生徒会長ゼノヴィア   作:阿修羅丸

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第二章
ヒーロー! ……俺?


 深夜の駒王町。

 チームD×Dとオルランド眷属との戦いの直後という事もあり、人影はまったく見当たらない。

 そんな静まり返った町内のとある河原に集まる、五つの人影があった。

 

「どうだ、俺の言った通りだろう?」

「ああ、結界が綺麗さっぱり消えてやがる」

「しかも町中あっちこっちがメチャクチャで、死体もゴロゴロ転がってやがる」

()()()()()()()()()()()()、わかりゃしないって事だ」

「さしずめ食い放題の人肉バイキングってとこか?」

 

 最後の一人の物騒なジョークに、他の四人はゲラゲラと笑った。

 彼等は人間ではない。はぐれ悪魔だ。D×Dが秘密裏に敷いていた駒王町の警備が文字通りに瓦解したのをいい事に町内に潜入、暴れるだけ暴れてやろうという魂胆である。そこに何かしらの目的がある訳では、ない。強いて言うなら暴れる事が目的だ。

 

「とりあえず、近くに幼稚園がある。明日辺りそこでガキどもを捕まえて腹ごしらえといこうじゃねぇか」

「──そうはいかん」

 

 はぐれ悪魔の一人の提案に、凛とした少女の声が答えた。

 五人が一斉に声のした方角を見やると、橋の上に白いフード付きマントを頭から被った人物が立っていた。

 

「チームD×Dか……へっ、だがよぉー! 一人で勝てると思ってんのか!? 出ろ、《龍の手(トゥワイス・クリティカル)》!」

「《紫光矢(スターリング・パープル)》!」

 

 はぐれ悪魔の内二人が、それぞれの持つ神器(セイクリッド・ギア)を顕現させた。右腕を覆う銀色の籠手と、紫色の光で出来た弓矢だ。

 別の一人は体がみるみる膨れ上がり、身の丈3メートルはある人狼に変身した。

 もう一人は、全身を蟹のような外骨格で覆い、腕もハサミに変化した。

 最後の一人は額から角を生やし、皮膚は緑色に変色し、全身の筋肉が膨張して体が二回り以上も大きくなった。

 

「お前たち程度なら、私一人でも役不足だ」

 

 白マントの少女──ゼノヴィアはマントを脱ぎ捨て、愛刀にして相棒たるエクス・デュランダルを起動させた。

 鞘を構成するパーツがスライド変型して、彼女の髪と同じ深い青に彩られた刃を露出させる。

 はぐれ悪魔たちは橋上のゼノヴィアに一斉に襲い掛かった。

 だが、突然彼等の視界内を白い閃光が縦横無尽に駆け巡った──かと思えば、五人ともが全身を細切れにされ、そのまま黒い塵となって消滅した。

 

 ゼノヴィアは元々《騎士(ナイト)》としてスピードが強化されているのに加え、《天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)》の加護により更なるスピードを得た。

 そして《擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)》の加護でデュランダルの刀身を長く伸ばせば、相手の攻撃が届く前に一方的に切り刻めるのが道理である。

 後方から光の弓矢を射ようとした悪魔すら、弓につがえた矢を放つ前に切り刻まれていた。

 

「……うん、だいぶコツが掴めてきた気がするぞ」

 

 ゼノヴィアは己れの戦果に、満足げに微笑んだ。

 

 その後、更に周辺区域をパトロールして回り、兵藤邸に戻ろうとしていた道すがら、ジャージ姿の秋月連也を見掛けた。町の治安維持のため、連休明けまでという条件付きで、彼はまだ兵藤邸に同居しており、今夜もゼノヴィア同様深夜のパトロールに出ていたのだ。

 そして、彼の後ろには十数人からなる行列が続いていた。

 彼等は一人の例外もなく、肉体が著しく損傷している。中には割れた頭から脳を一部露出させている者すらいる。そして、全員の姿が半透明であり、いわゆる幽霊と呼ばれる存在だとわかる。

 連也は……背後の行列に気付いていた。むしろ彼が率いていると言ってもいいだろう。左手で逆手に握った木刀『飛龍』から、絹のような柔らかな白光が優しく溢れ出しており、その輝きが、幽霊の行列をおびき寄せていた。

 ゼノヴィアは連也を追う。

 幽霊の集団を引き連れて、連也は公園の中に入っていく。

 そして噴水のある広場で、足を止めた。

 その間にも、幽霊は数を増しており、広場を埋め尽くすほどだ。

 

「今夜はこれくらいかな……まとめて、高い所へ行け」

 

 連也の額に、光輪が生まれた。霊的な力を司るチャクラが開かれたのだ。

 連也は白く輝く木刀を右脇構えに構えた。

 

「念道剣、影送り!」

 

 振り抜かれた木刀から、白光がほとばしった。

 それは絹のような柔らかな輝きで、ひしめき合う幽霊たちはその光輝に触れるや否や、白い影となって天へと昇っていく。連也はそれを見送った。

 離れた所から見ていたゼノヴィアの耳に、彼等の感謝の声が聞こえたような気がした。

 浮遊霊たちが一人残らず昇天した後も、連也は夜空を見上げていた。

 

「連也」

 

 ゼノヴィアが、少しして声を掛けた。

 

「帰ろう」

「……ああ」

 

 連也はぼんやりとした声で答えると、不意に自分の頭のてっぺんを左手で押さえた。

 

「どうした? 怪我でもしたのか?」

「いや……修行が足りないなって思ってな」

「──?」

 

 少年の言葉の意味がわからず、ゼノヴィアはただ小首を傾げるしか出来なかった。

 

 

 ──翌朝。

 連也は、恐らく人生最悪の目覚めを経験していた。

 何か柔らかい物が、横から自分の身体に絡み付いているのだ。

 目を開けて確認すると、それは裸の女だった。

 

 裸の女だった。

 

「…………ッッ!!」

 

 驚きのあまり、声すら出なかった。

 カーテン越しに差し込む朝日に照らされ、白い肌はうっすらと輝いているかのようだ。

 長い黒髪がその白い肌にかかり、何とも言えない色香をかぐわせる。

 頭頂部からは、ピョコンと黒い猫耳が覗いていた。

 豊かに膨らんだ胸が、連也の身体に押し当てられて形を変えている。

 ムッチリとした尻からは、二本の黒い尻尾が生えていた。

 琥珀色の瞳が、連也に悪戯っぽい眼差しを注いでいる。

 

「お・は・よ♪」

 

 黒歌は艶かしい声でささやくと、連也の上に覆い被さり、それが当たり前であるかのように唇を重ねてきた。

 ニュルリと、舌が潜り込んで来る。

 

「~~~~ッッ!!」

 

 不覚にも連也は、抵抗どころか思考する事すら出来ないでいた。

 それをいい事に、黒歌は舌を妖しくうごめかせ、連也の舌と絡ませ合う。

 左手はシャツの中に潜り込んで、彼の胸板を撫で回し、右手はズボンの中に侵入し、情熱的に動いていた。

 しばらくの間、連也の口を散々に貪った後、黒歌は唾液の糸を引きながら唇を離した。

 

「んふふ……とろけたお顔しちゃって……可愛い♪」

「あ……あんた、いったい……?」

「アタシは黒歌。白音──塔城小猫の姉よ。エッチしよ?」

「──はぁぁあああっ!?」

 

 何の脈絡もない言葉に、連也はすっとんきょうな声を上げた。

 

「な、な、なんでいきなり! 俺たち会話したのすら今が最初ですよね!?」

「うん、そうね。だから何? 坊やだって準備オッケーじゃない」

 

 連也のズボンの中で、黒歌の右手は更に動きを激しくする。

 連也は思わず仰け反って悶えた。

 

「んふふ、身体はホント正直よねぇ~。大丈夫、アタシとっても上手いから、朝ごはんまでには済ませてあげる♪」

 

 黒歌は起き上がり、連也のズボンを脱がしにかかった。当然彼は両手でズボンを掴み、抵抗する。

 

「いやいやいやいやいや! だからちょっと待って! いきなりそんな事言われても困る! なんで俺なんですか!」

「アタシ、子供が欲しいの。で、どうせなら強い子供が欲しいなって思うのよね」

「だったら他を当たってくださいよ! ──あ、ほら、兵藤とかどうですか? アイツは性欲の方もカウンセリングが必要なレベルで強いですよ?」

「えー? でも赤龍帝ちんの強さって神器(セイクリッド・ギア)ありきだし、身体もリニューアルしたとはいえまだ割りと不安定で、資質がどこまで子供に遺伝するかは博打なのよねー……その点、坊やは違うわ。これ以上ない優良物件よ」

 

 黒歌は再び連也の上にのし掛かった。

 豊満なバストが胸板に押し当てられて、またもや柔らかさをアピールするかのように、形を変える。

 

「見てたわよ、オルランドとの戦い……王冠のチャクラを開ける人間なんて、アタシ初めて見たわ!」

 

 琥珀色の瞳を小さな子供のようにキラキラと輝かせ、黒歌は言う。

 だが連也は、それを聞いて気まずそうに目線を逸らした。

 

「あれは、偶然です。あれから何度か開こうとしてみたけど、うんともすんとも言いやしない……それどころか、存在すら感知出来ないし……」

「偶然でも何でも、その歳で王冠のチャクラを開いたのは確かでしょ? 坊やは間違いなく才能があるわ。その才能、アタシの子供に分けて欲しいの……坊やの心も身体も、お姉さんがとろけさせてあげるから」

「姉様、そこまでです」

 

 後ろから黒歌の肩を掴む、小さな手があった。

 いつの間にか部屋に入ってきた小猫であった。

 小猫は凄まじい力で姉の体を空中高く放り上げると、自分もそれを追ってジャンプする。

 そして黒歌の両足首を掴み、両腕を足で押さえた。

 逆大の字に姿勢を固定された黒歌は、哀れそのまま変型のツームストン・パイルドライバーで、床に頭から叩き付けられる。

 

「し、白音……お姉ちゃんはもっと労って……」

「だったら、もっと労られるような言動を心掛けてください」

 

 妹のつれない言葉を耳にしながら、黒歌はガックリと意識を失うのであった。

 

「どうも、姉がお騒がせしました。それと、もうすぐ朝ごはんですよ、連也先輩」

 

 一部始終を呆然と眺めていた連也にそう告げて、小猫は黒歌の足を掴んでズルズルと引き摺りながら部屋を出ていった……。

 

 

 気を取り直して、連也は着替えを済ませて一階のダイニングに下りた。

 既に一誠の父の五郎が席に着いており、新聞を読んでいる。その周りに朱乃と小猫、アーシアもいて、横から五郎の読んでいる新聞を覗き込んでいた。

 連也が「おはようございます」と挨拶すると、五郎は新聞から目線を上げた。

 

「おはよう秋月くん。ほら、ごらん。君の事が早速記事になってるぞ」

「……はあ?」

 

 何の事やらさっぱりわからず、連也は間の抜けた声を上げる。

 そして五郎が差し出した新聞に目を通して──ワナワナと震え始めた。

 

「な、な、なななっ! 何じゃこりゃああああああッッ!!」

 

 その叫びを聞き付けて、パタパタとリアスが駆け込んで来た。

 

「なぁに、今の? どうしたの、連也くん!」

「これはアンタの陰謀かぁぁあああッッ!!」

 

 連也はリアスの顔を見るなり、新聞を突き付ける。

 

『正義の木刀、冴ゆ!──愛と奇跡の子が外国人犯罪者を逮捕──』

 

 赤い太字で、そのような見出しが書かれている。

 

「ア、アハハハハ……」

 

 それを見た瞬間、リアスはひきつった笑みを浮かべつつも、あからさまに視線を逸らした。

 

「やっぱりアンタの差し金かぁぁぁああああっ!」

「ご、ごめんなさい! 実はオルランドとの戦いをどこかで報道関係者が見てたらしくて……大急ぎで特定して記憶とか記事の内容とかを改竄したんだけど……前にも説明したけど、人間の記憶って根こそぎ書き換えるのは不可能なのよ……最も後を引かない形で隠蔽するには、あなたを矢面に立たせるしかなかったの……」

 

 リアスは両手の人差し指をツンツンさせながら、しどろもどろに説明した。

 

 何かのコスプレとしか思えない格好だったルフェイやレイヴェル、ロスヴァイセ。

 本物の刀剣を所持していたゼノヴィア、イリナ、祐斗。

 全身を真紅の鎧で武装した一誠。

 なるほど、あの時の彼等を世間の耳目にさらす事は出来まい。

 何の武器も持ってなかったのはリアスと朱乃だが、うら若き乙女が徒手空拳で犯罪者を捕らえるという設定も、アクション映画ならともかく現実的に考えれば無理がある。

 

「……わかりました。じゃあそれはいいとして、ここ!」

 

 連也が指差したのは、見出しのすぐ横である。

 そこには記者たちにマイクを向けられる連也の写真が載っているのだが……、

 

「何ですか、コレ! 俺、こんなインタビュー受けた覚え全然ないんですけど!」

「あ、それはうちが用意した影武者よ。だ、大丈夫よ。インタビューとか取材とかは、今後もグレモリー家を通すように段取りを整えてあるから」

「そういう問題じゃねえよ! うあああっ! 俺もう恥ずかしくて外歩けねえぇぇええええっ!」

 

 連也は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。

 

「まぁまぁ秋月くん。リアスさんたちにも事情があったんだ、許してやってくれ……それに、敵の親玉を君がやっつけたのは本当なんだろう? 君は正しい事をしたんだ、胸を張りなさい」

「すいません、無理です……穴があったら入りたいです……誰か埋めてください……」

 

 五郎の慰めも、今の連也には何の気休めにもならなかった。

 朱乃とアーシアが駆け寄り、慰めの言葉を掛ける。

 

「まぁまぁ連也くん、元気を出してくださいな」

「そうですよ。それに、人の噂も四十九日って言うじゃないですか」

「アーシア先輩、それを言うなら七十五日です」

 

 小猫は連也の頭をよしよしと撫でながら、突っ込んだ。

 

 

 連休最終日。

 リアスは自室で書類の山に囲まれて、うめき声を上げていた。

 何せ今回の事件は、『外国人犯罪者による爆弾テロ』という形でではあるが、全国的なニュースとなっている。報道と警察の両方に手を回して、何とか自分たち悪魔の存在が表に出ないようにする必要があった。

 そして、破壊された町の復興や、被害者及びその家族への補償。

 目撃者の記憶の改竄。

 やる事が今まで以上に多すぎる。

 グレモリー、シトリーの両家共に、この事件の後始末には金も労力も一切惜しむつもりはない。

 それでも、駒王町を管理しているのはリアスなのだ。当然、彼女の承認を必要とする事柄がたくさん出てくる。サイン待ちの書類だけで、デスクの上に要塞が出来上がるほどだった。

 

「手伝おうか?」

 

 そう言いながら、デスクの上に突っ伏すリアスに、コーヒーカップを差し出す手があった。

 背の高い、筋骨隆々とした男だった。

 太い眉には意思の強さが感じられる。

 黒い半袖シャツに、ベージュ色のスラックスとベストを着ている。その半袖から覗く腕の太さは、リアスの腰回りほどもあった。

 

「…………砂糖と塩、間違えてないわよね?」

 

 リアスはカップを受け取りながら、尋ねる。

 

「ここの奥方がお前にと入れてくれた物だから、その心配はないさ」

 

 男はそう言って、歯を剥いて笑った。まるで野生のライオンを思わせる笑みだ。

 

 サイラオーグ・バアル。

 七十二柱の一角であるバアル家の次期当主で、リアスとは従兄弟同士の間柄だ。

 

「何か用? イッセーなら事務所の方よ」

「ああ、ちょっと息抜きに、兵藤一誠と手合わせをと思ってな……それなら、そちらには後で顔を出そう。──大変だったようだな」

「今も大変よ。ある意味、今の方が大変かしら」

 

 リアスは答え、カップのアイスココアを一口飲んだ。

 少し強めの甘味が、今は気持ちをほっとさせてくれる。

 

「一声掛けてくれれば、俺も加勢に来たものを……」

「殴るしか能がないあなたを呼んだって、町の被害が広がるだけでしょ」

「ハッハッハッ、ひどい言われようだな。まぁ事実だから仕方ないが」

 

 サイラオーグはそう言って、豪快に笑い飛ばした。

 

 そこへ、ノックの音がする。

 リアスが「どうぞ」と返すと、ドアが開いて連也が入室してきた。右肩に、荷物の入ったリュックサックを掛けている。

 

「先輩。学校の準備もありますんで、家に帰らせてもら──あ、ども、こんにちは」

 

 サイラオーグの姿に気付いて、連也はリュックサックを下ろしてお辞儀をする。

 リアスは従兄弟を簡単に紹介した。

 

「そうね。お家の方も心配してるでしょうし……ありがとう連也くん。ただ、もうしばらくの間はあなたの手を借りる必要があると思うの。その時は申し訳ないのだけど、またよろしくね?」

「わかりました。じゃあ、失礼します」

「──その前に、いいか?」

 

 サイラオーグが連也のそばに歩み寄った。

 

「新聞を見たのだが、オルランドを倒したのは君で間違いないか?」

「はい」

「そうか……従姉妹が世話になったな。俺からも礼を言わせてほしい。ありがとう」

 

 そう言って、右手を差し出して握手を求める。

 連也はそれに応じた。

 サイラオーグの手は大きかった。

 だがそれ以上に、手を通して感じ取れる、肉の内側からみなぎる気の圧力が凄まじい。

 

「……あの、失礼ですが……流派は? 何かやってます? お師匠様は、どんなお方でしょう」

「うん? ……うぅむ、特にいないな……我流だからな……強いて言うなら、参考にした本やDVDのモデルさんたちが、俺の師匠と言えば言えるかも知れん……」

 

 ──喧嘩売ってんのか。

 

 連也はその言葉を、グッと飲み込んだ。

 

「……だとしたら、とんでもない天才ですね」

「ハッハッハッ、そんな風に言われたのは初めてだな」

 

 サイラオーグはお世辞と受け取ったらしく、黒髪を左手でガシガシと掻きながら、豪快に照れ笑いした。

 

「さて、兵藤一誠の顔も見てくるか。じゃあな、リアス」

 

 そして、そう言ってそそくさと退室した。どうやら本当に照れ臭くなったらしい。

 バタンとドアが閉ざされると、連也はリアスの方を見た。

 

「今の話、本当ですか?」

「少なくとも私は、彼がどこかの道場に入門してたとかそんな話は聞いた事ないわね。彼の性格なら、道場の先生への感謝の気持ちとか、尊敬の気持ちとか、事あるごとに口にするはずだ

し……」

「だとしたら、やっぱり天才だな、あの人……」

「そうなの?」

「あの人、闘気使えるでしょ?」

「ええ」

「誰にも師事せずに闘気の扱いを覚えるなんて、努力だけじゃ出来ませんよ。

 ちなみに、俺が念道の修行を始めたのは小学校に上がる前でしたけど、父の指導を受けても、気を念のレベルにまで高められるようになったのは、小学校卒業する頃でした」

「…………そうね。確かに、言われてみればその通りね……」

 

 ちょっぴり従兄弟を見直すリアスであった。

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