深夜。帝都の路地裏で水音が響いていた。
ピチャリ、ピリャリと一定の間隔で聞こえる水音の発生源には赤い水溜りが出来ていた。周囲に立ち込めるのは生臭さと鉄臭さが混じった独特の臭い。
赤い水溜りの正体はおびただしい量の血液だ。
止め処なく流れる血の先にあるのは、首と胴が切り離されたむごたらしい人間の死体が見えた。その死体の前に立ち、口角を吊り上げる男。
「んーーっ。愉快愉快……やっぱりやめられんなぁ。これだけは」
腕に装着した剣からは目の前の死体のものと思われる血液がべっとりとこびり付いていた。男の額には目のようなものが怪しく光っている。
踵を返した男は血溜まりを踏みながら路地裏から出て行く。
「さぁて、次はどんな首にするかなぁ。そろそろ会えるといいんだけどねぇ、殺し屋達に……。ククク、愉快愉快」
壁に貼り付けられている手配書を見やりながら、男は帝都の闇へと消えていく。
帝都のメインストリートは今日も多くの人々が行きかっている。闇の潜む帝都も、このような場面だけを切り取ってみれば活気と華やかさに溢れていた。
人々は時に笑顔を見せながらショッピングや友人達との談笑を楽しんでいる。
そんな群衆の中にイグニスとタツミ、マインの姿があった。イグニスの手には新品の服が入った袋が見える。どうやら買い物中のようだ。
「イグニス、今の店で欲しいものは揃ったの?」
「それなりにね。でも悪いね、僕の買い物に二人をつき合わせちゃって」
二人に対し軽く頭をさげながら謝るイグニスだが、どちらも気にした様子はない。
「気にすんなよ。ボスからはしばらくイグニスにくっ付いて行動してろって言われてたし」
「アタシも平気よ。それにこのまえタツミと来た時の買い忘れも買えたし」
そういうマインの手には小さな袋があった。彼女はアクセサリー類を買ったようだ。
「そう言って貰えると僕も助かるよ」
「けど、イグニスが急に服が欲しいって言った時は結構意外だったわね。そういうのあんまり気にしてなさそうだったし」
「ハハ、まぁ今まで着てた服のままでもよかったんだけど、どうにもボロボロになって来たからね。任務達成の報酬も入ったしいい機会だから服を新しくしようと思ってね」
ノモキスら四名と彼等の部下凡そ百五十名の暗殺を終えたイグニスには、それなりの金額の報酬が支払われた。ようは給料が入ったのだ。
そしてイグニスはその給料の使い道を、自身の服の新調にあてることにしたのだ。マインがいる理由としては、イグニスが彼女に頼んだのだ。ナイトレイドのメンバーの中で一番ファッション関連のことを理解しているのは彼女のため、服を新調する際のいいアドバイスになると考えたのだ。
タツミはまだ彼女の部下という立ち位置のため、必然的についてくることになったわけだ。
「じゃあ二人とも、もう少しだけつきあってくれるかな。あとは本を買うだけだから。そしたらお昼を食べて帰ろう」
三人はメインストリートにある本屋に向かって歩き出した。
「ふいー、美味かった~」
イグニスの横を歩くタツミが腹を撫でて大きく息をついた。
本屋で何冊かの本を買った後、イグニスとタツミは近場のレストランで昼食を取った。タツミは大きめのハンバーグを平らげ、マインはオムライスを食べていた。イグニスはと言うとレストランで未だに食べきったものがいないという激辛のパスタを涼しい顔をして食べきっていた。
今はアジトに向けて帰っている最中である。けれどイグニスを見ると、どこか不満げな様子だ。
「確かに美味しかったけど、激辛という割りにそんなに辛くなかったことが残念だったかなー」
「いやいやいやいや、十分辛かっただろ。俺なんか少し舐めただけだったけどまだ舌の痺れがおさまらねぇよ」
「アタシだって同じよ舌先がまだビリビリしてるわ」
イグニスの言葉に、二人が信じられないという風な表情を浮かべている。対してイグニスは落ち着き払った様子だ。
しばらく無言の状態が続いていたが、不意にタツミがイグニスに問いを投げかけた。
「なぁ、イグニス。どうやったら俺はもっと強くなれるかな」
「唐突な質問だね。なにかあったかい?」
「いや、別になにかあったわけじゃないんだ。ただ俺はナイトレイドの中だと……その、弱いからさ。この前のオーガ戦の時もそうだったし、イヲカルの暗殺の時も皇拳寺の元師範代のヤツに遅れをとっちまったし……」
拳を握るタツミに対し、イグニスは少しだけ考えた素振りを見せる。
「僕個人の意見だからなんとも言えないけど、君は十分強いと思うよ。特に時折見せる剣速には僕も驚かされるときがある。それに強さなんて一朝一夕で手に入るものじゃないしね。修業を積んで、経験を積んで、そして進化していく。気長に考えるのが一番だと思うよ」
「気長にって……」
「気が抜けているようにも聞こえるけど、急ごしらえの力よりは全然いいと思うよ。焦りは人の行動を鈍らせるし、なにより隙が大きくなる。そこをつけ込まれたら最後、人間なんて簡単に殺される」
イグニスの言葉には重みがあった。そればかりか、彼の瞳には暗い影が落ちておりどこか空虚な様子だ。けれどもすぐに彼は口元に笑みを戻した。
「とはいえまだまだ未熟なのは事実だ。しばらくはブラートとかアカメの指導を受けることだね」
「その辺はイグニスの言うとおりねー。アンタはまだまだ半人前だし」
「マイン! 半人前は余計だろ!」
マインの言葉にタツミはウガーッと食って掛かるが、マインはそれをサラリと受け流していく。
そのまま三人は帝都を抜けようとするが、不意に住民の騒ぐ声が耳に入ってきた。
「なぁ、例の辻斬りまだ捕まってないんだって?」
「ああ。昨日も二人殺されたってよ。どっちも首がちょん切られてたらしい……」
「警備隊にも殺されたやつがいるんだろ? ってことはやっぱりアイツじゃないのか。『首斬りザンク』」
「だろうな。夜中はうろつかない方がいいぜ。いつ殺されるかわかったもんじゃない」
数人の男達は怯えた表情を見せながら帝都の住宅地の方へ歩いていった。彼等を見やりながらタツミとイグニスはそれぞれ視線を交わす。
「ザンクって誰だ?」
「さぁ?」
「あんた達知らないわけ? あぁでもイグニスは帝国の外から来たっていうし知らないのも仕方ないか……」
「有名なのか?」
「帝国出身者なら殆どの人間が知ってるわよ。じゃあ、アジトに帰りながら話してあげるわ」
二人はマインからザンクのことを聞きながらアジトに戻っていった。
アジトに帰還したイグニスとタツミは、すぐさま召集をかけられ作戦会議室へ向かった。
「全員集まったな。では今回の標的についてだ」
壁際にあるボス専用の椅子に座ったナジェンだがメンバー全員に鋭い視線を向けた。
「今回の標的は帝都で噂の連続通り魔だ。深夜、無差別に現れ次々に首を切り取っていく。もう何十人コイツの餌食になったかわからん」
ナジェンダの説明にタツミとイグニスはそれぞれ「おや?」という表情を浮かべた。そしてイグニスがナジェンダに問う。
「ボス、その標的の名前ってもしかして『首斬りザンク』ですか?」
「ああ、そうだが。よくわかったな」
「帝都から帰ってくるときにちょっと住民が話してるのをタツミと聞いて、マインから色々教えてもらったんです」
「そうか、ならば話は早いな。今回の任務はザンクの討伐だ」
ナジェンダに言われ、メンバーはそれぞれ気を引き締める中タツミは拳を掲げて闘志を燃やした。
「めちゃめちゃ危険なヤツみたいだし、早く捜し出して倒そうぜ!!」
「まぁ待て、タツミ」
興奮気味のタツミの頭にブラートが軽く手を乗せる。
「ザンクは獄長の持ってた帝具を盗んで辻斬りになったんだ。二人一組で行動しねぇとお前……危ねぇぜ?」
クイッとタツミの顎に指を当てながら言うブラートであるが、二人の間には妙な空気が流れている。実際はブラートが妙に色っぽい声を出しているのが原因なのだが。
「ともかくザンクは始末は早々に片付けるべき問題だ。ブラートの言うとおり、二人一組で深夜の帝都を見回ってくれ。相手は帝具使いだ。各員、決して油断しないように」
場を引き締めるナジェンダの声にメンバー全員が頷き、ザンク討伐の任務が改めて通達された。
深夜の帝都を歩きながらイグニスは周囲に感覚の糸を張り巡らせていた。
……今のところ周囲に殺気はなしか。
感覚の糸にザンクと思われる気配がないことに嘆息するイグニスであるが、その背後で彼よりも大きなため息をついた人物が一人。
「ハァ~……ついてないなぁ俺。なんか前にもこんな風に男と二人で行動した気がする……」
溜息交じりに文句を言っているのはラバックだ。頭の後ろで手を組んで歩くたびに溜息を漏らしている。
「前にもってブラート組んだりしてたとか?」
「いや、そうじゃないけどさ。なんかあったんような気がするんだよなぁ。つか、俺は大体女の子と組ませてもらえないんだよ!!」
「あぁ~……それはまぁなんとなくわかる」
「なんだよその微妙な表情は!!」
悲壮感漂うラバックの叫びに対し、イグニスは苦笑いを浮かべている。
元々ナイトレイドはボスであるナジェンダを含めた七人で構成されていた。そこへタツミとイグニスが加入することで九人となった。
ナジェンダは司令塔ということもあり、実動はしないため動くのは彼女を抜いた八人だ。これでちょうど二人一組が四つ出来上がることになっている。
二人一組の割り振りは全てナジェンダが決めたことなのでラバックもその場では従ったが、帝都に到着してからはごらんの始末だった。
「まずラバックはもうすこし女の子に対してデリカシーを持たないとダメかもね」
「失敬な! 俺は自分が十分紳士だと思ってるぜ!!」
「じゃあナイトレイド女子メンバーのスリーサイズは?」
「アカメが上から81・53・82! マインちゃんが77・53・78! シェーレさんが86・55・88! 姐さんが90・57・86! そしてナジェンダさんが85・58・86!! フフン。女の子のスリーサイズの調査なんて容易いぜ!!」
「それのどこが紳士だというのか……。僕が言ってるのはそういうところなんだけどなぁ」
得意げなラバックであるが、イグニスはどう反応したものかと溜息をついてしまった。そもそものところ女性のスリーサイズなど知られている女性的には嫌悪感しか抱かないのではないだろうか。
まぁナイトレイドの女性陣はそんなことをいちいち気にしている様子もないが。
「とりあえずラバック、紳士を自称するなら欲望に直結する思考回路を何とかしたほうがいいね」
「男に生まれたからには欲望に忠実にいたいYO!」
「じゃあ女の子と付き合うのは結構ハードル高めかもねぇ」
と、呆れた様子で頭を振ったところで、イグニスとラバックは弾かれるように路地裏に身を隠した。
それから間もなく帝都警備隊の隊員達数名がガシャガシャと音を立てながら通りを駆けていった。どうやらオーガを殺した犯人とザンクを捜索しているようだ。
「ちょーっと騒ぎすぎたか?」
「いや、向こうも気付かずに行ってしまったし偶然だと思うよ。でもさっきみたいな大声は控えた方がいいかも」
「それはお前が聞いてきたからだろー。……まぁ俺が女の子と仲良くなるっていう話は置いといて。イグニス、随分と雰囲気変わったね」
「雰囲気? あぁ、服が変わったからじゃないかな」
イグニスは自身の今の装いを見やる。今着ている服は今日新調してきたものだ。フードつきの黒コートに、黒のシャツ、黒のパンツと黒のブーツという全身見事に黒尽くめである。アクセントのように赤い意匠も施されているものもあるが、殆どが黒である。
「イグニスって黒好きなわけ?」
路地裏から出ながらラバックが問うてきた。
「うん。好きだね。小さい頃から黒色は好きだったかも」
「そっか。まぁ好きじゃなきゃ全身黒でコーディネートしないよな。あ、そういばアジトから出てくる時もナジェンダさんに服のこと言われてなかったっけ?」
「あれは『エスデスとは本当に真逆なんだな』って言われてたんだよ。ボスの話だと姉さんは白い軍服を着てたみたいだからね」
「なるほどね。白に対して黒で、帝具も氷に対して炎、髪の色もナジェンダさんが言うにはエスデスが青銀って感じで、イグニスは真紅……確かに見事に真逆だな。いっそのことイグニス、ドMだったりしないわけ?」
「期待にそえなくて残念だけど僕にそんな特殊な性癖はないから」
若干期待の混じった視線を送ってくるラバックに対し、イグニスはきっぱりと否定した。とはいえラバックの期待もわからなくはない。姉弟の間でこれだけ真逆な状態が続けば、性癖も真逆なのではないかと考えてしまうだろう。
「なーんだツマンネーの。……つか、こんな風に隙だらけで駄弁ってんのにザンクのヤツ全然出てこねぇじゃん」
「マインの話から察するに、自分が狙われているとわかっていても犯行はやめそうにないけどね。帝具も持ってることからして並みの警備隊じゃ太刀打ちできなさそうだし」
「まぁそれはわかるんだけどさ。こうも出てきてくれないと眠くなってくるってーか……」
ラバックの言うことも判る気はする。時刻は既に深夜一時過ぎだ。普通の人間なら就寝している時間帯だろう。
「考えられるとすれば既に誰かが襲われている、とかかな。ある程度の高所から僕達全員を品定めしていたのかも」
「そうなるとやっぱり狙われてるのはマインちゃんとシェーレさんコンビじゃね? 女の子二人だし、ザンクも男だしめっちゃ狙ってそう」
「それも一理あるけど、仮に僕がザンクだとしたら二人は狙わない」
「なんで? 確かに二人とも帝具使いだけど、力的にはザンクの方が勝ってそうだぜ?」
ラバックが首をかしげ、イグニスに問う。実際彼の予想も間違ってはいない。たとえ相手が帝具使いだとしても、女性を狙うというのは考えられる選択肢の一つだ。
「確かにラバックの言うとおり、女性を狙うのも一つの手だ。でも、これだけ恐れられているザンクなら、力量もオーガよりも上と考えるのが妥当。そうなってくるとザンク自身の観察眼もそれなりに鍛えられているはず。もし鍛えられてるのだとすれば、強いヤツと弱いヤツの見分けくらいは出来るんじゃない?」
「それってもしかして……!」
「うん。マインとシェーレを狙うのも一つの手だけど、二人は殺し屋としての戦闘経験がある。となると、戦闘経験が多い二人を同時に相手にするのは得策とは言えない。なら、狙うなら一人。それも殺し屋としての日が浅く、帝具も所持していない人間だ」
「タツミか!」
「そうなるね。アカメがついているとはいえ、タツミがアカメから離れた一瞬の隙を突かれる可能性は大きい」
焦った様子のラバックとは裏腹にイグニスは酷く冷静に状況を判断していた。けれど、表には出さないが彼もタツミのことは心配している。
だからこそ彼は感覚の糸の範囲を更に広げた。幸いアカメとタツミが見回っている区画は近い。少し範囲を広げれば詳細性は欠くが索敵は可能だろう。
「ッ! 見つけた」
「例の感覚の糸か?」
「うん。ここから北に行ったところに大きな殺気と小さな殺気があった。多分ザンクとタツミだと思う」
「だったら急ごうぜ! 流石にいる場所がわかってんのに放ってはおけねぇ!」
彼の意見に頷くと、ラバックが作ったクローステールの足場を踏み台に警備隊と遭遇することのない屋根へと上がった。
二人は屋根に上がってすぐにイグニスが探知した殺気を頼りに駆け出した。
しばらく駆けた後、イグニスは再び感覚の糸を展開する。先程よりもかなり近づいたためより詳細な場所が絞れるはずだ。
集中して索敵していたイグニスであるが、すぐに顔色を変えた。
先ほどの強い殺気に混じり、更に同等がそれ以上の殺気が現れるのを感じたのだ。これは恐らく……。
「アカメが間に合ったか……」
「ザンクと今戦ってるのはタツミじゃなくてアカメってこと?」
「多分間違いないと思う。タツミも殺気は小さくなってるけど生きてるはずだよ」
「ならよかった。アカメに任せとけば大丈夫だとは思うけど、一応行ってみるか?」
「その方がいいかもね。タツミは多分負傷しているだろうし。万に一つということもあり得なくはない」
「こえーこと言うなよ……」
ラバックは生唾を飲み込んでゾッとした表情を浮かべた。
「僕だってアカメが負けるとは思っていないよ。でも予期せぬ事態もあるからね」
肩を竦めたイグニスは屋根を蹴ってとおりの向かい側にある建物に向けて跳んだ。ラバックもクローステールを駆使しながらイグニスの後を追い、二人はアカメとタツミの元へ向けて再び走っていく。
結局、二人が駆けつけた頃にザンクとアカメの勝負はついてしまっていた。ザンクもアカメに対しては善戦したようだったが、最終的にアカメに首を斬られて絶命したようだった。
タツミはと言うと、ザンクから受けた傷は多かったもののどれも致命傷ではなく、駆けつけたラバックの応急処置で事なきをえた。
ザンクを始末し、彼の所持していた帝具も回収した後、イグニスはタツミを背負ってアジトへの帰路についていた。
ラバックとアカメは他のメンバーにザンクの始末が完了したことを報せに行ったためいまはいない。
「わるいな、イグニス」
「あやまらなくていいって。仲間なんだから手を貸すのは当然だろう」
「ハハ……。そうだイグニス、聞いてみたかったんだ。イグニスは殺したヤツの声とか聞いたことあるか?」
「ない。というか自分が殺してきた人の顔なんていちいち覚えてないし、覚える気もない」
「だよな。ザンクがアカメと戦ってるときに言ってたんだ。殺してきた奴らの呻き声がずっと聞こえるって」
「なるほどね。……まぁこれは僕の個人的な考えだけど、ザンクはある意味真面目だったのかもしれない。首切り役人に真面目っていうのもどうかと思うけどね。でも、そんな彼だったからこそ、死者からの恨みというありもしない幻覚に囚われて、狂っていってしまったんだろう」
イグニスの声音は優しいものであったが、非常に低い声だった。タツミも彼が発する雰囲気を感じてか黙って聞き入っている。
「だからと言って彼を擁護する気はこれっぽっちもないけどね。結局それは自分の心の弱さから生まれたものだし、なにより辻斬りで罪のない人たちを殺すことは許されることじゃない。
まぁ色々言ってるけど、殺した人間のことなんて気にしないほうがいいよ。タツミが優しいのはわかるけど、その優しさは大きな弱点にもなるだろうから気をつけたほうがいいよ」
「ああ。わかった」
「うん。それにしても昼間は三人で買い物に着たのに、夜にはこんなことになるなんてねぇ」
「……全然笑えねぇ……。でも今回で改めて自分の弱さを痛感した。アカメに助けられてばっかだったし」
「帝具使いと戦って生きてるんだから十分すごいと思うけどね。大丈夫。君は強くなるさ。焦らずに力をつけていけばいい。けど、今はその傷だらけの身体を何とかすることだね」
イグニスの言葉にタツミも「だな」と短く答える。
自分のことをかなり卑下しているものの、タツミはのびしろの塊だとイグニスは考えている。
まだ戦闘経験は浅い彼だが、この若さであれば戦闘の中で進化していくことだろう。
……だからこそ焦って強くなる必要はない。一歩一歩を踏みしめていけばいい。
しばし進んでいると二人の前方に他のナイトレイドのメンバーが集まっているのが見えた。
イグニスとタツミは仲間達と合流し、アジトへと帰還を果たした。その道中、タツミはイグニスからブラートに背負われていた。若干ブラートの顔が赤かったような気もしたが、細かいことは気にしてはいけないだろう。
ザンク討伐の翌日、イグニスはナジェンダに呼ばれて会議室に顔を出していた。
「イグニス、タツミの教育係のことは知っているな?」
「はい。今はマインが担当でしたね」
「ああ。だが明日からはお前がアイツの教育係になってもらう」
突然の通達にイグニスは一瞬驚いたような表情を見せる。タツミの教育係になるのは別に構わないのだが、ナイトレイドに加入して間もない自分が務めてもよいのだろうか。
「不満か?」
黙っているイグニスにナジェンダが問う。
「いえ、不満と言うことはないですけど僕でいいんですか? ナイトレイドに入って日も浅いですけど……」
「ナイトレイドに入ったのが最近だということは関係ない。タツミに教えてやって欲しいのはお前の気配察知能力だ。お前は知覚の糸と呼んでいたか」
「あぁ、なるほど。確かにアレなら負傷している今の状態でもある程度鍛えられますね。でも、タツミがいくら物覚えがいいと言っても、数日で使えるようになるのは難しいですよ?」
「そのあたりは私もわかっているさ。だから、アイツにはコツを教えてやって欲しいんだ。コツさえつかめればあとは個人の鍛錬次第でなんとかなるだろう」
確かにナジェンダの言うことは間違ってはいない。知覚の糸は全ての人間が扱えるものだ。個人の努力次第で知覚できる範囲は広がる。
だから今回イグニスがタツミに教えるのはちょっとしたコツだけだ。
「もちろん教育期間中にタツミもつれて任務もこなしてもらう。まぁ今日明日の話じゃないから安心してくれ」
「了解しました。任務があるときはまた言ってください」
イグニスは軽く会釈をしながら会議室を後にした。
アジトの廊下を歩いていると、窓の外にアカメとタツミが見えた。確かあの方角にあるのはタツミの幼馴染二人の墓だ。
「……人のことは言えないけど、そろそろ踏ん切りをつけないといけないね」
呟きを漏らしたイグニスは再び歩き始めた。
はい。お疲れ様です。
……いやー、なんと言いますか……。
書くのが下手すぎて笑えないです……。どうしたんだろう。スランプかしら……。
というかシェーレとの絡みがない……なさ過ぎる!
もう少しオリジナル話を作って、ナイトレイドメンバーとの絡みを強めてみますかね。
そんなに急いでセリュー戦に持っていかなくても良いでしょうし。
ザンク戦も最初はタツミとイグニスでコンビを組ませて、イグニスに対してザンクが最愛の人の幻覚を見せるけどアカメみたいにすぐやられる的な流れにしてもよかったんですが、それも結局アカメの流れと殆ど同じだったのですごく迷いました。オリジナリティといえばオリジナリティですが、どうにも難しいところですねこのあたりの判断は。
まぁセリュー戦がそもそも原作とはまったく別の流れになるのですが……。
そろそろイグニスの本気も見たいところ。
エスデスとの本絡みはまだかなー……。
ちなみにイグニスは話の中であったとおり黒が好きです。とことんエスデスとは真逆にしたいのです。
あぁ、もう作品が全然完結してないのにクロスオーバーものも面白いななんて考えてるし……私はもうだめだ。
では、感想などありましたらよろしくおねがいします。