暗殺教室・その転校生、未来人で、仮面ライダー!   作:真田丸

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 仮面ライダーキカイの世界観がアレ、この小説の未来の時代みたい?
と失礼なことを思ってしまいました。

そしてゲイツ「お前が今やるべきことは勉強だ!」➔「お前が今やるべきことは寝る事だ!」・・・どっちだよ!





速水の時間②

雲1つない晴天の下を元気いっぱいに歩き回る弟の姿を見ていると矢田は自分の顔が自然と笑顔になっていくのが分かった。

 

医師の話だとまだしばらくは入院することになるがこの調子なら来月には退院できるらしい。

 

 

「おね〜ちゃん!早く、コッチコッチ!!」

 

「今行くよ!」

 

大きく腕を降りながら叫ぶ弟の元へ向かおうとした矢田の視線がなぜか弟の上方、病院の屋上へと向かった。

 

「・・・・えっ?」

 

屋上に人影が見えた。基本的に屋上への出入りは禁止されており本来人がいるはずはない。しかも、そこに居たのは矢田がよく知る人物だった。

「・・・・凛香?」

 

先程の階段ではわずかに見えた程度だったため断言は出来なかったが。

今度は間違いない。そこにいるのは確かにE組の友達、速水凛香だった。

 

その友達が今、屋上から真下にいる弟を見ていた。

普段ならそんな気にならない。むしろ、弟に自分の友達を紹介していただろう。

 

だけど今日のこの時は何故だか恐怖を感じた。今すぐに弟を速水から隠さないといけないと思わずにいられなかった。

 

そして次の瞬間にはその胸騒ぎが間違っていなかったことが分かった。

 

「エッ凛香!?」

 

速水は屋上に置かれていた植木鉢を持つと一切の躊躇もなく下にいる矢田の弟へと落とした。

 

「―――ッ!?危ない!!」

 

この時、すぐさま動けたのは日頃の訓練のお陰だっただろう。

弟に向かい跳び抱き締めながら地面に倒れ込んだ。

その直後、矢田のすぐ後ろで鉢植えが音を立てて割れた。

 

「キャァーー!!」

 

近くにいた看護師の悲鳴と共に周りの人たちが集まってきた。

 

「イッタ!?」

 

何が起こったのかまだ理解できずにいた弟の無事を確認をしようとした矢田だったが膝に痛みが走った。

見ると僅かに血が出ていた。

 

少し擦りむいた程度で大したことはなかったがそれを見た弟は自分のせいで大好きなお姉ちゃんがケガをしたと思い泣き出してしまった。

 

「大丈夫、お姉ちゃんは大丈夫だから!」

 

泣き止まそうと声をかけるがそれでも弟は泣き止まなかった。

矢田の心に速水への怒りが沸き起こりキッと屋上を睨む。だが、速水はそんな矢田をあざ笑うかのように屋上から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメン、速水お待たせ!」

 

突然の腹痛に襲われた杉野は10分ほどに及ぶ激戦を終えようやくトイレから出て来た。急いでベンチに戻ったがそこに速水の姿は無かった。

 

「アレ?帰っちゃったのかな・・・」

 

ベンチを見てみるとお茶のペットボトルとバットが置かれたままだった。だがそこで杉野は自分の大切な大山選手のグローブが無いことに気付いた。

 

「アレッ!?どっどこ行ったんだ!!?」

 

辺りを見渡してみるがグローブはどこにも見当たらない。杉野が焦りだしていると少し離れた茂みから速水がニヤニヤ笑いながら出てくるのが見えた。その手には何故かナイフが握られてありそしてそのニヤリ顔が杉野に向けられるとそのまま公園から走り去っていった。

 

嫌な予感がした杉野は必死に頭の中で(そんなはずない)と否定しながら茂みへと走った。

背の高い草を払っていき開けた場所に出た瞬間、すぎのは目に移った光景に杉野は膝から崩れ落ちた。

 

「あっ・・・アア・・・・・ッ!」

 

そこにはズタズタに斬り付けられたグローブが無残な姿で捨てられていた。

 

 

 

デートを楽しみながらも前原は背を向けている速水の様子がどうも気になっていた。

 

店に入ってきてから10分は経っているが注文をする気配もなくただ静かに席に座っているだけだった。

 

「・・・・ねぇ前原くん、聞いてる?」

 

「エッ!?アア、聞いてるよ!」

 

そんな前原の様子に相手の女子は不満を抱いた。

彼女、【牧原 宇美】との付き合いはまだ短いがE組のマドンナである神崎に引きをとらない容姿であり前原はかなり本気であった。

 

このままじゃダメだと思い一度顔でも洗って来ようと考えた。

 

「ちょっとゴメン」前原が席を立ち店の奥に消えていくと同時に今まで微動だにしなかった速水が立ち上がると前原たちの席に近付いた。

 

「ちょっと良いかしら?」

「エッ?はっはい・・・・」

 

見ず知らずの人に話しかけられ戸惑う宇美に対し速水はニヤリと笑う。

 

 

 

しばらくして気持ちを切り替えした前原が席に戻ると速水の姿は無く宇美も何故か俯き何かを堪えるように震えていた。

 

「いや〜お待たせ」

 

前原が笑顔で話し掛けるとその直後、宇美によって右頬を叩かれた。

 

「ひどいよ!前原くん私だけじゃなくて他の娘たちともデートしてるんでしょ!?」

 

「なっ!?何でそれを!」

 

「前原くんのクラスメイトの娘が教えてくれたの!「アナタもただ遊ばれているだけよ」って!もう・・・私に近付かないで!!」

「あっちょっとまッ・・・・!」

 

前原が呼び止める間もなく店から出ていった。

取り残された前原だったが、話を聞いていた周りの客からの軽蔑の眼から逃れる様に足早に店を後にする。

 

宇美が言っていたクラスメイトが誰なのか?そんなものは考えるまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

次々と集まってくる猿たちに倉橋は平等に餌を与えていく。

本来、猿山にはボスを頂点とした縦社会が築かれてあり下の者は上へと餌を譲らなければならない。

だが、倉橋が餌を与えるときはそんな縦社会が存在しないかのように全ての猿が餌にありつけられる。

 

自然と生き物と心を通わすことができる。倉橋の1つの才能と言えた。

 

そんな彼女の才能は今、多くの人を笑顔にしていた。そして、それを見る彼女もまた笑顔を浮かべている。

 

(あれっ?あそこにいるのって・・・・?)

 

親子連れがほとんどのお客の中に友達がいることに気づいた。

 

(やっぱり凛香ちゃんだ!お〜い!!)

 

流石に他のお客の手前声を出すことはしなかったが速水に向かいとびっきりの笑顔と千切れんばかりに手を振った。

 

(・・・・・ニヤッ)

 

だが、そんな倉橋に対し速水が返したのは花のような笑顔でも恥ずかしげな控え目に手を振ることでもなかった。

「・・・・・えっ?」

 

速水が倉橋へと向けたものそれは普段、速水や倉橋も使っている対殺せんせー用のエアガンだった。

周りの客は猿山に夢中になっていて気付いていない。

速水は一切の躊躇もなく引き金を引いた。

 

『ウキャァー!!』

 

速水の撃った弾は倉橋ではなくその側にいた1匹の猿に当たった。

 

突然身体に走る痛みに暴れだした猿は近くにいた他の猿や倉橋に襲い掛かる。

 

「やっ・・・ヤメテ!・・・・・ヤメテェ―――!!」

 

1匹の暴走が引き金となり次々と猿たちは暴れだす。

やがて猿山の全ての猿が互いに傷つけ合い出した。

なんとか猿たちを落ち着かせようとする倉橋だが理性を失った猿たちにその声は届かず。猿たちの牙は倉橋にまで向かった。

 

「キャアァァァ―――!!!?」

 

異変に気付いたスタッフたちが倉橋を助けようとし更に猿の被害を受ける。目の前で拡がる地獄とも言える光景に悲鳴をあげる中を速水は楽しそうな笑顔でその光景を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「アレ?動かない・・・」

 

磯貝と別れた片岡は没になった暗殺の計画書を処分するため図書館に設置されたシュレッダーの前まで来ていた。

 

だが、電源を入れても何故かシュレッダーは動き出さない。

「どうしたのよ片岡?」

 

「あっ、速水さん」

 

どうしたものかと悩んでいると数冊の本を抱えた速水が話し掛けてきた。

 

「実はシュレッダーが動かなくて・・・」

 

「ふ〜ん。コンセントが抜けてるんじゃないの?」

 

「えっ?・・・・あっそうかも」

 

何で気付かなかったのか?少し恥ずかしくなりながらも片岡がシュレッダーの裏を覗き込むと実際にコンセントが外れていた。

 

コンセントを挿そうと身を乗り出した片岡は気付かなかった。片岡の後ろにまとめた髪を見ながら笑う速水に・・・

 

 

「クゥ・・・もう・・少し・・・・入ったッ!?」

少し手こずりながらもシュレッダーのコンセントを挿した片岡だったがその瞬間、後ろ髪が何かに引っ張られた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

必死に抵抗する片岡だが引っ張る力は次第に強くなっていく。

原因は何なのか?なんとか目を動かし原因探る。

 

(そっ・・・・そんなっ!)

 

片岡の目に映ったのはシュレッダーに巻き込まれた自分の髪だった。

 

「うっ!・・・はっ・・速水さん!?」

 

側にいる速水に助けを求めるが速水はそんな片岡を見ながら笑っていた。

 

「速水さん!?たす・・・・助けて!このままじゃっ!」

 

「フフッ、イヤよ。せいぜい頑張りなさい」

 

「速水さん!?まって速水さん!!!?」

 

 

笑いながらその場を後にする速水に片岡はすがるように手を伸ばすがその手が届くことはなく速水は去っていく。

 

 

引き込まれていく頭を引き抜こうとするとブチブチと嫌な音がする。

その身長や性格からあまり女の子として認識されない片岡がせめてもと手入れをしてきた髪が次々と抜けていくが今はそれを気にしている余裕もなかった。

ただこの場を助かるための方法を考える。

 

(ッ!そうだ・・・コンセントを・・・!)

 

慌てていて考え付かないでいたがコンセントを抜けば!

 

先程自分で挿したコンセントに手を伸ばすが先程と違い引っ張られている今の片岡では手が届かなかった。

 

 

「も・・もう・・・・ダメ・・!」

 

踏み止ませていた手が限界に達した。

 

「あっ!アア〜〜!!」

 

「片岡っ!?」

 

片岡の頭部がシュレッダーに巻き込まれようとした直前、磯貝によってシュレッダーのコンセントが抜かれシュレッダーが停止した。

 

「大丈夫か!?片岡!」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・い、磯貝・・・くん・・?」

 

磯貝の顔を見た瞬間、助かったことによる安心感からか押さえ込んでいた恐怖が一気に片岡の全身に駆け巡る。

 

「アッ!?・・・・アアア〜〜・・・・!!」

 

男子以上に男らしい。普段そんなことを言われる片岡はただ、自分を襲う恐怖に泣いた。

そして同時に、自分を見捨てた友人への怒りに震える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ〜〜〜・・・ヒマだ」

 

街中のとあるビル内、郷は廊下の窓際に置かれたベンチに座り呟き目の前のミリタリーショップを眺める。

ガラス越しには速水と千葉が肩を並べ商品を物色しているのが見える。

 

時折笑顔を見せ合う二人の姿に郷は無意識のうちにカメラを向ける。

 

「・・・・やっぱりお似合いだよなぁ〜・・」

 

以前、からかい目的で言ったことがあるが改めて見てみてもあの二人は理想の組み合わせに見えた。

楽しそうな二人を・・・いや、速水を見ていると郷は次第にモヤモヤした気持ちになっていく。

 

「・・・・ハァ、俺らしくないっ・・・・か?」

 

気分を変えようと背中の窓ガラスの先の景色に目を向ける。人々が行き交う中にとても見覚えのある顔が見えた。

 

「・・・ワッツ!速水!?」

 

慌てて店内を振り返るがそこには確かに千葉と一緒に速水の姿がある。再び外を見るがそこに速水の姿は無かった。

 

 

 




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