年が明けましたね。
仕事納めが31で、仕事開きが2だった自分には実感が薄いです。
アキト「こういう人間の上に正月は成り立っているんだなぁ」
それでもやるよ、だって目標だもの。
アキト「俺の復活までくたばるなよ」
わかった。という訳で、どうぞ・・・・・
「さて・・・聡明偉大なるブリテンの騎士王さま。こんな夜分に突然なんの用事かしら? 王様といえど、礼儀がなっていないのではなくて?」
ジャラジャラと白銀のリボルバーを回転させながら、ガンナー『シェルス・ヴィクトリア』は、セイバー『アルトリア・ペンドラゴン』に問いかける。
「・・・・・ッ」
チャキリ
だがセイバーは彼女の問いかけに答える事はなく、代わりに聖剣の切先を向けた。
シェルスはその切先から、アインツベルンの庭園では見せなかった彼女の濃厚な殺気を直に感じる。
「・・・・・そう。それが貴女の『答え』ってワケね。そう、なら・・・・・貴様は『私達の敵』だ!」
ズガンッ!
シェルスは正確無比な一発を射出する。
弾丸の速度は通常の其れであるが、彼女の早撃ちは普通の人間には感知できないものであった。
「ハァッ!!」
ダンッ
されど相手は最優のサーヴァント。
セイバーは難なくそれを回避し、一気にシェルスとの距離を詰めていく。
「直情的でなんの躊躇もない前進。良くも悪くも騎士らしいわね。なら、これは?」
ダダンッ!
「?!」
ボグォオン!!
此方へ迫るセイバーを冷静に観察したシェルスは、セイバーの進行方向に向かって発砲する。
銃口から飛び出した弾丸は地面に直撃した途端に爆発。大量の土を巻き上げ、セイバーの視界を覆った。
「ッく!」
セイバーは爆発の直撃を寸での所で回避するが、土煙に邪魔されて、シェルスの姿を見失ってしまった。
ズダン!
ダダンッ!!
「!」
そんな土煙に紛れ、何所からともなく銃弾の雨が降り出す。
ボグォオン!
ドグォオンッ!!
「ッ!!」
しかもセイバーがこの攻撃を避ければ、銃弾は独りでに破裂し、更に土煙をあたり一杯に撒き散らす。
流石にスキル『直感:A』を保有している彼女とて、この攻撃を何時までも躱しきる事は出来ない。
「ならばッ!」
セイバーは降り注がれる銃弾の雨の一瞬の隙をつき、聖剣に魔力を注ぐと剣は蒼白い光を放っていく。
「風よ、荒れ狂え! 『
ビュオオオオオオオオ―――ッ!!
その魔力が込められた聖剣をセイバーが一たび振えば、ハリケーンのような暴風が吹き荒れ、辺り一面の土煙を掃った。
「ッ!?」
しかし、土煙の先にいるであろうシェルスの姿は彼女の瞳には映らなかった。
「『
「ッ!」
変わりに聞こえて来た声に釣られ、上を向くと―――
「『
ズザザザザザザッ!!
幾十、幾百もの血の槍がセイバー目掛けて襲って来るではないか。
シェルスは『
「ハァアアアアアアアッ!!」
ガキキキィイイ―――ッン!
迫りくる無数の槍を一太刀で斬り払っていくセイバー。されど斬り溢した刃は確りと彼女の頬や甲冑へ傷を付けていく。
「URYYYYYYYッ!!」
「ハアアアアアッ!!」
重力によって下降していくシェルスは、まるで吸い寄せられるかのようにセイバーとの距離を詰めていく。
其れと同時に剣戟の速さと衝撃波増していくばかり。
「『
ガキィァアァアッン!
遂に手が届くような距離へと達した二人に火花が散り、到底一般人には知覚どころか認識さえ出来ない戦いは激しさを増していく。
「テアアアッ!!」
ブシュッ!
セイバーの一撃が刺突撃の合間を抜けて、シェルスの左胸を切り裂く。
防刃防弾を施されたヴァレンティーノファミリー特製のコートであろうとも彼女の聖剣には耐えられなかった。
致命傷とまではいかないが、鮮血が噴き出し、赤のコートをもっと赤く染める。
「WANABEEEEEッ!!」
「!?」
ギキキィイイン!
だが、シェルスは止まらない。
それどころか先程よりも剣速があがり、セイバーを徐々に追い詰めていく。
ガギィイッン!
幾度となく鍔迫り合いが起こり、得物がひしゃげそうな音を何度も響かせる。
「ハァ・・・ハァ・・・ッ!」
「URYYy・・・ッ!」
二人は複数の打ち合いの後、距離をとった。
両者の力はほぼ互角。どちらかが自らの『とっておき』を出さない限り、戦いは平行線のままであろう。
「・・・ふぅ・・・」
「?」
するとシェルスが得物に使っていた細剣を仕舞い、右懐の内ポケットから掌大の『鉄塊』を取り出した。
鉄塊は六角形の形になっており、同じように六角形にへこんだ中央にはローマ数字が描かれている。
「すぅー・・・・・『我が敵に敬意と恩讐を』」
「!」
一呼吸置いた彼女が詠唱の一節を唱えると辺りの空気がガラリと変貌した。
風が靡き、大気が歪んで月を雲で覆い魔力が彼女を中心に渦を巻いていく。
「『我に憎悪と希望を織り込んだ刃を』」
「させない!」
あれは宝具開帳の詠唱だとセイバーは気づき駆け出す。
だが、もう遅い。遅すぎた。
「顕現せよ、武装錬金ッ!!」
ドジャアアアアアッン
眩い光が暗闇を照らしていく。
徐々にその光が次第に落ち着いていき、雲に隠れた月が再び彼女を明るく照らす。
「『
月光に照らされたシェルスの両太腿には4本のマジックアームが取り付けられており。そのアームの先には鋭利な銀の刃があった。
ザンッ
「・・・・・」
彼女の変貌に警戒したのか。セイバーは動きを止め、彼女をよく観察しようとした。
パチリ
「・・・え?」
けれど彼女がまばたきをした次の瞬間、セイバーの視界からシェルスが消えた。
たった一度の瞬きだ。1秒にも、0.1秒にも満たない刹那の間に視界から消えた。
さっきまで直ぐそこにいた相手が霞のように消えた。
どこにいったのだろか?
「貴様の後ろさ」
「!?」
ザシュッ!
気づいた時にはもう遅い。
銀の刃は腹部の白銀の甲冑を抉った。
されど、セイバーは上体を前へと傾けて回避する事で肉体への直撃を防ぐことには成功した。
「ヤァアアアアアッッ!」
「おっと」
ギィイイッン!
セイバーはすぐさま態勢を立て直し、渾身の一撃を叩きつけるが、敢え無くも二本のアームに防がれ・・・
ジャキッ
「はい、チェックメイト」
「う・・・ッ」
もう二本のアームを経静脈と頸動脈部分に当てた。少しでも刃が横に動けば、確実に喉を掻き切れるだろう。
しかし、シェルスはそれをしようとはしなかった。
それは何故か。
「ねぇ・・・そろそろ教えてもらっても構わないかしら? 急になんでこんな事を?」
「・・・」
気になったからだ。
ここまで戦って来て、セイバーの動作や攻撃に疑問を持ったからである。
「さっきの攻撃もそうだけれど、ここまでの戦闘で貴女の攻撃は雑で粗削り。まるで冷静さを欠いたような・・・」
「ッ・・・!」
「・・・当たりね」
シェルスはセイバーの戦い方を知っている。倉庫街でのランサーとの闘いは勿論、キャスター討伐の武功も観ていた。
本来ならば清廉潔白で物怖じしない胆力に裏打ちされた戦闘技術。聖剣エクスカリバーを差し引いても、充分な戦士であろう格を持っている。そんな騎士と戦えば、負けはしないだろうが、苦戦は強いられるだろうと彼女は思っていたのだ。
だがどうだ。先の戦いではそれが感じられなかった。なんだか猪のようにただ敵を斬り結ぶ事しかないような初陣首のような危うさを感じたのだ。
「なにがあったの? 教えて・・・いや、この場合は・・・『答えろ、アルトリア・ペンドラゴン』かしら」
「・・・白々しい」
彼女の言葉にやっとセイバーが答えたと思ったら、紡がれたその言葉は、なんとも嫌悪感にまみれた忌々しそうな口調で放たれた。
「『白々しい』とは、とんだ言いようね」
「何を言うか! サーヴァントである私ならともかく、アイリスフィールを狙って謀るなど言語同断ッ!!」
「・・・・・は?」
シェルスはセイバーがちょっと何を言っているのか理解できなかった。
「バーサーカーなれど騎士道に通じた筋を持っていると思っていたが、まさかこのような卑劣な手を―――」
「ちょ、ちょっと待ってセイバー! どういう事? 私達がアイリスフィールを謀ったって・・・」
「それが白々しいと言っているのだ!」
それからセイバーはここに来た理由を喋り出した。
公園でセイバーが雁夜と別れた後、彼女の本当のマスターである『衛宮 切嗣』に令呪によって隠れ家としていた家に強制転移されるとそこには息も絶え絶えな『久宇 舞弥』が血を流して倒れていた。
抱き上げた舞弥から事情を聞くによるとあのバーサーカーがアイリスフィールを連れ去ったと言ったのだ。
だが・・・
「セイバー・・・私達はアイリスフィールを誘拐なんてしていないわ」
「ッ! なにを言うか!! 舞弥が倒れていた場には、確かにバーサーカーの魔力の残り香が!!」
「・・・ああ・・・そうか、そういう事だったのね・・・」
セイバーの話でシェルスはある疑問が払拭された。
アイリスフィールが連れ去られたという時間の前にセイバー陣営の監視に着けていた『ミニ首領32号機』の反応がロストしたのだ。
「糞ッタレ! 利用されたって事か!!」
「え・・・ッ?」
シェルスはセイバーに当てていた刃を降ろし、酷く忌々しい口調で悪態を放った。
反応が消えたミニ首領の一部動力には、聖杯戦争用にバーサーカーであるアキトの血が使われていたのだ。
それを何者かが作為的にアイリスフィール誘拐計画に使い、バーサーカー陣営に罪を着せたのである。
「本当に・・・違うのですか?」
「本当よ! 第一こっちは雁夜が行方不明でそんな暇ないっての!! あ~・・・まさかこんな事で拠点を襲撃されるなんて・・・・・」
「え・・・え~と・・・」
先程まであれ程途轍もない殺気を放っていた相手がとんでもなく動揺している様にセイバーはどうしていいか解らなくなってしまった。なにぶんと彼女にとってこんな事は初めてだ。
「とにかく! コッチはアイリスフィール誘拐に関しては完全ノータッチ! わかった?!」
「け、けれど・・・なら一体誰がアイリスフィールを!!」
「そんなの知らな・・・・・ッあ・・・」
いる。
セイバー陣営の者を誘拐し、それをバーサーカー陣営に擦り付けて得をする人物が。
「こ・・・言峰ェ~・・・ッ!!」
其の者はアーチャー陣営と密かに繋がり、各陣営の情報を集め、そして雁夜を誑し込んで家から飛び出させた人物。
そう。アサシンのマスターであった男、『言峰 綺礼』である。
「言峰・・・? 確か彼はアサシンが脱落した事で、聖杯戦争から抜けた筈では?」
「警戒していた筈なのに・・・糞ッ、まんまと嵌められた!!」
「えッ、ちょっとどこに?」
「帰るのよ! 消防車のサイレンも聞こえて来たし、貴女も退散しないと」
「え・・・え~・・・」
シェルスは悪態を吐きながら、燃える屋敷の方に向かって歩を進める。
彼女の行動に驚きつつも、セイバーが帰ろうとした。
・・・その時。
「・・・え・・・ッ!?」
何とも言いようのない衝撃がセイバーの身体に伝わったのだ。
「ん? どうしたの―――って・・・ちょ、ちょっと!!?」
異変に気付いたシェルスが振り向くとそこには聖剣を天に振り上げるセイバーの姿があったのだ。
しかも辺りからは、キャスター討伐戦で見た金の粒子が舞い上がっている始末。
これはヤバい。
「セイバー!! 貴女、まさか!!」
「ち、違います! これは私の意志では有りません!! 切嗣ッ、やめてください!!」
『『令呪』による強制』。一度下されれば、もう後戻りは出来ない絶対なる命令。
例え、英霊といえどもマスターの使役するサーヴァント。逆らえる訳がなかった。
「この! って、うわッ!?」
シェルスは宝具の使用を止めようとセイバーに駆け寄るが、もう遅い。
発射シークエンスに入ったセイバーの周りは『風王鉄鎚』以上の暴風が壁になっていたのだ。
「やめろ・・・やめろォオオオオオッ!!」
シェルスの悲痛なな叫びが闇夜に轟く。
「すまない・・・もう遅い・・・」
だが、無情にも黄金の粒子を纏った聖剣はギロチンのように振り下ろされた。
ドンや桜達がいる屋敷に向かって・・・・・
←続く
無情にも放たれた勝利の剣・・・
屋敷に残った彼等の命運はどっちだ?
果たして、次回はどうなる?!