摩訶不思議アドベンチャーな世界に転生したかと思ったら一繋ぎの世界にトリップした件について   作:ミカヅキ

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お待たせしました!第54話更新です!!
ようやっと物語が動き出した、という感じです。
さぁ、これからどうなるのか、どうかお楽しみに!!


第54話 VS黄猿!そして現れる謎の男!!!

 ガッ!

 ドッ!

 ゴッ!

 拳と拳、蹴りと蹴りがぶつかり合う。

 パワーでは劣るジャスミンだったが、スピードでは黄猿に勝っていた。“ピカピカの実”の能力の特性を発揮されていれば分からなかったが、ジャスミンのスピードは黄猿にその余裕を与えなかった。

 しかし、海軍最高戦力の呼び声は伊達(だて)では無く、黄猿も見聞色(けんぶんしょく)と“(ソル)”を駆使(くし)して直撃を防ぎ、勝っているパワーで相殺(そうさい)(しの)いでおり、お互いに決定打はまだ与えられていない。

 ピュン!

 ジャスミンの猛攻(もうこう)の中、その合間を()って黄猿のレーザーがジャスミンに(せま)る。

 バシッ!

 が、事も無げに手で払い()けたジャスミンが、逆に黄猿へと間合いを一瞬で詰めた。

「!何…?!」

 瞬時に肉薄(にくはく)してきたジャスミンに黄猿が思わず息を()む。

「悪いけど、」

 カッ…………!!!

 言葉と同時に黄猿の目前に(かざ)された手のひらから、気功波(きこうは)が放たれた。

 ドォオ………ン……!!!

「あなたの能力じゃ、私には勝てない。」

「ぐっ……!」

「おいおい、マジかよ…?」

 いとも容易(たやす)く海軍大将を吹っ飛ばしたジャスミンと、吹っ飛ばされた海軍大将の姿に、息を()んでその攻防を見守るしか無かった“海鳴り”ことスクラッチメン・アプーが唖然(あぜん)とした声を洩らす。

 ジャスミンも黄猿も当然、“見物人(アプー)”の存在には気が付いていたが、大した相手では無いと捨て置いていたのだ。

「大したダメージじゃないでしょ?立ちなよ?」

 ザッザッザ…

 ゆっくりと距離を詰めながらジャスミンが黄猿を挑発(ちょうはつ)する。

 放たれた気功波(きこうは)は黄猿のみを的確に(とら)え、建物を始めとした周囲への被害は全く無かった。

 しかし、決して殺さないよう、そして周囲に被害を与えないようにそれなりに手加減されていたとはいえ、ジャスミンの気功波(きこうは)をまともに喰らった黄猿のダメージは大きい。

「こりゃあ…、参ったねェ……!」

 30m程吹っ飛ばされた黄猿だが、海軍大将としての意地とでも言うべきか、直撃を喰らった頭を(かば)いつつもゆっくりと身を起こす。

 黄猿こと、海軍大将ボルサリーノは“ピカピカの実”の“光人間”。その体は“光”そのものであるが(ゆえ)に、同系統の技である気功波(きこうは)とは本来相性が良く、相殺(そうさい)する事が可能である。

 だが、同じような性質を持つと言っても、気功波(きこうは)はただのレーザーとは異なり、その名の通り体外に撃ち出された“気”そのもの。活用方法が多少異なるものの能力者の弱点となり得る“覇気”と、その根本(こんぽん)は全く同じ。

 “光”であるが(ゆえ)に熱光線は通じずとも、“気”による衝撃そのものを打ち消す事は出来ない。仮に、黄猿が持つ“気”がジャスミンと同程度かもしくは上回っていたならば、完全にその攻撃を無効化する事も(ある)いは可能であっただろうが、ワンピース(この)世界では“悪魔の実”の存在(ゆえ)にか、“気”を操る技術がドラゴンボール世界(地球)に比べて発展していない。ドラゴンボール世界(地球)ではそこそこの実力者として認められているジャスミンの攻撃を()なす事は出来なかったのだろう。

「話には聞いちゃいたが…、ここまでの“化け物”だったとはねェ……。」

「…さっきも言ったけど、“光人間”には言われたくない台詞(せりふ)だね。」

「……これだけの力を持っていながら、何でまたァ“麦わら”たちとつるんでるんだい…?」

 フラフラとよろめく体を何とか平行に保とうと努力しつつ、黄猿がジャスミンに問う。

「別につるんでるって訳じゃない。友達の助けになる事は別に不思議でも何でも無いでしょ?………そんな事より、」

 淡々と答えていたジャスミンが、不意に振り返らないまま左手を後ろに向けた。

 ズオッ………!!!

 ドガァンッ………!!!!!

 後ろを振り返る事無く唐突(とうとつ)に放たれた気功波(きこうは)が、後ろに忍び寄っていたバーソロミュー・くまそっくりの人間兵器“パシフィスタ”を直撃する。

「くだらない会話で気を引いている間に後ろから襲うのが海軍のやり方?」

 ドガッ!!

 バチッ…!

 バチバチッ…!!

 背後で小さな爆破を繰り返し、火花を散らしている“パシフィスタ”に構う事無く、ジャスミンが黄猿を(なじ)った。

「…正攻法じゃ(かな)わねェ相手にゃァ、汚い手使ってでも任務を成功させるのが海兵ってヤツだよォ。」

 流石(さすが)に年の(こう)と言うべきか、全く顔色を変える事無くしれっと答える辺り(つら)の皮が(あつ)い。

 そのやり取りに、見物に回らざるを得なくなった周囲の方が背筋が寒くなる。

 空気を読んでとっとと撤退した“ホーキンス海賊団”の面々はともかく、出て行くタイミングを完全に逃したアプーや、黄猿がジャスミンに(けしか)けるまで“パシフィスタ”と交戦していた“赤旗(あかはた)”ことX(ディエス)・ドレークも、引き上げるタイミングを逃してしまいその様子を見守るしかない。

「“中将殺し”ジャスミンか…。何て強さだ。あの“パシフィスタ”をああもあっさりと……!」

 特に(わず)かでも()()を知るドレークが受けた衝撃は大きかった。自身も先程までの交戦で決して浅くは無い傷を負っていれば尚更(なおさら)である。

「…1つ聞きたいんだけど。」

「オォ~、何だい?あっしが答えられる事なら答えてあげるよォ~。」

 (いま)だダメージの抜け切らない黄猿が、少しでも回復までの時間を(かせ)ぐべくジャスミンの申し出に頷く。

「あの“兵器”…。“元”はどうやって手に入れたの?」

「……どういう意味だァい?」

 ジャスミンの発言が完全に予想外だった、と言わんばかりの表情で黄猿が目を細める。

()()、完全な“アンドロイド”って訳じゃないよね?自我は完全に()()()たけど、あれは“サイボーグ”だ。完全に改造されたらしい今となっちゃ()()()()も同然だけど、“元”は普通の人間だった(はず)…。仮にも“正義”を(かか)げる機関が人体実験何てして良い訳?」

「………。」

 侮蔑(ぶべつ)(あら)わに問いかけてくるジャスミンに、黄猿が無言で返す。

「どういう意味だ、ありゃ…?人体実験?人間を改造ってオイ………!」

 妙な緊張感が(ただよ)い、異様な沈黙の走るそこに、1人話についていけていないアプーの呟きが嫌に響いた。

 少なからず()()を知るドレークは、沈黙を保ったまま目を伏せる。

「顔だけバーソロミュー・くまそっくりに整形したっていう線はまず無い。体格までそっくり同じっていうのは考えられないし、何よりいちいちそんな無駄な事をする理由も分からない。次に、バーソロミュー・くまそっくりの兄弟を改造したっていうのも考え難い。くまに兄弟がいるって話は聞かないし、仮に兄弟だったならくまに負けず劣らず戦闘経験が豊富でもおかしく無いのに、さっきの()()はとてもそうは思えない…。1番可能性が高いのは、さっきの()()はくまの“複製(クローン)”じゃないかという事。本来なら“複製(クローン)”と言っても姿形までオリジナルとそっくりになる事は無いけど、あれだけの改造技術があるなら、“複製(クローン)”を創り出す段階でオリジナルとそっくりに調()()出来てもおかしく無いもの。違う?」

「オォ~。残念だねェ…。それはあっしには答えられねェ質問だよォ~…。」

 確信を持って問いかけるジャスミンに、黄猿は答えをはぐらかす。

「…そう。じゃあ、良いや。取り()えず私も色々忙しいからさ、しばらく寝ててくれない?」

 そう言って、ジャスミンが再び気功波(きこうは)を放つべく右手を構えた瞬間――――――――、

「!」

 ジャスミンが何かに気付いたようにハッと顔を上げ、構えを取った。

 ガキィッ!!!!

 瞬時に目の前に現れた男が、ジャスミンに襲い掛かる。迷い無く顔面を狙ってきた拳を、(すん)での所で両腕をクロスさせてガードした。

()っつ………!」

 “気”でガードしているにも関わらず、骨まで響くような激痛がジャスミンの両腕に走る。

 しかし、ジャスミンが距離を取るよりも早く、男がそのまま逆の手でジャスミンの鳩尾(みぞおち)を打つ。

 ドゴォッ…!!!

「ぐっぅ……!!!!」

 衝撃で息が詰まり、ジャスミンの体がくの字に曲がる。

 ガッ…!

 そのまま倒れ込みそうになったジャスミンを、男がその前髪を(つか)む事で引き上げる。足が覚束(おぼつか)無い中、前髪を(つか)まれているせいで無理やり体を支えられた。

「ガホッ…!ゲホッ……!!」

 咳き込みと共に嘔吐(えず)きながらも、呼吸を整えようとするが衝撃で肺を痛めたのかなかなか思うように上手くいかない。吐き出した胃液には血が混ざっていた。

「こっの……!!!」

 ズォッ……!!!

 痛みを(こら)えながら気功波(きこうは)で男の顔を狙う。

「!」

 気功波(きこうは)が放たれるより一瞬早く男がジャスミンを離し、大きく上に跳躍する事でそれを避けた。

「何者だァい…?海軍じゃァねェが、海賊にも見えないねェ…。」

 ジャスミンが襲われた瞬間、“ピカピカの実”の能力で距離を取っていた黄猿が呟く。

 そしてアプーやドレークも、突然の乱入者に驚きを隠せなかった。海軍大将を相手に一方的に勝負を進めていたジャスミンが手も足も出ない相手。

 そして何よりも、

「う、浮いてやがる……!」

 そして、ジャスミンもまた驚愕していた。

舞空術(ぶくうじゅつ)…?!それに、この“気”はまさか…!!?」

 ジャスミンの視線の先、彼女の前方上空100m程の所に()()()()()()のは、奇妙な模様の仮面を着けた1人の男。

 顔は仮面で分からないが、その出で立ちには見覚えがあった。

 そして何よりもその“気”。自身が()()()()()()と良く似た“気”。

 

 

 

 ――――――――――――(つい)に、ジャスミンにトワからの刺客(しかく)が放たれる!!!

 


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