Angel Beats! ~First Love~ 作:ナナシの新人
Another epllogue
「どこだ? ここ......」
自分のおかれた状況を理解できず、思わず声が溢れ落ちた。
目の前に広がる景色は、見たことのない風景。
白線が引かれたグラウンド、ナイター設備が完備されている球技場。見覚えのない複数の建物。
そして、どこまでも続く広大な森が、ここは、私の知らない世界だと告げているような気がした。
「おや。やはり、ここでしたか」
「――っ!?」
突然、背中から聞こえた声に驚いて振り向く。
制服らしき服を着た男子が、建物に繋がる扉から歩いてきて、二メートルほどの距離の位置で立ち止まった。
「誰だ? テメェ......」
警戒心を強め、ドスを利かして問いただす。
すると男子は「これは、失礼しました」と、右手を左胸に添えて、会釈をした。
「僕は、この学校――天上学園の生徒会長を務めている者です」
――天上学園。
記憶を探ってみても心当たりがない。初めて聞く学校名だった。自らをこの学校の生徒会長と名乗った男子は、私の疑問を見透かしているように、軽く微笑んだ。
「あなたも、制服を着ているじゃないですか」
コイツは食えない、直感的にそう感じた。
「授業は、既に始まっていますよ」
「......授業?」
「はい。ここは、学校ですから。あなたの席も、教室に用意されています。ご心配なく」
「どういう意味だ?」
「言葉通りに捉えて頂ければ結構です。ここは学校。そして、あなたは学校に在学する生徒、ということです」
そう答えると、私の隣に移動して、どこか遠く眺めた。
「混乱するのも無理はありません。ここに来た
「なんだそりゃ? まるで、人間以外がいるみたいな言い方だな」
「なかなか鋭いですね。その通りです。僕も、その中の一人、
意味不明な答えに、返す言葉が見つからない。
生徒会長は、絶句している私を後目に話を続ける。
「この世界には、外から来た人間と、初めからこの世界にいる人間が混同して存在しています。後者の住人を、
「彼女たち?」
「遠い昔の方々です。既に卒業しています」
「卒業?」
「興味があるのなら、図書館――」
腕を伸ばして、グラウンドの近くにある建物を指差し。今度は、振り返って反対側の建物を指した。
「もしくは、学生寮に足を運んでみるといいでしょう。あなたの疑問を解決する手懸かりになり得る物があります」
それだけ告げると、私に背を向けて、校舎内へ戻っていく。
私は、ただ、その背中を見送ることしか出来なかった。
* * *
校舎を出た私は、図書館へ足を運んでいた。
正直なところ、あの生徒会長とやらを信用しているわけじゃない。
しかし、自分のおかれた状況を知るためには、あの男子のいう手懸かりになる物とやらを探す以外の選択肢がないだけだ。
だが、ここの図書館は想像以上に広かった。どこに何があるのかさっぱり分からない。仕方なく、しらみ潰しに探し、展示室のショーケースに保管されていた、卒業文集を見つけた。
ケースには鍵が掛かっていたため、カウンターに戻って、職員に開けて欲しいことを伝える。展示室に向かう途中「授業は?」と聞かれ、サボりと答えると可笑しそうに笑った。ここの生徒は、真面目なヤツが多いみたいだ。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
卒業文集を受け取り、礼を言う。文集は読み終えたら、錠を掛ければいいとのこと。職員が教えてくれた、読書室の机で読むことにした。
机に置いた文集の表紙には、手入れの跡がいくつも見受けられた。それが相当、古い書物であることを物語っている。
目を閉じて、小さく息を吐く。読書は苦手。それでも気合いを入れて、読む決意固める。
文集のタイトルは――死後の世界日誌。
あまりにもふざけたタイトルに決意が揺らぎそうになった。
気を取り直して表紙を捲り、読み始める。
苦手なはずなのに、自分でも驚くほど集中して読みふけっていた。気がつくと、最後のページに辿り着いていた。
背表紙を閉じ、ひっくり返す。
「死後の世界日誌......か」
このふざけたタイトルの卒業文集を書いた筆者の経験談に、大きな衝撃を受けた。
* * *
「はぁ~、つかれたー」
一日の授業を終えて、女子寮へ戻る。
最後の授業体育だったから、いつも以上に疲れた。汗もかいたし、ニオイも少し気になる。こんなこと気に留めていなかったあの頃の私は、随分ガサツだったんだなと実感した。
「あっ、あたしも行くっ」
妙にハイテンションで、一緒に行こうと提案してきた。先に風呂に行くかな、と小さく呟いた声を聞き逃さなかったようだ。
「じゃあ、ここで待ち合わせな」
「うんっ」
一度別れて、着替えを持って、エントランスに戻る。まだ来ていなかった。それもそのはず、私の部屋の方がここに近い。自販機前のベンチに座って、来るのを待つ。
死後の世界に来てから、まだ三日。
まだ三日にも関わらず、生きていた時とは違う生活を楽しんでいる私が居た。
それは全て、初日に読んだ文集のせいだ。
ベンチを立ち、エントランスに保管されている文集を手に取って、最後のページを開く。大勢の生徒が集まって写った集合写真。今、私が着ている制服とは違う人が多い。けど、みんな笑顔なのは同じだった。
私も、いつかこの写真のように、笑って卒業できる日が来るのだろうか。
「お待たせー」
「ん? 来たか」
文集を閉じて、元の場所に戻す。ベンチに置いておいた着替えを持って、寮内に完備された大浴場へ向かう。ふと、窓の外が目に入った。冬が近いからか、早い時間にもかかわらず月が出ていた。今日は、満月だった。
「さっき、なに読んでたの?」
「ああ、卒業文集」
「ああ~」
納得した様な
「何だよ」
「別に~」
あの卒業文集には、この死後の世界に来る理由もかかれていた。それは、生前の心残り。
「ったくよ。ほら、さっさと行くぞーっ」
「あっ、待ってよーっ、
パタパタと足音が聞こえる。
いつも、私の後を着いてくる。まるで妹みたいな奴だ。
私の心残りは、突然の事故死で、妹に......両親に別れの言葉を告げられなかったこと。
正直、私の心残りが晴れるかは分からない。
けれど、卒業文集の最後のページに書かれた
もし、この文集を読んでいるあなたに、生前の記憶が。心残りがあるのなら。
きっと、突然見知らぬ土地で目覚めたあなたは、どうすればいいか分からず、混乱していることでしょう。
でも、大丈夫。
この世界は、とても優しいから。
長い時間を遠回りをしてきた私たちから、あなたに一つだけお願いがあります。
好きなことをして、悔いなく過ごして下さい。
そして、いつの日か。ここを去る、その時には――。
あなたが幸せな記憶を持って、笑顔で卒業できることを願います。
卒業文集製作・企画――。
天上学園生徒会。死んだ世界戦線。報道部。
この文集の
だから私は、この写真に写るこいつらよりも楽しんでやろうと思う。
そして、もし生まれ変わって再び巡り会う事が出来たのなら......その時は――。
言えなかった感謝の言葉を伝えようと、心に誓った。
Angel Beats! -First Love- Fin.
* * *
あとがき+設定。
完結から一ヶ月弱。今更感もありますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
今作の構想を立て始めたのは、前作の終盤辺り。
出来る限り原作の世界観を壊さない様に、と心掛けて考えました。
そこで掲げたテーマが『約束』。
なので『First Love』というタイトルでありながら、恋愛描写は殆ど入れず。特に、
○主人公が『
一通りの構想が出来上がったころ主人公どうするか悩みました。
元から決まっていたのは主人公は『女性』と云う事のみ。理由は『ゆり』『
そこで原作おいて『もう誰も信じないように』と発言していた
○主人公のパートナー。
オリキャラは早い段階でボツ案になりました。
ぶっちゃけ消去法でしたが、
○オリキャラ三人娘。
○『
これにつきましては原作アニメ完結当初から上がっていた説を自分なりに矛盾が無いように考え、まず一番最初に
原作でゆりが『魂を喰われた』と発言していましたが
これについては漫画『Angel Beats! -Heaven's Door (#62参照)』にて、
これなら辻褄は通るなー、と。完全に個人的で勝手な妄想ですけど思いました。
○今作において何か疑問等がありましたら活動報告、感想、メッセージなどでお答え出来ればと考えております。
では、以上になります。
最後に、初投稿から四ヶ月弱。不定期で投稿を予告した日に間に合わない事も多々ありましたが、呆れること無く最後まで長々とお付き合いいただき。そして、こんな拙い文を読んでお気に入り登録、感想、評価をしてくださいましたみなさまに、この場をお借りして改めてお礼申しあげます。ありがとうございました!
Another epllogueの設定。
参考資料。
○Angel Beats! (アニメ)
○Angel Beats! -1st beat-
○Angel Beats! -1st beat- パーフェクトビジュアルブック
○Angel Beats! Heven's Door
○Charlotte (アニメ)
○Charlotte (漫画)
○Visual Art's/Key.