東方古神録   作:しおさば

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霞「そう言えば、このタイトルってなんて読むんだ?」

作「東方古神録(とうほうこじんろく)」

霞「その古い神ってのは俺のこと?」

作「……さぁ?」

霞『あ、これなんか伏線なのか?』


31話/永い一日らしい

どうも、霞です。

 

ぶっちゃけ大変な事が起きてます。

 

 

 

「なんだ、この妖怪の量は!」

都の兵士達が右往左往しながらも、襲い来る妖怪達に一太刀浴びせんと向かっていく。

しかしながら余りにも多勢に無勢。凡そ人間の兵士の数は1000人程、逆に妖怪の数は……。

「3万くらいかな」

「なに呑気に構えてるんですか!!」

神子が隣で叫んでいるが、お前は逆に落ち着け。

都を取り囲むように、突然現れた妖怪達。コチラが感知するまもなく、文字通り突然現れた。

「今、襲ってきているのは殆どが下級妖怪だ。その後ろには中級以上の妖怪が構えてるんだぞ。今、慌てても拉致があかない」

「な、ならば余計に、早急に対処しなければ!!」

「まぁ、落ち着け。俺がいるんだから」

この地に俺がいる以上、この戦いに負けはない。いざとなったら妖怪共を異空間にぶち込めば良いだけだし。

問題は、『俺にすら気付かれずに』来た事だ。1匹2匹ならば、俺の手違いという事もあるし、大妖怪レベルならば自らの妖力を隠すことも出来るだろう。しかし、3万もの数の妖怪に気が付かないってのは、おかしい。

「なにか……面倒臭い事になる気がする」

 

 

まぁ、当然の如く俺の予感は的中したわけですが。

なんせ襲ってきている妖怪共の様子がおかしい。いくら妖怪と言えども、感情はあるわけで、それなのに斬られても無言のまま。表情一つ変えずに倒れていくわけで。

「どう考えてもおかしいだろ」

都を守る四つの門にはそれぞれ神子や青娥、布都が向かった。俺も任された門で戦っているのだが、正直不気味だ。

何なんだろ。なにかに操られているとか?だとしたら、コイツらを相手にしても埒が明かない。

「とりあえず、断ち切ってみるか」

俺は夜月を抜き、1番手前にいた妖怪を横薙ぎに払う。もちろん、斬るのは肉体ではなく、繋がり。

「……うぉっ?!」

斬られた妖怪は目に光を取り戻し、自分の置かれた状況に驚く。

なるほど、やはり誰かに操られていたようだ。

なんとも面倒臭い。

「だが、対処方がわかっただけでも良しとするか」

コレだけの妖怪の数を一々相手にしていたら、コチラがジリ貧になってしまう。

「ってなわけで、お前ら退け!」

兵士達に叫ぶと、夜月に霊力を込める。薄く光りだした夜月を構え、一気に払う。制限を外していない状態だと、断ち切る範囲はだいたい半径30メートルが限度。つまりは何度か能力を使わなければならない。

「……霊力もつかな……」

 

 

 

北側の門に駆けつけると、そこは筆舌に尽くし難い状況だった。霞様、青娥、布都はそれぞれ別の門に向かっているため、この門は私が指揮を取らなくてはいけないのだが、見渡す限り人間の死体の山が築かれていた。

それでも、妖怪が都の中に入り込んでいないのは僥倖と言えるだろう。

「た、太子様!ここは危のうございます!!中へお早く!!」

兵の部隊長である若い男性が私を中へと勧める。しかし、今の状況で私が退くわけにもいきません。

「1度兵を退げなさい。門の外では妖に囲まれて、多勢に無勢です。門の内側で守る範囲を狭めるのです!」

門の内部まで退がれば、妖共の行動範囲を幾らか狭めることが出来る。これ以上、被害を大きくするわけにはいかない。

「わ、わかりました!!皆のもの!1度退け!!門の内側で守りに入るぞ!!」

少しずつ下がり始めた兵を見て、私も中へと戻る。懐から1枚のお札を出すと、使用する機会を見計らいます。これは先程霞様から頂いた、結界を張ってくれるというお札。悪意を持って範囲に入った者を、滅却してくれるという。

全ての兵が内部に退がり、門を閉めたところで封印の様に札を貼り付ける。淡く青い光を札が放つと、門を叩いていた音が急に聞こえなくなる。どうやら効果があったようです。しかし、霞様が言うにはこのお札でもその場凌ぎにしかならないと言います。

「これでどれだけ時間が稼げるでしょうか」

 

 

 

「あらあら、大変ですわねぇ」

私が任された西側の門。到着した時には殆どの兵が無残な姿を晒していました。人の死というのに慣れているつもりではいましたが、これはとても見るに耐えない状況ですね。

「さすがに、この門から都に入るのは御遠慮願いたいですわね」

私は霊力の弾をばら撒いて妖の足止めをしつつ、生き残った兵の皆さんを門の内側までさがるように指示を出します。霞様に頂いたお札を使えば数刻でも時間を稼げるようですし。

「まぁ、それでも数を減らすに越した事はありませんねぇ」

門の屋根に登り、迫り来る妖を見下ろす。とても醜い有様ですわ。

「美しくないなら、私好みに変えて差し上げます」

物言わぬ、屍へと。

 

 

 

「な、なんじゃこれわぁああっ!!」

東門に走って来たは良いが、目に見える範囲殆どが妖共で埋め尽くされているではないか!

「ど、どどどどうすれば良いのだ?!」

「ふ、布都さま?!」

おおおおおち、落ち着かなければばばばっ!!

「そ、そうだ!霞殿にもらったこの札で!!」

よく解らぬが、この札で妖共を抑えられるらしいし。

「え、えーと、霞殿が言うには……どうするんだっけ?」

「布都様?!」

えぇい、そんな不安そうな目で見るでない!!

そ、そうだ!この札をアイツらに投げつければ良いのではないか?

「えぇい!喰らえぇい!」

勢いよく振りかぶり、妖共に向けて投げつけた。が、なんか様子がおかしい。

確かに、札が張り付いた妖はその場で消え去ってしまったが……それ以外は?

「……布都様?」

「……やってしもうたかもしれん」

「布都様ぁぁあああっ?!」

 

 

 

さて、第一段階は順調だね。

上手く向こうの戦力が分断された様だ。あの創造神のいる方向は流石に守りが硬いけど。それ以外は時間の問題。どうやら創造神がなにか入れ知恵をしたみたいだけど、そんなもの数で上回ってしまえば意味はないし。

……なんか東側は創造神の知恵も使われてないみたいだし。

もうそろそろ第二段階に行こうかな。

「ねぇ、スキマ妖怪さん?」




作「えらく大事になってきたね」

布都「と、言うより我の扱いが酷くないか?!幾ら何でもあんな事はせんぞ!!」

霞「って言ってるけど、どう思う?神子さんよ」

神子「……いつも通りの布都ですね」

布都「太子様?!」
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