世界一の錬金術師の養女は、ホグワーツへ入学するそうです。   作:東風吹かば

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やっと1巻の終わりです。

次は予告通り男勢三人+α視点でのショートストーリーをお送りした後に、お陰様でだいぶ前から達成出来ていましたがお気に入り100突破記念の大過去編を投稿する予定です。




お読みいただき、そしてお気に入り登録ありがとうございます。





始まりの終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 筆記試験は教室内が暑い、ということ以外は問題などなかった。問題を解き、余った時間は羽ペンにかけられたカンニング防止の魔法をどのようにしたら無効化できるか、ほころびはないか、術者は誰か等々を考えればあっという間に過ぎていったしな。

 

 当然ながら実技試験もある。

 呪文学はパイナップルのタップダンス。変身術はねずみを嗅ぎ煙草入れに変えること。魔法薬学では忘れ薬の作成、等々。

 

 最後の魔法史の試験を終えると歓声をあげる者が多数だった。特にグリフィンドールなどは大声を張り上げていて、「そんなに力が有り余っているならテストでもっと全力を尽くした方が良かったのではありませんの?」とダフネに毒づかれたほどだ。まあスリザリン生は皆静かに教室から立ち去ったが。

 

 他の三寮と馴れ合わず、自寮での友好を深める。これこそがスリザリン最大の特徴かもしれない。

 

 談話室では答案の答え合わせをする者、終わった事を喜び普段通り雑談に興じる者、マイペースに時間を過ごす者と様々だった。

 

「これで試験の結果が発表されるまでは自由だな!」

 

「たったの1週間後ですわね。そんな余裕でいられるほどザビニは点数が取れたのかしら?」

 

 一週間後。私の一年間の努力の評価が定まる日と言っても過言ではないだろう。

 

 お爺様や従兄弟たちからとやかく言われないように、ニックやペレネル、両親の期待を裏切らないように。そして何より自身(貴族)誇り(プライド)と義務のためにも悪い成績は取れない。

 

「ハハハハ……イラはどうだったんだ?」

 

「うん、まあ、(おおむ)ね問題なしだな。不安なのは筆記も実技も100点以上の場合は先生方の個人的な裁量が含まれる事くらいだよ」

 

 順当に行けば上位三名には入れるであろう。私が成績面で脅威を感じているのはセオとグレンジャーくらいだからな。

 

「うっわ、余裕だな。でもさぁ、ノットも成績いいだろ?」

 

「…………結果が出ないことには、わからない」

 

 心()しかゆっくりと話すセオは、普段通りの無表情だった。だがこういう成績だとかの話になると普段より暗い顔をするから、何かあるのかもしれない。まあ私が踏み込むべきことではないが。

 

「マルフォイも成績優秀そうですし、今年のスリザリン生はレベルが高いですわね。(わたくし)の成績だと見劣りしそうですわ」

 

「そんなことないだろう。ダフネは試験前、あんなにも勉強していたじゃないか。謙虚なのは美徳だが、その努力を少しくらい誇ってもいいと思うぞ」

 

 早々に寝た私達と違い、ダフネだけは夜遅くまで勉強していた。これは私自身も見ていたし、万が一にも寝首を()かれないよう警戒してくれていたウィルもそう言っている。

 

「そうそう! ダフネなら大丈夫よ。それよりぜ〜ったい、私の成績の方がマズイから……」

 

「ありがとうございますわ、イラもミリセントも。そうですわね、自分のことを信じて結果を待ちますわ」

 

 セオは隅で静かに読書しているし、ブレーズも上級生(女子)の所へ行った。ドラコはパーキンソンとお取り込み中だし……ダフネとミリーとも話のタネが尽きてきたな。

 

「結果は必ずついてくるさ、ダフネ。ミリーも、例え今回が悪くともまだまだチャンスはある。次から頑張ればいいじゃないか。

 …………話の途中で悪いけれど、猫のノミ取りの時間だから席を外すよ?」

 

 ウィルは猫妖精(ケット・シー)なのでノミなんぞ居ないが、席を外す口実に使わせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご報告します』

 

 自室でゆったり読書をしている時にウィルが来るとは。平常時では有り得ないことだ。

 

「なにか問題が起きたか?」

 

『はい。賢者の石を守るため、呪われた子(ハリー・ポッター)らが動き出しました。そしてダンブルドアの(もと)に何らかのふくろう便が届いた模様です』

 

「……ふむ。ダンブルドアの筋書きでいくと今日が対決の日、ということかな」

 

 出された手がかり(ピース)からようやくポッター達もクィレル教授とヴォルデモートという黒幕の存在に気づき、慌てて賢者の石の防衛をしようと思い至ったか。

 

 ダンブルドアへの手紙の中身はあくまで想像だがダンブルドアの外出を、留守を促すもの。それがダンブルドア自身が工作のため出したのか、クィレル教授が偽装したものか、はたまた本物かはわからんが。

 

 ポッター達が防衛に動き、ヴォルデモートらがダンブルドアの留守を知ってこれ幸いにと奪いに行く。なるほど、これがダンブルドアの作りたかった状況か。

 

「ありがとう、ウィル。悪いが次はポッターの護衛を行って欲しい。……まだ、ポッターに死なれては困るのでな」

 

『承りました』

 

 クィレル教授という大人の魔法使いとポッター達、子どもの魔法使い。戦えば当然クィレル教授が勝つに決まっている。おどおどした演技(態度)をしていてもクィレル教授は一流の魔法使いなのだし。

 

「クィレル教授とヴォルデモートが現れると思う。ヴォルデモートが今、どうなってるかは知らんが双方に注意してくれ。倒せると望ましいが、無理であればポッターを逃がすだけでいいぞ」

 

『はい。では行って参ります』

 

「ああ、気をつけてな」

 

 これでポッターが死んでヴォルデモートを一生倒せないという事態は避けられるだろう。

 

 残るは賢者の石を私がどう守るか、だな。

 

 ……とりあえず賢者の石が置いてある所を視張った方がいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という訳でお邪魔します」

 

「説明する気がないのだろう、貴様」

 

 セブルス教授にとってのヴォルデモート、ダンブルドアは私では大まかにしか想像できない。賢者の石の防衛にどこまで関わっているのか、どんな思いを抱いているのか、ダンブルドアにどんな命令を下されたのかは知らない。

 

 ただ、まあ賢者の石の防衛の為と言えばちょっとお部屋にお邪魔するくらい許して下さるだろう。

 

 賢者の石を置いてある部屋が何処かは知ってはいるが、直接そこで見張る気は無い。こういう時こそ私の特殊な眼が役立つ時なのだ。

 

「『アグアメンティ(水よ)』──────────────『シンコミューニオ(同調せよ)』」

 

 魔法で出した水を薄く広げ、目線の高さに合わせる。

 

 そしてもう一つ使った魔法により水に映されたのは大きな鏡のある部屋。賢者の石は見当たらないが、この何処かに隠されているのだろう。

 

「ほほう。使い慣れてますな」

 

「ええ。うちの一族がよく使う魔法の一つです」

 

 視覚を共有してもいいのだが、慣れない者が私達の視ている景色で視ると酔ってしまうことが多い。こちらとしても、水という無生物に自分が視ている景色を映し出す方が楽なのだ。

 

 

 

 

 

 

 クィレル教授が来た。怪我一つない姿で悠々と歩き、大きな鏡を(いぶか)しげに見上げている。

 

「……賢者の石がものすごくあっさり奪われそうなのですが」

 

 先生方が設置した罠は簡単に突破されたようである。是非とも、もう少し難易度の高いものにしていただきたかった。

 

 いや、ポッター達もこの後来ることを思うと、軽めの罠でないと辿り着けないからわざとそうしたのだろうか。

 

「いいや、よく見るがいい。賢者の石が見つからず慌てているであろう?」

 

 賢者の石はいくら探しても見つからないらしく、クィレル教授が焦っている様子がありありと視える。

 

「何処に隠したのですか? あの部屋にあることは感覚的にわかりますが……」

 

「ほほう。ド・サド殿でもわからないのですかな?」

 

 あの部屋には鏡しかない。賢者の石の反応も鏡の中。でも、あの鏡の中にあるなら鏡を壊されたらすぐに奪われる。ダンブルドアの罠がその程度なわけがない。

 

「鏡の中、ではないですよね?」

 

 一応言ってみるも、自分でもどこか違うとわかっていた。

 

「ふん。正解だが不正解、といったところだ」

 

 鏡は昔から神秘的なもの、魔法に関するものとして扱われてきた。合わせ鏡から悪魔が召喚されるなんて伝承がいい例だ。

 

 鏡の魔法具なんてたくさんあるし、あれがどの魔法具かは残念ながら私ではわからないな。

 

 

 

「英雄様のご到着のようだ」

 

 ポッターがラスボスのように待ち構えていたクィレル教授に驚いている。何故驚くのだ?

 

「ふむ。大方、我輩が黒幕とでも思っていたのであろう」

 

 二人の会話からしてその通りだった。どうやらポッターはセブルス教授がクィレル教授を脅したりして賢者の石を手に入れようと画策していると考えていたらしい。

 

 何とも馬鹿げた考えだと思うが、そういえばポッターにとってのセブルス教授の印象は最悪だったな。まあ、クィレル教授の演技も中々のものだった。グリフィンドール生の私情も交えて判断すればセブルス教授黒幕説を信じるのも無理はない、か。

 

 しかし、クィレル教授は何でご丁寧にポッターに解説してやってるのか。殺したいならさっさと殺せばいいものを。

 

 

 

「っ!……」

 

「なるほど!」

 

 ヴォルデモートの登場によりようやく私の疑問が氷解した。

 

 ああ、クィレル教授に憑いていたのは低級の動物霊ではなく、ヴォルデモートだったのか。あまりにもヴォルデモートの力が弱かったので勘違いしていたらしい。

 

 確かにクィレル教授自身に寄生すれば、クィレル教授も決してヴォルデモートを裏切ることができんだろう。中々いい手段だ。

 

 

 そしてあの大きな鏡は「みぞの鏡」だったようだ。人の望みを映し出す鏡と言えば聞こえはいいが、この鏡により廃人同然になった者もいるある種の危険を持った魔法具である。

 

 なるほど、おそらく「賢者の石を使いたい」という意思のある者では石を取り出せない設定にしているのだろう。そしてポッターなら取り出せるように、「賢者の石を見つけたい」と、使おうなどとは思っていない純粋な気持ちであるなら取り出せる設定かな。

 

 予想通り、ポッターのポケットに賢者の石の反応が現れた。だがこれだとやはり、ヴォルデモートに石をあっさりと奪われそうなものだが。

 

 ポッターが石を持っていることに気づいたヴォルデモートがクィレル教授に奪うよう命じる。クィレル教授に攻撃されるポッターはやはり一流の魔法使いには敵わなかったのか、多少は抵抗したもののあっさりと捕まっていた。

 

『ウィル。ポッターが死にそうになるまでは待機だ』

 

『御意に』

 

 もしかすると、赤子だったポッターがヴォルデモートを倒した理由がわかるかもしれない。ポッターには悪いが少しの間いたぶられていてもらおう。

 

「何……?」

「どういう事だ?」

 

 しかし予想に反して、先に大ダメージを受けたのはクィレル教授だった。

 

 ポッターに触れたクィレル教授の手が崩れ落ちていく。まるで砂のように、ボロボロと。

 

 あの魔法がクィレル教授以外にも効くとしたら、ポッターは最強の魔法使いになれるぞ?

 

 何か使用条件があるに決まっている。

 

 ポッターへの悪意、等だろうか。情報が足りないな。推測しか出来ない。

 

 

「…………死んだか」

 

 ポッターに必死にしがみつかれたクィレル教授の身体は崩れ、灰となり。風に乗って消えた。

 

 あとには気を失ったポッターと、固く握られた賢者の石と。ダンブルドアが、いた。

 

 

 

 

「アイラ、セブルス。『視て』いるんじゃろ?」

 

 やれやれ。本当に食えない爺だ。

 

『ウィル。妖精の小道を開いてくれ』

 

『御意に』

 

 ピチョンと水面が揺れる音がしたと思うと、みぞの鏡がある部屋にきちんと転移していた。

 

 

「これは……?」

 

 勿論、セブルス教授も一緒に。

 

「猫妖精の術じゃよ、セブルス」

 

「ほほう。これがですか」

 

 話している二人は無視してポッターの下へ行く。

 

 その手から賢者の石をむしり取ると、賢者の石の赤い輝きが増した気がした。

 

「それはもう壊していいんじゃよ、アイラ」

 

 この口振りからしてニックから石をもらう時も、壊す前提でもらっていたのだろう。

 

「ご自分でお使いになろうとは思わないので?」

 

「中国発祥の花火という物があるじゃろう、アイラ。空にわっと輝いて、潔く散っていく様が美しいんじゃ」

 

 嘘は、ついていない。

 

 どうやらダンブルドアは本当に賢者の石で不老不死になろうとは思っていないようだ。欲が無いのか、欲を捨てたのか。わからんが、まあ賢者の石を使う者が少ないならそれに越した事はない。

 

「『ボンバーダ・マキシマ(完全粉砕せよ)』」

 

 ペキパキと賢者の石が崩れ、ただの粉の様な物となり、最後は目に見えないレベルにまで分解された。

 

 ────その様子は、どこかクィレル教授の最期を連想させるものだった。

 

 

 これで私の役目は終わりだろう。ヴォルデモートは逃げたらしいが、まあ彼を倒すのは私の役目ではない。

 

 

 

 そういえば、私の望みは何なのだろうな。思わずみぞの鏡を覗くと、そこには…………

 

「何が視えたかの、アイラ」

 

 父さんと、母さん。お爺様、従兄弟たち。ウィルに、ホグワーツでの学友。何人かの大人達。そして────ニックと、ペレネルが。私の周りにいて。笑いあっていた。

 

 それはとても和やかな光景で。額縁に入れて飾りたいほどだった。

 

 本当に、現実がそうであるかのようだった。

 

 いや、そうであって欲しいのだ、私は。

 

「なんて事無いものですよ。……校長先生こそ、何が視えるのですか?」

 

「わしか? そうじゃな。ならばわしもこう答えよう。……なんて事無いものじゃよ」

 

 それでも口が微かに動いていたのを見ていた。おそらく「グリンデルバルド」、と。ダンブルドアが捕まえた最悪の犯罪者にして、ダンブルドアの親友だった者。

 

 ダンブルドアが不老不死を求めない理由も、これがその一端かもしれない。そう思えるくらいには悲痛な眼をしていた。

 

「さて。そろそろ子どもは寝なくてはいかぬ時間じゃ。ハリーはわしらが医務室へ運ぶから、アイラは自分の部屋へお帰り」

 

 セブルス教授は鏡から全力で目を背けながら、嫌そうにポッターを抱えていた。

 

「……はい。おやすみなさい」

 

「よく寝て、よく食べ、よく育つんじゃよ」

 

 そんな珍しく教育者らしい言葉と共に、私とウィルは部屋に転移させ()られた。

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 ポッターは三日経ってから目覚めたらしい。

 

 身体的なダメージと言うよりは精神的な疲労が大きかったのだろう。

 

 しかしあんなにもポッター達へ冷たい対応をしていたのにも関わらず、その英雄譚が知れ渡ればまた祭り上げるとは。中々に奇怪な精神をしているようだが、まあ、これが人間というモノか。

 

「今年も寮杯はスリザリンだね!」

 

 とてつもなく上機嫌なドラコが言う通り、大広間の装飾は銀と緑を基調としたスリザリンカラー。つまり、今年のトップはまたもやスリザリン、ということだな。

 

「まあ順当な結果だぁな」

 

「どこぞの寮と違って、点数が大きく引かれる方もいらっしゃらなかったですもの」

 

 ポッター達により引かれた150点は大きかったのだろう。他にも双子のウィーズリー達の引かれた点が無ければ、グリフィンドールはスリザリンといい勝負だったに違いない。

 

「また一年が過ぎた!」

 

 ダンブルドアの登場とともに静かになった大広間に、その声は大きく響いた。

 

「一同、ごちそうをいただく前に老いぼれの戯言(たわごと)をお聞き願おう。なに、そんなに長くはならんと思うのでな。君たちも早く夏休みを迎えたいじゃろう?

 さて、それではここ寮対抗杯の表彰を行おうかの。点数は次の通りじゃ。

 4位 グリフィンドール 332点

 3位 ハッフルパフ   367点

 2位 レイブンクロー  426点

 1位 スリザリン    492点」

 

 我が寮の歓声は嵐のようだった。

 

 そんな雰囲気に()まれたのかドラコがゴブレットでテーブルを叩こうとしていたので、品が無いと慌てて止める。

 

「よしよし、よく頑張った、スリザリン。しかし最近のことも勘定に入れなくてはなるまい」

 

 それからのダンブルドアの言葉は思わず絶句してしまうものだった。

 

 ポッター達の功績を(たた)え、駆け込み点などという謎の点数により170点追加。スリザリンを追い越し、グリフィンドールが一位に。

 

 何という茶番だ。これでスリザリンのダンブルドアとポッター達への評価は更に下がったが、元々好かれていないのだからまあ気にしないだろう。ところがハッフルパフやレイブンクロー、グリフィンドールからの評価はうなぎ登りだ。

 

 大広間が赤と金の獅子に塗り替えられる。スリザリンの静けさとは対照的に、他寮の喝采は凄まじいものだった。

 

「おっとっと、忘れておったわい。その類まれなる魔法力と精神力を称え、アイラ・ド・サド嬢に10点を与える」

 

 大広間が再び静寂に包まれた。

 

 ダンブルドアがパンと手を叩き、大広間の半分が銀と緑の蛇に戻る。

 

 途端、スリザリンからの歓声。私の周りに人々が集まり、次々に握手とサインを求めて来る。…………確か前にも写真にサインを求められたな。

 

 

 他寮もスリザリンだけに一位を取らせるならグリフィンドールとの同立の方がマシだからまあいいかと思い、スリザリンは寮杯をもらえないくらいならグリフィンドールとの同立でもいいかと思う。なるほど、流石ダンブルドア。老獪な手法だ。

 

 マクゴナガル教授とセブルス教授が笑いあって握手をする姿が見えた……とは言ってもセブルス教授は苦笑いだったが。ひきつった笑みを隠せていない。当然だろう。本来なら他を凌駕(りょうが)する圧倒的な一位(頂点)にスリザリンは君臨するはずだったのに、憎きグリフィンドールとの同立一位などにされたのだから。

 

 まあ私としては大して問題ないと思うが。私が上級生になり皆を率いる立場になれば寮杯を取れないなど許せぬことだが、まだ下級生である以上は寮のまとめ役でも無ければトップでも無い。自分が所属する寮なのだから必ず勝たなくてはならないと、勝つのが当然だと思うほど私は傲慢(ごうまん)ではないからな。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 テストの総合成績は

 一位 私

 二位 グレンジャー

 三位 セオ

 という結果となったらしい。

 

 これで気持ちよく帰れるな。

 

 まあ「休暇中魔法を使わないように」という注意書は軽く流し、セブルス教授や学友に(しば)しの別れの言葉を告げればこの一年間も終わりというものを迎える。

 

 

 謹慎中である森番の代わりに一年生の引率をなさったマクゴナガル教授に従って、皆ホグワーツ特急に乗り込んだ。

 

 帰りも勿論一人と一匹でコンバートメント一つを占領しようか。

 

 

「そういえば前の休みは国へ帰っていたが、今回の休みはどうするんだ?」

 

『ケット・シーの国も問題なかったことですし、ご主人様(マスター)の下でお仕えさせていただきたいと存じます』

 

「そうか。ならばニック達の部屋の整理や、遺品の分別などやるべき事はたくさんあるからな。是非とも手伝って欲しい」

 

『承りました』

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと、ホグワーツ特急は発車した。

 

 きっと、それは、様々な想いを乗せて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル魔法

シンコミューニオ(同調せよ)

ギリシャ語等 syn 意味:共に、同時に、同様に
ラテン語   communio 意味:共有

という感じが語源です。


魔法としては、そもそも発動する難易度が高い。また、術者にある種の魔法のセンスが求められる。
五感の一つ、ないしは複数を共有、あるいは同調させる魔法。
大体の魔法使いはこの魔法が使えたとしても一つ(一人)にしか作用できず、無生物(生命なき物)にこの魔法をかけるより生物にかける方がより困難である。


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