他人を信用しない。
街中で嫌でも視界に入る人間同士の集まり。
それを見て俺は思う。
「アホくさっ・・・。」
なんで他人の言葉をいちいち信じてしまうのか。
他人の吐く気持ちや事の情報が真実だとなぜ思うのか。
相手の話す言葉が真実かなんてわからない。
相手の話す相手自身の心境が真実かなんてわからない。
なのに何故それをなんの疑いもなく受け入れる?
なぜ相手の言葉を聴いてその裏を考えようとしない?
俺にはそれがわからない。
だから、俺は他人と関わりを持たない。
他人を信用できないから。
その考えは高校進学後も変わらないだろう。
~高校入学式当日~
ピピピピピピッ、ピピピピピピッ!
朝、絶賛寝不足中の俺を問答無用で起こしやがる目覚ましが鳴る。
「チクショウ・・・、寝たりねえ・・・。」
いざ二度寝!と思うがさすがに入学式から遅刻するのは変に目立ってしまう。
睡眠を求める俺の脳に渇を入れつつ布団から出る。
4月の朝は割りと寒く、布団にリターンしたくなるがそれをすると確実に二度寝する。
俺は睡眠を諦め、リビングへと向かう。
リビングの食卓には朝からてきぱきと家事をこなす母さんの姿があった。
母「おはよう、今日から高校でしょ! もうちょっと元気でないの?仁。」
俺「おはよう、残念ながらこれが俺の平常運転だ。これ以上は元気なんかでないよ母さん。」
母「アホ。」
母さんはそれだけ言うと家事に戻った。
ちなみに母さんが言った仁というのは俺の名前だ。
九 仁。
九は”イチジク”と読む。
この苗字は正直気に入ってない。
学校などで名前を呼ばれるときそこそこの頻度で疑問系で呼ばれる。
例~「い・・・九君?」
なんで疑問系!?合ってんだから普通に呼べ!
必ずそう思いつつ返事をする。
そんなことを思っていると真横から声が飛んできた。
「朝からずいぶん不機嫌そう・・・。」
寝癖でライオンみたくなってる俺の姉登場。
俺「別に機嫌が悪いわけじゃない、ちょっと考え事だ。
それより、頭なんとかしろよ、完全にライオンヘアーだぞ。」
姉「あとでセットするからいいの。」
あくびしながら隣の椅子に腰をかける姉。
いつもと変わらない日常生活。
高校でもそれは変わらないままなのだろう・・・。
できだけ目立たないように学校生活を送る。
何も変わることはない。
高校へ行こうが社会へ行こうが何ひとつ変わらない。
それで満足か?と聞かれれば正直答えに詰まるだろう。
今の日常はかなり退屈でつまらない。
だが、どうしようもない。
俺はこれから始まる退屈な高校生活にすこし憂鬱だった。