世界一の錬金術師の養女は、ホグワーツへ入学するそうです。   作:東風吹かば

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今回はオリ話なので短めです。


クリスマスパーティー

 

 

 

 

 

 

 きらびやかなツリーとその下にあるプレゼントの数々を見れば、ああクリスマスかと実感するのはいつものことだ。

 

 「おはよう、ララ。今年もプレゼントがたくさん届いとるぞ」

 

 「……これからお爺様主催のダンスパーティーに行かなくてはいけない、のだよなぁ。アビルに部屋に運ぶよう言っておいて」

 

 「そんな暗い顔をするもんじゃないよ、可愛いララ」

 

 暗い顔もしたくなる。

 

 貴族の義務とはいえ挨拶回りしたり何曲か踊らなくてはならないのは苦痛だ。

 

 だいたいクリスマスというものはイエス・キリストの生誕日なのだろう? だとしたら粛々と祝おうではないか。

 

 「はぁ。どうせクリスマスパーティーに行くならドラコの家へ行きたかった」

 

 「まあ久しぶりのフランス魔法界。楽しんできなさい」

 

 楽しめるようなものではないんだがな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「久しいな、ララ」

 

 「お久しぶりにお目にかかります、お爺様」

 

 若い頃はフランス魔法省の冷徹大臣として名を()せたお爺様の、そのオーラはいまだに健在だ。

 

 ドナスィヤン・ド・サド、あるいは氷の大臣。この名を聞けば後暗いことのある魔法使いは皆震え上がるだろう。

 

 今は隠居して()で気ままに過ごされているが、その影響力は凄まじい。

 

 「ホグワーツはどうだ?」

 

 「少々きな臭いですが……楽しんでますよ」

 

 普通の家族のような平和な会話がなされるとは思わなかった。お爺様はともかく、従兄弟たちは皆一癖も二癖もあるやつばかりだからな。

 

 彼ら七兄弟は……いや、本当に七人兄弟というわけではなく、皆等しく父母を見捨てたからこう呼んでるだけである。

 

 私がつけた彼らのニックネームが「七つの大罪」であることから、まあ、察せるだろう。

 

 怠惰、強欲、傲慢、色欲、憤怒、嫉妬、暴食。まさに、どいつもこいつも手に負えないということだ。

 

 まあパーティーで会うくらいだろう。エスコートはお爺様がしてくださるらしいし、軽く話して終わりのはずだ。

 

 別に彼らのことは嫌いではない。むしろ好きである。が、だからといって会いたいかと問われれば話は別なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「流石はド・サドのご令嬢。お美しい! いやあ、ドナスィヤン殿が羨ましいですな」

 

 「ありがとうございます、ドラクール卿」

 

 ドラクール卿が息子のコニフェール・ドラクールを後ろに従えて私におべっかを言ってくるのはいつものことだ。普通なら辟易する所だが、この方は口が上手いので大して不快感は感じない。これも才能だな。

 

 彼は息子と私を結婚させたいらしく、よく二人きりにさせようと画策してくる。まあ確かに家柄的にも年齢的にも能力的にも一番の結婚候補ではある以上、文句は言えまい。

 

 「久しぶり、コニー」

 

 「ああ、久しぶりだな、イラ。元気だったか?」

 

 まあ狙いに乗ったほうが楽だろう、と卿のお望みどおりコニーと会話する。

 

 お爺様は私に対して過保護だが、結婚相手としてコニーが一番理想的である以上、とやかく言ってこなかった。

 

 「健康だよ。ホグワーツの料理も中々の味だしな」

 

 「へぇ、ボーバトンのほうが絶対美味いと思うけどな。あ、料理何も取ってないのか。

 何か取ってきてやるよ。何がいい?」

 

 「血のソーセージ(ブーダン)ローストチキン(プレ・ロティ)、ショコラを使ったデザート。後は適当に取ってきてくれ」

 

 「わかった」

 

 自分から離れてくれたのはありがたい。お爺様は人混みの中心と化したし、やっと一息つけそうだ。

 

 

 と思ったが、どうやらそこまで甘くはなかった。金髪の麗しい容姿をした男性が近づいてくる。

 

 「ええんか、アイツ女(あさ)りに行きよったで」

 

 「特に。どうでもいい。そちらこそパートナーをほっといていいの、アル?」

 

 アルフォンソ・ド・サド。つけた二つ名(ニックネーム)は強欲。

 

 世の中金だと言ってはばからない(従兄弟)だ。ある意味清々しい。

 

 「今日はパートナー無しで参加したからええねん。それより、あんなヤツ婚約者にすんのやめとき」

 

 「利益ある結婚をしたなら浮気されても別にいいから」

 

 「もー、ララ。確かに金は重要やけど、可愛い妹がそんなんじゃ気になるねん。もうちょい恋に生きぃや!」

 

 愛だの恋だの、よく言われるが、よくわからない。別にこのまま一生わからずとも支障はないだろう。

 

 「私は妹ではなく従姉妹です」

 

 結局口から出たのはそんな一言のみだった。

 

 「つれないなぁ。ま、どうせあの愚息(コニフェール)はしばらく帰ってこーへんやろうし、挨拶回り行こか」

 

 「わかった」

 

 この強欲な従兄弟(アル)は、情報収集でき金儲けに繋がる挨拶回りが好きなのだ。

 

 まあ会ったのがこの(強欲の)従兄弟でよかった。金のことに気をつければ一番マシだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティーも終わればやっと家に帰れる。

 

 何曲か踊らされて疲れたので明日はゆったり読書でもしよう。

 

 「お疲れ様やな、ララ」

 

 「……どうも」

 

 お前が連れ回したせいだろ、と言うのをぐっとこらえた。

 

 「じゃ、お爺様に挨拶したら帰るから」

 

 「他の奴らに会っていかへんの?」

 

 「ルイは私に興味無いだろうし、ノアとジャンは私のこと嫌ってるし、フランは会うと面倒だし、イヴもそこまで私に会いたいわけでもないだろうし、ジョゼフはまだ食ってるだろ」

 

 「まあそれはおうとるけどな……」

 

 ならもう帰っていいだろうとお爺様の寝室に向かおうとすれば、背後から声が聞こえてきた。

 

 「ええな、ララ。ホグワーツ(学校)で何かあったらお兄ちゃんに言うんやでぇ〜」

 

 だからお前(アル)は従兄弟だ!と心の中で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 「あの子がいないと何か静かね」

 

 「まあそもそもクリスマス休暇なんて学校に残る方が珍しいからな」

 

 「結局ド・サドにプレゼント、何を送ったのかしらね」

 

 「無難に菓子とかじゃねぇか? アイツも小遣い少ないし」

 

 「でもド・サドに贈られるプレゼントなんてさぞかし豪勢なのでしょうね」

 

 「そりゃそうだろうが……あそこにいるハリー・ポッターとかもいい勝負だと思うぜ」

 

 「あ、そういえば……」

 

 「何だ?」

 

 「いえ、あの子がド・サドの誕生日が1月6日だからプレゼントに工夫がいる、だなんて呟いていたのを思い出しただけよ」

 

 「へえ、クリスマスと近いんだな」

 

 「らしいわね。もう、あの子ったらよく私の前でド・サドについて言うものだから段々私まで覚えてきちゃったのよ」

 

 「もうあれは病気と思って諦めるしかないな……」

 

 「あの子、レポートとか見てる限り頭はいいんだけどね……」

 

 

 

 

 




大抵の話ではクリスマスプレゼントの中身を開ける中、この小説ではまったく触れませんでした……

というわけで本編には関係ないけどちょっとだけ紹介します。


主人公へ
セブルス・スネイプ教授より贈られたもの
銀細工の髪飾り
魔法薬学の本

ドラコ・マルフォイより贈られたもの
純金のネックレス

ブレーズ・ザビニより贈られたもの
百味ビーンズ
恋愛小説

セオドール・ノットより贈られたもの
黒レースのバレッタ
冒険小説(エッセイ)

ミリセント・ブルストロードより贈られたもの
香水

ダフネ・グリーングラスより贈られたもの
絹のスカーフ
妹のアストリアと二人で写っている写真(一緒に入っていた手紙の中に)

ハリー・ポッターより贈られたもの
蛙チョコ





主人公から
セブルス教授に贈ったもの
好きな曲のオルゴール

ドラコに贈ったもの
貴族について書かれた本
置時計

ブレーズに贈ったもの
色んな女性と関係を持って酷い目にあった男が主人公の本
ハンカチ

セオドールに贈ったもの
闇の魔術に対する防衛術についての本
腕時計

ミリセントに贈ったもの
懐中時計

ダフネに贈ったもの
ネックレス

ハリーに贈ったもの
フィフィ・フィズビー
(ハニーデュークスで売っているお菓子。舐めている間、地上から数センチ浮き上がる炭酸入りキャンディ。)



さて、今回大量に出てきたオリキャラ。従兄弟たちについてはそんなに出さないつもりです。できる限りオリキャラは少なく済ませたいので……

まあ需要があれば出てきます、はい。


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