造ってくヒーローアカデミア(リメイク前・凍結)   作:KEA

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第2話

 

「――実技総合成績出ました」

 

照明もなく、光はモニターから発するものだけ。

そこには大勢の人が座っていた。

 

モニターには『EXAMINATION RESULT』の題名で

上位の受験者達の名前が映し出されていた。

 

「敵P55、救助P40の堂々一位……こんな点数は久しぶりだな」

 

「二位が救助してれば結果は変わったかもしれんぞ?」

 

一位には『神薙唯(かんなぎゆい)』二位には『爆豪勝己』の名前が映し出されている。

 

「1位は平均的にPを稼いでるが、2位は凄まじいな。救助P無しでの77だ。これで

救助してれば1位にもなれただろう」

 

「仮想敵は標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中派手な個性で寄せ付け

迎撃し続けた……タフネスの賜物だ」

 

「対照的に敵P0で八位。アレに立ち向かったのは過去にもいたけど……ブッ飛ばしちゃったのは

久しく見てないね。力だけで見れば一位よりも強いんじゃないか?」

 

「思わずYEAH! って言っちゃったからな―――」

 

「今年は凄いな。まさかあのロボを倒すのが二人もいるとは」

 

モニターを見ていたのは、雄英高校の教師たち……つまプロヒーロー達だ。

彼らが見ているのは、受検者に知らされていないもう一つのP。

救助ポイントの審査のためだった。

この救助Pに救われて入学が決まった生徒も何人かいる。

緑谷もその一人だ。

 

そして審査も終わり――合否の結果が届けられる。

 

 

 

 

「1-A……1-A……ここか」

 

学校の地図を片手に、校内を歩き回る。

家に届いた合格通知を見た時は、嬉しさで雄叫びを上げてしまったほどだった。

念願の雄英高校に入り、ここから俺のヒーローへの道が始まるという事になる。

期待と不安の入り混じった気分でクラスの扉に手をかける。

つーか扉めちゃくちゃでけぇ。何メートルあんだよ。

 

ガラガラと開ければ、クラス中の視線が俺に向けられ、すぐに全員が視線を戻す。

そういうの止めて。俺に精神ダメージは効く。

 

「神薙ちゃん、やっぱり受かってたのね」

 

「……この学校で俺にちゃん付けする奴は今のところ一人しかいねーよなぁ、蛙吹さんよぉ」

 

「梅雨ちゃんと呼んで?」

 

猫背とカエル顔が特徴の少女。試験でも助け助けられの仲だった蛙吹梅雨ちゃんじゃないですか。

少なくとも知り合いがいてくれて精神的には楽だ。

 

「はいはい……つ、梅雨ちゃん」

 

名前呼びに満足そうにしてるところ悪いけど

口に出して異性の名前呼ぶのめっちゃ恥ずかしいぞ。

もう少ししたらちゃんと名前で呼べそうだ。

取り敢えず会話を切り上げ、俺は周りを見渡した。

 

「……俺の席どこだろ」

 

名前の順だと仮定すれば最初のほうだとは思うが。

そういや資料に出席番号が書かれてたな。持ってきておいてよかった。

丁寧に折り畳まれた紙を取り出し、番号を確認する。

最初の一文字が「か」だからそれなりに前のほう……あ、あった。

 

「8番か。つーと?」

 

「その席なら私の隣よ。神薙ちゃん」

 

蛙吹が指さしたのは真横。つまりお隣さんだ。

 

「マジか」

 

蛙吹の席は廊下側の一列目三番目。

対する俺は廊下側の二列目三番目。

 

なにこれ運命? やだときめいちゃう。

なんて冗談は置いといて。偶然が凄いな。

 

「にしても偶然がすげぇな」

 

「そうね。私も――」

 

扉が勢いよく音を立てて開いた。

全員が扉に視線を向ければ――金髪の吊り上がった目が特徴の少年。

爆豪勝己がいつもの不機嫌な顔で立っていた。

彼は適当な位置の席に座り、図々しく足を机に乗せる。

 

……目が合ったとき舌打ちされたぞ。

 

「――知り合い?」

 

「あぁ。中学が同じだった」

 

「性格が悪そうな人ね」

 

結構毒舌だね君。そのセリフ爆豪に聞こえてたら爆破されちゃうぞ。

蛙吹の台詞は眼鏡のキリッとした少年に掻き消されたから大丈夫だとは思うけど。

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」

 

「ヒーローの台詞かしら」

 

ごもっとも。

 

二人が言い争いを始めると同時にゆっくりと扉が開かれる。

緑色の髪にそばかすが特徴的な少年――緑谷だった。

言い争いをしてる二人を見て固まったけど大丈夫かアイツ。

 

「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉(いいだてんや)だ」

 

「聡明ィ!? くそエリートじゃねぇか。ブッ殺し甲斐がありそうだな」

 

「君ひどいな! 本当にヒーロー志望か!?」

 

「|敵《ヴィランじゃないかしら」

 

ごめん、爆豪……否定できない。アイツ見た目も言動も完璧敵だからね。

初対面からそう思われるってやばいぞ爆豪。

それにしても、と緑谷に視線を向ける。

 

「……良かったな。緑谷」

 

中学で担任に報告するときに受かったことは知ってた。

どうやって受かったのか、個性はどうしたのかと色々聞きたいが本人が

言ってくれるのを待とう。

 

眼鏡――飯田天哉は爆豪との話を切り上げ、緑谷へと近づいて行った。

詳しく声は聞こえないが、何の話をして……。

 

「あ! そのモサモサ頭は!! 地味めの!!」

 

緑谷……知り合い多くね? 俺にそんなコミュ力はねぇぞ。

あ、でも知り合いの数で言えば俺のほうが多いのか。俺3人いるしな!

いや別に勝負してるわけじゃねぇよ。

 

「誰かしら、あれ」

 

「え?」

 

蛙吹が指さすのは廊下。もはや地面を指さしてる。

覗けば、寝袋に入った人がいる。え、誰?

ヌーッとその人は出てきた。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

担任!? え、先生!?

つーことはプロヒーローの一人、だよなぁ。

でもこんな人――

 

「見たことないわ」

 

代弁する形で蛙吹が言った。

そんなに有名じゃないのか?

 

「早速だが、体操服(コレ)きてグラウンドに出ろ」

 

寝袋から出てきたのは、UAのマークがついた体操服。

クラスメイト全員が?マークを出しつつ、指示に従う。

資料には入学式やガイダンス、時間割や資料を配って今日は解散だったハズだ。

大体、こんなことしてる時間あるのか? すぐに式が始まるだろうに。

不信に思いつつ、着替えを行ってグラウンドへと向かう。

 

グラウンドでは相澤が携帯らしきものをもって立っていた。

全員がそろったのを確認して相澤が口を開く。

 

「これから個性把握テストを始める」

 

「個性把握……テストォ!?」

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

 

緑谷と話していた少女が相澤へ問いかける。

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 

クラスメイト全員に動揺が走る。そんな生徒を放って、淡々と相澤は告げた。

 

「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り。

ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横飛び。

上体起こし、長座体前屈――中学の頃からやってるだろ? 個性禁止の体力テスト」

 

相澤は一つのボールを爆豪へ投げてよこす。

ソフトボール投げで使うような、片手で掴める小さなボールだ。

 

「爆豪。中学の時ソフトボール投げ、何mだった?」

 

「67m」

 

すげぇな。個性無しでそんなに投げれんのか。

恐らく今回の体力テストはヒーロー科ならでは……さっき先生が言ってたが

個性把握テスト。つまり体力テストを個性アリでやるということか?

 

「じゃあ個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ」

 

相澤の言葉に、爆豪は両腕をほぐした。

深呼吸を一つし構える。

 

「んじゃまぁ――――死ねえ!!!」

 

爆音と爆風をまき散らしながらボールが天高く吹っ飛んでゆく。

あの威力が自分に向けられたらと思うとゾッとする。

つーか死ねって。

 

数秒後、相澤が手に持っていた機械が音を告げる。

その画面を生徒全員へと見せた。爆豪が投げたボールの距離は『705.2』m。

普通じゃあり得ない数値だ。俺、個性使ってもそんな距離いくか?

全8種目を個性ありでこんな成績をたたき出していけ、ということだろうか。

 

「まず自分の「最大限を」知る。

それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

「なんだこれ!! すげー面白そう!」

 

「……705mってマジかよ」

 

「個性思いっきり使えるんだ!! さすがヒーロー科!!」

 

爆豪の数値に驚愕するものもいれば、個性を自由に使えるという事に

楽しみを覚えるもの。様々だった。

そんな様子に相澤は冷めた様子で見つめる。

 

「…………面白そう……か。ヒーローになる為の三年間。

そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

静寂が訪れた。誰かが唾を飲み込む音が聞こえる。

それは紛れもない恐怖だった。さっきまでの気だるげな様子は消え

殺気のような物すら感じる。

 

「……よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分(・・・・)としよう」

 

「はああああ!?」

 

誰かが金切り声をあげたが、それは生徒の総意だった。

意味が分からない。まだ入学して一日目だぞ。それで除籍処分?

 

「生徒の如何は先生(おれたち)の自由。ようこそ、これが――」

 

相澤が髪をかき上げ、その狂気染みた瞳を見せる。

 

「――雄英高校ヒーロー科だ」

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