胸に付けられた六個のスイッチのうち右側の三個は振動の強弱を操作する。
そして左側三個は回転の仕方を操作する。
牛の乳首をいじることで尻尾のバイブが操作できるというのはユニークな発想だと思う。
光秀はかなり引いていたが。
光秀を四つん這いにさせてその下に潜り込んだ俺は、説明書を確認するようにしばらくスイッチをいじっていた。
だがその間に光秀の体力は限界まで来ているらしい。身体を支えることもできなくなって俺の上に崩れ落ちた。
いじってる間に三回くらいイッてたからか? それにしても体力がないな。
俺が首をかしげていると光秀が頭を持ち上げた。目を向けると涙目の光秀がこっちをにらんでる。
目力はほぼゼロだけどな。
むしろ顔を赤らめて涙目になってる光秀はいつもの十倍は可愛い。
「もうやめろ……っつったろ……」
息も絶え絶えになりながら光秀が文句を言う。そんな光秀に俺はまた首をかしげた。
「そんなに嫌か?」
気持ち良さそうだったのにと問い返す。すると光秀は切羽詰まった様子で眉間にシワを寄せた。
「……たりまえ、だろ……おまえを…よこせっ…」
前言撤回。光秀はいつもより百倍は可愛い。
ああでもこんな可愛くおねだりされたら、期待に応えてやらないといけないよな。
光秀は後輩や部下、つまりは仲間を守るために外科部長という地位にいるという。実際に俺も月城へ来てから何度も助けられた。
そんな光秀は、本当は医師としても才能に溢れた男で俺と同じレベルの技術もある。だがそれ以上に外科部長として人を統括する能力にも秀でていた。
個人の能力を見抜き適材適所で使うことができるのは光秀だけだ。
だがそんな有能な外科部長は、自分を守るという部分が欠落しているらしい。
そして外科部長という立場から社会的地位のある人間に強く出られないという難点もある。
だから今回の光秀はどうしても自分を守ることができないだろう。そう教えてくれたのは三成だった。
そしておそらくそういうことを考えて、政宗は昨夜の当直を申し出ていたんだと思う。
そんな事を考えながら俺は携帯のメールを眺めていた。
日曜の朝から立て続けに携帯を鳴らした犯人は四人で、最初は信長の問題は解決させたという報告のようなものだった。
その直後に秀吉から解決させたのは自分だという謎の告白が届き、三件目は慶次から「告白の事は絶対に漏らさないから」というさらに謎の決意表明が届けられた。
そして最後のメールは三成から、光秀の安否確認のようなものが届けられる。
ここまで周りに慕われ守られる管理職というのも珍しいだろう。
そう思いながら俺は隣で眠る光秀の髪をすくように頭を撫でた。それでも光秀が目覚める気配はない。
今日はこのままもう少し寝かせておこう。
そして目が覚めたら、光秀が嫌というまで甘やかして、つらい事や嫌な思い出を薄めてやりたい。
かつて光秀が俺にしてくれたように。