十五夜に影は蠢く   作:スフィンクス

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地の文は語り手みたいなものだと思って下さい。
「キャラクター」

解説役みたいな?

オリ話というか、伏線を無理やり作るための話なんでめちゃくちゃです。許せ。


九夜月

 

 

「依頼……?」

 

「ああ。川神学園には幾つか他の学園と違うところがあって、その一つに‘‘依頼システム’’と言うのがあるんだ。依頼主は生徒から教師、時折学園長なんかも出す。報酬はこの学園で使える食券だったり、商店街で使えるサービス券。現金以外のもの」

 

「それを、何で義経に頼むんだ?」

 

「今回俺たちが受けた依頼が親不孝通りに関係することだから、姉さんが居るけど少しでも戦力が多い方が良いと思って。本当なら梁山泊にも頼むつもりだったんだけど……色々と世話になったから今回は遠慮しようと。それに義経たちも経験した方が良いと思って」

 

「成る程。誘ってくれてありがとう、勿論協力させて貰う……ただ、弁慶は連れてこれるかは自信がないぞ?」

 

「まああんな性格だしね。出来たらで良いよ、出来たらで」

 

「分かった。詳しい日時は今夜にでもメールしてくれるとありがたい」

 

「一応日付だけは明後日の休みだよ。じゃあ俺はこの後用事あるからもう行くよ」

 

「うん、ばいばい」

 

義経はそう言うと歩いて行った大和を見送る。

 

今居る場所は川神学園二年の階層、普段から生活している場所だ。

 

(依頼……この学校にはまだまだ面白いものがあるんだな)

 

毎日毎日面白い学校だが、新しいことが見つかって義経の学園生活は更に色が付く。

諸島で暮らしていた時とは大違いで、イベントが絶えない毎日である。

 

そして、依頼の内容にあった親不孝通りを思い返す。

 

親不孝通りと言えば何日か前に不審な気が感じとられた場所だ。

どんな場所かは自分の目で見てないから分からないが、マープルやクラウ爺からできるだけ行ってはいけないと言われている場所だ。先日の夜も気になって行こうか迷っているとステイシーさんと李さんから任せておけと遠回しに関わるなと感じ取れた。

 

(夕食前にマープルに頼まなければならないな)

 

この数日間、川神を賑やかすような騒動があったことを源義経は何も知らない。

 

 

 

 

 

◯ ◯

 

 

 

 

 

学校が休みの日、十七夜は昼過ぎから出掛ける準備をしていた。

服装はいつかの白い布地に英単語が書かれた半袖、青みがかったジーンズだ。

 

「……行くか」

 

十七夜以外は誰も居ない家で呟くと、下駄箱上の鍵を取って靴を履く。

地面を爪先で叩くと、扉を開けて外に出た。

 

天気は快晴、太陽が爛々と輝いており日差しが刺すように降っている。

これなら最近男性も日傘を差しているのが多くなっているとニュースで言っていたのも頷ける。

だが十七夜はそんなこと関係無いとばかりに歩道へ出ると目的地に向かう。

 

二十分ほど炎天下の中歩くと、そこには‘‘川神商店街’’と書かれた看板が。七夕の名残がまだ残っているのか少し笹の葉が見える。短冊に書かれた願い事などに興味はなく、目移りすることなく十七夜が入ったのは店の外に向日葵が見える花屋だった。

 

「カスミソウとユリを詰めて下さい」

 

「リボンは何色でしょうか?」

 

「薄い青で……それと小さな鉢に白色の月見草をお願いします」

 

「かしこまりました、 少々お待ち下さい」

 

‘‘月に一度’’は来る花屋だ。

今月は色々あったため少し遅れたが。

 

「カスミソウにユリ。月見草の合わせて千七百円になります」

 

店員に二千円渡して三百円を貰う。

花束と月見草を分けて入れられた袋を貰って外に出た。

 

そのまま川神商店街を抜けると少し簡素な住宅街に出る。

山沿いにあるその道は自然と重なり合って心地良さそうな環境だ。

 

しかし、その先にあるのは雰囲気とは違い不良や札付きが集まる——親不孝通りだ。

 

人を拒むように敷かれているチェーンを跨ぐと、整備されていた道路からぼろぼろになったコンクリートに出る。時折刺青をした者や、顔に傷が付いた者が見てくるが全くの無視だ。

 

「おい、さっき制服が着た奴ら居たよな?」

 

「ああ。先頭に居た奴が武神らしいぜ」

 

「良い体してんだから俺たちもあやかりてぇな」

 

「バカ言っちゃいけねぇよ。お前は外から来たから知らねえだろうが昔から武神には仲間がやられてるんだ。絶対手を出すな」

 

「はぁ? 報復しねえのかよ」

 

「出来ないんだよ。昔から七浜にあった暴走族devil tailも武神に喧嘩売って壊滅させたって話だ」

 

「マジかよ! devil tailって暴走族の発祥だろ? そんなやべぇのかよ……」

 

「お前もこの街に住んでたらいずれ分かるだろうよ」

 

そんな話が耳に入ってくる。何が目的かは分からないが武神とその仲間たちが来ているようだ。

よく耳を澄ますと聞き込みのようなものをしているとも聞こえる。

まあ、そんなこと別段関わりが無い十七夜は無視して歩いた。

 

そして辿り着いたのはとある建造物。

灰色がさらに汚れたのか黒っぽくなっており、外壁はラッカースプレーやペンキで独特なアートが描かれている。しかし、それよりもここで目立つのは警視庁 立ち入り禁止と書かれた黄色い朽ちたテープだった。

 

鉄製の扉を開けると、中は比較的綺麗になっているが生活臭はしない。

入り口のテープが人避けになっていることが伺える。

 

多少の砂屑を踏み鳴らしながら歩いて行くとそこには鉄製の机、会社等にある一人用だ。よく見るとそこには若干の血液らしきものが付着している。

 

十七夜は積もっている埃を手で軽く払うと花束を——弔い花を優しく置いた。

 

「少し遅くなった。ごめんな……」

 

月見草は割れた窓から射し込む光に当たるように置く。元々夕方から朝方にかけて花開く種類だからだ。

 

「六月の終わりから、今日までは色んなことがあったよ」

 

十七夜はそう言うと机に座り込む。

 

思い返すのは梁山泊や史文恭との一件である。

 

「聞いてくれ、この数日間面倒臭いことがあってな——」

 

 

 

 

 

◯ ◯

 

 

 

 

 

「俺たちが今日することは親不孝通りの状況調査。宇佐見先生によると最近そこの不良どもの様子がおかしいから見てきてくれって内容だ」

 

「様子がおかしいとは、どういう事なんだ?」

 

義経が大和にそう聞くと、隣で歩いていた風間ファミリーのキャップこと翔一が答える。

 

「何でもここいらの不良たちが随分と静からしくてさ。何か良からぬことでもあるんじゃないかって」

 

「静かにしてるんだったら良いのではないか?」

 

「ダメダメ、ここに居る奴は悪いことしてなんぼって奴しかいねえからな。静かだとむしろ怖いんだよ」

 

成る程と、義経は考える。

大和から依頼の手伝いを受けた日に義経は保護者であるマープルに今回の件について話した。九鬼家と言う名目上参加するのは難しいかと思われたが案外あっさりで、こっちに来たのであれば‘‘そう言う世界’’も見ておいた方が良いだろうと言われた。但し、油断はするなと。幾ら源義経が武人として強いだろうが、裏世界には実力だけではない強さがある。人海戦術、銃火器、罠、毒物や人質。如何に源義経であろうと痺れガスなどが散布された場所では一般人と同じだ。因みに弁慶と与一には逃げられた。

 

「そうか。何事も無ければ良いんだが……」

 

「ま、大丈夫でしょ。あっちにまず姉さんがいるから確実として、こっちにも義経や京。それにキャップ居るし。クリスが用事で来れなかったのは痛手だったけど」

 

大和が言ったあっちとは、今回の依頼に当たって効率良く回るために二班に分けたもう一つの班である。

義経が居る方は義経を含め大和、翔一、岳人、一子——肉棒を与えられて静かにしている——だ。こっちは入り口から回って向こうは奥から回る作戦だ。

 

「もう直ぐ姉さんたちと合流するだろうから、今日は終わりかな」

 

と、大和が言うと予想通り百代達が立っているのが見える。

 

「おーいモモ先輩。全部終わったのか?」

 

「一応な……ただ」

 

「ただ?」

 

「はい、先ほど私たちが歩いている時建物があったのですが……」

 

黛 由紀江から語られたのはこうだ。

 

奥の方まで取り敢えず言った百代達は適当にぶらぶらしながら不自然な部分を探した。毎日見ている訳ではないため違いなんて分からないのだが、噂よりも人間が少ないと感じたらしい。適当に居た不良を適当に脅……適当に話を聞くと去年辺りからこの親不孝通りで度々無作為に暴れては不良を蹴散らしている奴がいるらしい。その者の実力はここに住んでいる不良でも触れることすら叶わず、一夜暴れると数十から数百の被害が出ているらしい。

興味を持った百代が情報集めと人を探しているうちにとある建物が目に付いた。

親不孝通りでは珍しい‘‘警視庁のテープ’’があり、半開きになっている扉からは奥に誰かが見えたと。

 

そう言われた大和は顎に手をやって考える。

 

(親不孝通りに警察……よっぽどの事件が無いと寄って来すらしないのに内部にテープなんか張るか?)

 

「見に行ってみよう。相手が変な奴でも姉さん達が居れば大丈夫だろ」

 

「よっしゃ、弟ならそう言ってくれると思ったゾ」

 

結論が決まると行動は早い。

百代を先導として目的の建物は直ぐに着いた。

 

「みんな、静かに」

 

扉から中の様子を見る。

柱が上手く影になっていて中の人は上手く見えない。

しかし、耳を澄ませば声がする。

 

『それで——泊の仕事とやらに巻——まれてな。史——と二回——うことに———』

 

聞こえてくる声音はそれほど歳は取っていない、大和達と同じくらいだろう。

 

『意外と——てな。直ぐそ—だったん——、見て——た—な?』

 

僅かに聞き取れる内容から二人いるようだ。

 

「ん….…?」

 

その声を聞いて義経は疑問に思う。

この声は何処かで聞いたことが無いだろうか、と。

 

「人が多過ぎると警戒させるだろうから。最初は俺と姉さんだけで行く。合図したら入って来てくれ、合図しなかったらそのまま待機」

 

仲間の返事を聞くと大和は鉄製の扉を開く。

錆び付いているのかギィと大きく音を立てた。

 

「——ッ!」

 

「あ、え。えーと警戒しないでくれ。俺たちは用事があってここに来ただけで、偶々この建物が目に付いただけなんだ」

 

中に入ってみると思ったより綺麗だ。

掃除さえすれば生活出来るだろうと言う部屋の奥、そこには鉄製の机の上に座る三白眼の男が居た。

 

「なら入るな。偶々目に付いた所に入るような教育を受けたのかお前は?」

 

「それを言うならお前だってそうだろ〜。不法侵入じゃないのか?」

 

「俺は理由があってここに来たんだ。お前らみたいに意味も無く来たんじゃない」

 

「むぅ。私達だって意味無く「——姉さん、出て行こう」……」

 

大和は百代と謎の男が言い合っている間に理解した。

男が座っている横にある花束、あれは種類から見て弔い花だ。それはさっきあったテープと辻褄があって、ここで誰かが被害にあったと確信出来る。

 

「不躾だった。本当にすまない」

 

大和とて人を失い悲しみは知っている。

自分はまだ失ったことはないが、小さい頃一子のお婆ちゃんが亡くなった時を見て痛感しているのだ。

 

「行こう姉さん」

 

「分かったよ」

 

親不孝通りでは大なり小なり殆ど毎日様々な事件が起きている。

そんな親不孝通りに警察が介入するほどだ、さぞ‘‘陰惨’’な事件だったのだろうと大和は思う。

 

「みんな。中に居た人は特に問題は無かった。帰ろう」

 

「えー、俺たちは入れねえのかよ大和ぉ」

 

「そうよ。何があったのかくらい教えなさいよ!」

 

「兎に角今は戻ろう、話はそれからだ」

 

大和は不満を漏らすファミリーを宥める。

さっきはおとなしく引いてくれたが姉さんにも説明は必要だろうと。

 

「どうしたんだ? 義経」

 

「い、いや。何でもないんだ……何でも」

 

考え事をする義経を尻目にファミリーに帰宅を催促する。

 

『大丈夫だ。また静かになった』

 

近くで声を聞いて聞き取りやすくなったのかそんな言葉が大和の耳に入った。周りを見てみるに気付いていないようだ。或いは百代だけは気付いているのかもしれない。

 

そんなことを一人で思いながら風間ファミリー+αは帰路へと付いた。

 

 

 

 






書いていませんがモロも不参加です。

義経も武松とのヒロインにしようと思ったけど無理だったお。
書いていくうちに史文恭の可愛さに気付いたお。

義経ごめんね、降板だ。

義経「え、ええっ!?」


明日明後日は投稿できませんかもしれぬ。
りゆう? 31だからぁ。えれえろぉ〜〜
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