異論は認め……る
ヤバイ。どんだけヤバイかって?
神力で補っているけど、内臓とかかなり無くなってる。
なくなる度に創造してるけど、痛いもんは痛いんだぞ!
この口の中の鉄の味も、不快すぎる。
まったく、これ程めんどくさい奴は初めてだ……。
「律、お前今、何をした」
「え?」
右手の異変に気がついた時、咄嗟に口に出てしまった。
あれは明らかに神力の行使。
振り向いた律は、自分の身に起きたことに怯えながらも、ゆっくりと首を横に振った。
「いま、お前から感じたのは間違いなく神力。神の力だ」
「神の……力」
「そうだ。それを何故扱える」
見ると律の眼から光が消えていた。
「……そうか。そうだった……」
呟いた言葉は聞き取りずらかったが、俺の耳には届いた。
「霞さん。思い出しましたよ。僕は僕だ」
「……お前、何を言ってる」
嫌な予感がする。とてつもなく。
「そうだよ。久しぶりの感覚ですね」
「もう一度言うぞ……お前は、なにものだ」
薄く、まるで気味の悪い笑みを仮面としているかのような。作られた表情を俺に向けてくる。
「僕は、水斑律。神を殺せる者ですよ」
「神を殺せるだと?」
「そう。ですがこれ以上は、今は話すつもりはありません」
そう言うと立ち上がり、俺に向かって歩いてくる。
「だから、ここは失礼します」
「待てよ。簡単に逃がすと思ってんのか?」
「思いますよ。だって『何者にも気付かれず、この場から居なくなる』のですから」
また神力を感知した瞬間。律の姿は消えていた。
「は?」
「なんだよ。アイツは」
慌てて外に飛び出すが、やはりというか律を見つけることは出来なかった。
翌日、村を後にした俺は小だかい山の頂上から空へ向けて声をかけた。アイツなら普通に呼んでも聞こえているだろう。
「天照」
「お呼びでしょうか父上様」
その声と共に背後には眩い光と共に天照が現れた。
いや、読んでから来るまでが早いわ。
「いかがなさいました?」
「いや、うん。……お前に聞きたいことがあるんだが」
「私のスリーサイズですか?いくら父上様でま恥ずかしいですわ」
「んなもの訊くか」
軽くチョップをかまし、暴走を止める。
「聞きたい事は、『神を殺せる』と言い放った男のことなんだが。なにか知らないか?」
「神を殺せる、ですか?そんな事可能なのでしょうか」
「それは俺も思う」
そう、アイツは『消滅』ではなく『殺す』と言ったのだ。信仰を無くした神ならば、その身は消滅、つまり消え去ってしまうが、アイツのいう「殺す」は意味が違う。信仰のある神を、力をもって消し去るのだろう。
つまり、神を超えた力を持っている、という事だ。
「そんな人間がいると?」
「おそらくハッタリでは無いだろうな」
あの時感じた神力は、俺ですら対処するのに苦労しそうだ。
「う〜ん。そんな事が、神を超えることが出来るとするならば……」
天照が一つの可能性を示した。そして多分、それは正解だろう。そんなヤツがいるとは思いたくなかったが。
満天の星空。
その一つ一つが美しく輝き、夜だというのに辺りを明るくしてくれる。
僕には力があった。
なんでも希望を叶えられる力。
不可能を可能にする力。
僕はただ、希望を言葉にするだけで良かった。
僕の能力は『言葉を現実にする程度の能力』。いわゆる言霊を操る能力。
この力を使えば、神ですら太刀打ちできないだろう。
まぁ、多少のリスクはあるが。そんな事は些細な問題だ。
「そう思いませんか?霞さん」
物音も気配も感じなかったけど、確かにそこにあの人はいる。
「何のことだかわからないが、そうは思わないね」
そこにいた霞さんは、昨日までとは違い目付きが鋭くなっている。
「怖いなぁ。そんな目で睨まないで下さいよ」
「そうだな。お前が何を企んでいるのか教えてくれたら考えるわ」
「企む?何を言ってるんですか、僕はごく普通の人間ですよ?」
僕は笑っているのだろう。顔を見た霞さんの目が一層怖く感じた。
「ただ、この世界が大嫌いなだけですよ」
はい、オリキャラの能力です。
ぶっちゃけ言霊を使えるって、相当強くない?