本編とも原作ともまったくもって関係ない、キャラクターだけを引き継いでいるアホ話だとでも思って気楽に読み飛ばしてください。
昔、昔。あるところにコトダマ王国という小さくて平和な商業国家がありました。
その国は技術的に進んではいますけど、人々の心はあんまし良くはないことで有名でしたが、それでも一応は平和なことでも知られている国でした。
しかし、ある時。コトダマ王国の平和は突如として終わりを迎えます。
時空の壁を越えて異世界の彼方より、謎のドラゴン軍団が侵略するため押し寄せてきたからです!!
「ふはははははっ!! 我が名は最強種族ドラゴン族の王、仮面の赤龍帝ドライグ・イッセーだ! コトダマ王国の民たちよ! お前たちが崇めるこの国の王女は我がもらいうける! 彼女を我が后に据えることにより、我がこの国の王となるのだ!
ふは、ふは、ふはははははははっっ!!!」
「くっ・・・、強い! これが伝説の最強種族ドラゴン族の王がもつ力とでも言うのか!? か、格が違う。違いすぎる!」
「だが、ドラゴン族は伝説の彼方に滅び去ったはずの種族! 生き残りはいないはず・・・いったい貴様は何者なんだ!?」
「ふははは! 愚か者めらが! 敵に自分の正体を聞かれて教えてやる侵略者などいるものか! 知りたければ自分で調べるのだな! 惰弱で弱っちくてバカでアホでスケベな人間の男どもよ!!」
高らかに高笑いをしながら背を向けて去っていく仮面の赤龍帝ドライグ。イッセー。
全身を真っ赤な鎧で武装して、大きさ的には2メートルになるかならないかぐらいで、翼は出し入れ可能な便利機能付きという、誰がどう見たってドラゴンには見えない見た目をしているのにドラゴンと同じ強さと力を持つ彼の正体は一体・・・!?
謎が謎をはらんだまま、ドライグ・イッセーが王女を片手に翼を広げて空へと向かい羽ばたかんとした、まさにその時!!
「まぁ、種族が何であれ私の見た目で『嫁にする』とか言っちゃってる時点で変態なのは確定的に明らかなんですけどね」
「ブーーーーーーーーーッ!?」
浚われそうになっていたセレニア姫による辛辣なツッコミ!
仮面の赤龍帝ドライグ・イッセーは精神的に125ポイントのダメージを食らい、激しく咽せた!! 効果は抜群だ!
「けほっ、ごほっ、うえっほえほっ!?」
「こ、こらセレニア姫! 人質の身でありながら私の愛する夫、赤龍帝ドライグ・イッセーに向かってなんたる無礼! 口を慎みなさい!」
慌ててドライグ・イッセーに付き従ってきた彼の妻にして恋人の(言語的矛盾)ドラゴン・クイーン「スイッチ姫グレモリー」が叱責しました。
そして、こう付け足します。
「・・・ただし、幼女趣味に走らないよう説教するだけなら許可します。世界で最も愛するべきなのは、おっぱいの大きな女性であるのだと洗脳するのであれば尚良しです」
「我が妻にして恋人スイッチ姫グレモリー、貴女もですか!?」
身内からの裏切りに合い、大いに慌てふためく仮面の赤龍帝ドライグ・イッセー。
そんな彼を哀れに思ったコトダマ王国の王妃様が、口の悪い娘を窘めてくれました。
「そうだぞ、セレニア。その人の言うことも尤もだ。人質たる者、生殺与奪の全権を相手に握られているのだという事実を自覚して慎まなければ」
「はぁ、なるほど」
「それにだ。別段、王様とか貴族様だとかが幼女趣味に走るのなんて珍しくもないだろう? 戦国時代の武将たちなんか大半がホモでショタコンで美少年大好きなBL世界だったじゃないか。
小姓とかいう小間使いの美少年たちに世話を焼いてもらいながら、夜はシモの世話までしてもらう話は有名すぎるだろう?」
「ああ、森欄丸とかが有名どころですよね確か。あと、前田利家も丹羽長秀も信長の小姓出身で寵愛を受けていたと聞いています」
「そうそう。武田信玄も戦場から年下の恋人(男)相手に「浮気してない、お前だけがアイラブユー」みたいな言い訳書いた手紙を送ったことあるらしいしな。
まして、姓に関しては日本よりも奔放だった中世ヨーロッパ世界で崇められたり貶されたり忙しかったドラゴンさんなら尚の事だろうさ。ある程度は大目に見てやれ、セレニア。
男のバカな我が儘を許してやれる都合のいい女でなければ、囚われのお姫様役は務まらない。お姫様は王子様の奴隷であるべきと言うのが、世界の半分では常識になってるのがファンタジーだからな・・・」
「・・・何と言うべきなのか、女にとっては辛い役所なのですねお姫様って・・・」
何故かは知らねど、浚われる王女とその母親との間で妙な相互理解が生まれかけてしまっていた・・・・・・。
「ーーはい、ズレてる! 話ズレてる! ズレすぎてますから! そこの浚われるお姫様よりちっこかわいい王妃様も少し黙る! 人質と人質の母親の二人で誘拐犯をディスるのはやめなさい! って言うか俺、その中世貴族世界で王様目指して努力中なんですから本気でやめてもらえませんかね!? マジでやる気損ないますから!」
「そうよ! 仮面の赤龍帝ドライグ・イッセーの言うとおりだわ! 私たち名門貴族にとって黒歴史公開は敵対家門を滅ぼした後にするのが鉄則という、暗黙のルールをご存じないのかしら王妃様は!?」
「仮面のおっぱいクイーンドラゴン、アンタもかい!?」
身内から再び裏切られたジュリアス・シーザーならぬドライグ・イッセー。
彼の預かり知らぬ事柄ではありましたが、この光景を遠くから見ていたコトダマ国を攻撃中のドラゴン兵士たちでさえヒソヒソ声で話し始めてたりしておりました。
「やっぱ、おっぱいデカいから浚われたんだろうなー。あのお姫様」
「おっぱい大好きドラゴンだもんなー、うちの大将は。おっぱいさえデカけりゃ大抵の欠点は許せちゃう人って言うか、ドラゴンだし」
「いやいや、あの人って言うかドラゴン。かわいければ何でもイケるドラゴンだぜ? それこそ女装した美少年でも不可能じゃないぐらいには」
「マジでか!? ・・・うわー・・・さすがにそれは引くわー。おっぱいドラゴン様、マジ引くわー・・・いい人だし嫌いじゃないけど、それでも流石にそこまで俺は付いてけないわー。人としても龍としても言っちゃイケない範囲の世界だわー・・・」
「まぁ、それも含めて受け入れられるデカサがあの人で龍の魅力なんだし、仕方ないんじゃね? 色々とさ」
「まぁ、確かにデカいよな。あの人の器はアレと違って」
「あっちもデカくなるためには「いっぱいオッパイ揉みまくらなくちゃ!」とか言ってる人に理屈求めちゃだめだよな! やっぱり龍族にとっては煩悩と欲望に忠実なのが一番です!」
「おうよ! だからこそ仮面の赤龍帝ドライグ・イッセー様はサイコーなんだ! 好きな奴救って、嫌いな奴殴れるって最高だよな!?」
「うむ! では唱えよう。我らが赤龍帝賛歌の歌を!」
『オッパイ! オッパイ! おっぱいドラゴン! おっきいな! アンタもおっきくなれると祈ってます!』
・・・自覚のないディスり発言を侵略国中で叫ばれてるとは露知らず、仮面の赤龍帝は最後の捨てセリフを残してコトダマ王宮を去りゆく決意を固めたところで御座いました。
「ぬぬぬぬ・・・・・・ここまで不真面目にしか戦えない国だったとは・・・もういい! 欲しいものは手に入れたのだ! 帰るぞ! スイッチ姫グレモリー! 時空移動ゲートに繋がる門を開くがよい!」
「任せてちょうだい仮面の赤龍帝ドライグ・イッセー! ・・・でも、流石にここだと恥ずかしいわ・・・。こんな大勢の人目がある中でオッパイ見せてスイッチにされるのは流石に無理よ・・・ね? お願いだから人のいない場所で二人だけの時にでも・・・・・・」
「うぉおおおおおおおい!? いい加減にしてくれませんかね部長!? 世界観と役割と俺たちの設定が違うときぐらいおっきなオッパイネタは自重してください! マジお願いしますから!」
『うわ~~~・・・・・・・・・マジでこれはドン引きだわーー・・・・・・・・・・・・』
「うがーーーーーっ!!!!(`Д´)!!!!」