引き続き茶番いきます!
それでは今回も、のんびりしていってね!
「そうね、まずは約束通り団子屋に連れて行ってあげるわ」
という事で、僕達がまず赴いたのは、僕(雨宮琥珀)の行きつけだった団子屋さんだった。
外観はシンプルで、店先には木製の看板が掲げられており、ベンチも備え付けられていた。
「おぉ、琥珀の旦那と博麗の嬢ちゃん! いらっしゃい!」
優しそうな男性が元気な声で話し掛けてきた。向こうは愛想良く接客してくれるが、僕は実質この店に来るのは初めてだ。世間話をし始めた親父さんにどう対応するか思索する僕を見兼ねてか、霊夢さんが「みたらし団子とお茶。二人前ね」と、品を注文してくれた。
「あいよ! ちょっとだけ待ってな」
そう言って親父さんは一旦この場を離れた。
「あんたね、適当に相槌打つくらい出来ないの?」
「いや、なんだか気後れしてしまうというか、どう話せば良いかわからないというか……」
情けないわねと、霊夢さんは首を振る。
「あんたがアホな事はこの幻想郷では常識としてまかり通っているわ。だから、今更あんたが変な発言したり奇行に走ったりした所で、別に誰も気にしないわ」
えぇ……、励ましてくれているのかも知れないが、なんか複雑な気持ち。というか、僕(雨宮琥珀)は変人って幻想郷では共通認識なの? 僕(雨宮琥珀)って本当にどんな人だったの?
「あいよ、お待ちどう!」
再び、親父さんが団子とお茶を持って戻って来た。
団子を見るや否や、自然と頬が緩み、涎が口内に溢れ返った。お腹では腹の虫が早くそいつを寄越せと言わんばかりに喚き散らす。
記憶がなくても、体は覚えていたという事なのだろう。
霊夢さんから聞いていた通り、僕(雨宮琥珀)は本当に団子が好きな様だ。
僕の意思を振り切って先行しようとする右手を理性で抑えつつ、一串手に取る。黄金に輝くみたらしのタレ、程良くついた焦げ目。食べる前から美味しいと分かる。
ゴクリと生唾を飲み込んで、僕は団子を一つ、口へと運んだ。
「――っ!」
思わず声を上げそうになった。予想以上、想像以上だ。
とろける様な甘さ、咀嚼する度に愛しい弾力、鼻を突き抜ける優しい香り、そして後を引く余韻……。美味い――美味すぎる!
気が付けば、僕の分の団子は既に無くなっていた。
あれ、いつの間に全部食べてしまったんだろうか。
「あんたねぇ、もう少し味わって食べなさいよ」
隣を見ると、霊夢さんはまだ一串目を食べ終わったばかりだった。それからお茶を飲んで一息吐いてから、二串目に手を伸ばし、団子を一つパクリ。
「……何よ」
目が霊夢さんの持つ団子から離れてくれない。背けようとしても、首どころか黒目すら動かないだと!? くっ、どうしたんだ僕! 動け、動け、動け!
「……仕方ないわね。特別よ?」
「――ファ!?」
つい、間抜けな声が出てしまった。
霊夢さんの行動がどういった意味を持つのか、気づくのに数秒を要し、意味を理解すると同時に、今度は脳内が混乱状態に陥った。
霊夢さんが団子の串をこちらに向けてきた。つまり、俗に言う「あ〜ん」をしてくれるという事だろう。霊夢さんはさっき団子を一つ食べている。つまり、僕がそれを食べれば間接キスが成り立つ。
――ヤバイって。
そんな、ハードル高くない? そこまでいくと最早走り高跳びだよ。
「ちょっと、早くしなさいよ」
「え!? あ、はい! すみません」
僕は考える事を止め、差し出された団子を一つ口に含んだ。
途端に顔が熱くなり、味覚は失われた。
味を感じる事なく団子を飲み込んで、お茶を飲み干す。
あー、緊張した。霊夢さんはそうでもないのかな?
チラッと隣を見やると、心なしか霊夢さんの顔が紅潮している気がした。
団子屋さんを後にして、人里巡りを再開した。
通りを暫く歩いていると、他と比べて大きな建物が前方に確認出来た。
「霊夢さん、あの建物は?」
「寺子屋よ。あんたが人里に来た時は大体顔を見せていたようね」
僕の質問に霊夢さんが答えて間もなく、寺子屋の入り口付近までやってきた。すると、入り口前で腕組みをしていた女性が声を上げた。
「遅いぞ琥珀! 遅刻じゃないか! またどこかほつき歩いてたんじゃないだろうな?」
へ? 誰?
「あら慧音、こいつと何か約束でもしてたの?」と霊夢さんが尋ねる。
「あぁ、今日は琥珀が特別講師をしてくれる日でな。時々、やってもらってるんだ。琥珀の授業は人気でな。ほら、行くぞ琥珀」
慧音さん(?)は僕の手を取ると、建物の中へと進んで行った。
僕は抗う事が出来ず、現状の理解も出来ないまま、「これから何が始まるんです?」と誰に言う訳でもなく思うのだった。
はい、どうもお疲れ様でした!
ノルマ(ラブコメ要素の挿入)達成ですね。
このペースでいくと終わるのはまだまだ先になりそうです。
まあ、たまには長い茶番があっても良いよね……。
それでは次回も、のんびりしていってね!