摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第25話更新です。今回もえらい難産でした…。うまく切り上げるのが難しかったので、今回はやや短めです。
※某紫パンダさんを盛大にディスるシーンが多めに存在する為、ファンの方はご注意ください。


第25話 宣戦布告!ルフィの叫びとロビンの涙

 ゴォオオオオ…

 屋上だけあって風が強く、服がはためき髪が舞い上がる。

()(ばし)?」

「ああ。今、フランキー一家が奮闘中(ふんとうちゅう)だ。」

「お前が先走ってこんな屋上にいやがるから、おれたちもここに集合するしかねェだろ。」

 1番肝心なところを聞いていなかったルフィの為に、ゾロとサンジがこれからの作戦を説明している。一足先にルフィと合流したジャスミンも知らなかったが、どうやら裁判所の両脇の塔のレバーを操作し、()(ばし)をかけないと“司法の塔”へは行けない仕組みらしい。

「ロビン…。」

 一向に助けを求めようともしないロビンを見て、ナミが呟く。

 それを見てジャスミンが口を開こうとした時だった。

「ワッ―――――ハッハッハッハッハッハッ!!!」

 品性の感じられない笑い声が響いた。

「このタコ海賊集団!!お前らが(いき)がったところで、結局何も変わらねェと思い知れ!!!この殺し屋集団“CP9(シーピーナイン)”の強さ(しか)り!!人の力じゃ開かねェ“正義の門”の重み(しか)り!!!何より、今のおれにはこの“ゴールデン電伝虫”を使い、“バスターコール”をかける権限がある!!!」

「…権力を持たせちゃいけない人間の見本みたいな人だな……。」

 唐突(とうとつ)に喋りだした、顔にベルトのようにも見える黒い仮面のようなものを付けた下品な男を見てジャスミンが呟く。

 台詞(セリフ)に全く正義感が感じられない上に、権力に執着する小物臭(こものくさ)さが(にじ)み出ている。

 言っている内容からして指揮官のようだが、良くそこまで出世出来たと感心する程だった。

(あのプライドの高そうな連中が大人しく従う程の器量(きりょう)があるとは思えないけど…。)

 よっぽどバックにいる人間に影響力があるのだろうか。

 それよりも気になるのは、ロビンが男の言葉に反応を見せたことである。

(“バスターコール”って何だっけ……?)

 ジャスミンが記憶を探っている間にも、男がロビンに対して聞くに()えない脅しを並べ立てていく。

 20年前に“バスターコール”によってロビンの故郷“オハラ”が消えた、という言葉に対し、サンジやチョッパーも怒りの言葉を発していた。

「やめて!!!それだけはっ!!!」

 (つい)に言葉を荒げるロビンを嘲笑(あざわら)いながら、男は言葉を止めない。

「ウ~~~ウ、良い反応だぜゾクゾクする。何だァ!?そりゃ、この“バスターコール”発動スイッチを押せって意味か?えっ!?おい…!!」

「それを押せば、何が起こるか分かってるの!!?」

「ロビン。」

「ロビンちゃん…。」

 悲痛(ひつう)(いろ)すら(にじ)ませるロビンの叫びに、麦わら一味やジャスミンも彼女の“恐れ”の一端(いったん)を感じ取るが、あの下衆(仮面の男)にはそれすらも娯楽(ごらく)となるらしい。

 いや、それともそれを感じ取れるだけの感性すら持たないのか…。

「分かるとも…!!!海賊たちがこの島から出られる確率が“0(ゼロ)”になるんだ!!この“ゴールデン電伝虫”のボタン1つでな・・・!!!何か思い出すことでもあるか?ワハハハハハハ!!!」

「そんな簡単なことじゃ済まないわ!!!やめなさいっ!!!」

「………んん?生意気(なまいき)な口を()くじゃねェかァ……!!!」

 ロビンの一喝(いっかつ)に、男が怒りで声を(ふる)わせる。

()()()()“オハラ”が消えたって言ったわね…!!地図の上から人間が確認出来る?あなたたちが世界をそんな目で見てるから、あんな非道(ひどう)なことが出来るのよ……!!!今ここで“バスターコール”をかければ、このエニエス・ロビーと一緒にあなたたちも消し飛ぶわよ…!!!」

「何をバカな!!味方の攻撃で消されてたまるかっ!!何言ってんだてめェはァ!!!」

「20年前……、私から全てを奪い大勢の人の人生を狂わせた……たった1度の攻撃が“バスターコール”…!!!」

 (つい)にへたり込んでしまったロビンが震える声で続ける。

「その攻撃が…、やっと出会えた気を許せる仲間たちに向けられた。私があなたたちと一緒にいたいと望めば望む程、私の運命があなたたちに牙を()く!!!私には海をどこまで進んでも、振り払えない巨大な敵がいる!!!私の敵は…、“世界”とその“闇”だから!!!」

 再び立ち上がり、真っ直ぐに麦わら一味を見詰めてロビンが叫ぶ。

「青キジの時も!!今回のことも…!!もう2度もあなたたちを巻き込んだ…!!!これが永遠に続けばどんなに気の良いあなたたちだって……!!いつか重荷(おもに)に思う!!!!いつか私を裏切って、捨てるに決まってる!!!それが1番恐いの!!!………だから、助けに来て欲しくも無かった!!!いつか落とす命なら、私は今ここで死にたい!!!」

 強い“思い”と“覚悟”が込められた叫びに、ジャスミンは言葉が見付からない。

「ロビン。」

「ロビンちゃん…。」

「そういうことか……。」

 麦わら一味たちは、何故(かたく)ななまでにロビンが彼らを(こば)んできたのかを知り、その“思い”に胸を()かれた者、理由を知って納得した者と反応は様々である。

「ワハハハハハハハ!!成る程なァ…、まさに正論だ!!」

 その空気をぶち壊す下品な笑い声が響く。

「そりゃそうだ!!お前を抱えて邪魔だと思わねェ馬鹿はいねーね!!ワハハハハ!!」

「……あの下衆(ゲス)、そろそろぶっ飛ばしても良いかな?」

 ()い加減、あの下品な笑い声と軽薄(けいはく)そうな顔を見るのもウンザリしてきたところである。

 いっそのこと、このまま感情のままに気功波(きこうは)をぶっ放したい、という衝動をジャスミンがどうにか抑え込もうとしている間にも、下衆(仮面)の言葉は止まらず、自らの頭上にはためく(はた)を指す。

「あの象徴(バッヂ)を見ろ、海賊どもォ―――――――――!!!あのマークは4つの海と“偉大なる航路(グランドライン)”にある1()7()0()()()()の加盟国の“結束(けっそく)”を示すもの……!!!これが世界だ!!!!盾突(たてつ)くにはお前らがどれ程ちっぽけな存在だかわかったか!!!この女がどれ程巨大な組織に追われて来たか分かったかァ!!!」

 (とら)()を借りる(きつね)ってこういう奴のことを言うんだろうな、とジャスミンがそろそろ我慢の限界に来た頃だった。

「ロビンの敵は良く分かった!」

 それまで口を閉ざしていたルフィが不意に呟く。

「そげキング。」

「ん。」

(あれ?これって確か……。)

 ジャスミンが朧気(おぼろげ)原作知識(記憶)を探り、ルフィの次の言葉を予測する。

「あの(はた)、撃ち抜け。」

「了解!!」

(あ、やっぱり。)

「!!?は?」

 仮面の男に構うこと無く、ウソップ(そげキング)が自らの得物(えもの)を構える。

「新兵器、巨大パチンコ。名を“カブト”!その威力とくと見よ!!!必殺…、“火の鳥(ファイアーバード)(スター)”!!!」

 ボオォウ!!!

 放たれた弾は瞬時に燃え上がり、その名の通りに“火の鳥”の姿を(かたち)()る。

 ドゥン!!

 そして、その狙いは外れること無く、世界政府を象徴する(はた)を真っ直ぐに撃ち抜く。

「さすが。パチンコであんなに正確に狙い撃つなんて……。」

「………!!!」

「………まさか。」

 感嘆の声を漏らすジャスミンとは対照的に、仮面の男は動揺のあまり言葉にならず、ロビンでさえ目を疑っていた。

「あ……、ああ!!………あいつらやりやがった…!!(はた)への攻撃の意味分かってんのか……!!?」

「やりやがったァ~~~~!!!!」

「海賊たちが…!!!“世界政府”に宣戦布告しやがったァ~~~~~!!!!」

 その所業(しょぎょう)に、“裁判所”や“司法の塔”を囲っている海兵たちも叫ぶ。

「正気か貴様らァ!!!全世界を敵に回して生きてられると思うなよォ!!!!」

「望むところだァ―――――――――――っ!!!!」

 予想外の出来事にテンパりながら叫ぶ仮面の男に、ルフィが凄まじい気迫でもって叫び返す。

 その瞬間、膨れ上がったルフィの気に、ジャスミンは一瞬ピリッと肌が粟立(あわだ)つのを感じた。

 まだまだ粗削(あらけず)りであり、自身には遠く及ばないが、それでも人を圧倒させる“気”の放流に器の違いを見る。

(これから“化ける”だろうな、ルフィくん…。)

 何だかそれがとても(まぶ)しいものにも見えて、ジャスミンは思わず目を細めてルフィを見詰めた。

「ロビン!!!まだ、お前の口から聞いてねェ!「生きたい」と言えェ!!!!」

「…ロビン!」

「ロビンっ!!!」

 ルフィの叫びを受け、麦わら一味が固唾(かたず)()んでロビンの返答を待つ。

「生ぎたいっ!!!!…!!!私も一緒に、海へ連れてって!!!」

 そして、ロビンもそれに(こた)え、(つい)に本音を吐露(とろ)する。

 その答えに、ルフィが不敵な笑みを浮かべたのが見えた。

 その時だった。

 ガコン…

 ゴゴゴゴゴゴ…

 重々しい音と共に、()(ばし)がゆっくりと下り始める。

()(ばし)が下りるぞ!!」

「あいつら、上手くいったみてェだな。」

「あまり無茶して、ケガして無ければ良いんですけど…。」

 チョッパーとサンジに続き、フランキー一家を思い浮かべながらジャスミンが呟く。

「ム…。武者震(むしゃぶる)いが…。」

 ガタガタと震えながら()せ我慢を呟く者、

「早く下ろせ。」

「悪そうな顔…!!」

 完全な悪人顔で戦いを待ちわびる者、そしてそれを呆れたように見詰める者など、良くも悪くも個性的な面々である。

「ぎゃあああ、来んなー!!!」

「……ルフィくん、あの下衆(ゲス)は私がぶっ飛ばすから。」

 情けない悲鳴を上げる仮面の男を見て、ジャスミンが指を鳴らした。

「おう。行くぞ!!!!」

 ボキボキ、とルフィもまた好戦的な笑みを浮かべ指を鳴らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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