東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です!
バレンタインネタとかやりたかったんですがね、ちょっと厳しいですね。また来年(続いてれば)やりましょうかね!
それでは今回も、のんびりしていってね!


雨宮琥珀の喪失⑧

 

 人里の案内は一通り済んだらしく、「まぁ、こんな感じだけど」と霊夢さんは僕に向き直る。

 

「どう?」

 

「そうですね、皆さん良い人達でした」

 

「そうじゃなくて! 何かなかったの? 既視感みたいなのとか」

 

「そういうのは特になかったですね」

 

 僕が答えると、霊夢さんは「そう」と呟いて、何やら少し考え事をした後に、「じゃあ、次のとこ行きましょう」と歩き出した。

 

 歩き始めて少しすると、霊夢さんはこちらに向き直った。

 

「次の場所は徒歩だと時間が掛かるわ。ここからは飛んで行くわよ」

 

「……はい? と、飛ぶって言いました? 今?」

 

 僕の知る限り、人間は空を飛ばない。

 だから、僕の発言は至極真っ当だと思われるが、霊夢さん的には違ったらしく、コーラを頼んだのにコーヒーが出てきた時の様な顔をされた。

 

「……仕方ないわね」

 

 顔を赤くしたかと思うと、深呼吸を五回くらいした後に、霊夢さんは後ろ姿を僕に見せてしゃがんだ。

 

「ん!」

 

「……??」

 

 霊夢さんの行動の意図が(つか)めずに突っ立っていると、

 

「おぶって行くって事よ! 早く乗って!」

 

 まくし立てる様な霊夢さんの声がした。

 

「は、はい!」

 

 勢いに押されて、僕は霊夢さんの華奢(きゃしゃ)な身体に腕を回し乗り掛かる。

 

「あの、重くないですか?」

 

「私を誰だと思ってる訳? あんた一人分くらい余裕よ」

 

 そう言って、霊夢さんは軽快に立ち上がる。

 華奢だと思っていた霊夢さんの身体は、触れてみれば驚く程に鍛え上げられているのが分かる。一体どれ程の鍛錬(たんれん)を積み重ねたらこうなるのだろうか。

 しかし、それでいて女の子らしい柔らかさもあり、髪からは石鹸(せっけん)の良い匂いがする。

 

「……変な事考えたら落とすわよ」

 

「……分かりました」

 

 僕が返事をしてすぐに、奇妙な感覚が身体に走る。

 下を見ると、地面がどんどんと遠ざかっていた。

 ──あれ? 浮いてる? 

 

「しっかり掴まってなさい」

 

「え? ──えぇぇぇぇぇ!?」

 

 霊夢さんの言葉を聞いた直後、突風が顔に吹き付けた。身体が空に投げ出される気がした。急いで霊夢さんにしがみつく。

 

「行く時は行くって言って下さいよ!!」

 

「ちょっ、あんた!? そんなくっつかないで! 首筋に顔埋めんな! くすぐったいのよ!」

 

「怖いんですよ!」

 

 

 こうして僕達は、(しば)し空の旅へ繰り出したのだった。

 

 

 

 

 

 霧が立ち込める(みずうみ)を抜けると、森の中の開けた土地に、それはあった。外壁(がいへき)外装(がいそう)、外から見える限りほとんどが紅く染まった大きな屋敷。紅魔館、と言うらしい。

 なるほど、確かにその名の通りだ。

 

「ほら、突っ立ってないで行くわよ」

 

「あ、はい」

 

 霊夢さんの後に続き、僕達は屋敷の門へ向かい歩き出した。

 門前には、緑を基調としたチャイナドレスを(まと)う女性の姿があった。門番だろうか。

 

「あぁ、こいつは無視して大丈夫だから」

 

「え? でも門番なんじゃ……」

 

「ただのカカシよ」

 

 えぇ……。

 僕が戸惑っている間に霊夢さんは勝手に門を開けようとするのだが、そこで、霊夢さんの腕に手が伸びた。

 

「……一体いつから、私が眠っていると錯覚していましたか?」

 

「なん……ですって……!?」

 

 霊夢さんの腕を掴んだのは、先程カカシとの評価を受けた女性だった。

 

「いや、そんな驚く事ないじゃないですか……」

 

「いや、驚くわよ。近く紅魔館に何かとんでもない事が起きるんじゃない?」

 

「縁起でもない事を言わないで下さいよ!」

 

 会話についていけずオロオロしていると、チャイナドレスの人が僕に尋ねた。

 

「そう言えば琥珀さん、何か雰囲気変わりましたね。どうしたんですか?」

 

「なに、あんた分かんの?」

 

「もちろん! これでも『気』には敏感ですから」

 

 何やら良く分からないが、僕は改めて自己紹介をする事にした。

 

「初めまして、雨宮琥珀です」

 

「……? あ! そーゆーノリですか? 初めまして、紅美鈴です!」

 

「美鈴さんですね。よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします! これどう言う設定ですか? 記憶喪失みたいなノリですか?」

 

「えぇそうよ。記憶喪失。ノリじゃないけど。まぁそう言う訳だから、少しお邪魔するわよ」

 

「お、お邪魔します」

 

 再び歩き出した霊夢さんに、僕も後を追う。

 後ろから美鈴さんの「え? ノリじゃない!? 待ってそれどう言う事ですかー!?」と言う質問が大声で飛んできているが、このまま行ってしまって良いのだろうか。

 

 そんな事を思っていたら、既に屋敷の中にいた。

 やはりと言うべきか、内装(ないそう)もほぼ全てが紅色(あかいろ)で揃えられていた。何だか少し不気味な屋敷だ。

 そんな事を思っていると、どこからか声がした。

 

「また美鈴は寝てたのかしら? こんなあっさり侵入されていては居ても居なくても変わらないじゃない」

 

「ちょうど良い所に来たわね、咲夜」

 

 いつからそこに居たのか、咲夜と呼ばれた銀髪のメイドらしき人は、霊夢さんを無視して僕の目の前にやって来ていた。

 

「いらっしゃい、琥珀。お嬢様なら部屋におられますよ」

 

「いや、あの……」

 

「どうしたんですか? 何だかいつもと感じが違いますよ?」

 

 霊夢さんに目線を送るが、フイッとそっぽを向かれてしまう。

 何で!? 

 

「あのぉ、咲夜さん? でしたっけ?」

 

「はい?」

 

「実は──」

 

 僕は、今自分に起こっている事を出来るだけ簡潔に咲夜さんに伝えた。すると、咲夜さんは目を見開いて僕の肩に手を置いた。

 

「記憶喪失? では、私の事やお嬢様達の事は覚えてないんですか? いつものイタズラではなく?」

 

「はい、申し訳ありませんが……」

 

 距離感の近さからつい赤面しつつ僕が(こた)えると、咲夜さんは「そうですか」と呟き、少ししてから微笑を僕に向けてくれた。

 

「それなら、私がこの屋敷を案内しますよ。私は十六夜咲夜、咲夜とお呼び下さい。では、行きましょう」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

「ちょっと! 何勝手に決めてんのよ!」

 

「あっ、霊夢さんは客間でくつろいでお待ち下さい。妖精メイドに案内させますね」

 

「こら、ちょっと、離しなさいよ!」

 

 トテトテやって来た少女達が、霊夢さんを包囲してそのまま奥の通路へ連れて行ってしまった。

 ……えっ(困惑)。

 出会って間もないメイドさんと二人きりで屋敷を()り歩く事に若干の気まずさと恥ずかしさがこみ上げてくる。

 

「さぁ、私達も行きましょう」

 

 咲夜さんがニコッと爽やかに笑う。

 

 そんなこんなで、僕は咲夜さんに連れられて屋敷の中を見て回る事となった。

 




はい、お疲れ様でした!
幻想郷案内ですが、次回からはダイジェストでお送りする事になるかもです。このペースだと少し長引き過ぎそうですので(-_-;)
それでは次回も、のんびりしていってね!
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