摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について 作:ミカヅキ
ハッピーバースデー、ジャスミン!!!
今回が恐らく年内最後の更新になると思います。
ちょっと本編ネタバレすると、ジャスミンはガチで怒ると口調が変わる人です(笑)。
それではみなさま、良いお年をお迎えください!!
来年もよろしくお願いします!!!
━
ガチャガチャ…!
ガチャッガチャッ…!
ガチャッ……!ガチン!!!
「あ、開いた……!」
ドサッ!
「良し!」
「お――――!!」
パチパチパチ……!
「思ったんだけどよ……。」
「?どうしました?」
ポツリ、と呟いた
「これ、わざわざ鍵集めなくても、ロビンの
「確かに…!」
思わずハッとする。
それならば、わざわざ鍵を集めて回るなんてリスキーなことをしなくても良いではないか、と思い至った時だった。
『プルプルプルプル…』
『プルプルプルプル…』
「ん?」
不意に、誰かが口でプルプル言っている声が聞こえ、音のした方に目をやる。
見れば、カクがポケットから子電伝虫を取り出しているところだった。
『ガチャ。』
『
「は?」
ドンッ!!!!!
例の仮面の
ここに来ての
「う……!」
「ぐぉ…!」
「ひっ…!」
「くっ…!」
直接自分に向けられたものでは無いが、それをまともに受けてしまった4人の背筋に冷たいものが走った。
それは、太古の昔より生き物に刻み付けられてきた本能。圧倒的な強者を前にした、生物としての本能が彼らに
例え猫に襲う気は無くとも、圧倒的な強者というのは時に存在自体が恐怖となり得る。
かつて、
しかし、いくら怒りに気を取られたからと言ってジャスミンがここまで気のコントロールを失うことも珍しい。
いや、珍しいどころか初めてのことだった。
慣れない環境での生活と不安が、本人も自覚の無いままにストレスとなっていたのだ。わずかな感情の乱れが、既に呼吸にも等しい気のコントロールを
しかも、ジャスミン本人は未だにそれに気が付いていない。子電伝虫から語られる、
『・・・・・奪い去ろうとするバカどもを、より確実に
「へぇ………。」
ズンッ……!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!!
「うぐっ!」
「ぐぁっ!」
「ひぃっ!」
「くぅっ!」
とことん自分本位な考えしか持たない
「あっ。」
しかし、4人が再度
ガクンッ!
ドサッ!
「はぁっ…!」
「はっはっ…!」
「な、何だったんだ?今の…。」
「ちっ・・・・・!」
不意に消えた圧迫感に、4人はそれぞれ膝を付き、または尻餅を付いた。
地鳴りと共に揺れていた塔も、パラパラと細かい
『…島を離れて!!!エニエス・ロビーに“バスターコール”がかかった!!!島にいたら助からないわ!!!』
『余計なこと言ってんじゃねェよ!!!』
子電伝虫も怯えてはいたが、
ロビンの避難を
「……あの
既に落ち着きを取り戻してはいるものの、先程よりも一層低い声でジャスミンが呟く。
「“バスターコール”が……、かかったらしいわい…。」
「何をしとるんだ
カクとジャブラが仕切り直すように呟くが、内心では自身たちの長官に対し、考えつくだけの
眠っていた獅子を叩き起こしただけでなく、わざわざ尾を
先程、ジャスミンの本来の気の
ただでさえ勝てない相手が、怒りによってさらにその闘志を燃やしているのだ。例え100回
「おれたちもグズグズしちゃおれんぞ。」
「さっさと片付けて“正義の門”へ急がにゃあな………。」
カクとジャブラが、この場をいかに切り抜け、任務を
「……ブオオォオオォオ…!!!」
…ドカァン!!!
突然何かの生き物が
「な、何だ!?」
「この気は……?まさか?!」
「……ブオオォオオォオ…!!!」
徐々にジャスミンたちがいる部屋に近付いて来ているのがわかる。
「一体何じゃ…?」
ズドォオオ…ン!!!!!
「ブオオォオオォオオオオ!!!!!」
壁をぶち破り、5~6mはある“怪物”が部屋に飛び込んできた。
……チョッパーの帽子を被った“怪物”が。
「チョッパーくん……!!!」
「「何ィ!!!?」」
ジャスミンの叫びに、
「あれがチョッパーだと?!」
「うううわァ――――――!!!やめろ―――――――――っ!!!」
「ブオオォオオオオ!!」
ズドオォン!!!
我を忘れたように襲いかかる、チョッパーらしき“怪物”の爪をかいくぐりながらゾロがジャスミンに叫び返し、
「おい!!アレが本当にチョッパーか!?何でおれたちがわからねェ!!!」
「わかりません!!!でもあの帽子と角!それにこの気は間違い無くチョッパーくんです!!でも、あの姿は一体……?!」
ジャスミンも叫び返しながら、襲って来るチョッパーの爪を
「…様子がおかしいぞ…!!死にそうなのは…、あいつの方じゃねェのか………!!?」
「ブオオ…オオ……!」
見れば、先程飛び込んできた時よりも荒い息を
何よりも、どんどんとチョッパーの気が弱くなっていくのが感じ取れた。
「気が、どんどん弱く……!」
「どど…、どういうことだ?」
「あの姿でいることがとてつもねェエネルギーを食っちまうとか……!!放っておくと今にも力尽きそうだ…!!」
ゾロのその推測は、恐らく間違ってはいない。
こうしている間にも、チョッパーの気がみるみるうちに
「仕方無い……!」
他に方法を考えている時間は無かった。グズグズしていれば、チョッパーの命が危ない。
ジャスミンは真っ先に思い付いた手段に
ガッ!
ジャスミンがチョッパーから目を離さないまま、足元に転がっていたある物を蹴り上げ、右手でキャッチする。
「おい!お前何を……!!!」
「色々考えている時間はありません!
フッ…!
言うや否や、持っていたそれ━先程
「ブオ…?!」
見失った
ガチャン…!
巨大化したチョッパーの角に、
「ブオ!?」
ドクン…!
ドクン…!
ズズ…、ズズズズズズズ…!!!
チョッパーの体が数回跳ねた直後、ビデオの逆再生を見ているようにチョッパーの体がみるみるうちに縮んでいく。
コテン…!
そして、普段の2頭身に戻り、そのまま倒れた。
「チョッパーくん!」
「チョッパー!」
「チョッパー!おいおい、まさか死んでんじゃねェだろうな……!」
すぐさま駆け寄ったジャスミンがチョッパーを抱き起す。
「大丈夫……!傷は酷いけど、気絶してるだけです……!!!!」
「まったく…。
カクの、
少しでも戦いを有利に進めようとしているのか、会話の主導権を握ろうとしているのだろう。
「ふん……。笑ってねェで後悔しろよ………。…もう2度と来ねェぞ。今みてェな、おれを討ち取る
「ならば、続きといくとしようかの……。“
ガギギギィ!!!!
言葉と同時に放たれた“
「その長ェ首…!!」
たたんっ!!
カクが体勢を戻す前にゾロが前に踏み込む。
「弱点にならねェと良いな。」
「その心配は無いわい!!!」
ビュッ!!!
言うが早いか振り抜かれた刀を、その長い首を生かし、場所は全く移動しないまま首だけのけ反り
「首を自在に操るだけの
ほぼ同時に、ゾロが3本目の刀を
ビュッ!!!
「“
ドゴォン!!!
カクの鼻と、ゾロの3本の刀が激しくぶつかり合う。
ブォッ!!!
ビリ…ビリ…!
「うおっ!!!…何だ、側にいるだけでこの衝撃!!」
「鼻先で
その衝撃に空気が震えているのが分かる。
「おら!!!」
ギィン!!!
ボォ――――――――――…ン!!!
ゾロが
「あ、凄い。岩に四角い穴が開いた。」
「ひいぃいっ!!!何だ、あの鼻!!!っつうか、ジャスミン!お前注目するのがそこかよ!!」
「割らずに穴だけ開けるのって結構難しいんですよ?私も出来るようになるのに時間かかったし。鼻では
見事に鼻先が
「いや、しかし。なかなか能力をものにしてるな、カクの奴。」
ゾロとカクの、緊迫したやり取りとはまるで無縁のような顔でジャブラがそこに加わる。
実際のところ、カクがまんまとゾロと
「お…、
巨大パチンコを構え、
「ん?………そう
「そ!!そうだ!!お前の鍵は私がいただく!!!」
チャリン…!!
「さっさと持ってけ…。そして…、ニコ・ロビンを…救ってやれ。」
「……え?お…、お前一体…。」
「どういうつもり?」
「おれは本当は、人殺しなど…したくはねェんだ……。血が嫌でよ…。」
静かな声でジャブラがジャスミンと
「そ…、そんじゃ一応鍵は
「…そうですね。わざわざ無用な戦いをする必要はありませんし。」
その瞬間だった。
ジャスミンに向かって舌なめずりをしたジャブラに、
「ダメだ、ジャスミン!!危ねェ!!!」
「ぎゃはは!!」
ジャスミンが
「“
そして、ジャスミンが顔を上げた瞬間、10本全ての指から“
「!!!」
ジャスミンの体が、大きく前のめりになる。
「ジャ、ジャスミ―――――――――ン!!!」
「気を許すな。おれァ“
しかし、確かにジャブラの10本の爪が食い込んでいた筈のジャスミンの体が、不意に揺らぎ次第に
「え!?」
「何!!?」
「そんなことだろうと思った。」
全くの無傷のジャスミンが、ジャブラの後ろで静かに彼を
「お、お前!!一体いつの間に…!!どうやって消えやがった!!!!」
「“
「あんだと?」
ジャスミンの
「あなたは2つ間違いを犯した……。1つ、仮にも武を
ざり…
ジャスミンが静かに1歩、距離を詰める。
その
ジャスミンとはジャブラを
笑顔だが目が全く笑っていない、徐々に殺気すら
「来いよ、
ジャスミンがジャブラに向かって構えるが、その構えはこれまで見せていたものとは大きく異なる。
拳を開いて腰を落とし、やや体をひねって右手を顔の上にやや突き出し、左手を胸の前に構えていた。
既に口調まで変わっている。
(ヤバイ、チョー怖いんですけど…。)
全く関係の無い
………とんだとばっちりである。
‐用語解説‐
・フリーザ…ドラゴンボールにおいてのかつてのラスボスの1人。宇宙の地上げ屋で、ベジータの元上司。サイヤ人の故郷、惑星・ベジータを滅ぼしたのはコイツ。かの名台詞「わたしの戦闘力は53万です。」は、かつて日本中の読者を絶望に叩き落した。連載が進むにつれ、ドラゴンボール名物の戦闘力のインフレからは完全に置いていかれることとなったが、まさかの劇場版とドラゴンボール超によって華麗なる復活を果たした。原作での最期があまりにあっけなかったので時折雑魚扱い、完全なる過去の人扱いされることもあるが、仮にジャスミンが戦ったらワンパンで殺される。それぐらいの強敵。
・Z戦士…ドラゴンボール(主にアニメ・ドラゴンボールZ)においての主人公とその仲間たち、特に戦士たちの総称。
・残像拳…高速で動いて残像を残し、敵を翻弄する技。なんとなく「分身の術」的な技を想像してもらえれば大丈夫。