外に出たくねー。
朝。セットした時刻よりも早くに目が覚めた。
目覚まし時計の前で正座待機し、ベルが鳴ると同時にスイッチを押す。どうだ、お前の仕事を奪ってやったぞ。
歯を磨き、服を着替えると朝食の準備。うちの式に食事を作らせると、肉をただ焼いただけの物が出てくるか、最悪生肉を出される。
いい加減、家事くらいは覚えて欲しいんだが。
冷蔵庫にあった鮭の切り身を焼いたものと納豆、白米に豆腐の味噌汁といった、the朝食を用意してルーミアを起こしに行く。あれ?本来なら立場逆じゃね?
3人分用意した朝食をテーブルに並べ、昨日保護した男の様子を見ると。安らかな寝息を立てていた。
こりゃ自然に起きるまで待つしかないな。
2人で朝食を済ませ、ルーミアにこの辺りに村や集落がないか調べに出てもらう。どこからこの男が来たのかわからないが、近くの人間がいる所まで連れていけばなんとかなるだろう。
それに、気になる事もある。コイツから微かに、それも気が付かない程小さなこの力は……。
「まったく、妖怪遣いが荒いわ」
せっかく美味しい朝食を食べて、あの黒い『こぅひぃ』とか言うのを飲もうと思ってたら「この辺で人間がいる所を探して来い」だもの。
というか、一応これでも『常闇の妖怪』として恐れられた大妖怪である私が、こんな下女みたいな事を……。
小さく不満を呟く。あの人のことだから、もしかすると何処かで聞いてるかもしれない。頭に着けられたリボン型の札の力で、コチラの考えとかも伝わっているかもしれない。それだけ馬鹿げたことを、平気でしてくるから困る。
暫く飛んでいると、ようやく小さいが人間の村らしいものを見つけた。が、なんだろう。何処と無く雰囲気がおかしい。
近づきたくない。
咄嗟に思ってしまった。なんというか、本能がそう告げているような。
最初は結界かとも思ったが、違うようだ。神力や霊力を感じない。勿論妖力も。
直感が告げている。『この村に関わるな』と。
……これは、どうやらあの人に報告した方が良さそうだわ。
「……んっ」
リビングから微かに声がした。どうやらあの男が意識を戻したようだ。
「……ここは」
「ここは俺の……まぁ家だ。んで俺は神条霞」
「僕は……水斑律」
律と名乗った男は、痛むのか頭を抑える。
1杯の水を差し出すと、喉が渇いていたのだろう一気に飲み干した。
「昨日の事は覚えているか?」
「……昨日?」
「お前はこの近くで倒れていたんだ。そこを通りかかった俺が、連れてきた。まぁ余計なお世話だったかもしれんがな」
「いえ、ありがとうございます」
ふむ。受け答えはちゃんと出来ている。昨日の事を覚えていないのは、おそらく一時的なものだろう。
「そんで、早速だが幾つか聞きたいことがあるんだが」
「……はい」
「お前、なにもんだ?」
さてさて、これからどうなるんでしょうねぇ