世界一の錬金術師の養女は、ホグワーツへ入学するそうです。 作:東風吹かば
次の投稿は一週間後の予定です。
『ご報告します、
『ニックめ、賢者の石をダンブルドアにやったのか……まったく、何を考えているのやら。
とりあえずご苦労さま、ウィル。その調子で賢者の石について情報を集めてくれ。流石にダンブルドアがそこまで馬鹿だとは思いたくないが、アレが悪用されたら大変なことになる』
『承知いたしました!』
日課の朝のランニングの後。嫌な報告に気が重くなる。
奴が自分で使う為でないだろう。というかそれなら学校に隠さんでもいい。
……ヴォルデモートの残党をおびき寄せる餌とか、その辺りか? もしくはポッターのレベルアップの手段か。とりあえずニックたちの為にも、悪用されんよう気をつけねばならん。
ダンブルドアめ! こりずに私の仕事を増やしやがって!!
案外、私の介入もダンブルドアの予定内かもしれないな。それはそれで、いや、そのほうが腹の立つことだが。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「もう、教室に行くので一苦労なんだけど」
「大変ですわ……」
授業が始まると、
最たるものは階段だろう。動いたり、消えたり、傾いたり……お陰で教室へ行くのさえ一苦労だ、本当に。
「まあ、魔法を使えばなんとかなるだろ。禁止はされているけどな」
例えばこの階段に限って言えば、宙に浮いていれば問題ないのだ。
まあ新入生にそんな高等技術を求めるのは酷だが。あいにくと私は幼い頃から魔法と錬金術に携わっているため、比較的容易に移動できている。
……しかし管理人、フィルチの言葉を完全に無視してしまっているんだがな。見つかったら怒られるだろうか。
「廊下での魔法使用禁止? あんなの守ってるやつなんていないわよ」
「そうですわね。魔法も使わないと大変ですわ。でも、イラほど上手くなんてとても使えませんけど」
本心もあるが、ごますりもある言葉だ。そもそもミリーとダフネが私と一緒に行動していること自体も好感度稼ぎが含まれているだろう。
ちなみにパーキンソンはドラコ(とクラッブとゴイル)にひっついて行動していた。ドラコもまんざらではない様子であるし、そのうち心を通わせ合うことになるやもしれんな。
「そうそう! 変身術の授業でもスゴかったわ。マッチ棒を針に変えられたの、イラだけだったし。あのマクゴナガルも3点くれたぐらいだしね」
「ありがとう。だが、ドラコも惜しいとこだっただろう? ミリーとダフネも充分だったよ。もう少し練習すれば変えられるさ」
「呪文学でも素晴らしかったじゃありませんの!
「そこまで褒められると照れくさいな……っと、着いたぞ」
次は魔法薬学。地下牢教室にて我らが寮監、セブルス・スネイプ教授が教えられる授業だ。魔法薬学は変身術と同じで錬金術と通じる所があるのでわりかし得意ではある。しかもスネイプ教授は、父さんと親しかった人物。授業がとても楽しみだ。まあ、グリフィンドールと一緒なのが心配だがな。
ドラコとかポッターとかが、特に。
教室は地下牢だけに肌寒い。おどろおどろしい、いかにもな雰囲気が漂っていて、思わず目を輝かせてしまう。一応城も所有していて、霊とも話せる私にとってはこんな不気味さも大歓迎である。どことなくニックの部屋を連想させて、むしろ大好きだ。人が集まると、スリザリンとグリフィンドールで完全に別れた席がよく見える。飽きもせずにまあ、よくやることだ。まだまだ子供だなあ。
少しして授業の開始時間ぴったりに、ドアを大きく開け放つ音が聞こえた。……スネイプ教授だ。教壇に立つなり、出席を取り始めた教授。せかせかしている。そんな教授は私の名を呼ぶ時、少し悲しそうな表情をしたように見えた。まあ気のせいかもしれんがな。
そして…………予想はしていたんだが、ポッターを呼ぶ番になってスネイプ教授の声は一旦止んだ。
「あぁ、さよう。
ハリー・ポッター。我らが新しい──スターの登場だね」
スネイプ教授は猫なで声でポッターに言った。
父親に似ているからだろう。教授はやはり、ポッター……ジェームズ・ポッターを恨んで、憎んでいるようだ。
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
出席を取り終わると、教授は静かに語り始めた。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である──ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
おお、ずいぶんと詩的な表現かつ熱の入った言葉だな。どうやら教授は魔法薬学がお好きらしい。ま、闇の魔術の方が好きかもしれんが。
私も魔法薬学が好きなので嬉しい。教授ならば錬金術の方面でも才があるはずだから、今度一緒に実験してほしいものだ。……十中八九ダンブルドアに邪魔されそうだが。しかしダンブルドアも賢者の石の製造はできないとはいえ一時的にニックと共同研究者となった身だ。直接様子を見たことはないとはいえ、その腕が残念なことに見事であることは知っている。一度くらい、ダンブルドアと錬金するのも面白いかもしれないな。
「ポッター!」
来たか。
……ポッター。恨むならスネイプ教授ではなく、父親を恨みなさい。いや、多分もう手遅ではあるけれど。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
「分かりません」
生ける屍の水薬だな。私のベッドに常備されてるぞ。中々強力なので重宝しているよ。
ピンと手を挙げている、ポッターの前に座っている女子はわかるようだ。6年生で学ぶ調合なのによく知っている。優秀だな。何という名だったか?
ああ、グレンジャーだ。魔法薬師協会の設立者ヘクター・ダグワース・グレンジャーと同じファミリーネームだから記憶していたな。血縁かは知らんし、どうでもいいことではあるがな。
「チッ、チッ、チ──有名なだけではどうにもならんらしい」
まあ、確かに有名なだけではなあ。ニックやダンブルドア、ヴォルデモートなんかは有名なだけ優秀でもあるが、世の中有名なだけで中身は凡庸なんて例はよくある。最近ではお子様先生やらイケメン小説家やらが人気らしいが、実力が伴っているものかはわからないものだ。
ポッターがどちらになるかは本人次第だな。
「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すかね?」
「分かりません」
ヤギの胃だな。というか今、私が持ってるぞ。万が一毒を盛られた時とか用に。
スリザリン側がクスクスと(ドラコやパーキンソンはもはや爆笑しているが)笑う。
笑うのはいいが、代わりに当てられたらどうするのか加味した上での笑いなのか。解をわかっているうえで笑うのならいいのだが。あるいは当てられて答えられなくても寮監ならば問題ないということなのか。内心まではわからんが、教科書の該当ページを開いて笑うダフネやイズはきちんとしていることは確かだ。
「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え?」
こらこら、ポッター。露骨に嫌そうな顔をするんじゃない。一応、正論だぞ。果てしなく意地が悪いけどな。
「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」
同じだな。別称のトリカブトとよく呼ばれる。
「分かりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますので、彼女に質問してみたらどうでしょう?」
グレンジャーはついに立ち上がって猛烈なアピールをしている。今にも飛びかかりそうな勢いだ。なんというか、その知識からレイブンクロー向きだと思ったのだが違うな。スネイプ教授に無視されてもめげないその精神は勲章モノだよ。間違いなくグリフィンドール向きだ。
「座りなさい」
教授はドラコをちらりと見て、答えられなさそうだと悟ると私の方へ目をやった。ドラコも一応優秀な魔法使いの親が家にいたのだから、少しくらいは予習をしておくべきだろうに。今度同学年で勉強会を開くのもいいかもしれんな。
「アイラ・ド・サド。答えなさい」
それは私が知っていることを前提とした言葉だった。
要は「仮にもニコラス・フラメルに育てられた娘がこの程度、答えられないはずがないであろう?」というような、そんな視線だ。
養父のことは誰にも話していないし、今日が初対面だ。であるにも関わらず知っているということは、答えは一つだ。ダンブルドアめ、秘密を漏らしやがったな。まあスネイプ教授なら構わんけど、他の有象無象には言っとらんよなあ? 少し、いやかなり疑わしいぞ。ポッターを案内していたあの森番、あいつなぞに話された日にはボロボロと秘密が漏らされそうだ。教職員にも探りを入れる必要があるかな、これは。
「第一の答は『生ける屍の水薬』。非常に強力な眠り薬であり、成分が強すぎると一生眠り続けることもあります。
第二の答はヤギの胃の中。ベゾアール石は大抵の毒薬に対する解毒剤にはなるが、かなり手に入りにくいです。
第三の答は同じ。モンクスフード、ウルフスベーンはどちらも同じ植物で、別名をアコナイトとも言います。よくトリカブトと呼ばれますね」
「完璧な答えだ。スリザリンに2点!
さて諸君、なぜ今のを全部ノートに書きとらんのだ?」
皆一斉に羽ペンを動かしたようだ。一応、私も書いておくか。
それとグレンジャー。確かに多少悪いことをしたとは思うが、そう睨まんでくれ。豊富な知識をひけらかしたい気持ちはわかるが、度が過ぎると
「それと、ポッター。君の無礼な態度で、グリフィンドールは1点減点」
……ご愁傷さま、ポッター。それとお願いだから私を恨まんでくれよ?
今の時点でお前に嫌われると厄介なことになりそうだ。主にダンブルドアだとか、ダンブルドアだとかの心情によって。
その後は二人組で「おできを治す薬」の調合ということだった。
ドラコが組みたそうにしていたが、パーキンソンがうるさいだろうから気づいてないフリをして回避。ミリーかダフネと組んでもいいのだが、そこは薄く
となるとセオかブレーズ辺りと組むことになるな。おお、丁度よくセオが一人で
「よろしく、セオ」
「……ああ、よろしく」
まだ1年であり、初の調合なのでとても簡単な調合だった。スネイプ教授は各テーブルを見回って注意を(グリフィンドールには厳しめに)していたが、特に私たちペアには何も言わずじまいだった。ドラコのところはベタ褒めしてたのに少し酷くないだろうか?
勿論私はこの手の調合は手馴れているし、セオも優秀だったのでドラコたちより上手く出来てる自信があるのにな。
「……手馴れているな。上手い」
「ありがとう。家でこの手のことはよく手伝わさせてもらっていたからな──────っと、『
魔法の発動速度は才能などの要因もあるかもしれないが、やはり慣れで決まるだろう。その点、私は錬金術で失敗したときすぐに「盾の呪文」を使えるようかなり訓練してある。
この程度の調合では失敗しても「おできができる薬」だとかが体にかかるくらいで、害はほぼ無い。だが錬金術や高度の調合では、失敗した後の防御が間に合わなければ最悪死に至ることも少なくは無い。
「バカ者!」
まあつまり、グリフィンドールの男子が失敗したらしく魔法薬が体にかかる直前に「盾の呪文」を唱えてやった。スネイプ教授よりも行動がはやかったのは、この程度の調合で失敗する輩がいるとは想定していなかったのだろうか。流石にもっと危険な調合では生徒を守るとは思うが、もしかすると自己責任として手出し無用とされているやもしれんな。魔法を扱う私達にとっては、マグルよりも明らかに危険が身近にあるものなのだから。
「おおかた、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?」
スネイプ教授の言葉に
「念のため医務室へ連れていきなさい。
それとド・サド、よくやった。スリザリンに1点」
ペアの男子と出ていったが……ちゃんと防げたと思うのだがなあ。ちょっとくらいかかってても自分の責任であることだし。
スリザリン生のグリフィンドールへの嘲笑が聞こえる。
グリフィンドール生は「人の失敗を笑うなんてひどいぞ!」などと思ってスリザリンへの敵対心を強めるのだろうな、きっと。だがもし立場が逆になればグリフィンドールは嘲笑するに違いない。
結局人間、根本的には同じものよな。
「君、ポッター、針を入れてはいけないとなぜ言わなかった? 彼が間違えば、自分の方がよく見えると考えたな? グリフィンドールはもう1点減点」
ポッターがまた「理不尽だ!」という顔をするが、うん、私もそう思うよ。もう一度言うが、恨むなら自分の父親を恨め。間違っても私を恨まんでくれよ。ついでにスネイプ教授のこともあまり恨まんでくれ。仕様がないことなのだ。
「ド・サド」
スネイプ教授に呼び止められるとは思わなかった。こちらにはあまり踏み込んでこないと思っていたのだが。面倒ごとではないといいな。
「はい、何かご用でしょうか?」
「……後で話がある。ここに来るように」
「わかりました」
放課後は図書館で読書をしようという私の素晴らしい予定はこうして崩された。
「何だろうね、スネイプ先生の話って」
「まあイラのことですからそう悪いお話ではないでしょう」
大方うちの父についてとかその辺りだろう。
「んんっ、そうだといいんだが。
それはそうとダフネ、大丈夫か? あのグリフィンドール生の近くにいただろう?」
「問題ないですわ。イラの魔法のお陰ですの。ありがとうございました」
私の使った「盾の呪文」が難しい魔法ということはわかっているだろうが、それがどのくらい高度の魔法かは知らないようだ。そのうち知ることになるだろうが、ひとまずはいいだろう。
実際には、「盾の呪文」は大人の魔法使いでも習得出来ないのが珍しくないほど高度な魔法だからな。詮索されたら理由をつけるのが面倒だった。
「いや、ダフネが無事だったならよかった」
あんなグリフィンドール生のせいで女子の肌におできができるなどとても許容できることではないからな。教授の指導には問題が……まあ、贔屓以外にはなかったのだから失敗は自己責任だ。周りに迷惑をかけるべきではない。魔法使いとして生きていくのなら、なおさらだ。
「ってか、今日のグリフィンドールは傑作だったね」
「そうですわね。あの愚図なグリフィンドール生は勿論、英雄だなんだと言われていましたがハリー・ポッターも大したことありませんでしたわ」
「まあポッターはどうでもいいだろう。それより、次はクィレル先生の授業だよ。あの先生は少し苦手なのよな」
「まあ。イラに苦手な方などいらっしゃったのですね」
「驚き!」
「苦手な人くらいはいるさ。2人は私をなんだと思っているのかね」
クィレル先生からは露骨に闇の魔術の匂いがする。そのうえ低級の悪霊に憑かれてるように見受けられる。さらには明らかに演技をしているのだ。
「失礼します。アイラ・ド・サドです」
「入りたまえ」
一応ノックしたのだが、聞こえなかった場合を想定して声もかけておいた。
まあ、所詮学校。
「……掛けて構わん」
紅茶をテーブルに準備してくれている。
魔法薬学の教授が出したものと思うと少々怖いな。とは言え、スネイプ教授のことだ。おそらくは信用しても大丈夫だろう。
……念のため口の中にベゾアール石の欠片を
「ド・サド。優秀な君のことだ。我輩が何故呼び出したかもわかっておいでかな?」
「申し訳ありませんが、わかりかねます」
「ふむ……よろしい。
さて、我輩が君の父上と親しかったのは知っているか?」
「少しは」
少しどころか本人に聞いたので結構知っている、という事実は黙っておこう。両親の霊と出会い、話せるというのは私だけの奇跡だ。余計な期待を持たせるものではない。
「そうか。では本題に入ろう。
ダンブルドアから君の事情は聞いた。さて、君も注意しているとは思うが、君の父上と
……わかっているつもりだったが、教授は身内と決めた人間(とその家族)にはとてもお優しいらしい。
正直なところ家族以外からの打算でない、ホンモノの優しさは久しぶりだったのでとても嬉しい。なにしろ不器用ながらも心配だという気持ちがひしひしと伝わってくるのだ。
「お気遣いありがとうございます。ですがダンブルドアが漏らさない限り大丈夫かと」
もうスネイプ教授にはバラしているし、マクゴナガル教授とかにもバラしたかもしれんな。まったく。人様の秘密をなんだと思っているんだ。
「開心術でもか?」
「ええ。閉心術は得意なほうなので」
「なるほど。では、試してみよう。
『レジリメンス!』」
開心術を使われる。
組み分け帽子にはわざと多少視せたが、スネイプ教授は完全に
「この年でそこまで使いこなせているとは、大したものだな」
「お褒めいただき光栄です」
閉心術が得意だと父さんも話していた教授から褒められるとは、本当に光栄だ。
「ところで、何故ロングボトムを助けたのかね?」
これは私の性格の確認か。
私がここで「寮なんて関係なく、みんな仲間ですから。助け合わなくては!」なんて言う人物か知りたいのだろう。さっき開心術でうかがい知ることが出来なかったから。
よかったことに(残念なことに?)私はそんな善人でも頭の中お花畑でもない。ダンブルドアのように善を追い続ける者でもなければ、贖罪に生涯を費やす傑物にもなりえない。むしろカテゴリーとしては悪人に入るだろう。
「いえ、ロングボトムを助けた認識はありません。私はロングボトムの近くにいたスリザリン生の為に行動したまでです」
「そうか。もし君のことが気に入らなければ断ろうと思っていたが、ダンブルドアに頼まれたことが1つある。我輩が君に魔法を教えろ、というものだが……どうかね?」
個人的にも教授のことは好いてるし、願ったり叶ったりなのだがあまりにも私だけが得をする話だ。
「ありがたいお言葉ですが……後悔からその仕事を引き受けたなら、いりません。もしや、父が死んだのは自分のせいと思っていらっしゃるのですか?」
断ろうと思えば断れるレベル。おそらくダンブルドアからはお願いという形で依頼されたのだろう。「あの子は危険な立場じゃから、身を守る
何故ポッターでなく私だったかといえば単純にポッターはまだ魔法の基本がまったくできてないから。そしてスネイプ教授の気持ちも
本当に、私のことを生徒として気に入ったという理由のみであればいい。けれど教授の中では救えなかった
「我輩が気づいてやれれば、助かったかもしれないのは事実だ」
確かに教授が気づけば父さんは助かったかもしれない。
だがそれは仮定であって、誰がどう言っても父さんは既に死んでいる。この事実は
霊となった二人を受肉させることを考えたこともある。その温かみを知りたいと思ったことは数え切れない。だが、それをしては、一線を超えることになってしまう。
「過ぎ去ったことを言っても詮無きことでしょう。私は貴方のことを恨んでもいませんし、ヴォルデモートのことも大して恨んでいません」
「何故だ!?」
私の父母はヴォルデモートに殺されたようなもの。それなのに何故、と言いたいのだろう。
実際、教授も愛していた女性をヴォルデモートに殺されたという話は知っている。その気持ちを推し量ることはできないが。
「父は私が復讐の道を歩むことなど望んでいません。私もヴォルデモートなんてくだらないことで人生をふいにしたくはないのです。
過去は変えられない。けれど未来への選択はいくらでもある。少なくとも、私はそう思っています」
「…………そうか、そうなのか。
訂正させてもらおう。我輩はダンブルドアに言われたこととは関係なく、君への個人的な────興味で、是非とも魔法を教えたい。いかがかな?」
「喜んでお受けします、セブルス教授」
セブルス教授は
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ねぇ、聞いた?」
「何の話よ」
「今日、グリフィンドールのロングボトムが魔法薬学で鍋溶かしたらしいの!」
「ふーん。で?」
「反応が容赦ないな……」
「でね、それをスリザリンのアイラ・ド・サド様が助けたらしいの!!」
「様付けかよ」
「へー、スリザリンがグリフィンドールを助けるのは珍しいわね」
「しかもその後、周りにいた女子のことまで気遣ったんだって。もうカッコイイよね!? かっこよすぎだよね!!」
「まあ、それが本当ならカッコイイけど」
「ソウダナー。カッコイイナー」
「アイラ様……ぐへへ、アイラ王子ぃ〜」
「どうやら、妄想の世界に旅立ったようね」
「ド・サドは女子だけど王子でいいんだろうか……?」