人間を憎む怪獣王と人間を守る守護神、そして時々アホの子   作:木原@ウィング

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怪獣王 ルームメイトと初遭遇する

 放課後になって、一夏は机の上で項垂れて、頭から知恵熱で煙を出していた。

 

ゴモラ「だ…大丈夫?一夏」

 

一夏「大丈夫じゃねぇよ……マジで訳が分からん…。なんでこんなにもややこしいんだよ…?」

 

机に突っ伏して頭から煙の出ている一夏の頭をツンツン突きながら訊ねるゴモラに苦笑いしながら答える一夏

 

甲芽螺「まぁ…確かに一夏には難しいかもね」

 

護羅「……何であれで分からないのか不思議でしょうがねぇよ」

 

一夏「いやいや! 教科書の中はあんなにも専門用語のオンパレードなんだぞ!? 今まで普通の勉強しかしてこなかった俺にとってはこれはかなり厳しい」

 

護羅「……それってただの言い訳だろ?」

 

一夏「っぐ」

 

護羅「現に俺達だってここに来るまではこのIS(鉄くず)の勉強は一切していない」

 

甲芽螺「まぁ、護羅はこう言っているけど確かにその通りなんだよ一夏」

 

ゴモラ「だからがんばろ~! お~!!」

 

一夏「……おぉ!!」

 

護羅達からの叱咤激励を受けて少しは持ち直した一夏。

 

「護羅君って結構厳しいけど、案外優しい?」

「甲芽螺君のあのフォロー上手かったね!」

「やっぱりカッコいいなぁ~」

「ゴモラたん可愛いお はぁはぁ(*´Д`)」

 

周囲はそんな一夏を見て護羅達に対する評価を改めていた。

……ゴモラを見てはぁはぁ言っている奴は護羅が速攻で睨みつけていたが

そう言えば、昼休みも凄かった。

お昼は護羅と甲芽螺と一夏、箒にゴモラの五人で食べたのだが、何故かクラスの全員が後ろからついて来て、護羅達の周囲に座った。

世界で初めてISを動かした男性操縦者の三人の男子を物珍しく感じるのは分かるが、何故かゴモラの周囲に座った連中も妙に興奮していた。

その様子を箒が凄い形相で睨んでいたが……

 

まぁ…そんなこんなで放課後になったのだが、一日目からこれとは…先が思いやられる。

 

甲芽螺「一夏。とりあえず起きな。気持ちは分かるけど、だらしないよ」

 

一夏「うん…わかった…」

 

一夏はまるでゾンビのようにゆっくりと起き上がった。

本当に疲れてるんだな。

それを見ながら護羅達も席を立ち始める。

 

山田「あっ!織斑君達。まだ教室にいたんですね。入れ違いにならなくてよかった」

 

「「「「「はい?」」」」」

 

護羅達が教室から出ようとしたのと同時に、教室に書類を持った山田先生が入ってきた。

何がよかったんだ?

 

山田「えっとですね。皆さんの寮の部屋が決定しました」

 

山田先生はポケットから部屋の番号の書かれた紙と鍵を四人分渡してきた。

基本的にIS学園は全寮制となっている。

生徒は全て寮で生活することが義務づけられていて、余程の例外が無い限りはこの規則は破られない。

前にも言ったが、今やこのIS学園に通っている生徒は一種の財産のような者であり、その生徒を守るためにわざわざ寮で暮らすようにさせているのである。

若い頃から生徒たちを勧誘しようとする輩も決して少なくはない。

実際に護羅達も色々と勧誘されたが、護羅の一睨みですぐにあっちが折れてくれた。

 

一夏「確か俺の部屋って決まってなかったんじゃ?以前に聞いた話だと、最低でも1週間は自宅から通学してもらうって話だったような気が…」

 

甲芽螺「確か、僕達もそう聞いていた筈なんですけど?」

 

山田「それなんですけどね…」

 

少し考えればわかりそうなモノだが…仕方がないなぁ…。

私は一夏の耳に顔を近づけて、小さな声で教えてあげた。

 

ゴモラ「もう! 男でISを動かせる一夏や甲芽螺に護羅は今や世界的な最重要人物なんだよ?そんな人間を一人でのこのこと外に出したらどうなるか…わかるでしょ?」

 

甲芽螺「ああ…そういう事ね。……確かにそうか、わかったよゴモラ」

 

どうやらわかってくれたようだ。

物分かりがいい幼馴染でゴモラちゃんは嬉しいです。

 

一夏がISを動かせるとわかった後、護羅達も検査を受けて適性が有ると判明した途端、政府の役人や明らかに怪しい研究所の人間がやって来て、護羅に協力してほしいと言ってきたのを覚えている。

当然、そう言われた護羅は物凄く恐ろしい形相で睨みつけて追い返していたが。

 

山田「ゴモラさんが言った通り、政府の特命もあって、とにかく今は織斑君達を寮に入れる事を優先したみたいなんです」

 

どうやら山田先生にも聞こえてたようだ。

普通にこっちの会話に入ってきた。

 

一夏「それは分かりましたけど、荷物とかはどうするんですか?まだほとんどが家にあるんですけど」

 

甲芽螺「あ、僕も……」

 

護羅「……右に同じくだ」

 

山田「それなら…」

 

千冬「私が既に手配しておいた」

 

…いつの間にか千冬さんが傍に来ていた。

いくら『人間』に生まれ変わった身であるとはいえ、気配すらも気付かせずに近づくなんて芸当が出来るのは、この人だけだよ。

 

甲芽螺「ど…どうもありがとうございます…」

 

千冬「と言っても、必要最低限の生活必需品だけだがな。数日分の着替えと携帯の充電器があれば充分だろう」

 

一夏「そ…それだけ?」

 

千冬「文句があるのか?」

 

護羅「あぁ!? 有るにき「「いえ…ありません!!」」おいゴラァ!?」

 

千冬さんに抗議しようとした護羅だが、一夏と甲芽螺によって遮られて何も言えなかった。

 

山田「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は18:00から19:00で、寮の1年生用の食堂で食べてくださいね。それから、各部屋にはシャワーがありますが、他にも大浴場もあります。学年ごとに使用できる時間帯が違いますから気を付けてくださいね。それと……織斑君は今のところはまだ使用できませんから」

 

一夏「え?なんでですか?」

 

護羅「アホかお前は。まさか同年代の女子と一緒に入りたいのか?」

 

一夏「あー…」

 

そう、ここ女子しか居ないんだった。なら男子用の大浴場なんて必要ない…。

 

山田「おっ、織斑くんっ。女子とお風呂に入りたいんですか!?だっ、駄目ですよっ!」

 

一夏「い、いや入りたくないです」

 

どんな目に遭うか分かったものではない。そりゃ、男として興味は無いのかと聞かれれば当然あると答えるが、その代償が命となるとやはりNOと答える。一瞬の幸せのために今後の人生を使いきるなんて御免だ。

 

山田「ええっ?女の子に興味無いんですか!?そ、それはそれで問題の様な…」

 

どうしよう。この人結構他人の話を聞いてない。

ここは、俺は女の子が大好きだー!と大声で断言するべきか?…やめておこう。俺の社会的生命が終わってしまう。

 

ゴモラ「一夏はこれからは発言に気を付けようね~?」

 

一夏「……おぉ」

 

山田「えっと、それじゃあ私たちは会議があるので、これで。織斑君達、ちゃんと寮に帰るんですよ。道草くっちゃ駄目ですよ」

 

校舎から寮まで50メートル位しかないと言うのにどう道草をくえというのだこの人は。確かに各種部活動、ISアリーナ、IS開発室など様々な施設・設備があるこの学園だが、今はもう日が暮れるしその辺りの施設や部活を見るのは明日で良いか。今は直ぐにでも休みたい気分だ。

 

一夏「そうだ、護羅達の部屋番号は?」

 

甲芽螺「あ、僕はね……1026だね」

 

ゴモラ「私は1233! 護羅は?」

 

護羅「……1225」

 

一夏「俺は1025だから……甲芽螺が隣の部屋か」

 

甲芽螺「というか、見事にバラバラになったね?」

 

ゴモラ「てっきり男性操縦者は誰か一緒になると思ったのに」

 

護羅「どうでも良い、さっさと行くぞ」

 

護羅は各自の部屋番号を確認するとそのままスタスタと学生寮に向かって行った。

 

ゴモラ「あ、待ってよ~!! もう、護羅! 待ってってば~!!」

 

甲芽螺「廊下を走るんじゃないよ~」

 

一夏「甲芽螺ってお兄さんって感じだな」

 

甲芽螺「うぇ!? そうかな?」

 

一夏「あぁ、あの三人の中じゃ一番お兄さんだと思うぞ」

 

甲芽螺「はっは~一夏。それは違うよ」

 

一夏「ん? 違うって?」

 

甲芽螺「僕らの中で一番お兄さんなのは護羅だよ」

 

一夏「えぇ!? 護羅が?」

 

甲芽螺「そう護羅が。あいつ、ああ見えて面倒見は僕達の中で一番いいんだよね~」

 

甲芽螺の意外な発言に目を丸くする一夏。

その一夏の様子を見て苦笑いする甲芽螺。

 

甲芽螺「まぁ、あんな護羅を見たらその反応もうなずけるんだけどね」

 

一夏「……なぁ、甲芽螺」

 

甲芽螺「何だい? 一夏」

 

一夏「……どうして護羅はあんな風に人を嫌っているんだ?」

 

一夏のその何気ない質問を受けた甲芽螺は一瞬固まってしまった。

 

一夏「甲芽螺?」

 

甲芽螺「え? あ、あぁ何だい?」

 

一夏「いや何だい?じゃなくて、護羅がなんであんなに人間をと言うか人を嫌っているんだって聞いたんだけど?」

 

甲芽螺「あ~えっと……」

 

甲芽螺は苦笑いしながら頬を掻いて一夏に頭を下げる

 

甲芽螺「……ごめん、それは今は言えないんだ」

 

一夏「ちょ!? 何も頭を下げなくても良いって!!」

 

甲芽螺の行動に驚いて慌てて頭を上げさせようとする一夏。

そんな一夏を見て真剣な顔をする甲芽螺

 

甲芽螺「だけど、いつの日か絶対に話す。それは約束する」

 

一夏「……分かった。その日が来るまで待っているよ」

 

甲芽螺「ありがとう、一夏」

 

それだけ話して二人も寮へと向かって行った。

 

――――――――   ―――――――――

 

ゴモラ「ここが私の部屋か~誰が一緒なのかな?」

 

ゴモラ「突撃! 私のお部屋!!」

 

ゴモラは護羅と別れた後、すぐに自分に割り振られた寮の部屋にやってきた。

彼女としてはルームメイトは同じクラスの人だと良いなぁ位しか考えていない。

 

ゴモラ「こんばんわ~!!」

 

「あ~ゴモたんだ~」

 

部屋の奥から何やら狐のような恰好をした人物が手を振りながらゴモラの前にやってくる。

 

ゴモラ「え~っとあなたは……」

 

本音「布仏本音だよ~みんなはのほほんさんって呼んでるんだ~」

 

ゴモラ「うん! それじゃあ私もそう呼ぶね!」

 

本音「うんうん、それで? ゴモたんが私のルームメイトなのかな?」

 

ゴモラ「そうみたいだよ~……でも、そのゴモたんって呼び方は何?」

 

本音「嫌だった?」

 

ゴモラ「ん~ん。そうじゃなくて、ここでもそう呼ばれるんだ~って思っただけ」

 

本音「前にもゴモたんって呼ばれていたの?」

 

ゴモラ「うん、何かそんな風に呼ばれていたよ~」

 

本音「そうなんだ、それじゃあこれからよろしくね~ゴモたん」

 

ゴモラ「うん! こちらこそよろしく!!」

 

 

甲芽螺「それじゃあ、僕はこっちだから」

 

一夏「おぅ! それじゃあまた明日な」

 

一夏は甲芽螺にそう挨拶してそのまま部屋に入っていく。

それを見て甲芽螺も部屋に入ろうとするが、そこでふと気が付いてノックする。

ノックせずに入って相手が着替え中などだった場合、こちらが全面的に悪いのでそうならないように対する処置である。

しばらくしても返事が無いのを見て甲芽螺は問題が無いと判断してそのまま部屋に入る。

 

甲芽螺「失礼します」

 

そう言って部屋に入るとベランダに誰かが立って居た。

甲芽螺はそれを見て、彼女こそが自分のルームメイトだと分かった。

ベランダにいる少女に声をかけるために甲芽螺はそのままベランダに出る。

 

甲芽螺「こんばんわ」

 

「…………」

 

声をかけられた女性は無言のまま甲芽螺に振り向いた。

まず甲芽螺が彼女を初めて見て印象に残ったのは腕に付いている大きな四角い箱だ。

真ん中には穴が開いているがそこには何もない。まるでサーベルなどが隠してあるのではないかと思えてしまう。

 

甲芽螺「僕は真那 甲芽螺って言うんだ。君が僕のルームメイトかな?」

 

「……多分、そう、だと思う」

 

甲芽螺の質問に少しぎこちなく答える少女

甲芽螺はそれを見て苦笑いする。

 

甲芽螺「それで、君の名前は?」

 

「わ、私の、な、名前は……」

 

沙妃 マグマ(さべる マグマ)です」

 

マグマはそう言って緊張からか目をグルグル回しながら返事をする。

その様子を見て甲芽螺は思った

 

甲芽螺(この子、コミュ障?)と

 

甲芽螺「それじゃあこれからよろしくね?」

 

マグマ「う、うん。よ、よろし「おい甲芽螺! 助けてくれ!!」く?」

 

ようやく挨拶をしようという時に部屋の前から男の悲痛な叫びが聞こえて来た。

 

甲芽螺「どうしたんだよ一夏の奴」

 

マグマ「あの、助けなくて、良いの?」

 

甲芽螺「あ~うん、そうだね。助けないとね」

 

マグマに恐る恐る聞かれ少し苦笑いしながら扉を開ける。

すると、転がり込んでくるように一夏が部屋に入ってくる。

 

一夏「うぉ!?」

 

マグマ「ひっ!?」

 

甲芽螺「おい! マグマさんが驚いちゃっただろ!?」

 

一夏「わ、悪い! 急いでいたから」

 

一夏の必死過ぎる行動で驚いてしまったマグマ。そしてそれを見て一夏を叱る甲芽螺。

 

甲芽螺「それで? 一体どうした訳?」

 

一夏「そ、それが……」

 

一夏曰く、甲芽螺と別れて部屋に入った後に奥側のベットに腰を掛けて今日まとめたノートを読んでいたらシャワールームの扉が開いてそこから幼馴染の篠ノ之箒が半裸の状態で出て来たらしい。

そして、その後に木刀を持った箒に襲われて甲芽螺の部屋に逃げ込んできたらしい。

 

甲芽螺「……本当に一夏って」

 

マグマ「ラッキー、スケベ?」

 

一夏「ラッキースケベって、好きで起こしたわけじゃないんだけど」

 

甲芽螺「いや、好きで起こせるんだったら凄いよ」

 

一夏「そんな事より、どうすれば良いと思う?」

 

甲芽螺「どうすれば良いって?」

 

一夏「箒だよ! だって今頃は……」

 

マグマ「落ち着いて、元に戻ってい、るかも」

 

甲芽螺「そうだよ、マグマさんの言う通りかもよ?」

 

一夏「……そうかな?」

 

甲芽螺「そうだよ、自信を持って」

 

マグマ「……そんなに、心配なら、一緒に行こう?」

 

一夏「良いのか?」

 

マグマ「う、うん」

 

一夏「ありがとう!」

 

マグマ「ひゃっ!?」

 

マグマの提案を受けて感動のあまり一夏はマグマの手を掴んで嬉しがる。

 

甲芽螺「はいはい、嬉しがるのは分かるけどマグマさんの手を離そうな?」

 

一夏「え? あ、悪い!」

 

マグマ「あ、い、いえ。気に、しないでく、ださい」

 

甲芽螺「……マグマさんが優しくて助かったな」

 

一夏「お、おぉ」

 

甲芽螺「ほら、さっさと行くぞ」

 

一夏「ちょ!? わ、分かったから引っ張んないで!?」

 

マグマ「……楽し、そうだなぁ」

 

甲芽螺はそう言って一夏の腕を引いて部屋を出て行った。

その時の二人の様子を見てマグマは一人寂しく呟いていた

 

 

護羅「……何だ? この部屋」

 

ドアを開けるとそこには、パンフレットで見たホテルの高級スイートルームのような部屋とは全然違っていた

天蓋付きのベッドをはじめ、すべての元々備え付けられていた家具は特注品に入れ替えられているし。

それがほとんど幅を取っているせいでもう一つの元々備え付けられているベッドは隅っこに追いやられている。さらには照明、壁紙までかえられている。

いくら改造し放題な学園とは言えここまでして良い物だろうか?

 

護羅「てか、誰だ? こんな部屋に改造しやがったバカは」

 

「あら、私のルームメイトは貴方でしたか」

 

護羅はそこであまり聞きたくない声を聴いた。

聞こえた声を無視して奥のベットに荷物を放り投げて出て行こうとする。

 

「ちょ、ちょっとお待ちなさいな!?」

 

護羅「……なんだよ、セシリア・オルコット」

 

セシリア「あなた、私が声をかけたのに返事をしないとはどういう事ですの!?」

 

護羅「別に、何で俺が好き好んでお前らの返事に答えなきゃいけないんだ?」

 

セシリア「なっ!? あ、貴方はッ!!」

 

護羅「……それより、この部屋は何だ?」

 

セシリア「は? なんだとは?」

 

護羅「とぼけるな、何だそのベットは。備え付けのベットを押しのけやがって」

 

セシリア「フッフッフ、実はこの家具一つ一つが祖国から取り寄せた最高級の一品でしてよ!元々備え付けられていたものは全て破棄しましたわ!わたくしのようなエリートがこれから3年間生活するのにあのような粗悪品を使用するのは耐えられませんもの!」

 

護羅「……」

 

セシリア「ですので、窓側はあなたに譲って差し上げますわ」

 

護羅「……あっそ」

 

セシリア「どちらへ?」

 

護羅「飯食いに行くんだよ、一々聞いて来るんじゃねぇ」

 

護羅はそれだけ言って部屋を出て行った。

これ以上あの場にいたら頭が痛くなっていただろう。

よりにもよって、ルームメイトが自分のクラスで喧嘩を売ってきた奴とは一体どんな冗談だ?

誰かの嫌がらせか?

 

「おやおや、これは懐かしい顔だねぇ」

 

食道に向かって暫く歩いていると、護羅はまたしても後ろから声をかけられた。

しかし、今度はため息をつくだけですぐに振り返った。

そこにいたのは護羅の予想通りの幼馴染が立って居た。

 

護羅「……よぉ、久しぶりだな? 最珠羅(モスラ)

 

最珠羅「うん、久しぶり」

 

護羅「何年ぶりだ?」

 

最珠羅「え~っと、2年ぶりぐらい?」

 

護羅「もうそんなにか」

 

最珠羅「それで? 甲芽螺君とゴモラちゃんは元気?」

 

護羅「元気過ぎてウザいくらいだ」

 

最珠羅「酷い言い草ね」

 

護羅「事実さ」

 

今の護羅の顔を1組の生徒達が見たら驚くだろう。

何て言ったって、今の護羅の顔は年相応の少年の顔をしていたのだから。

 

最珠羅「それで? ここでは上手くやっていけそう?」

 

護羅「聞くまでもないだろう」

 

その質問に対しては護羅は嫌そうな顔を隠そうともしなかった。

 

護羅「……俺から全てを奪ったISを学ぶところだぞ? 上手くやっていけるわけが無い」

 

最珠羅「……そっか」

 

その答えに少し残念そうに顔を伏せる最珠羅

護羅はそれを見て顔を背ける。

 

護羅「もう良いか? 俺も飯食いに行きたいんだ」

 

最珠羅「うん、それじゃあまたね」

 

護羅「あぁ、またな」

 

護羅はそれだけ言って食堂の方向に歩いて行った。

そんな護羅を見送っていると物陰から一人の人物が出てきて最珠羅に近づく。

 

「ふふっ、随分と嬉しそうだったわね? 最珠羅ちゃん」

 

最珠羅「盗み見は感心しないって何時も言っているわよね?」

 

「良いじゃない、あなたがいつも話していた人物が気になったんだから」

 

最珠羅「そうだったら普通に出てくればいいのに」

 

「人間を嫌っている子の前にこんな胡散臭い人が出てきたら余計に警戒されちゃうでしょう?」

 

最珠羅「胡散臭いって自覚はあるのね」

 

「うるさいわよ」

 

最珠羅「それで? 見ていてどう思ったの?」

 

「……あの子は、危ういわね」

 

最珠羅「まぁね、だから私達が助けてあげるのよ」

 

「そっか、それじゃあもしもの時はお願いね?」

 

最珠羅「任せなさい!」

 

最珠羅の満面の笑みでの返事にその人物は少し苦笑いしながらも自分の根城に戻って行った。

 

(……護羅君か、あの子について色々と調べる必要が有りそうね)

 

扇子で口元を隠しながら、彼女は真剣にそう考えていた。

 

(学園の平和を守るためにも、彼を良く知らないとね。この生徒会長、更識楯無がね)

 

こうして入学初日から生徒会長に目をつけられた護羅。

これから彼を待つのは、平穏か波乱万丈な日々か。

それを知るのは……誰もいない。




一夏は無神経に人の領域に入っていくイメージなので今回もずかずか入っていってもらいました
次回からも擬人化怪獣達がぞくぞく登場していきます!
お楽しみに!!( ・ω・)ノ
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