白い狐の物語   作:バイオレンスチビ

7 / 11
白い狐と白黒の魔法使いの出会い


狐と白黒の魔法使い

…そうだ、思い出した。

あの時の女の子だ。

 

 

 

 

 

私は時々、山に入っていろんな物を採ってくることがある。生活に困るほどにお金が減ってきたりしたら山で山菜などを採ってきて売るのだ。まぁ、妖怪の住んでいる山は人間が立ち入ることができないから私が彼らに頼まれて代わりに採ってくるということもあるが.

 

「ん?」

 

誰かの声がしたが、声からすればまだ子供だ。こんな山奥に入る子供なんていないだろう。しかし、万が一って物がある。取り敢えず、見るだけ見てみよう。

(うわっ天狗がいっぱいいる。)

文さんは大丈夫だが、どうも他の天狗はトラウマがあってダメなのだ。しかし、相手は白狼天狗で同格もしくは格下の相手だ。ここで怯んではいけない。

 

「私がどうしようと私の勝手だろう?邪魔するなら空の彼方までぶっ飛ばすだけだぜ!」

 

(いや、天狗相手にそんなこと言っちゃダメだから!)

目の前にいるのは白黒の服を着た女の子。〝魔法使いです〟と主張するその服装と折られた箒…子供にしては強そうだが、相手は仮にも天狗だ。白狼天狗とは言え天狗が3体もいるのに勝てるわけがない。

 

「…見逃してやれ。」

 

実際とても怖いのだが、見殺しにする訳にはいかないので妖気を出して相手を威嚇する。念のためにと慧音先生に渡された狐の仮面を被っているために相手は私のことが誰だかわからないだろう。

 

「…妖弧か。なぜ出てくる。」

 

「ここは我ら天狗の守護する場所。」

 

「部外者は消えてもらおうか。」

 

口々に言う白狼天狗。

実を言えば怖すぎて冷や汗をかいている私だが、反論することにした。

 

「数百年と生きてきた妖怪がたかだか数年しか生きていないガキに手を出すとはな…器の大きさを疑われるぞ?」

 

低く、響く声で脅す。

 

「なんだと?物事にはケジメってやつがあるんだよ。規則を破った人間を裁いて何が悪い。仕事をやって何が悪い!天狗に楯突いて人間を守ろうとするとは…さてはおまえ…白狐だな?」

 

「ん?その白狐って確か…殺してもいいやつじゃん」

 

「マジで?んじゃあ、ぶっ殺そうぜ。」

 

え?!

 

「お、お前らに私が殺せる?そ、そそんなはずがないだろう。」

 

小さな魔法使いさん、そんな目で見ないで下さい。妖怪だって怖いことくらいあるんですよ。

…せめて1体ならやれるのに。

 

「…変化、硬質化。」

 

刀を硬質化させた尻尾で受けて弾き飛ばす。

 

ここでやり合えば応援の天狗が来てしまうかもしれない。仮面が剥がされたら即アウトで私は処刑されてしまうだろう。とてつもない速さで迫ってくる天狗だが、倒す手段がないわけではない。しかし、私が相手に危害を加えるのは得策とは言えない。すでに私は、妖弧と天狗の領域に許可なく立ち入ることを禁止されている身なのだ。その上で天狗を相手にトラブルを起こせば何をされるかわかった物じゃない。

 

「しっかり捕まっていてくださいね!」

「わかったぜ。」

 

パンッ!

 

手を叩いて幻術をかける。手を叩くのは敵の注意を一方に寄せるため。意識が傾けば幻術は成功しやすくなる。

 

「へ、効かんぞ?」

 

幻術とは、精神の影響をもろに受ける技だ。天狗という恐怖に怯えている今、成功するはずもない。しかし、隙くらいは作れる。

 

「アイツ、逃げやがった!」

「待てやごるぁ!」

「狐狩りだぁ!!!」

 

疲労を明日の自分に〝背負わせる〟。

痛みも明日の自分に〝背負わせる〟。

疲労と痛みを感じなければ限界以上の力を出しても大丈夫だろう。

このまま山を降りて人里に入ればコイツらは追ってこれない(追って来たとしても慧音先生や博麗の巫女が何とかするだろう)。

道のない道を全力で駆け抜ける。

少女が怪我をしないようにしっかりと抱えたままひたすら走る。枝で服が身体がボロボロになっているだろうが、速度を緩めることはしない。

 

「覚悟ぉ!。」

 

「ごめんなさいぃ!!!!」

 

反射的に謝った私の頭上を通りすぎる刀。

 

「…ますたーすぱーく」

 

胸元の彼女が呟いた瞬間、凄まじい光と音が感覚を埋め尽くした。

 

「た、隊長!?」

 

「…コイツらマジで殺す!!」

 

よく見れば隊長と呼ばれた白狼天狗が遠くまで吹き飛ばされて倒れていた。森の一部を吹き飛ばしたこの攻撃を見て引き下がるかと思えば、激昂したのか二体の天狗は更に速度を増す。

 

「あ、ありがとう」

 

「貸し1だぜ!」

 

え?

どちらかと言えば私のほうが貸してる側でしょうに。

まぁ、そんなことはどうでも良い。恐怖を全て明日の自分に〝背負わせた〟私は、何の縛りもなく、幻術を使えるのだ。敵は激昂して動きが単純になった。感情が一方に集まっていて思い込みを起こしやすい状況。

 

「…堕ちろ。」

 

幻術で眠らせた。酒臭い瓢箪を持っていることから職務中に飲酒して大騒ぎして眠ったことにしておこう。本人たちの記憶を多少いじっておく。

 

 

 

 

 

 

「里まで送ってあげよう。」

 

「感謝するぜ!」

 

「もう、天狗にちょっかい出しちゃダメですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

その後、白黒の魔法使いは慧音先生に頭突きをくらった事や白い狐が文さんによって永遠亭に救急搬送された事は言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はあの時の魔法使い、霧雨 魔理沙だ。な?貸し1って言ってただろう?」

 

「は、はぁ…別にいっぱい作ったから分けてあげますよ。あの後、大変だったんですからね?別に普通に頼めば分けてあげますよ。」

 

「魔理沙…あんた、昔から変わらないのね。」

 




感想、評価お待ちしています!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。