東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です
この章はもう終わりますね
それでは今回も、のんびりしていってね


第24話 成功の為の犠牲

 

 

 

 

俺の目の前には、血溜まりに沈む幽々子の姿。

瀕死状態の妖忌。

猛威を振るう西行妖。

 

「……テメーだけは許さねぇぞ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー事の始まりは数時間前に遡る。

 

俺は妖忌と協力して朝ごはんを作っていた。

昨日の食べっぷりを魅せられた後だから俺も多めに作っている。

 

「幽々子様ー!朝食が出来ましたぞー!」

 

「えぇ、今行くわ~」

 

妖忌が幽々子を呼ぶ。

幽々子が寝室から起きて来る。

 

「それでは頂きましょう」

 

「「いただきます」」

 

俺は味噌汁をゆっくり飲む。

味噌のやさしい味がする、旨い。

次に鮭だー!

……………うん、旨い。

この程よいしょっぱさでご飯が進む。

俺はチラッと幽々子を見てみる。

すると驚いた事に、まだ食べ終わって無かった!

普通の人なら全然大丈夫だが、幽々子の場合はもうお代わりが来る所だ。

まだ出会って間もないがこれは分かる。

 

「幽々子、何かあったのか?」

 

俺は幽々子に聞いてみる事にする。

 

「いいえ~何も無いわよ~?」

 

幽々子特有のまったりした笑顔と言葉を向けられる。

 

「そうか、なら良いんだ…」

 

何も問題は無い筈……なのに俺は何か嫌な予感がした。

それも、あの桜と関係しているような……。

俺は不安になるが、自分に大丈夫だと言い聞かせた。

 

 

 

朝食を食べ終わると、幽々子は居間でのんびりと、妖忌は素振りをしている様だ。

……そうだ、いい事思いついた。

 

「妖忌、俺に稽古をつけてくれないか?」

 

「何故じゃ?…お主はもう十分強いではないか」

 

「いや、妖忌も言ってただろ?俺は武器の扱いがてんで駄目なんだよ」

 

「フム、そういう事なら」

 

「イエス!」

 

俺は妖忌に稽古をつけてもらう事にした。

 

 

~少年稽古中~

 

 

「まだ無駄な動きが多いぞ!もっと無駄なくしなやかに!」

 

「おう!」

 

あれから数時間、俺はみっちり鍛えてもらった。

妖忌は教えるのが上手いので、俺はどんどん動きが良くなっていった。

 

「そろそろ昼食の時間故、ここまでにしよう」

 

「あぁ、ありがとうな妖忌」

 

俺達は昼食を作る為に屋敷に戻った。

ーーとほぼ同時の事だった。

あの()()()()が俺達を包み込んだ。

 

「ッ!コイツは……!」

 

「琥珀殿!」

 

「あぁ!」

 

俺達はすぐに元凶の元に向かった。

俺達が“その場所”に辿り着くと、そこには、

昨日までは満開ではなかったのに、妖しい桜を満遍なく身に付けた西行妖があった。そして西行妖から漏れ出す尋常じゃ無い程膨大な妖力。

俺は直感で分かった。

コイツは(西行妖)は今、目覚めたのだと。

 

「コイツはヤバイな……どうする?妖忌」

 

「……こうなってしまってはもう儂達に出来る事はーー」

 

「あるわよ」

 

突如として聞こえる第三者の声、俺が後ろを向くと幽々子の姿があった。

だが、その顔はいつもの呑気な顔では無く、凄く真剣で切なげだった。

そして手には何故か短刀が握られている。

 

――まさか!

 

「幽々子!」

 

「琥珀、私の策は分かったわね?」

 

「やめろ幽々子!」

 

「琥珀、私はね、最期に貴方に会えて良かった」

 

「幽々子…」

 

幽々子は、俺の言葉を無視して言葉を紡ぎ続ける

 

「久し振りに楽しかったわ……でもね、私は嫌だった。

お父様が愛した桜が人を殺すだけの怪物になってしまった事が……

そして私自身も同じような存在になってしまった事が……

もう耐えられないわ……誰かが死ぬのは……誰かが傷つくのは……耐えられないのよ!」

 

幽々子の目からは、大粒の雫が数滴流れ落ちた。

幽々子は今まで我慢していた事を全て晒したようだった。

 

俺は止められなかった。

幽々子の覚悟を見てしまったから。

 

幽々子は短刀を自分の首筋に当てて、言った。

 

「後は宜しくね、琥珀」

 

ザシュッッ

 

幽々子は笑顔でそう言って、首を切った。

辺りに鮮血が降り注ぐ。

幽々子は地面に落ちていった。

 

「!……クソ、何だよ……」

 

俺は言い様の無い悲しみと怒りに襲われた。

幽々子の策はすぐに分かった……。

恐らくだが、「自分を媒体にしてアイツ(西行妖)を封印してくれ」

という事だろう。

 

本当に強い奴だよ……お前は。

自分の命を犠牲にしてまでもお前はその選択を選んだ。

俺は弱い。

お前みたいに強く無い。

……けど

 

「お前の覚悟(勇気)、確かに受け取ったぜ!」

 

お前の頼みは絶対に成功させる!

 

 

 

「妖忌、暫くアイツの相手を頼む!」

 

「分かった!」

 

俺は幽々子の体を鍵として、術式を組み立てる。

急げ!早く!

俺は一刻も早く術式を完成させるべく、目を閉じ集中力を高める。

もう少し……。

 

「グハッ!」

 

「ッ!」

 

俺が目を開けると、妖忌が西行妖の枝に腹を貫かれていた。

 

「妖忌!」

 

「ッグ……琥珀殿……早く、封印を……」

 

「あぁ、今完成したぜ!……おい、この化け桜、テメーだけは許さねぇぞ!」

 

「■■■■■!」

 

西行妖は、まるで断末魔を叫ぶように枝を大量に俺に向かわせる

 

「残念だが、もう手遅れだ」

 

瞬間、西行妖の周りに魔方陣が出現。

西行妖は、痺れたように動けなくなる。

 

「あばよ」

 

目映い光が辺りを覆い尽くす。

 

光が消えると、そこには枯れ木のように佇む1本の桜の木。

封印成功だ。

 

「大丈夫か?妖忌」

 

俺はすぐに能力で妖忌の傷をなくす。

 

「すまない、大丈夫だ」

 

封印は成功したが、その場にあるのは“喜び”では無く“喪失感”だ。

物事の成功の裏には、必ずと言って良いほど犠牲が付き物だ。

……俺等の犠牲は、大きすぎた。

 

 

「すみません」

 

俺が感傷に浸っているとそんな声がする。

俺が声の方向を見ると、緑の髪に変わった帽子、手に笏を持った少女の姿。

 

「……誰だ?あんた」

 

俺は警戒しながら聞いてみる。

 

「申し遅れました、私は四季映姫(しきえいき)・ヤマザナドゥという者です

要するに、私は地獄の閻魔です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――話しを聞くと、此処に来たのは幽々子の事で話しがあったようだ。

話しの内容を簡潔に言うと。

 

幽々子は亡霊になったらしい、そして珍しい事に恨み等の感情は無く、生前の記憶が無いらしい。さらに珍しい事に、亡霊は暫くすると幽霊になって転生したり地獄に行ったりするらしいが、幽々子は自分を認識しておらず幽霊になる事は無い。

但し、もし西行妖の封印が解けて自分の死体を見てしまうと幽霊になってしまう様だ。まあ戸々からが本題だが、幽々子の能力はうってつけだった……冥界の管理に。だから幽々子に、冥界の白玉楼と言う場所で冥界の管理をさせるとの事だ。

 

「そうか……」

 

俺は、幽々子がいると聞くだけで嬉しかった。

記憶は仕方がない。

幽々子が居るんだ、小さな犠牲だ。

これから創れば良いだけだ。

 

「話しは以上です」

 

「あぁ、ありがとな」

 

映姫はそう言って去って行った。

 

「妖忌、俺達も行こうぜ」

 

「うむ、善は急げじゃ」

 

そうして俺達は白玉楼へと向かった。

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした
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それでは次回も、のんびりしていってね
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