めまして自己紹介を。私はそこの人とは似て非なる聖王剣の所有者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか、あなたとは聖剣を巡る戦いをしたいものです、木場祐斗くん」

「・・・望むところです」

 

 旧交を温めあえたところで話は実務的な方へとシフトせざるを得なくなる。

 議題は、暴走してしまった(らしい)イッセーを元に戻せるか否かについてだ。

 

「あの状態は中途半端にジャガーノート・ドライブと化している段階だ。完全に成ってしまった訳ではないから戻る場合もあれば、このまま元に戻れず命を削り続けて死に至る場合もある。

 どちらにしてもこの状態が長く続くのは兵藤一誠の生命を危険にさらすことになるな」

「なら、とっとと解決策を言え。急いでいるのに前振りが長い。時間を無駄にして死なせたくないと思うので有れば、考えるよりも先に動くべきだろうが鈍臭い奴だなお前らは。そんなだから何千年も眠りこけれる同族が生まれる」

「・・・・・・・・・」

 

 白龍公ヴァーリ、空気読まないゼノヴィアの一言でバッサリいかれる。

 それでもめげずに立ち向かうのが白龍公に選ばれた者の証であり条件です。

 

「彼に何か、深層心理を大きく揺さぶる現象が起こせるのならあるいは・・・・・・」

「わかりました。それで行きましょう」

「それなら『おっぱ・・・こほん。何か有効な手だてでもあるのかしら? 異住セレニア。あるのであれば多少の危険は考慮してでもイッセーを救うため許可を出すわよ?」

 

 アッサリと断を下したセレニアに、思わず口に出しかけてしまった「おっぱいドラゴンのネタで私のおっぱいを・・・」と言い掛けてたリアス・グレモリーは慌てて取り繕った発言をし、その場にいる一部を除いた全員が(今、絶対におっぱいドラゴンを持ち出そうとしてたな)と心中でつぶやきつつも口に出そうとはしなかった。誰もが空気を読んだ結果である。チームが一丸になるのは良いことです。

 

 ーーちなみにだが、おっぱいドラゴンを連想できなかった一部の例外とはヴァーリのことであり、アーサーのことではないのであしからず。この時点での白龍公はかなり真面目な堅物キャラであったので。

 

 

「ええ、任せていただいて大丈夫だと思いますよ? もっとも、実行するのは御三方だけであり、私はいつものようにいつもの如く後方から指揮棒ふって命令して過ごすだけですけれども」

「それはまぁ・・・いつものことだから仕方がないわね。

 それで? 具体的にはどのような手段を?」

 

 リアスが緊張気味に問いかけて、セレニアは何ら気負うことなく平然と「作戦とも呼べない、単純すぎる手法なのですが・・・」と前置きしてから、ごく当たり前のことを言うかの如く、やたらめったら自然な態度と口調のままで簡明に一言だけで質問への答えとしてしまった。

 

 

 

 

 

「殴って気絶させれば停まりますので、思いっきり殴りましょう。それだけです」

 

 

 

 

『本当に単純すぎる作戦だったな! つか、そんなの作戦でもなんでもないじゃん!』

 

「ええ。だから最初にそう言ったでしょう?」

 

『開き直ってる! この子、頭良さそうに見せてるだけでホントは考えなしのアホの子だったの!?』

 

 

 ーー総バッシングを受けてふくれっ面になるセレニア。彼女は彼女なりに考えてみた結果なので「考えなし」と言われた部分だけは不服だったのだ。それ以外は割とどうでも良かったのだが。

 

「考えてる時間が惜しくて、彼より攻撃力ありそうな人が何人かいて、深層意識を揺さぶるなんて曖昧すぎる現象に頼るよりかは確実性の高い手段じゃないですか。第一被害がでるのが暴れ回ってる兵藤さんだけなので自業自得で済みます。一石二鳥よりも得が期待できる良い手じゃないですか。それとも他になにか代案がお有りで?」

「危険だ。死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが」

「んじゃ、投票権を放棄したので自動的に賛成票に変換と。他の方々はどうです?」

「「「・・・・・・・・・」」」

「無言は肯定と受け取られても仕方ありませんので、全会一致の賛成多数により『兵藤一誠ドラゴンさんをぶん殴って気絶させよう作戦』を、ここに決定させていただきます。ーー指揮は任せましたよ、天野さん?」

「陛下の御意のままに。

 ーー混沌帝国軍出撃! 目標“龍”! 目標“龍”! 直ちにそれぞれの持ち場で配置につけ! 攻撃開始だ!」

「「イエス・マイ・ロード。イエス・マイ・マジェスティン。すべては混沌帝国皇帝陛下の御心のままに」」

 

 

 ーーなんか久しぶりにヒッドイ事態が起きそうな気配がプンプンしますけど・・・まぁ、いいや。もう命令下しちゃったし。後は野となれ山となれ。上手く行かなかったら頭をかいてごまかせたら幸運だったぐらいに割り切って結果を待つといたしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐおぅ!ぐををぅ!ぐをぅううぉう!」

「先鋒は混沌帝国軍上級大将ゼノヴィアが承った。さぁ、イッセー。いつぞやの決着をつけようではないか!」

 

 

「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めてやろうーー」」」」

 

 

「私を炎で焼き殺すと? それならば地球にあるすべての火山を噴火させるぐらいはしてみせなければ無理だろうなーー本当の地獄の炎というものを教えてやる! 行くぞ!

 我が右手に眠りし竜よ、目覚めて汝の敵を食い尽くすがよい・・・・・・。

 邪王炎殺剣最大最強奥義・炎殺黒竜覇龍鉄槌殴殺波! ・・・と名付けてみただけで実際には単なる大上段からの全力切り下ろし!」

 

 

 

 どっごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっん!!!!!!!!!

 

 

 

「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」

 

 

 

「どうだ!? これが私だ! 私の剣だ! 私に特殊な能力など必要ない!

 ただ強さを欲して極めに極めたパワーこそが私の剣の真骨頂! 使う際に暴走の危険を伴う強力な能力など所詮は使えぬ欠陥品! 攻撃時において質量の桁さえ違えば済むだけの話よ! それが出来ぬ弱者であるから貴様等ザコ共は理などと言う理屈に逃げるのだ!

 絶望が足りない、怒りが足りない、強さにかける想いが純粋に雑魚すぎるのだよ貴様等有象無象のウジ虫どもは!

 小理屈をこねる暇があるなら素振りをしろ! 走り込め! 熊を素手で撲殺できる程度の膂力ぐらい人の身だろうと手にしてみせる気概がもてずして何が強さかくだらない!

 特殊な理など何も要らなくなるほどの強さを求めて努力せぬ怠惰な輩など、このゼノヴィアが討ち滅ぼしてくれるわーーーーーーーーーっ!!!!!

 

 

 

「いや、だから殺しちゃダメなんですってば。少しは上司の話も聞きなさい」

 

 

 

「むっ! 壁を壊して逃げる気か臆病者め! 敵を前にして逃げ出す無能は、このゼノヴィアが討ち滅ぼしてくれる!」

 

「結局あなたの敵に回ったら、殺される以外の選択肢がないんですね・・・・・・」

 

 それはともかく、脳筋を極めて武神(だかなんだか言ってましてね)に至ったゼノヴィアさん相手に力比べは分が悪いと判断したのか兵藤ドラゴンさんはすぐ側にあった壁を壊して逃走に移ります。私としては役にも立たないんで置いてかれてもいいんですけど、グレモリーさんたちが心配そうにしてましたので(言うまでもなく兵藤さんの身をね?)後からコッソリ付いてってみようと思います。

 幸い逃げに徹してくれているからか背後から付いてきてるアリ並の大きさしかない私たちの事なんて気にされてません。大きい人は小さい事にこだわらないみたいです。

 

 

 

 

 

 

 

「ーー静寂な世界」

「は?」

「故郷である次元の狭間に戻り、静寂を得たい。ただそれだけ」

 

 ・・・俺たち二人、堕天使総督のアザゼルと現魔王のサーゼクスは向かい合って語りかけてきてる無表情な黒髪ワンピ姿の小柄な少女、カオス・ブリゲードのトップに位置しているオーフィスの口から直接聞かされた、今頃になってテロリストの親玉やってる理由に内心で頭を抱え込まざるを得なくなってた。

 

「ホームシックかよと普通なら笑ってやるところだが、次元の狭間ときたか。あそこには確かーー」

「そう、グレートレッドがいる」

 

 次元の狭間に居座っているグレートレッド、奴があの場所を統べているからこそ各世界の間にある次元の狭間の均衡は保たれているとする見解が大勢を占めている。

 俺としても危険な蛇を追い出すためとはいえ、オーフィスに協力してグレードレッドを狭間から閉め出した途端に世界崩壊とか割に合わん危険な賭には乗りたくない。

 

「交渉決裂、か」

「そう、それでいい! その方がわかりやすいのだよ、サーゼクス! 元より悪魔は人間の魂を奪い、地獄へ誘い、そして天使と神を滅ぼすための存在なのだからなッ!」

「クルゼレイ・・・。私は悪魔という種を守りたいだけだ。今の冥界に戦争は必要ない」

「甘いッ! 何よりも稚拙だッ! それがルシファーの名を冠された当代魔王の言うべき言葉だとでも思うのか!?

 ルシファーとは! 魔王とは!  すべてを滅する存在だッ! 滅びの力を持っていながら、なぜ横の堕天使に振る舞わない!? やはり、貴様は魔王を名乗る資格などないッ! この真なる魔王クルゼレイ・アスモデウスがお前を滅ぼしてくれアベベベバババ!?」

 

 

 ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッン!!!

 

 ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!?

 

「待て! 逃げるな! 戦え! 理屈臭く理だ何だと喚いておらずに戦って倒せば良いことではないか! 敵はここだ! ここで貴様を殺そうと迫ってきておるのだぞ!?

 ・・・だと言うのに何故逃げる!? なぜ命を懸けて殺し合おうとしない!? 敵が強いから危険だからと、己より強い敵との戦いを避ける臆病ぶりを理屈で正当化していたのは、頭が良い奴だと思われたかっただけだとでも言うつもりかイッセー!?」

 

 

 ーー叫び声を上げながらクルゼレイを踏んづけてったドラゴンの後を追うように、デカい剣持った人間の女が怒鳴り散らしながら追いかけている。

 その光景はよく言って痴漢に追われて逃げ出してる女子高生のそれであり、悪く言うなら殺人鬼に追われているから逃げてるだけの一般人のそれであり、言葉を選ばず飾りたてもせず容赦すらもしないでハッキリと正直に有りの儘を表現しようとするならば。

 

 刃物持ったキチガイに追われて逃げてるドラゴンだった。

 これ以上に的確な表現があるなら教えてください、お願いします。

 

 

「勝てぬ敵を前にして、戦わずに済ます算段を論じたがる輩はただ弱いのだ!

 その程度の力しか持たぬ塵だから、際物めいた一芸さえあれば山をも崩せると迷妄に耽りたがる。何のことはない、その方が高尚な戦であるかのように演出して悦に入りたい、己の矮小さを正当化したい、みっともなく誤魔化そうとするのが恥ずかしいからお約束に逃げてるだけではないか! くだらない!

 阿呆らしい。嘆かわしい。なんと女々しい。真の王道にはほど遠い。

 貴様等のごとき小理屈をこねる輩が横溢するようになって以来、圧倒的というものがとんと見当たらなくなってしまったではないか。

 だからこそ私は力を求めて生まれ変わったのだ! 徹頭徹尾最強無敵。誰であろうと滅尽滅相ーーパワーを! 不愉快な塵めらを跡形残らず消し飛ばす絶対的で圧倒的なパワーが欲しいと願い、手に入れた!

 故に特殊な理など何も要らん。必要ないのだ白けるわ! 殺し合いの場で説法などと子供だましにも程がある!

 救い難い無知蒙昧。恥を知らぬ滓の群れども。要らぬ要らぬ、実に目障り! 貴様のような輩は一匹残らず我が愛剣で斬り殺す! 切る! 斬る! KILL!」

 

 

 

 

 ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっん!?

 

 

 

 

 

 

「・・・完全に冷静さというか、我を失ってますねゼノヴィアさん。超個人的な趣味趣向だけを理由にガチな殺し目的で追ってってますよね絶対に・・・」

「ゼノヴィアですから♪」

「・・・しかも、さりげなく私のことまでDisってましたし・・・」

「ゼノヴィアですから♪」

「・・・・・・ところで、この新たなタクシーさん。見かけがあんまり良くないんですけど、本当に大丈夫なんですかミルたんさん?」

「にょー! にょっ♪ にょっ♪ にょにょにょにょ~~~っん♪」

「『大丈夫だ、問題ない』って言ってます」

「それが本当だとしたら、大丈夫じゃないことになるんですけどね・・・」

 

「きゃーーーーーーっ!? この車、卑猥! 車体の形状がすごく卑猥な形をしている気がするわ! こんなの名門グレモリー家の次期当主である清らかな乙女の私が乗るべき代物じゃないわ! 今すぐ降ろして頂戴!」

『うひょひょ、今宵の乗客はお盛んボーイではなく、お盛んなガールじゃったか。みなぎるのぉ~、たまらんのう。人間の精気も良いが、エロい悪魔女子の精気は最高じゃなぁ。一瞬にして最高時速にまで達してしもうたわい。バッキバキじゃぁ!

 見よ! 先ほどよりも更に反り返った逞しいボディを。他者を圧倒する太ましさ・・・およそ人間サイズでは持ち得ぬ逸品に乗せてもらえて、お主等もご満悦のことじゃろうのぅ? うひょひょひょ!』

「ぎゃあああああああああっ!? 早く降ろしてお願いだからーっ!(>ュ<。)ビェェン」

 

 

「た、確かに悪魔になって能力は上がったけど、これだけは元のままだった・・・。でも、人の身を越えたこのサイズがあればもしかしたら僕にもイッセー君のような生き方が出来るようになるのかも知れない・・・!!!(ごくり)」

「・・・木場先輩も、やっぱり男の人でした。不潔です」

「ご、誤解だよ子猫ちゃん! これは男が男として生まれたときから与えられてて剥がすことが出来ない呪いみたいなものであって、決して嫌らしいものではないんだよ!」

「・・・・・・不潔です。嫌らしいです。最低です。汚らわしいので、しばらくのあいだ触らないでいただけますか?」

「子猫ちゃーーーーん!?」

 

 

「・・・・・・阿鼻叫喚、久しぶりのリターンズです・・・・・・」

 

 

 

 

 

 どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどっ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

「・・・クルゼレイ。この通り旧魔王派はなんかよくわからない存在の怒りを買って破滅しかけている。ここらで手打ちしようと思うのだが、どうだろうか? 前魔王子孫の幹部たちと会談の席を設けたい。名によりも貴殿と現魔王アスモデウスであるファルビルとも話して欲しいと考えている」

「・・・・・・いや、そいつもう死んじまってるし。踏みつぶされてペシャンコになってもまだ生きてられる悪魔なんて実在してないし。て言うか、お前って妙に肉体的な事柄に理解が浅すぎるときあるけど何で?」

「・・・・・・・・・(解:正体は死のエネルギーそのものだから)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーさらに進んでいった先にある壁を突き破り、神殿の外へと飛び出してから羽を羽ばたかせ、天へと昇って逃げ延びようとする兵藤ドラゴンさん。

 

 ・・・アポクリフォとは全然違う展開になっちゃったなぁー。この先って絶対に良い未来には繋がってないと断言できるところが尚更辛く感じられます。

 

 

 

 

 

「空か! 空に逃げるか墜ちたドラゴン! しかしその選択は貴様にとって最大最強の失策だぞ!」

「・・・ですよね~」

 

 私も思わず心の底から賛同してしまうほどの圧倒的すぎる説得力を持つゼノヴィアさんのお言葉。

 

 なぜなら天空は彼女の支配領域です。普段の彼ならともかくとして、“墜ちてしまった兵藤さん”を彼女が客人として迎え入れるとき、歓迎のしかたはひとつだけしかあり得ないのです。

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふふ・・・・・・はははははははははははははははははははははは!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 ――ほら、やっぱり居ましたよ。バカでっかい龍を呼び出して頭の上に仁王立ちしながら兵藤さんを見下ろしてらっしゃいます。バカと煙とドラゴンは高いところが好きすぎるのです。

 

 

 

 

 

「情けない、情けないですよイッセー君。現実で戦うことから逃げ出して、いったい何処へ辿りつけるつもりでいるのですか?

 気に食いませんね・・・喝を入れてあげましょう。殴るのが最上の教育方法と信じているわけでは決してありませんが、それをしなければ貴方の輝きは取り戻せないと信じる故にです

 少々痛いと思いますけど、良薬は口に苦しです。我慢してください」

 

 

 ずどおおおおおおおおおおおおおおおおおっん!!!!

 

 ぐぎゃあああああああああああああああああっ!?

 

 

 でっかい黄金龍が光った途端に大ダメージ受けてのけぞる兵藤ドラゴンさん。・・・サイズが違いすぎからなぁー・・・。ほとんど像に立ち向かっていくアリ状態な兵藤さんに勝ち目とかどうとか理屈は通用しそうにないんでしょうなぁ。

 

 

「やがて夜が明け闇が晴れ、おまえの心を照らすまで、我が言葉を灯火として抱くがいい。ーー終団顕象。出い黎明、光輝を運べーー明けの明星ォォっ!」

 

 そして右手を天に向かって振りかざしたら、またなんか出てきてしまった光り輝く六枚羽を背中にはやした男性の天使っぽい新しい新キャラ(?)みたいなナニカ。

 

 

「かの少年が業を乗り越えるため、勇気を貫き通せる姿へと戻すため、貴方も答えを教えて上げるべきでしょうよ。いざ、光となって舞いなさい。

 祝福よ! この満天下に降り注ぐのです! 彼と彼女の愛に、そして私とセレニア様との熱愛にーー万歳ッ!!」

 

「友よ! 我が永遠の宿敵にして私の仇でもある少年よ! あなたはこの試練を乗り越えることで名実共に己自身を超えて行くぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」

 

 

 

 

 あ、兵藤さんって貴女の宿敵認定されてたんですか。・・・不幸きわまりないですねぇー、あの人も。原作主人公だからって乗り越えさせられる試練が洒落にならん超高レベル過ぎてます。

 

 

『仰るとおりです、我が主。この場にいる私はそう言うものだ。彼のような者ほど救ってやりたいと願うため、安易な妄想に逃避する偽りの救済など看過できない』

 

 天使さんぽいナニカの羽に光が集められはじめ、天使さん(仮)が厳かに発射シークエンスに入られるみたいです。

 

『人の意志、祖は無限なり。諦めなければ夢は叶う!

 努力を怠り、虚構に逃げる子羊たちよーー我が審判の火を知るがいい!

 ハレルヤ、オオオオォォォォゥーーグロォォォォリアアアアアス!!!!!!』

 

 

 チュドンチュドンチョドンチョドン!!!!

 

 ・・・光の絨毯爆撃じゃん。これって本当に兵藤さんを元に戻すための攻撃なの? 普通に死なない? 跡形もなく消滅して終わると思うんですけど彼が生き物だったなら。

 

 

 

「ならば私も続けて天罰覿面といきましょう。ええ、この武器の名前は気に入っているのです。天の裁きのようで非常に私好みでしたのでね」

 

 天野さんがつぶやくと同時に空が曇り始めて不吉すぎるムードが辺り一面に漂いまくります。

 

 

「ねぇ、紫藤さん? 空を覆ってるあの黒い曇って・・・」

「ご想像の通り、帝国軍艦隊全軍でッス♪ 我が帝国は常時緊急事態に即対応できるように法整備されておりますので、現段階での総兵力は一億人百万隻体制でッス♪」

「あっそ」

 

 もう何もかも馬鹿らしくなってきたので全てをお空の彼方に丸投げして見ているだけの観客に徹することにした私。

 

 人間、どうしようもない事はどうしようもないので諦めることや任せてしまうことも時には精神衛生上必要なのです。

 

 

 

「神鳴る裁きよ、降れい雷ィーーロッズ・フロム・ゴオオオォォォッド!!!!」

 

 

 ずどがん! ずぼがん! ぼかんぼかんぼかんぼかんぼぼぼかん!!!

 

 

 

 ・・・最強すぎてて今更何も表現する言葉が見つからない・・・・・・。

 

 

 

「満悦しましたか、イッセー君。ええ、私も今満ち足りています。

 この神話的世界観こそ我が理想。そこに懸ける覇気と覇気のぶつかり合いこそ我が王道。善悪定かならぬ境地へ至り、輝きと呼べる全てを余すことなく現出せしめる」

 

「なんでもよいのです。願う真が胸にあるなら、ただその道をひた走ればいい。躓き、倒れ、泥を舐めようとも何度だって立ち上がるのですよ。

 なぜなら誰でも、人間だろうと悪魔だろうと天使だろうと堕天使だろうが関係なく、諦めなければいつかきっと夢は叶うと信じているからです。

 安きに流されてはいけません。胸を張りなさいイッセー君。私に殺されながらも立ち上がり挑みかかってきて乗り越えた貴方であるなら必ずや自分の人生を踏破できます。

 私はいつも貴方の側に在り、道を踏み外さないかよく見ています・・・忘れないでください!

 苦境に陥り混乱したときにこそ忘れてはならないものーーそれこそ勇気です!」

 

 

 

 

 ・・・冥界のこの後について、人間である私は詳しいこと走りません。

 やりすぎなくらいにやり過ぎちゃいましたので慌てて逃げ帰ってきてからご無沙汰なのです。

 

 それでもひとつだけ確かなこととして、逃げ出す前の惨状についてのみ語る権利が私にはあると思うのでお伝えしたいと思います。

 

 

 ーー皆さん、一人残らず衝撃で吹き飛ばされて地面に頭から突き刺さり、女性型の方は特に辛いパンツ丸出し逆さまオブジェクトとして旧アスタロト領に立ち並んでいましたので、天野さんのお話を最後まで聞けた方は一人もいないんじゃないんですかねぇ?

 

 

「この前のあれは楽しかったし、またやりたいわねミルたん! 今度は私たちが主役でね!」

「にょ~~~~~~っ!!!!」

 

 一部訂正。

 馬の耳に念仏コンビだけには聞き届けていただいてたみたいです。




本作とは全然関係なさすぎて恐縮なのですが、PS版「バスタード」を購入しました。
期待してなかった割りに面白かったので、しばらく熱中するかもしれません。その場合は感想に対する返信が遅れる恐れがある事をご承知おきくださいませ。

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