Fate/Diplomat   作:rainバレルーk

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何故にこんな状況になったのか。

アキト「それは会談前の別視点に遡る」

では、どうぞ・・・・・



会談前

 

 

 

「なんだって・・・!?」

 

「アーチャー陣営とセイバー陣営が会見する?!」

 

「?」

 

ランサーとの同盟を取り付けた翌日。

突然のアキトからの報告に雁夜とウェイバーは、暇潰しに桜と作っていた折り紙を放り投げた。なにをそんなに吃驚しているのか解らない桜は、コテンと首を傾げる。

 

 

「ほう。それは誠か、バーサーカー? ALalaaaIii!」

 

「おん。今夜、冬木教会でするそうな。大方、同盟か休戦協定の話し合いだろうよ。KUAAAAAッ!」

 

カチャカチャ・・・

 

驚く自分達のマスターを放っておいて、なんとも冷静にアキトとライダーの二人はドンが買って来た暇潰しのレーシングゲーム『エフメガ』にシェルス共々躍起になっていた。

 

 

「でも、どうして今になって? WANABEEE!!」

 

「なんでもセイバー陣営のお嬢さん、アインツベルンの話だと俺達対策だとよ。あ!? インコース入られた!!」

 

「なんでそんな事をバーサーカーが知っているんだよ?! というか、お前らゲームを止めろ!!」

 

「「え・・・あ!」」

 

「ダハハハ! 余の勝利だッ!」

 

「なにゲーム如きで勝ち誇ってんだ、バカ!」

 

ウェイバーの声に気を取られたアキトとシェルスの隙を見逃さず、ゴール手前でライダーがターボボタンを連打して勝敗が決まった。

自分が勝った事にライダーはガッツポーズをとり、ウェイバーに頭を叩かれる。

 

 

「ウェイバー君の言う通り、なんでそんな大事な事を知っているんだ? 普通ならバレないように秘密裏で行われるものだろう? 一体どうやって?」

 

「カカカ♪ マスター、ウチにはファミリーきっての天才頭脳の持ち主がいるんだぜい」

 

「え?」

 

バタンッ!

 

ニヤリとほくそ笑む彼の言葉に雁夜が疑問を語ると突如、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。

 

 

「た、助けてくれッ!!」

 

慌てて入って来たのは、なんとも魅惑的な容姿をした泣き黒子のある男、ランサーだ。その彼の頭には、何だかよくわからない医療器具が填められている。

 

 

「ど・・・どうしたんだよ、ランサーッ? そんな青い顔して」

 

「助けてくれウェイバー殿に雁夜殿ッ! 追われているのだ!!」

 

「追われている? 一体誰に?」

 

ウェイバーの経験上見た事もない位に顔を青くして、彼の後ろに隠れるランサー。その姿は、まるで震える小鹿のようだ。

フィン騎士団が一番槍『輝く貌のディルムッド』をここまで怯えさせる者とは一体どんな者なのか。

 

 

「・・・ランサァアア・・・」

 

「ひッ!?」

 

「の・・・『ノア』ッ?」

 

ランサーの飛び込んで来た扉の奥からゆっくりと現れたのはラベンダー色の髪を三つ編みにし、白衣を身に纏ったヴァレンティーノファミリー随一の頭脳を誇る天才科学者『ノア』であった。

 

 

「逃がしゃあへんでランサー・・・!」

 

「なんでノアちゃんが、ランサーを・・・・・あ、『黒子』の影響か」

 

雁夜はノアがランサーを追う理由は、彼の呪いとも言える保有スキル『愛の黒子』によるものだと推測する。この黒子は無作為に異性を惚れさせてしまう効果を持ち、並の魔力耐性を持たない者にはとんでもない効果を発揮する。しかし、どうやら彼女は違うようだ。

 

 

「アンタのマスター、ケイネスの為にも・・・その健康的な身体を色々と検査せなアカン。そして、あわよくば・・・フフフ・・・」

 

「「なんか不穏な事言ってる!?」」

 

「ヒィイッ!」

 

ノアはランサーのような逞しい健康体が、動かず冷たくなる所に萌えを見出すという究極のギャップ萌えの所持者であった。

そんな今まで言い寄って来た異性とは違う彼女の迫り方に身の危険を感じたランサーは、こうしてノアのとんでも検査から逃げ出したのだ。

 

 

「怖がらんでもいいんやでランサー。ちょっと、ほんのちょっとだけ・・・薬漬けにするだけやから」

 

「充分恐ろしいわ!!」

 

「ノアちゃん、ちょっと落ち着いて・・・」

 

後ろで震えるランサーを庇いながら、雁夜とウェイバーがノアを諫める。

 

 

「・・・別に代わりにアンタらがなってもいいんやで?」

 

「「どうぞノアさんのご自由に」」

 

「えぇぇッ!?」

 

「今や! 行けッ、介護ハザード!!」

 

「「ハザァアアド!」」

 

「うわァアアアアアアアッ!!?」

 

だが、絶対零度の眼と見も凍る恐ろしい言葉にすぐさま二人はランサーを差し出す。差し出されたランサーを彼女の一声で現れたチュパカブラが看護服を着たような人造医療福祉生物『介護ハザード』が、えっちらおっちらと彼を研究室まで運び去っていった。

 

 

「なんとも騒がしいが・・・何かあったのかね?」

 

「まぁ、ウチではいつもの事ですよケイネスさん」

 

「げッ!?」

 

「げッ・・・って、ウェイバー君・・・」

 

なんとも間の抜けた断末魔と入れ替わり立ち代わりで部屋に入って来たのは、ドンの右腕ロレンツォに車椅子を押されるケイネスだ。

彼が入って来たことで、今度はウェイバーが雁夜の背に隠れた。同盟を結んだとはいえ、ウェイバーとケイネスのわだかまりは融けていなかったのである。

 

 

「おん。ドンとの話はもういいのかい、アーチボルト卿?」

 

「ああ、実に有意義な時間を過ごさせてもらったよ」

 

同盟を結んだあれから、ケイネスはドンやロレンツォと共に語り合っていたのだ。

何故、山羊なのに人語を返せるのか。どうして、袋を被っているのか。そして、どうやってサーヴァントとして召喚されたのか。等々、ケイネスが気になる事全部をドン達に聞いた。

 

 

「あのような素晴らしい吾人がまだ世界にいたとは・・・私もまだまだ未熟であるな。それにロレンツォ殿のドン殿へのあの並々ならぬ愛・・・・・私も見習わなくては・・・!」

 

「これは照れますね。ケイネスさんのソラウさんに対する愛も中々のモノです」

 

「いやはや、お恥ずかしい」

 

「「ハッハッハッ!」」

 

「え・・・ケイネス先生・・・?」

 

「ろ、ロレンツォさん・・・?」

 

その話し合う中で、ロレンツォの暑苦しい程のドンに対する愛に共感を覚えたケイネスは負けじとソラウに対する愛も語った。それがキッカケで二人は何故か意気投合してしまったのである。

そんな二人のやり取りに雁夜とウェイバーは若干引く。

 

 

「しかし・・・こんな立派な方々がどうしてあのような三流の魔術師と同盟を結んでいるのか、不思議でならないな・・・」ギロリ

 

「ぐ・・・ッ」

 

朗らかな表情から一転、ケイネスの鋭い眼光が雁夜の後ろに隠れるウェイバーを貫いた。

 

 

「まぁまぁ、ケイネスさん。折角同盟を結んでいるんですから、物騒な事は止しましょうよ」

 

「甘い! 甘いぞ、ミスタ雁夜! 貴君がそのような態度をとるから、この小童めが調子に乗るのだ!」

 

「し、しかしですねぇ・・・」

 

「おじさんをいじめないで・・・ッ!」

 

ケイネスは雁夜に対してガミガミと注意するが、二人の間に桜が入る。彼女はケイネスに対して大よそ幼女とは思えぬ念の籠った眼を注す。

 

 

「ほう・・・(中々、肝の据わった娘だ。それに・・・)」

 

「ちょっと桜ちゃん!? すいません、ケイネスさん」

 

「いえ、構わんよミスタ雁夜。申し訳ないね、小さな騎士さん。君の姫様をいじめて。許してくれるかね?」

 

「・・・うん」

 

桜の瞳に何かを感じたのか、ケイネスは何とも紳士的に対応した。

 

 

「・・・ケイネスさん・・・!」ジロリ

 

パンパンッ

 

「はいはい、言い争いはそこまでだ。いいな、雁夜姫さん?」

 

「な・・・ッ!? バーサーカー、お前まで!」

 

「ロレさん、ドンは?」

 

「聞けよッ!!」

 

喚く雁夜をスルーして、アキトはここにはいないドンの事をロレンツォに聞く。彼から聞くところによるとドンは、研究室に向かったという。多分というか、絶対にランサーの検査、もとい実験を見る為であろう。因みにここにはいないもう二人、ソラウとガブリエラは、ソラウをランサーから隔離する為に別の部屋にいる。

 

 

「さて、お茶羅毛話はここまでだ。先日、ドン達が街に出回った時に街中にばら撒いてくれたノア特製の超高性能小型ロボット、通称『ミニ首領』からアーチャー陣営とセイバー陣営が会合するという内容が報告された」

 

『あろー!』

 

アキトの掌の上には、小さな土方作業着に身を包んだドンそっくりのロボットが元気に叫んでいた。

 

 

「気づかれずに相手の行動を把握するとは・・・それにその技術力!」

 

「ノアの技術力は目を見張る物があるなぁ」

 

「・・・あ・・・ッ」

 

偵察行動に感心するケイネスとウェイバーを余所に一人雁夜は、アキトの表情から何かを読み取る。何とも言い表せない『嫌な予感』を。

何故なら、それを説明する彼の口角が耳まで裂ける位に引きつり上がっていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 





雁夜「我が身が危険な予感!」

アキト「ビシッと決めて来い、マスターッ!」

こうして、『会談』に繋がるのであった。
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