Angel Beats! ~First Love~ 作:ナナシの新人
球技大会翌日の放課後。
パソコンが設置されている部長席に座り、いつもの様に作業をしていると勢いよく扉が開いて、
「好評みたいだよっ!」
「ほんとっ?」
「うんっ」
三人は、大騒ぎしている。
話題は、今朝掲載した報道部の創刊号。
「特に反響があったのが、ガルデモのスクープ記事!」
「まぁ、そうでしょうね」
生徒会チームの参戦により、球技大会の野球の優勝チームへのインタビュー記事は取りやめ。生徒会チーム全員が、野球部レギュラーだったということで結果だけの掲載に差し替えました。
そこで、空いてしまった小さなスペースに追加したのが「
彼女がいうトルネードとは、私のうどんが犠牲になった、食堂で生徒たちから食券を巻き上げる
「だけど、ショック~。
「だね......」
「
「うん? そうっすね~」
新ボーカル、ユイさんの特徴を思い出す。
「かわいい子ですよ」
小柄で活発な印象。クールで美人な
「野球の決勝戦に出場ていたツーサイドアップの子です」
「ああ~、あの子なんだっ」
一緒に取材をしていた
「いつも、体育館南側の駐車場で弾き語りしているそうです。固定ファンも居るみたいでした」
「そうなんだ、今度聴きにに行ってみよっか?」
「うん」
「はいはいっ、お喋りはそこまで。さぁ始めますよ、テスト勉強」
新しいボーカルの話で盛り上がってるところを教科書を机に置いて遮る。
「うわぁ~......」
「一緒にテスト勉強しようと言ったのは、あなたたちしょ?」
「は~い」
テストまで、後一週間。今日からテスト終了まで、学園の部活動は強制休部。追い込みのモード。16時、報道部での勉強会を終えて今度は、
「おじゃましまーす」
「いらっしゃい、お茶を入れてくるわ。くつろいでて」
彼女が、部屋を出ていったのを確認して先日見つけた『
「全文英語か......」
本の内容は日本語での解説は無く、全て英語。専門用語も多い。
「お待たせ。どうぞ」
「ありがとうございまーすっ」
お茶とお菓子をいただきながら、勉強会開始。
「先週は苦手教科でしたから、今週は得意教科にしましょう」
「お願いするわ」
「えっと、先ずは~......」
教科の時と同じように教科書の最初のページ、基礎の基礎から始める。勉強開始から集中して、きっちり一時間で今日もおしまい。筆記用具を片付けていると
「もう、
「はい。もうひと月になりますから」
「もう、そんなになるのね。学園生活は、どう?」
「そうですね......」
星ノ海学園では、生徒会長として特殊能力者保護を最優先に行動していた。平日の授業中、休日でも呼び出しがあれば直ぐに調査に直行。時には暴力や、脅しで力ずくということも多々ありました。何もなかった放課後は、ビデオカメラを片手に聞き込みや雑誌などを読んで情報収集。
そんな日々の中で唯一と言っても良い楽しみは、ご飯と「
それでも、もう二度と私たちの様な犠牲者を出さないために行動してきた。
「新鮮です」
朝起きて、着替えて、ご飯を食べて、登校してクラスメイトと世間話をする。ああでも、これについては正直予定外でした。本来、
それまでは私から話していた事もあり、いくら
「そう。じゃあ、もう未練は晴れそう?」
「未練、ですか?」
「うん。この世界に来た人たちは、生前何かしらの未練を持っているわ」
未練。
「
やっぱり、そうなんですね。
彼女は、
* * *
翌日の朝、登校する前に今勉強したところを復習をして欲しいと伝え、晩ごはんを食べるために大食堂へやって来た。
「いっぱいですね」
「そうね」
食券を夕食に替えたのはいいんですが、テスト期間のためか普段よりも人が多い。空いているテーブルを探して二人で歩いていると。
「あっ、
「ん? ああ......」
声を掛けられた方を見ると、報道部のみんなが居た。
「ここ、二席空いてるよー」
彼女たちがいる四人掛けのテーブルの隣に、二人掛けのテーブルが空いていた。お礼を言って、
「行きましょう」
「いいの?」
若干遠慮気味の
「もちろんですよ。迷っていると、
「行きましょ」
「はやっ!」
まるで瞬間移動したかの様に、席に着いていた。
牛タン定食の乗ったトレイを置き、正面に座って手を合わせる。
「いただきます」
「いただきまーすっ。ん~んっ、おいしいな~っ」
久しぶりに食べる牛タンに舌鼓を打つ。
リーズナブルな学食の中でも高級メニューのひとつ。球技大会のお礼に、ガルデモチームが奢ってくれました。
「会長さん、スゴいですね。激辛で有名な
「そうかしら?」
「辛いのが好きなんですか?」
「うーん、取り立てては」
夢中に箸を進めていると、みんなと
「じゃあ、
「え? 私、
レンゲを目線の高さまで持っていって、真っ白な豆腐と真っ赤なタレを見つめている。
「会長さんって、しっかり者だと思ったら意外と天然なところもあるんですね~」
「......昔、同じ様な事を言われた気がするわ」
どこか懐かしむような
* * *
「さて、行きますか」
消灯時間後
「あいことばー」
「
カチッとロックが外れ、扉が開く。
「入って」
「おじゃましまーす」
部屋に入り扉を閉めて、内側から鍵を掛ける。
「今日は、あなたに話しておく事があるわ」
「なんすか?」
「明後日のテスト。あたしたちは、ある
「この作戦の目的は、名誉の失墜」
「そんな事に意味があるんですか?」
「少なくとも、生徒会長としての威厳は保てなくなる。そこで、天使がどう出るのかを知りたいのよ」
「はぁ、そうですか」
「あまり乗り気じゃなさそうね」
「まあ、一緒に勉強してますし。それが無駄になってしまう訳ですから」
私から視線を外してた
「あなたが、天使を気に掛けてるのは知ってる。だけど、今回だけは......」
「
しばらく間が開いた。いえ、一瞬だったかも知れません。
「......そんなの認められない。あたしは、あたしたちは彼女と、天使と何年も......何十年も戦い続けて来た。いつの日か、神への糸口を掴めるそう信じて――」
認められないんでは無く、認めたく無いんすね。
葛藤していることは、目に見えて分かる。
「確信が欲しいのよ。天使が、天使で有るか否かの――」
「はぁ......わかりました。今回は、目をつむります」
「そう言ってくれると助かるわ」
緊張感のある声から、いつもの声色に戻った。
「ですが。なぜ、あたしに作戦を話したんですか?」
「もし、予めあなたに話さず後から
「さぁ~、どうでしょーか」
「惚けなくていいわよ。あたしとしては、あなたを敵に回したく無いのよ、
「はい、協力費。買収って言った方がいいかしら?」
「どっちも同じっしょ。いただきまーすって、なんで冷蔵庫があるんすか?」
「ああ、あれ? ギルドの連中に作って貰ったものよ」
「ああ~......土くれから、銃とかの武器を作ってる地下組織っすね」
「そ、構造さえ知っていれば何でも作れる訳。まったく、便利な世界だこと」
「あなたからは?」
「“
「ええ、天使のパソコンの中にアプリケーションがあったけど。それが、どうしたの......?」
「そのパソコンの隣に、解説書がありました」
「ちっ、暗くて気づかなかったわ。内容は?」
「ソフトウェアのプログラミングに関する事だと思います」
「なるほど......ナイスな情報よっ。調べてみる価値がありそうね!」
「それは良かったです。では、そろそろ戻ります。ご馳走さまでした」
空き缶を持って、立ち上がる。
「ちょっと待ちなさい」
「はい?」
「ひとつ忠告しておくけど、あまり
「経験があるんですか?」
「この世界に長く居れば、あなたにもわかるわよ」
そう言うと
「じゃあ、おやすみ」
おやすみなさい。と挨拶を返して部屋に戻る。
この時、いつも強気な