「でさ、この子供達はどうすればいいんだ?誰かに預ける訳にはいかないし。」
「ふたりで引き取ればいいんじゃないかしら?」
「引き取る?!」
「せめて、この子達を受け入れてくれる人が現れるまではね。」
「しかし、俺たちはこんな小さい子の育て方なんてわからないぞ?」
「大丈夫よ、私がサポートしてあげるわ。」
「ちょっとまって?!僕達のモビルスーツはどうなったんだ?」
「それに関しては問題ないよ。君達のモビルスーツは既にこのモジュールの地下にある格納庫に全て移してある。」
「あんたは誰だ?」
「アルティメット・ウォーズの司令官である、元日本共和国連邦軍大佐、山岡真一郎だ。」
「何の用なんです?」
「君達と話をしたかったからここに来た。それが理由だが、ダメかな?」
「わかりました。静香さん、この子達の面倒を見てもらってもいいですか?」
「いいわよ。」
「で、俺達に話ってなんだ?」
「君達の意思を確認したくてね。」
「意思?」
「君達は自分達の意志があるかどうかわからないまま、ガングニールでギアの力を解放して自分達の力とした。」
「そうですけど・・・」
「逃げ出すこともせずにこちらへと寝返ってきた。
だが、先ほど君は場に流されたようにやってしまったと言ったな?本当に助けない人間ならあんなことを言わずに既に立ち去ってるはずだ。」
「・・・・・何が言いたい?」
「簡単な話さ、君たちにとってここが本当の居場所になったということさ。」
「全部見られていましたか。」
「で、君達は我々と一緒に戦う覚悟があるか調べさせてもらう。」
「なに?」
「これから、とある者と模擬戦を行ってもらう。
そこで君達の実力を試させてもらう。入れ。」
ドアが開き、叢雲劾とロウ・ギュールが入ってくる。
「彼らはかなりのモビルスーツの使い手だ。彼らに一度でも退けれたら君達の勝利だ。」
「つまり、勝てば認めてくれるってことか。」
「それしか方法がないなら!」
パイロットスーツに着替えた二人は、格納庫に向かう。
「F92とF94はどうなったんだろうな。」
「さっきの人は、既に修復してあると言っていたけど。」
「君達がF92とF94のパイロットかい?」
F92とF94の近くにいた二人の整備士が近づく。
「あなた達は?」
「僕はビル・マッケンジー、この人は整備士主任のアラン・マクシミリアンさん。」
「よろしくな、お嬢ちゃん達。」
「ナミネです。」
「カノンだぜ。」
「F92、F94についてだけども、少しばかり改修させてもらった。」
指を指した方向には、バックパックが変わったF92と
肩のパーツとシールドが変わったF94があった。
「F92だが、アサルトパックのやつを回収してるからか飛行できないのが欠点になってたんだが、それを克服するためにフォースシルエットとエールストライカーを組み合わせたシルエットストライカーを装備し、射撃と格闘も強化してある。
F94は防御と強襲性に問題があったから、ゲシュマイディッヒパンツァーシールド、アルテミスの傘、そしてミラージュコロイドを持って隠密性と防御力、そして強襲性を高めた。武装もグレイプニールとトリケロスⅢを装備したから、格闘戦にも得意になったはずだ。」
「へぇ、すごいですね。」
ナミネは話をよく聞いていたようだが、カノンは聞くよりも周りのモビルスーツをずっと見ていた。
「なぁ、これはなんだ?」
指を指していたのは、
「ライゴウガンダムセカンドの事か?」
「こいつはいったい?」
「こいつは、この世界でのモビルスーツの始まりと言われてる機体だ。
10数年前にとある者が持ち込んだと言われてるんだな。」
「モビルスーツの始祖?」
「と言っても、本当はコズミック・イラのモビルスーツで、廃棄寸前だったのを次元商人が買って持ち込んだことがわかってしまったんだが。」
「コズミック・イラ?」
「この世界とは別の世界の事だよ。」
「別の世界のモビルスーツだったのかよ。」
「でも、これが無ければフォーミュラー計画のモビルスーツが作られることは無かったんだぜ?」
「なるほどな。」
「こいつは戦闘の度に改修を重ねてるから、並のモビルスーツじゃついていけねぇよ。こいつと対等に渡り合えるのは、デスティニーガンダムゼロとガンダムF90Ⅱだけだ。
で、こいつがF96を大敗にまで追い込んだんだ。」
「リーファを追い込むなんて相当な性能だぞ?!」
「こいつはたくさんの装備を持ってるが、あのパイロットは全てを付けて出撃しようとするだろうな。
昨日、全ての装備を完成させてテストしようとしたところあの様だ。
しばらくお預けになりそうだな。」
「パイロットは誰なんです?」
「野比のび太だよ。」
「あいつ?!あいつがパイロットなのか?!」
「あいつは俺たちにとっても、あいつ自身にとってもエースパイロットだよ。」
「何てこった、あいつに俺達は負けてたのか。」
「僕たちを越える能力を持つなんて、彼は一体何なんだ?」
「そろそろ時間だろ?システム調整は既に終えてるから、あとは君達が最後の確認をするだけさ。」
「助かる!」
「ありがとうございます!」
「コックピットは全く変わってないな。」
「そこはいじらないで嬉しいね。」
「これは?」
ナミネが指を指したモニターに書いてあるのは、VTPSという文字だった。
『そいつは、ヴァリアヴルフェイズシフト装甲。
そいつが稼働することによって、防御力は格段とあがる。』
「すげぇな!」
《発進準備完了!F92、F94発進どうぞ!》
「風鳴ナミネ、ガンダムF92発進します!」
「風鳴カノン、ガンダムF94発進する!」
2機のガンダムが漆黒の宇宙に飛び出していった。