白い狐の物語   作:バイオレンスチビ

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狐は今日も人里へ

朝から郵便受けを見て手紙が来てないかどうかの確認をする。郵便受けと言っても人間の里の外れにある古い百葉箱だ。ずっと前に寺子屋の先生が置いたらしいが、いつの間にか郵便受けとして使われている。幻想郷には郵便制度という物がないから届けるにはここに来て自分で手紙を入れてもらわなければならないという少し面倒なところもあるが、この通称〝狐のポスト〟の利点とすれば歩いている私を探して呼び止めるという手間が省けるということだ。手紙を出せば私は自分からその家に向かうわけだから効率的な方法とも言える。

 

「姉妹3人そろっての風邪ですか…。」

 

子供というのはそういう者です。大体、末っ子がどこからか風邪をもらってきて上の子にもうつっていく。今も昔も変わらないお決まりのパターンです。

 

「もっと症状が軽いうちに呼べば良かったのに…まぁ、最悪の結果になる前でよかったです。」

 

同じような症状の子が手紙によればあと四人もいるらしい。その他の手紙は子供特有の文字で〝狐さんありがとう〟〝狐さんまた遊ぼうね〟等といった微笑ましい物がいくつか入っていた。

 

 

 

 

 

「こんにちは。白狐です。」

 

合計7人の風邪を治すのはあまり身体の強くない私にとっては流石にキツいものがあります。しかし、不思議なことに可愛い子供たちのためと思えば喜んで治してあげようと思えるのです。

 

「治りましたけど病み上がりですから大人しくしていて下さいね?」

 

この風邪は全部、明日の自分に〝背負わせる〟ことにしました。お礼にと油揚げをたくさんもらって次の家に出発します。

道を歩けば子供たちがたくさん寄ってきて〝狐さん〟〝白狐さん〟と口々に私を呼んだりするため、ちょっとした人気者になった気分になります。

妖怪だからと言って私のことを怖がる子がこの村にはいないのです。それが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、妖怪も人間も関係なく皆で笑顔でいられる事は一番の幸せです。

 

治療をし終わったら子供たちと戯れます。これがなかなか楽しいのです。子供たちは基本的にリアクションがよくて私のちょっとした幻術だけでも相当良いリアクションをとってくれます。

 

「ねぇねぇ、他の人に化けてみてよ!」

 

「見たい見たい!」

他の人に…他の人…う~ん…。

 

 

パンッ!

 

 

手を叩いてから一気に術をかける。

 

「あやや、困りましたねぇ。清く正しい射命丸文です。ちょっと取材よろしいですか?」

 

化けるならやっぱりこの人(?)伊達に数百年も親友はやってません。

 

「似てますねぇ。」

 

ん?

 

「どっちがどっちだかわからないんじゃないんですか?」

 

え?!

 

「い、いつの間に!?」

 

隣に立っていたのは文さん本人。驚く私を見て更に笑っている子供たち。

 

「あの、これはですね…そ「でも翼の質感がまだちょっと違うかも知れませんね。」…はい。」

 

そんなに本気で化けていないから仕方ないと思うのだけど…まぁ、鴉天狗にとっての翼は飛ぶだけではなく、妖弧にとっての尻尾のように誇りでもあるらしいからやっぱり何かこだわりがあったのでしょう。




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