この物語の視点はこの物語を読んでいる「あなた」です。
地の文は全て「あなた」視点で書いていく予定です。
物語に入ったような感覚で読んでいただけると幸いです。
第1話
……
…………
………………声が聞こえる。
「んー?なかなか起きないね」
「ふん、よくもまぁこんなところで寝ていられるものだ。物好きもここまで来ると尊敬に値するな」
「いやいや、この人だって好きでこんなところで寝てる訳では無いと思うよ?……たぶん」
そんな会話が飛び交う中、【君】はゆっくり目を開けてあたりを見回す。
いつもの見慣れた景色ではない事は一目ででわかったと思う。
確かに周囲は建物に囲まれて地面にはアスファルト………………なのだが、建物と言ってもコンクリート造りではなく主として煉瓦造りの建物が大半を占めており元の世界で言えば日本の街並みと言うよりかは西洋の街並みという方が近いかもしれない。
上半身を起こした【君】がそのまま視線をあげると、会話をしていた2人のうち長髪の少女の方と視線が合った。
「あ、起きたぞ?」
その言葉を受けて少女と会話をしていた少年も視線を【君】の方へ向けた。
「本当だ。【君】、大丈夫?どうしてこんなところで寝てたのかは詳しく聞かないけどさ、寝るならなるべく自分の家で寝たほうがいいんじゃないかい?やっぱり首都とはいえ、盗賊とかの類が全くいないとはなかなか言い切れないからね。危ないよ?」
と、目の前の少年は言う。
聞いている限り心配してくれているようだ。
しかし、どうにも頭の整理がつかない。
「どうしたの?そんなに驚いた顔して。もしかして、自分がここで寝てた理由を自分でもわかってない、とか?」
少年はまさかねと言いながら聞いてくる。
そう言われても【君】が残っている最後の記憶を辿って行ったとしてもこの場所に全く見覚えがないのも事実。
「君」は首を横に振るしか出来ない。
「あらら……」
「ふん、二日酔いの類で記憶が飛んだか?」
そう言ってふんと鼻を鳴らす少女はシルバーが基調で毛先がほんのりと青紫色をした長髪と濃い紅、所謂ワインレッドの瞳をしており、つり目が印象的な少女。そして、一番目を引くのは、その右腰に指した刀だろうか。
「いやいや、二日酔いって…………まさか」
と、【君】の前で苦笑しているのは男にしては珍しいシルバーのミディアムショートで気持ち薄く赤紫が毛先に混ざっている、少女と同様ワインレッドの瞳を持つ少年。何処か少女より優しさを感じる中性的な顔立ちをしている。
「君」は未だに混乱している頭の整理のため、それからほんの少しばかりの興味に駆られてこのふたりに質問をすることにした。
2人は一体何者で、且つ、此処は一体何処なのか?
「ん?あぁ、そう言えば私達の自己紹介がまだだったか。私は桔梗。
少女が名乗る。
「僕は
続いて少年が名乗り、【君】に手を差し伸べてくれた。
その手を掴んで立ち上がる。
「それで?君は?名前とか覚えてるかい?」
少年に引っ張られて立ち上がった【君】は服に着いた土を軽くはらいながら彼らに向き直り、自分の名前を名乗る。
それから、記憶は曖昧で唯一覚えていることはここに来る直前に不思議な雰囲気を持つ人物と会話をした事くらいだと言うことを伝えた。
前の世界ではどのような人生を送っていたのかまではどうしても思い出せない、と付け加える。
「なるほど。道理で。雰囲気がどこか違うわけだ。異世界からの来訪者、か。色々と腑に落ちた」
【君】
「記憶欠如って所かな。そうだね、此処は天界、魔界、人間界の三界が交差する惑星『トライアース』。恐らく君が以前住んでいたであろう世界とは同じようで全く異なる世界、だと思う。そして此処は、そのトライアースの首都『ルイン・ベース』にある大通りから少し離れた脇道だ。そして、私達はそのルイン・ベースに住んでいる双子。これで満足か?」
「ま、簡単に言ってしまえばそんなところ。それからついでに言わせてもらうと、此処に来たからにはもう二度と元の世界には帰れないから、そのつもりで」
半ば上の空で聞いていた【君】は真の最後の一言で我に返った。
「あらら、やっぱり分かっていなかったか。ま、もう遅いから諦めなよ」
ニコニコしながらサラリと恐ろしい事を口にする真と名乗る少年に【君】は驚きと戸惑いを隠せずにいた。
すると、
「言葉を選べ、馬鹿が。不安にさせてどうする。」
桔梗が真の頭をドついた。
「すまんな。デリカシーの欠片も無い奴で。とは言え、これも何かの縁。楽しんだもん勝ちだ。」
そう言ってパチッとウィンクする桔梗に【君】は安心感を覚えるのだった。
かくして、異世界に飛んだ【君】と出会った異世界の兄妹。彼等の物語はここから始まった。
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まずは
トライアース編始動します♪