一年以上ぶりに戻ってきました。ギリギリで年内に投稿が出来ましたが待っていてくれた人が果たしていたのかどうか?
これから少しづつでもしっかりと投稿していく予定なので改めてよろしくお願いします!
ピピピー!ピピピー!!
「んっ・・・もう、あさ?」
その日、いつもより早い時間にセットした目覚ましの音で目を覚ました速水は寝間着の上にエプロンを着てキッチンに立った。
以前、烏間の食事についてみんなであーだこーだと言った事があるが郷の昼食も大概だと思えた。
郷の昼食は基本的に片手間に素早く食べられるドーナッツやハンバーガーばかりだった。
今までは気にしながらも郷には郷は都合があると納得していたがつい先日に恋人になったのを契機に郷にはしっかりと栄養のあるものを食べてもらいたいと考え今日、お弁当を作っていくことにした。
「べっ別に手料理を食べてもらいたい訳じゃ無いわよ///‼️」
別に誰かに何か言われたわけでもないのに何故か叫んでしまった。叫ばずにはいられなかった。
慌てて周囲を見渡すがもちろん誰もいないが、自分の奇行に恥ずかしくなった速水は羞恥心から赤面した顔を俯かせていると手元から焦げ臭いにおいがした。見てみるとフライパンの上の卵焼きが真っ黒に焦げていた。
「あっ!?ちょっ!」
すぐに火から遠ざけるが既に卵焼きは炭状態になってしまいとても食べられるものでは無かった。
「ウウ・・・こんな失敗したことないのに・・・」
今まで母親の手伝いや親が留守の時に調理はしたことはあったがここまでの失敗はしたことが無かった。
どうやら自分が思っていた以上に浮ついていたらしい。
「・・・・ハァ、まだタマゴあったかしら?」
仕方なく冷蔵庫から新しくタマゴを取り出して改めて作ることにしたが、その最中にも郷が自分の作ったお弁当を喜んで食べている姿を想像して顔がニヤケてしまう。そしてまた卵焼きが焦げた・・・
結果、冷蔵庫内のタマゴをすべて使いきった速水は母親に怒られながらもどうにかお弁当を完成させる事が出来た。
・・・その日の速水家の朝食は大量の焦げた卵焼きに埋め尽くされた。
「ハァ・・・ハァ・・気持ち悪っ・・・」
大量の卵の犠牲のもと出来上がった弁当をバックに入れいつもより早く家を出た速水は裏山の坂道を登りながら押し寄せる吐き気に襲われ続けていた。自業自得とは言え一度にタマゴ8個分の卵焼きを食べる事になってしまい口の中にはいまだにタマゴの味が広がっていた。
慣れたはずの坂道を息を乱しながらも登り切った速水の耳にブォンと風を切る音が聞こえた。
「・・・・郷?」
グラウンドの真ん中で郷が1.8mほどの棒を振り回していた。その周囲を数台のシフトカーが駆け回り不規則なタイミングで郷に向かっていく。
「フッ!ほっと!」
手にした棒で迫り来るシフトカー達を捌いていく郷の顔には大量の汗が流れており訓練の濃さを物語っていた。
棒を振るう度に身体中の汗が飛び散り朝陽に輝く、訓練の時だけ見せる真剣な表情を眩しいモノへとした。
「・・・・・・///」
その姿に見惚れてしまった速水はその場に立ち尽くしていた。
やがて一通りの訓練を終えた郷はグラウンドの端に立ち尽くす速水に気付いた。
「お、お~い凛香ぁ~~!」
手を振りながら近付いてくる郷に速水も慌てて小走りで近づく。その顔には【凛香】と呼ばれた事に対しての嬉しさと気恥ずかしさが混ざりあっていた。
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2人が付き合い始めた日、2人を祝い夜まで騒いでいたE組が総出ですっかり散らかった教室の片付けをしていた時だった。前原が「そう言えば」と切り出した。
「郷ってこれから速水の事は何て呼ぶつもりなんだ?」
「・・・はっ?なんてって・・・速水は速水だろ?」
端に寄せていた机を元の位置に戻していた郷は質問の意味が良くわからなかったが前原はわざとらしく溜め息を吐くと郷の肩に腕を組み耳打ちする。
「良いか郷、ただの友達ならまだしも、付き合いだしたんなら名前で呼び合うのが当然だろ」
「そうなのか?」
「試しに一度呼んでみろよ。絶対に喜ぶと思うぞ」
そう言われ郷は視線を速水へと向ける。速水は矢田と一緒に床に散らばったゴミを掃除しながら談笑しており郷たちの会話には気付いて無いようだった。
前原の言うことももっともかもしれない郷は思った。今まで郷自身は恋愛経験はなかったが未来の時代でも周囲には恋愛関係の人達はおりその誰もがお互いの事を名前で呼び合いとても楽しそうにしていた。自分たちもそんな関係になったんだからと。
「お~い、凛香~~!」
郷としては周りが基本的に速水と呼んでいたからそう呼んでいただけな為名前で呼ぶことに対しては特に抵抗は無かったので試しに呼んでみた。
「ッエ!?///」
カタンッと速水が持っていた箒が倒れ何故か教室が静かになった。大半の生徒がニヤニヤと笑っていて一部の女子はキャーキャーと声を抑えながらも騒ぎだした。
「ん?なんか変だったか?」
いまいち状況が飲み込めない郷が前原に問うように振り返るが当の前原は爽やかな笑顔で親指を立てていて郷はますます訳が分からなかった。
「ごっ郷・・・今、凛香って・・・?///」
「ん?ああッ、付き合ってるのに名字呼びはよそよそしいって前原が教えたくれてさ」
郷がそう言うと速水は郷の後ろの前原を睨むが、顔を真っ赤にした状態ではいまいち迫力に欠けておりむしろ可愛らしかった。
「あ~・・・もしかして嫌だったか?」
「そっ!そういう訳じゃないわ‼️ただ・・・少しビックリしただけよ・・・///」
「そっか、じゃあこれからは凛香で・・・改めて宜しくな」
周りのニヤニヤとした視線を気にもしない郷と対象的にみんなの前で改めて付き合い出したんだと認識した速水は恥ずかしがりながらも
「・・・ええ///よろしく・・・///」
出来る限りの笑顔で応えた。
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あれから郷から凛香と名前で呼ばれることになったが未だに馴れず照れ臭くなる。
「お~っい、どうした?」
気付けば郷が目の前まで来ており顔を覗き込んでいた。
汗の臭いが朝風に乗って速水の鼻に届く。
「何でもないわよ///それよりも・・・コレ・・///」
何だか身体が火照って来るのを感じながらも速水はバックから丁寧に包まれた弁当箱を取り出し郷へと突き出す。
「おおっ!本当に作ってくれたんだなぁ~!ダンケッ!」
弁当箱を受け取った郷は本当に嬉しそうであり速水も思わず笑顔になっていった。
「ニュルフフ~~・・・・郷くん、今日のお昼ご飯は速水さんの手作り弁当っと・・・」
奥の森からその様子を見て怪しくうねる触手の存在に速水はもちろん郷も気付いてはいなかった・・・・
郷は訓練で掻いた汗を流しに行った後、速水と共に教室で他のみんなが来るのを待っていた。
時間が経つにつれ続々と登校してくるクラスメイトたちだったが何故かそろいもそろって二人を暖かな眼で見ていた。
そんな中激しい足音を立てながら迫る者が1人・・・
「女子の手作り弁当を持つ悪い子は・・・居ねぇがぁ~!!」
目から血の涙を流した岡島が窓を飛び越え教室に入ってきた。
「みぃ~つぅ~~けぇ~~~たぁ~~~~~ぞぉ~~~~~!!」
岡島の真っ赤に染まった目線は郷の机に置かれた弁当箱をロックオンすると四つん這いになりゴキ〇リのごとき動きで迫る。
その気味の悪さに女子たちは悲鳴を上げ男子も引いていたが岡島は構ないとばかりに弁当箱を目指す。そして、弁当箱が射程内に入ると勢い良く飛び上がり手を伸ばす。
「おれにもよこせやぁぁぁ「だ~れ~が~やるかぁぁぁ~~!!」っがぁぁぁぁぁ~~~!!???」
その手が弁当箱まであと僅かの所で郷の回し蹴りが炸裂、岡島は窓を突き破りグラウンドへと飛んでいった。
「たっく、つかれてんだから余計な体力使わせるなよな~」
もはや見慣れ始めた光景にみんな苦笑いしていると同じく慣れ始めたのかボロボロで這いつくばった状態でありながらもすぐに戻ってきた岡島はその手に1枚の紙を握り締めていた。
「郷ぅぅぅぅ~~~・・・やっぱり俺は・・・・俺はお前が許せな~い!!」
ウガアァァァ!と叫び声を上げ迫って来る岡島をあしらいながら郷わざとらしく首を傾げた。
「ナンダヨ~岡島ぁ~オレガナンカシタカ~~?」
「うっせ~!!一人だけ彼女を作っただけども恨めしいのに、早速手作り弁当だとぉ~~・・・・・ふざけんなぁーーー!!」
岡島が手に持った紙をぐしゃぐしゃに丸め投げつける。郷は難なくその紙をキャッチすると広げ見る。その紙は新聞の様だった。
速水もその内容が気になり覗き込むが次の瞬間には目を見開き顔を真っ赤にし新聞を奪い取る。
「ちょっ、これって・・・・!///」
速水は慌てて周囲を見渡すが他のみんなはそれが何なのか分かっている様で苦笑いしている。再度、新聞を凝視する。
そこには【E組に咲いた恋の花、早くも満開!!】という見出しと共に今朝の郷に弁当を渡した瞬間や家で弁当を作っている写真が載っていた。しかも、2人の周りは大きなハートで囲まれている。
「・・・・・・・・・・・」
無言で新聞を見続ける速水の身体がワナワナと震えだしその手に力が入る。持っていた新聞はクシャリと歪み出し全身から謎の迫力を感じ教室に居る全員が本能的に後退りした。
「あ~~っと、凛香・・・さん?」
さっきまでおちゃらけていた郷も不味いと感じ恐る恐る声をかけると速水は新聞をグシャグシャに丸め握り潰した。
「ひぅっ!?なっ・・・・何でもないです・・・」
そのあまりの迫力につい敬語になり後退りしてしまった郷を尻目に速水は自身のカバンから2丁のエアガンを取り出すと「フフフ・・・」と笑いながら教室から出ていく。
数秒後、「にゅあ~~~~!!!?」と言う叫びと共に何十発もの銃声が校舎内に響き渡ったのだった。
その後、殺せんせーは烏間からの説教を受け一日中正座で過ごすことになった。
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