世界一の錬金術師の養女は、ホグワーツへ入学するそうです。   作:東風吹かば

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なんか続きを書く前に、衝動的に書きたくなってしまいました……

よく見ると11話目でしたね。タイミングもバッチシ!



お気に入り登録ありがとうございます。

紛れもないギャグ回です。それと、徹夜テンションで書いたのでノリが深夜のテンションです。お察しください。


111ポイント記念特別話

「お誕生日おめでとうございます、王子様!」

 

 すべての悲劇はこの一言から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誕生日当日は冬休みだったからだろう。少し遅れて手渡されたこのプレゼントは、菓子だった。

 

 

『ミカド』

 

 そうパッケージに書かれている。パッケージの写真からするとスティック状のビスケットにショコラをコーティングした菓子だった。

 

 誰かに聞いたことがあるな。確か、ジャパンの菓子だったか?

 

 

 

王子様(プランス)のお口に合うかはわからないのですが……ジャパンの非魔法族(マグル)が開発したお菓子らしいんです! わ、私も食べましたけど、美味しかったです!!」

 

「ありがとう、お嬢さん(マドモアゼル)。しかし中々数があるが……」

 

 手渡された菓子の箱は十数個。どのくらいの値段かは知らないが、こうまで多いと決して安くはないはずだ。

 

 レイブンクローの同級生とみえる女子。一般家庭であろう彼女からしたら、大きな出費となってしまったに違いない。

 

 おそらくあの王子様の騎士団(L'ORDRE DU PRINCE

 )団員(メンバー)か。クリスマスプレゼントも送ってくれていた子だったら更に金銭的な負担は大きかっただろう。

 

「スーパーでセール中だったんです! お買い得でした。な、なので、大丈夫です! ご心配なさらず!!」

 

 中々のスピードで去っていった彼女。

 

 しかしマグルの作った製品とは。魔法界では手に入らないだろう。長期休暇中にでも買っていたのかな?

 

 ……ショコラは好きだが、流石にこんな量は消費できまい。

 

「やれやれ。皆にも分けるとしよう」

 

 たまには談話室で仲良く菓子を食うのもいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おうおうイラ、うまそうなモノ持ってるじゃねぇか!」

 

「本当ですわね。どうしましたの、そんなに」

 

 談話室にはいつもの面々が揃っていた。

 

「いや、誕生日プレゼントにともらってな。ありがたいのだが量が多いので、一緒に消費してくれないか?」

 

 そう私が言うといつもより機敏な動きでクラッブとゴイルが我先にと箱を開けた。

 

 中の袋が開くと、美味しそうなショコラの匂いがこっちにまで漂ってきた。

 

「クラッブ、ゴイル、礼儀がなってないぞ! ……悪いね、イラ。あの2人が」

 

「構わんよ。確かに美味しそうだ。ドラコも食べたらどうだ?」

 

 私も袋を開けて食べてみる。

 

 なるほど、先の一部にショコラをコーティングしないことで持ちやすくしているのか。

 

 しかし、これは…………

 

「美味しいわね!」

 

「……うまい」

 

 カリカリ、ポリポリといい歯ごたえ。リズミカルに食べられる。

 

 クラッブやゴイルの消費速度も尋常ではない。

 

 様子を見ていた先輩方にも御裾分けし、気づいたら残りはあと数箱となっていた。

 

 1箱くらいはお爺様にでも送ろうか。あれでいて甘党だ。きっと気に入るに違いない。

 

 とりあえずバクバク食ってるクラッブとゴイルに静止をかけよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「美味しいわね!」

 

「……うまい」

 

 

 

 

 

 

『うわぁ、あれは……』

 

 我らが日本国民の誇るお菓子。元気そうなマラソンランナーの看板が有名すぎるあの会社の商品ですな。

 

『しっかし何でこんなとこに来ちゃったんだろうなぁ……』

 

 普通に眠っていたら、明らかに日本じゃない所にいる。かんっぺきな異状現象。

 

『しかも何か浮いてるし……』

 

 幽霊としか思えない自分の状態。しかし、今は、それより……

 

 この目下に見える美男美女どもが()()ゲームを始めるのか。それが重要だ。

 

 菓子を口にくわえ、それを両端から食べていくというリア充しかできないゲーム。

 

『もう、生活習慣病予備軍たちがバクバク食べてるだけじゃん! いいからジャパニーズカルチャー、あのバカップルがやりたがるゲームを始めろや!!』

 

 思わず取り乱して叫ぶと、長い金髪の少女と()()()()()

 

 ん?

 

 

 

 

 

「ふむ。よし、食べるのを止めてくれ。

 ちょっとゲームをしないか? ジャパンの、この菓子を使ったゲームなんだが……」

 

 え、もしかして、この子、私のことが見えてる?

 

 胸がドキドキワクワクする中、その子は静かに話を続けた。

 

「人から話を聞いただけでうろ覚えなんだが……確かこの菓子を同じ量用意して、一番早く食べ終わった者がその場限りの王者となる。そして他の皆に何か罰を一つ言い渡せる、というものだったはずだ」

 

 違う!

 

 何か混ざってる!? 早食い競走と王様ゲームと罰ゲームとが混ざってる!!

 

 いや外国人だから誤解してるのは仕方がないと思うけど……ときめくロマンスはどこへ行ったの!?

 

 唇がくっつくかくっつかないか、その前に菓子が折れるかドキドキする、あの伝説のゲームは一体……

 

「なるほど。よし、イラ。ポーカーでは負けたが、今回は僕が勝つ!」

 

「え? いや、私は審判兼紅茶入れ係をやろう。それよりパーキンソンがドラコと戦いたがってるぞ?」

 

 おお! 三角関係ですかな?

 

 ええのう、ええのう。でもこれから始まんの、早食い競走なんだよなぁ……

 

「ドラコ、今回ばかりは負けていられないから!」

 

「そうか、お互い頑張ろう、パーキンソン……」

 

 こうして何か、亜種の王様ゲーム的なモノが始まった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。食べている間に妨害していいらしいぞ? 特に飲み物を飲んでいる時に、相手を笑わせたりして吹き出させるといいタイムロスが作れるとか」

 

 違う! それはきっと給食の牛乳を吹き出させるやつだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 必死に食べているその姿は。ロマンスなんて感じられないけど。

 

『いいなぁ、青春だな』

 

 みんなキラキラ眩しくて。羨ましかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果──────参加者七名。そのうち紅茶を吹き出してしまった人、四名。食べたもののカロリーに絶望した人、一名。

 

 パーキンソンと呼ばれていた少女に出された罰ゲーム、『私の膝枕で寝てね、ドラコ!』に絶望した人、一名。

 

 

 

 

 

 

 

 よくわかんないけど、頑張れ、少年! あとジャパニーズカルチャーをもうちょっとよく知ってくれると嬉しいな……

 

 

 

 

 

 この願いが届くかは、わからないけど。なんだか応援したくなるような子達だった。

 

 

 

 

『また会えるといいな』

 

 

 

 

その言葉に。

金髪の少女は微笑んだ、気が、した────

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「そういやぁ結局、ド・サドには誕プレに何あげたんだ?」

 

「ふっふーん、今日の私は今までの私とは違うんだよ!」

 

「何にも変わってないように見えるけど……」

 

「ちっちっち。なんと王子様に、手渡しでプレゼントを渡したんだよ! はぁ、初めて王子様をあんな間近で見た……かっこよかったぁ〜」

 

「ヨカッタナー。で、結局、何を渡したんだ」

 

「なんかねー、ジャパンが開発した『ミカド』ってお菓子。王子様、チョコレートが好きだからいいかなーって。それにジャパニーズで『(エンペラー)』って意味の名前らしいしね!」

 

「そう、それは確かにお似合いのお菓子ね。いいチョイスだわ」

 

「だよねだよね!!」

 

「王子様って呼んでんのに……いいのかそれで!?」

 

「え〜。だって王子様が成長すれば皇帝(エンペラー)でしょ? いいじゃん」

 

「いや(キング)だろっ!?」

 

「もう、細かいな〜。細かいことを言う人はモテないぞ!」

 

「そういえば……ジャパンには、バレンタインデーに女性から男性へ愛の告白としてチョコレートを送る文化があるそうね」

 

「えっ、どうしよう!? ちょっと早い愛の告白って思われてたら……」

 

「随分とおめでてぇ頭だな、ホント。あとオレは別にモテなくもなくもないんだからな!!」

 

「はいはいわかったわ、あなたはモテるのね。

 にしても、自分から言っといてアレだけど。多分、告白としてだったらド・サドは受け取ってなかったと思うわよ……」

 

 

 





始めはハリー・ポッター君から贈られた設定で書いていたのですが、よく考えれば彼は冬休みずっとホグワーツ居たんだった……ということでようやく彼女が主人公と話せました。

レイブンクロー3人組は突発的なアイデアでしたが、一人称では中々表せない主人公の周りからの評価が自然にわかるので今となっては欠かせない存在ですね。残念ながら名前を決めてないのですが、果たして性格に合った名前をつけてあげられるのか……

台詞のみの台本形式は書くのは楽ですが、それぞれどの発言が誰なのかがわかるようにするのが難しいので3人組くらいが限界かなあと思っています。なので、あのコーナーは2巻に入ったら別の3人組に変えるか悩んでいます。でもリストラするのも可哀想だしなあ……






一応、あえて日本語で商品名は出しませんでした。

ちなみにヨーロッパ圏でミカドと呼ばれているのは、ミカドというピックアップスティックゲームに使う竹ひごに似ているからだそうです。あと、日本語そのままの名だと英語では痘痕がある、といった意味になるからだそうです。初めて知りました……

マレーシアではイスラム教で禁じられている豚を連想させるためロッキーという名前でしたが、最近は普通の日本語と同じ名前にしたそうです。



イギリスではミカドは、調べたところあるスーパーでは一箱1.5ポンドで売られているらしいですね。つまり一ポンド145円で計算すると、217.5円。日本の2倍くらいのお値段ですな。


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