Angel Beats! ~First Love~ 作:ナナシの新人
昼休み。大食堂は、いつもと同じように大勢の生徒たちであふれかえっていた。券売機で購入した食券をカウンターでご飯に替えて、空いているテーブルを探す。上に視線を向ける。二階は相変わらず、
私も今は、
「いただきまーすっ」
今日のメニューは、
レンゲで、すくって見る。白い豆腐まで真っ赤に染まっていて、見るからに辛そうなのが伝わって来る。頼んだことを後悔しそうになったが時既に遅し、意を決して口に運ぶ。
「よし......。あ、あーんっ」
「相席、いいかしら?」
「ん?」
口に入る寸前のレンゲをお皿へ戻して、声の主を確認。
トレイを持った、
「どうぞー」
「ありがとう。
「はい。
「そう。どうだった?」
「これからっす」
再びレンゲを持ち上げて、
「おいしいっす!」
「そう。
「もう一口......っ!?」
もう一口運ぼうと思ったら、猛烈な辛さが口の中に広がった。急いで水を飲む。
「ぷはぁ~......おいしいんすけど、あたしには、お米が無いと無理みたいです......」
「そう。......うまいわ」
この激辛を、お米なしで食べれるなんて......しかも汗一つかいてないないし。私は素直に、麻婆豆腐丼にして食べることにした。
「ん?」
気配を感じて振り向くと、いつかの様に
「
「はい、ゆりっぺさんから伝言です。定例会議に参加してほしいとのことです。......そちらの天使も」
「私も?」
無表情のまま
「わかりました。伺います」
「お願いします。それでは、失礼します」
しかし、私にだけではなく、
「
「とりあえず、“
「そうっすか」
ゆりさんから、変更後のログインパスワードを教えてもらったとは言え、新たにプログラミングし直すのは大変みたいですね。
午後の授業を終え、部室へ向かい、ビデオカメラを持って聞き込みを行う。聞き込みの内容は、神社や教会の有無について。手当たり次第に十人ほどに聞いてみたところ、誰も知らないとのことだった。
もしかしたら、郷土資料があるかもと思って図書館へ足を運ぶと。
「
「ん? ああ、お前か。どうした?」
「お願いしたいことがありまして」
図書館内の購買で売っている録音用のCDを渡して、「
「
「内緒でお願いしまーす。それに、そのアルバムなら問題無いと思います。今まで何度も聴いてますので」
ここに来てから、何度も聴いた「
「わかった。じゃあ、異変が起きたっていう新曲は除いて録音しておいてやる」
「はい、お願いしまーす。では、部室に戻りますので」
図書館を出て部室に戻り、作業をしていた三人に用事があることを伝えて、普段よりも少し早めに部活動を早めに切り上げる。ビデオカメラを持ったまま、女子寮の自室へ戻って
「じゃあ行きましょー」
「うん」
二人で、
定例会議開始時間の17時ちょうどに、本部を構える校長室のドアの前に立つ。
「
合言葉を言う。すぐにカチッとトラップが解除された音がして、ゆりさんが出迎えてくれた。
「来たわね。いらっしゃい、二人とも」
「誰が来たんだ? ゆりっぺ......天使ッ!?」
「止めなさい。彼女は、あたしが呼んだの」
「どう言うことだよっ、ゆりっぺっ!?」
「だから、それを今から説明するのよ。わかったら、銃を下ろしなさい」
臨戦態勢に入っていた幹部メンバーたちは、ゆりさんの命令を聞き入れて武器を下ろした。私は空いている、ソファーに座り。
「さて、全員揃ったことだし、いつも通り定例会議を始めるわよ。
「はい。本日の報告ですが、緊急事態が発生しました」
眼鏡をくいっと触り、神妙な
「戦線史上最大の危機と言えます。本部に、天使が襲来しました!」
「はい、報告ご苦労様。じゃあ説明するわ」
ゆりさんは、
「今日、ここに集まってもらったのは他でもない。今まで幾多の戦闘を繰り広げてきた“天使”について重大な報告がある」
「そっか。だから今日は、チャーも居るんだね」
「ええ、その通りよ。
――チャーさん。地下で戦線の武器製造を引き受けているギルドを仕切ってる人。顔を動かして、本部内を見回すと。入り口付近の壁に寄りかかっているひげを蓄えた作業着姿の男性が居た。あと、
ゆりさんは、一人一人の顔を見てから、ゆっくりと話し出した。
「天使は、天使ではなく。あたしたちと同じように生前未練を残し、この死後の世界に来た魂を持った人間だったのよ」
「何の冗談だ、ゆりっぺっ!?」
「そうだよっ、何度も刺されたんだよっ? 主に
怒号に近い声が飛び交う。
「ゆり。どういう訳か説明してくれ」
チャーさんが、冷静に聞いた。
「ええ、もちろん最初からそのつもりよ。
「“
威圧感のある刃に、メンバーの警戒心が一気に高まる。
「彼女の、この力。あたしたちは、神から与えられた
「どういう意味だよ?」
戦線全員の意見を代表する形で、
「この力は、プログラムされたものだった。“
「はい、僕が説明します。あと僕のことは、ク――」
「いいから、さっさと説明しろよ!」
「簡単に説明すると“
「――って、事は......」
「そう。つまり、彼女の“
「マジかよ......。けど、だったら何で俺たちと対立する必要が有ったんだ?」
「彼女なりの理由があった。そうよね?」
その理由は、生徒会長としての義務。ただ、それだけ。私は、
「そういう訳で彼女は、天使じゃないわ。あたしは、彼女の生前の未練についても直接聞いた」
「ゆりっぺが言うなら、俺は信じる」
「わたしもだ」
「俺は正直、まだ混乱してる。けど、人間だったとしても、今は狂暴な天使なんだろ? なあ?
そう。これが今、一番ネックになっている問題。
昨日の朝、目覚めた
「
「......ああ。みんな、聞いてくれ」
ゆりさんの隣に立ち。私に話したこと、同じ思いの丈をぶつけた。目覚めた
「貴様ッ! 俺たちを消し去るのが目的だったのかッ!?」
「
「違うッ! 俺、
「けど、今は違う!」
顔を上げてた
「みんなに俺と同じ思いをして貰いたい。そして、みんなで一緒に、ここから卒業したいんだッ!」
「
「それは、わからない......。けど俺は、今もここに居る」
確かに心残りが解消されている
「新しい心残りが出来たんじゃないんすか?」
「
「生前の心残りが消えてもなお、ここに存在しているとなれば、新たに心残りが出来たと考えるのが自然かと」
「どうなんだ、
「そうかも、しれない......。いや、そうだ。記憶を取り戻した時俺は、みんなにも幸せな想いを持って、ここから卒業してもらいたい。そう、心から思った!」
「なら、確定ね。それが、新しい未練よ。その想いが、あなたを死後の世界に縛り付けてる」
「じゃあ、みんなも心残りを解消しても、何か新しい心残りを見つけられれば――」
「消えずに残れるってことね」
ざわつく本部内に「聞いてっ」と、ゆりさんの声が響き渡り、彼女に注目が集まる。
「もう、戦線が敵対する天使は居ない。唯一だった、神への手懸かりも完全に失われたわ。ここから先は、個々の判断に委ねる」
「お前は、どうする?」
彼と私、
「あたし? あたしは、本来の目的を遂行する。理不尽な人生を敷いた神を必ず見つけ出す。そのために
「うん」
「もう、ここから先は強制しない。今まで散々振り回しておいて、今さら自分で決めろだなんて身勝手にもほどがあるけど......」
静まり返る、本部内。
沈黙を破ったのは、
「水くせえぜ、リーダー。俺たちから始まった戦線だろ? だから最初に、初期メンバーの俺たちに話したんだろ?」
「
カチャ、っとドアが開く音が聞こえた。チャーさんが、廊下に出ていた。彼の背中に向かって、
「チャー、行っちゃうの?」
「ああ。天使が人だったのなら、俺がやることは一つだ」
「戦線を抜けるのかよッ!?」
「そんなっ、待ってよっ」
「勘違いするな、神を倒す武器を作る。そこの元天使よりも遥かに強敵だろうからな。地下の連中には、俺から話して各々選ばせる」
「ええ、お願いするわ」
「ああ、じゃあな」
そのまま、扉を閉しめる。
「他のみんなは......まだ決められないわよね。何日かかってもいいわ。誰の意見にも流されず、自分で考えて答えを出して。以上、解散っ!」
ゆりさんの解散宣言。
けど、誰も校長室を出ようとはしない。
「どうしたのよ? 解散よ」
「もう答えは決まってるっての。なあ?」
みんな、チャーさんと同じように反応だった。
――ホント、スゴいリーダーっすね。この人。嫌われ者だった生前の私とは、まるで正反対。
「あんたたち......。
「ああ、それな。まあ、いいんじゃねぇか。もう、新しい心残りが出来ちまった訳だし」
「何よ、それ......?」
ゆりさんは首をかしげて、
「決まってんだろ? 神を見つけ出して、みんなで一緒に
「
「
――ほんと......キザな台詞っすね。
顔を上げたゆりさんは、キリッとした
「これより、我々死んだ世界戦線は本格的に神探しを開始するっ! みんな、あたしについてきなさい!」
改めて、決意を表明した。