のんびりしていって下さいね。
「うぅ……ここは?」
俺が起きたら辺り一面に木、どうやら森らしい。
「あ、やべ、時代分からないじゃん」
ネロに聞くの忘れてた。うっかりしてたぜ、もういいや。
それより大事なのはここがどこなのかということ。
俺は東方を詳しくは知らないが、確か妖怪とか神とかがいた気がする。
だとするとまずい。
このまま夜になったら妖怪に襲われる可能性大だな。
……まあ、初っぱなからそんな不幸無いよな。
しかしだ、このままじっとしてても仕方ない。
という事で、探検しようそうしよう!
そうして探検に行こうとした瞬間、ズドン!! と後ろから大木が倒れたような音が聞こえた。
嫌な予感がする……。
後ろゆっくり振り向くとそこには、全長十メートルはあるであろうムカデのような何かがよだれを垂らしながらこちらを見つめていた。
馬鹿な!? この俺がいきなり化け物と遭遇するなんて! 今日は厄日だわ!
いろいろと文句を言いたいが、今やることは一つ。
「逃げるんだよォォォ!!」
「キシュァァアアァァアーー!!」
「馬鹿ッ! こっちくんな! しっし!」
「シュリュァァアアアアーー!!」
そうして俺は逃げた。
ただただ逃げまくった。
そして、何とかあの化け物は振り切ったが、
「日が暮れちまった……」
仕方ない今日はここで野宿しよう。
幸い、寝込みを襲われる事はなかった。
朝になり、目映い太陽の光が森に降り注ぐ。
そんな中、俺は決心する。
「修行しよう!」
このままではここで生きていけない、そのために強くならねば!
そうして修行が始まった。
琥珀君の修行コーナー!
修行其の一!
能力トレーニング!
「よし、まずは能力を扱えるようになるぞ!」
俺の能力は「嘘を本当にする程度の能力」だったっけ。
名前だけなら十分強い……というよりチートだな!
よし、まずは使ってみよう。
「【俺は空を飛べる】という嘘を【本当】にッ!」
俺が言った瞬間、フワッと浮遊感がする。
「う……うぉぉ! 浮いてる! 俺浮いてるよ!?」
ほんの数センチだが、確かに浮いている。
感動! なんだろうこの心地良さは!? 最高にハイってやつだ!
「でも、まだまだ練習が必要だな。……よし、次だ」
修行其の二!
霊力トレーニング!
「この世界には霊力、妖力、神力といったものを種族ごとに持っていた筈」
……でもどうしたら使えるんだ?
力んでみたけど何も出ない。……もしかしたら!
ある一つの仮定が脳裏をよぎった。早速試してみようと、深呼吸をして。
「かぁ! めぇ! はぁ! めぇ! 波ぁぁぁぁ!!」
掛け合いと共に体の前に力強く押し出された両手! しかし、特に何も起きず。虚しさと儚さが残る結果となってしまった。
「……よし、能力使おう」
【俺は霊力を使える】という嘘を【本当】に。
俺はもう一度集中して、掌に力を込める。
すると
「これが霊力か」
だが、球はすぐに消えてしまった。
「これも練習あるのみだぜ!」
修行其の三!
筋力と体力トレーニング!
「基本中の基本だな。目標としては能力無しでも鬼に勝てるくらいか……よしッ!」
とりあえず能力使おう。
ん?頼りすぎ?知らんな☆
【俺の筋力は鬼以上】という嘘を【本当】に。
「どれどれ」
俺は地面に向かって思いっきり拳を降り下ろした。
拳が地面に触れた瞬間。轟く爆音、舞い上がる土煙。
「え!?」
俺の立っていた足場がなくなり自由落下運動をする。とっさに覚えたての空中浮遊を
……なんていう事でしょう。拳を降り下ろした場所には、深さ六~八メートルのクレーターが。
「…………」
圧倒的☆破壊力。人に向けたら危ないね! 取り扱い注意だな。
「よし次は体力だな」
【俺の体力は百キロ全力で走っても息が切れない程】という嘘を【本当】に。
「ステンバーイ、ステンバーイ……ゴッ!!」
俺は走った。全力で走った。
いつまでたっても息が切れないのでやめた。
「ビューティフォー」
よしこの調子で頑張るぞ!
***
あれから何年たったかな?
確か能力で不老不死になったのが……何年前だっけ?
相当昔だったような……まぁいいや。
あれから俺は、毎日欠かさずトレーニングをしていた。
お陰で霊力はうなぎ上りで、この間ゴルフボールくらいの霊力の球をワゴン車程の大きさの岩にぶつけたら木っ端微塵になった。
能力もこの前まではあまり大きな嘘は本当にできなかったが、今は天気は勿論、地震等の災害も起こせるし、逆に嘘で無効にもできる。
というか基本的に俺に本当に出来ない嘘はない……のかな? 一応、俺にも吐けない嘘はあるが。まあ良い。
で、今は旅をしながら修行もしてるってわけだ。
「あーぁ、暇だな~」
そんな事を考えていると
「~~~~!!」
「ん? 今の悲鳴はなんだ?」
かなり小さいが、確かに聞こえた。女の人の叫び声だ。
だいぶ前にあげておいた聴力が役にたったぜ。
俺は悲鳴が聞こえた方に急いだ。
――迂闊だった。
ここら一帯が妖怪の縄張りだと知っていたのに。
気を抜きすぎていた。妖怪など恐れるに足りないと。
今、私の前には数十匹の妖怪の群れ。
弓矢は弾き飛ばされ足は挫いてしまった。
「ここまでかしら……」
私はこのまま、妖怪共に食われるのだろうか。
……嫌だ。
でも逃げる術がないのも確か。
そうしてる間に妖怪の一匹が飛びかかってきた。
もうダメだ。私はここで死ぬのだろう。
皆からは“都市の頭脳”と呼ばれ慕われた私も、最期は誰にも気付かれずにひっそりと醜い妖怪の餌になる。……失笑だわ。
そうして、私は目を閉じた。
――俺が急いで悲鳴の方角に走って行くと、座り込んでいる女性と今まさに飛びかかっている狼のような妖怪を捉えた。だが、助け出すには遠すぎる。
「間に合わないッ! ならば、」
【俺が時を止められる】という嘘を【本当】に。
「ザ・ワールド!! 時よ止まれ!!」
瞬間、世界から色が抜け落ち、俺以外の全てのものは動きを止める。
昔憧れていた時止めも、最早お茶の子さいさいだ。
「危なかったぜ」
そして、俺は座り込んでいる女性をお姫様抱っこしてこの場を離れる。
安全な場所まで来ると、
「そして時は動き出す」
俺が言うと、世界に色が戻り再び動き始める。
「あの、大丈夫……ですか?」
俺は女性に声をかけた。
私は目を閉じ、この後襲りくるだろう痛みに備える。
……?
何時まで経っても痛みが来ない。
これは……人は死ぬ間際、時が止まったように感じるという現象?
すると、
「あの、大丈夫……ですか?」
声が聞こえる。……人の声。
私は驚いて目を開けた。目の前には黒髪に黒目、整った顔立ちをした青年が私を心配そうに見ていた。
「ええ、大丈夫よ」
「それは良かった」
私が答えると、青年は安心したように言った。
私は少し戸惑ったが、今の状況を落ち着いて考える。
「あなたが私を助けてくれたの?」
「ん? ああ、悲鳴が聞こえたから大急ぎでな」
「そう、ありがとう。……あなたが来なかったら私は――」
「いいって、いいって。そういうのは要らないぜ」
そう言って青年は強引に話を変えた。
「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺は雨宮琥珀だ」
「私は……
「そうか、よろしくなえーりん!」
琥珀と名乗った青年は私に微笑みながら言った。何時の間にか敬語じゃなくなってるし。
「……えぇ。よろしくね、琥珀」
この不思議な青年は何者なのか。
さっき挫いた足の痛みもないし。この青年が治した? 一体いつ?
……疑問は残るが、とりあえず都市へ帰ろう。
そう思い、私は気付く。
お姫様抱っこされてる!?
「あ、あなた! なんて事してんのよ!?」
「え? な、何が?」
「相手の了承を得ずお姫様抱っこなんて……! セクハラよセクハラ!」
「えぇ!? いやだってこれは――」
「問答無用!」
私の拳が、琥珀の顔面にめり込んだ。
「じゃ、都市に行きましょう」
「都市?」
永琳が早く行こうという感じで言う。
え、なにそれ。
俺はそんなもの知らない。
「あなた都市を知らないの?」
「あぁ、ずっと旅してたからな」
「なら案内するわ」
「ああ、すまん」
そうして俺は永琳について行く。
暫く歩くと、どうやら着いたようだ。何やらでかい某巨人マンガに出て来る壁のようなものがみえてきて、近付くと門の近くにいた人達がよってきた。
「八意様、ご無事だったのですね!」
「ん? おい、なんだ貴様!! 八意様から離れろ!!」
「あぁ俺は――」
「黙れ小僧!」
「こいつに何もされませんでしたか? 八意様」
いや、話聞けよ。思わず溜め息を吐いた。
「貴様からは話を聞く必要がありそうだ。こっちへ来い!」
そう言うと、男は俺の腕を掴み歩き始めた。
「ちょっと、落ち着こう! な?」
しかし男は、俺の声を無視して歩みを続ける。
あぁ、どうしよう!? ヘルプミー! えーりーん!!
俺がそう思った矢先、
「大丈夫よ。彼が私を助けてくれたの。通して頂戴」
「は、はい。八意様が言うなら」
永琳の一言で俺を取り巻いていた奴等はあっさりと道を開ける。
「行くわよ琥珀」
「あ、ああ。ありがとう」
永琳に促され中に入るとそこには、某蒼いロボットが出てくるアニメの未来のような都市が広がっていた。
「この都市発展しすぎだろ……作ったやつは天才をブッチギリに超越してるな」
「私はそんな大層なもんじゃないわよ?」
「……え? これ永琳が作ったの?」
「主な計画や設計は私よ」
「……そうか」
絶句したぜ。
そして。俺は永琳に連れられ、高層ビル群の中でも特に高いビルに入っていった。
永琳はここで待ってろと言って奥の部屋に入って行く。
それから暫くすると永琳が出てきて言う。
「琥珀、入って頂戴。粗相のないようにね」
言われるがまま中に入ると、奥に誰かが座っていた。
「私は月夜見だ。お主が琥珀か?」
唐突に、月夜見と名乗った青い髪の少女が言った。
「あぁ、そうだ」
「ちょ!? 琥珀、敬語使いなさいよ!」
「ハハ、良い良い。私に気を使わないのはお主くらいだ」
「じゃ、俺は気楽にいくぜ」
「時に琥珀よ、お主住む所がないのだろう?」
「ああ」
「ならば永琳の所に住まわせてもらえ」
「え!? 月夜見様!」
「なんだ? 別にいいじゃないか。それともなんだ、見られて困るものでもあるのか?」
「そ、それは……琥珀はどうなの?」
「別に俺はいいが」
永琳は諦めたらしい。
「分かりましたよ、私が引き取ります」
「決まりだな」
こうして俺は永琳にお世話になることになりました。
設定でおかしい所があっても目を瞑って頂けると幸いです。
えーりんの名前ですが、えーりんは琥珀に気を使って呼びやすい方で名乗ったと言う独自設定です。
いやー少し都合が良すぎかな?まぁいいのだー。
では次回ものんびりしていってね♪