東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です。
何か凄く疲れまぢた。
それでは今回も、のんびりしていってね!


第55話 冬が終わったよ

辺りは薄暗く、それを照らす灯籠が階段に沿って続いている。

久しぶりに来たが、あまり変わった様子は無さそうだ。

 

「さて、急がないとな」

 

俺の予想が当たっていた場合――というか多分確実に当たるなこれ。

面倒な事になる前に解決しないと……。

俺は足早に階段を登り始める。この階段は相変わらず無駄に長い。登るのも一苦労だ。せっせと歩を進め始めて数分、やっと階段を登りきった。謎の達成感を覚える。にしても――――

 

「君は……」

 

俺の目の前には、銀髪のボブカットに黒いリボンを付け、白いシャツの上からは青緑色のベストを着込んだ少女が佇んでいた。何か見覚えが…………あれ。

 

「お前……妖夢か?」

 

「……へ?」

 

俺が言うと、少女は文字通り、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。

すると少女は不思議そうに尋ねてきた。

 

「貴方……私を知っているの?」

 

やっぱりか! どおりで見覚えがある訳だ。

 

「覚えてないか? 琥珀だよ」

 

「…………え?」

 

俺が言うと、妖夢は何かを思い出すように(うつむ)き、急に顔を上げたと思ったら――

 

「す、すみませんでしたぁぁ!!!!」

 

綺麗なお辞儀に合わせて声を張り上げる。

 

「いやいや、そんな謝んなくても大丈夫だって」

 

俺は大丈夫だと言うが、妖夢には聞こえていないのかお辞儀とすみませんをリピートし続ける。さっきまで白かった顔は青ざめていた。余程ショックだったんだろう。別に俺は気にしてないんだが……。

 

昔、白玉楼に遊びに行った時、妖忌に頼まれて小さな少女の面倒を見ていた事があった。その少女の名が妖夢。暫く見ない内に大きくなったもんだ。

 

「妖夢、気にするな! 俺は気にしてない」

 

いつまでも謝られると話が進まないので、俺は妖夢をあやす事にする。

 

「で、でも」

 

尚もおろおろと慌ただしい妖夢に、もう一度、力強く言い聞かせる。

 

「気にするな!」

 

「……はい」

 

渋々といった感じながら、何とか妖夢の説得に成功。

 

「あ、そうだ妖夢。妖忌はいるか?」

 

「いえ、師匠は随分と前に消えてしまいました。忽然と」

 

「……え? マジ?」

 

「マジです」

 

想定外の事実。まさかの妖忌失踪。

久しぶりに顔合わせしたかったんだが……仕方無いか。

 

「じゃあ良いや。幽々子の所まで連れてってくれ」

 

俺は言いながら歩き出すが、妖夢は動こうとしない。

 

「琥珀さん。私は幽々子様から、此処に来た者は通すなと言い付けられています」

 

そう言うと妖夢は、静かに二本のうち一本の刀に手をかざし、居合い抜きの構えをとり、鋭い目つきで俺を見据える。その姿と雰囲気からは妖夢の覚悟がひしひしと伝わってくる。

 

「……一騎討ちか?」

 

妖夢が頷くのを見て、俺も妖夢の刀くらいの物差しを具現化し、構えをとらずに妖夢を嘱目(しょくもく)する。

 

互いに動きを見せないままの状態が続く。俺と妖夢を取り囲む空間は静寂に包まれ、フゥーと息を吐く音が聞こえた――――刹那、妖夢は動いた。

 

俺の懐に入り込み、刀を引き抜く。

引き抜かれた刀は、鈍い光を放ちながら俺へと迫る。

 

俺は妖夢の手を掴み、そのまま後ろへと放り投げる。

 

「なっ!?」

 

妖夢は驚きの声と共に地へ落ちた。

 

「まだまだツメが甘いな」

 

後ろを振り向き、トドメを刺そうと物差しを振り上げた。

しかし、妖夢は既に立ち上がっていた……手を大の字に広げて。

 

「……何のつもりだ?」

 

俺の問い掛けに、妖夢は軽い笑みを溢して言った。

 

「背中の傷は、剣士の恥です」

 

「見事!」

 

俺は振り上げていた物差しを、軽く妖夢の頭にぶつける。

 

「勝負ありだな」

 

「完敗です」

 

妖夢は少し悔しそうに呟く。

 

「まあそんな落ち込むな。それじゃ、幽々子の所に連れてってくれ」

 

俺が再度お願いすると、妖夢は快く案内してくれた。

 

 

 

 

 

「久しぶりね~琥珀」

 

開口一番、幽々子が微笑んで言った。

 

「あぁ、久しぶりだな幽々子」

 

俺も同じように返事を返し、早速本題へ入る。

 

「さて幽々子。どうして俺が来たか分かるかな?」

 

謎なぞのように明るめに聞くと、

 

「私に会いたくなっちゃったのね~」

 

満面の笑みで見当違いな事を口走る幽々子。

冗談なのか本気で言ってるのか……。よし、おちょくってやる。

 

「正解! どうしても幽々子に会いたくなっちゃったんだ。愛してるぜ」

 

「あらあら、嬉しいわね~。私もよ」

 

ウィンクをしながら言う幽々子。駄目だ。埒が明かん。早く話を進めよう。

 

「冗談はおいといて、今春を集めているのはその桜の封印を解く為だろ?」

 

俺は幽々子の後ろにある桜の木を見ながら問う。幽々子も桜の木を一見すると、肯定の言葉を述べた。

 

「ええ、興味が湧いたの。この封印を解いたらどうなるのか」

 

幽々子はこの桜……西行妖に封印されているのが自分だという事実を知らない。それは俺と妖忌で知らせないようにしたからなのだが……。

妖夢は知っているのか?

この桜の木がどんなものかを。

 

「妖夢、お前はこの桜の木がどんなものか知っているか?」

 

俺が聞くと妖夢は首を(かし)げながら、

 

「えっと……詳しくは分かりませんね」

 

弱々しくそう言い放つ。

妖忌……何やってんだよ!

俺は妖忌を問い質したい衝動を抑え、言葉を紡ぐ。

 

「良いか幽々子。この桜の木はな?と~っても恐ろしい妖怪なんだぞ?

後な、封印を解いたら大変なんだぞ?」

 

ゆっくりと大袈裟に言って聞かせる……が、幽々子はニコニコとしていて、真面目に話を聞いている様子は無い。

こうしてる間にも春は奪われていく一方な訳で。

俺はやもえず最後の手段を執行する。

 

「よろしい。ならば戦争だ」

 

「良いわよ~。後、私は“琥珀限定ルール”を使用するわ」

 

マジかよ。幽々子はもう知ってんのか。

琥珀限定ルール。俺が強すぎるという理由で生まれた新ルール。

そのルールは理不尽なもので、俺は相手から言い渡された条件下で闘う必要がある。所謂、強制縛りプレイで拒否権は無いってやつだ。

 

「ん~じゃあ琥珀は、スペルは一枚だけ、能力使用禁止!」

 

「うぃっす」

 

「それじゃあ、いくわよ!」

 

幽々子の声と共に、弾幕が形成されていく。

そして、その弾幕達は、俺目掛けて一斉に飛翔した。

 

「おうおう、綺麗な弾幕だな」

 

「ありがとうね」

 

弾幕をギリギリまで引き付け、ギリギリの所で躱す!

グレイズうまうま。

 

「桜符「完全なる黒染の桜‐開花‐」」

 

ここで幽々子のスペルカードが発動する。

 

「っぶねえ!」

 

急に大きな玉が襲い掛かってくるが、無事に回避。

と思っていると、今度は蝶々のような弾幕が迫っていた。その蝶々は更に分裂、小さな弾幕も追加される。

中々に厄介な弾幕だが、

 

「――よし、クリア!」

 

幽々子のスペカを何とか避けきる。

今度は俺のターンだ。

 

「いくぜ幽々子!包囲「オール・オーバー・ザ・ワールド」!!」

 

俺の宣言により、弾幕が形成される。

幽々子を取り囲むように青白い弾幕が形成される。更にその周りからは三角定規がびっしりと展開され、弾幕で出来た大きな円形が完成する。

 

「避けきれるかな?」

 

そして、青白い弾幕が次々に幽々子へと襲い掛かる。

遅れて定規弾幕も不規則に発射され、大変な事に。

これを攻略するには、幽々子狙いの青白い弾幕をうまく引き付けるのがコツだが、今の幽々子はそれに気付いていない。そして――――

 

「私の負けよ~」

 

「いよし!」

 

俺は何とか幽々子に勝利し、春を取り返す事に成功。

幻想郷も今頃は、雪が止んで桜も咲いているだろう。

 

「一件落着だな」

 

「ねえ琥珀。もう帰るの?」

 

ふと、幽々子が言った。

 

「私達はこれからお花見をやるのよ。琥珀もどう?」

 

そういえば……。プリズムリバー三姉妹もそろそろ来るだろう。特に断る理由も無いな。

 

「おし、いっちょ花見といくか!」

 

「妖夢。ご飯は大丈夫でしょうね?今日は食べるわよ~」

 

幽々子が言った瞬間、妖夢の顔が引き()るのを俺は見逃さなかった。

俺はそっと妖夢の肩に手を置き、

 

「俺も手伝うぜ、料理」

 

「……ありがとう、ございます……!」

 

妖夢が感激した所で、

 

「「「お邪魔しまーす」」」

 

プリズムリバーも到着したようだ。

 

「皆揃ったわね~。それじゃあ屋敷に行くわよ」

 

「よし、サクッと片付けるぞ! 妖夢!」

 

「はい!」

 

俺が屋敷に向かおうと歩み始めると、ルナサが隣にやって来て言う。

 

「琥珀、歌は任せるわ」

 

どうやら、ルナサはまだ諦めていないようだ。

 

「「プリズムソウル結成だよ!」」

 

訂正。全員諦めていないようだ……。

 

「俺は入らないっての!……歌は良いけど」

 

「「「本当!?」」」

 

三姉妹の声が重なる。嬉しそうにしやがって…やれやれだぜ。

 

「ほらほら早く~」

 

「あぁ、――ってか、押さなくても大丈夫だって!」

 

いつの間にか後ろにいた幽々子に急かされ、皆で屋敷に向かう。

 

 

 

そうして俺達は、淡いピンク色の桜の木の下、料理を食べ、歌を歌い、お花見を堪能するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、お疲れ様でした。
妖々夢完結です!
それでは次回も、のんびりしていってね!
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