暁は寝息を立てていて今日は起きる気配がない。布団を上に掛けてゆっくりと部屋を閉める。望み薄だが、赤いカプセル剤を枕元の机に水と一緒に置いた。あれを飲んで治ってくれるとありがたいのだが…。自分の視界にはまだ、チラチラと監視するように落書きのようなねこが写る…。誰にも言えない事が増えた。
「…じゃあ…陸奧の所にお見舞いに行こうかな」
「提督、見ツケタ♪」
「うおっ!?」
廊下を歩いていると後ろから抱きつかれ、背中に柔らかいモノが押し付けられる。少しビックリしながら顔を横に向けると微笑んだ飛行場姫が居た。彼女はこの鎮守府付近にある砂浜で倒れていて、偶然にも散歩最中に確保して戻ってきたという訳だ。それからと言うもの自分に懐いてしまい、稀にだが夜によく自分の布団の中に忍び込んでは寝ているのだ。…陸奧に見つかって正座させられてる姿をよく見る光景となっている。
「何ヲシテイルノ?」
「あー…暁を僕の部屋で寝てもらってるんだ。何だかおかしい様子だったからな…」
「アァ……ナルホドネ…」
「じゃあ僕は陸奧の所に行ってくるからね」
「…ナンデ?私ト一緒二居タライイジャナイ。モシカシテ私ノ事嫌イ……?」
「いや、そうじゃなくて…」
彼女は後ろから真正面に立ち、顔に手を添えられて、ゆっくりとだが首に向かって手を添えようとする。
「私、提督ノ事ガ好キ。何故ダカ分カラナイケド、殺シタイホド好キナノ。別ニ憎クナンテナイワ。艦娘ノ事ヲ今更憎イ訳デモナイ。モシカシタラ、ココノ鎮守府ダケダロウケドモ。デモ、私ハ、我慢ガ出来ナイ。他ノ深海棲艦ト艦娘達ニ提督ハ取ラレタクナイ♡」
そう言い終えると、飛行場姫は唇にキスをする。彼女の唇はとても柔らかく、人間と同じような感じだった。…初めてのキスを奪われてしまった。
「今回ハ、コレデ我慢スル。デモ次ハ…我慢出来ナイカラ」
「お、あっ、うん…」
最後に1度だけ、強く抱きしめられると飛行場姫は廊下の奥に消えた。
「て、提督ー!避けてー!!」
唖然としたまま廊下を立っていると、後ろから島風の声がした。振り返ると既に遅かったらしく、小さい何かが自分の身体に当たって転んでしまった。
何とぶつかったのか、見てみると真ん中に青い目をした涙型の生き物2匹と衝突したらしく、自分の周りに申し訳なさそうにぐるぐると回っていた。そして追いついた島風と連装砲ちゃんがやってきた。
「わ、私が追いつけないなんて…アイポッドちゃん速い…はぁはぁ…」
アイポッドと呼ばれた生き物は連装砲ちゃんの上に乗って落ち込んでるように見えた。しゃがみこみ、アイポッドと連装砲ちゃんを撫でてあげると嬉しそうにしていた。立ち上がってついでに、島風の頭を撫でてやる。…ぶつかった時痛かったんだぞ?
「島風…廊下を走ったらダメだよ?誰かとぶつかったら危ないでしょ?」
「ご、ごめんなさい…」
「次から気を付けてね?じゃあ僕はこれで…」
「はーい…。アイポッドちゃん、今度は負けないからね!」
そう言うと島風はアイポッドと連装砲ちゃんを抱き抱えて、何処かに行ってしまった。
時間がとても遅くなってしまい、陸奧の所に行くととてもじゃないが怒られてしまった。今日1日中…もう残り半日だが、ずっと部屋で寝ずに陸奧を看病すると言うとなんとか許してもらった。
SCP-500
「万能薬」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-500
SCP-131
「アイポッド」
ttp://ja.scp-wiki.net/scp-131