東方古神録   作:しおさば

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霞「よし、今回は暴れていいんだよな?」

作「え?あ、うん……」

霞「やるぜー!ちょーやるぜー!!」

作『あれ?コイツこんなキャラだったっけ?』


33話/神様を怒らせたらいけないらしい

「おらぁ!次ぃっ!!」

妖怪達の間を駆け抜け、手当たり次第に繋がりを断ち切っていく。人間状態では霊力の量に不安があったが、神に戻ればなんてことは無い。

俺の霊力の量は、一般的な人間の霊力の凡そ一万倍。しかし、本来使うはずの力ではない為か、物凄く燃費が悪い。自分の能力を使うにも、両手を合わせるという『行為』に術式を組み込んで補わなければいけない。まぁ、燃費が悪い代わりに回復も早いのだが。

逆に神力は、その霊力の更に三百倍。今、現在は。

神力は信仰によってその量が増減するし、回復量もそれに比例する。

まぁ、俺への信仰はその殆どが神からのものなのだが。神からの信仰されるって、どんなだよ。

その俺が、神力を開放し、制限を『一割』解いたのならば、この世界で勝てる者はまず居ない。特殊な能力でもない限り。

そんな俺が走り、刀を振るえばその姿を捉えられない。妖怪達の間を抜けつつ、横薙ぎに振るえば、操らる為の術が断ち切られ意識を失いその場に崩れ落ちる。

そんなことを続けていたが、そろそろ飽きてきた。

立ち止まり、夜月を納刀する。

「ざっと半分ってとこか?」

だいたい30分程斬っていたが、それでも半分か。

そろそろ門の所にいた奴らも気になるからな。

「神力二割『開放』。断ち切れ、夜月」

開放した神力をそのまま夜月に込めて、抜刀する。居合斬りの要領で放たれた衝撃波は、北門へと向かって伸びていく。

「そら!もういっちょ!!」

勢いを殺さず、方向転換をしながら、今度は南門へ。

西門、東門へと波を起こす。

「ふぅ……」

夜月を振り、鞘に納めると一息つく。

その瞬間に感知できる範囲の妖怪は、全てが崩れ落ちた。後はコイツらを何処か都から離れたところに戻すだけ。

……全てが終われば、だが。

 

 

 

振り返ると、俺のワームホールのような穴が空いていた。その中は俺のものとは違い、幾つもの目がコチラを見ている。うわぁ、気味悪い。

その穴から出てきたのは……幼女?

紫色のドレスに身を包んだ幼女は、やはりというか目に光がない。

「こんな幼い子も利用するってのかよ」

なんとも、胸糞悪い。

「何処の誰だか知らねぇが。見つけ出してぶっ飛ばす」

俺にしては珍しく、苛立ちをぶつける。

そして、その幼女の後ろにいるのは。

「勇儀?萃香?」

先日、盛大な喧嘩をし、盛大な宴会をした鬼の姿があった。

虚ろな目をしながら、コチラに向かってくる2人。おいおい、この2人相手とかかなり面倒臭いんだが。

「ほんと、ふざけやがって」

夜月を握る手も自然と力む。

こんな茶番はさっさと終わらせるに限る。あの穴を見るからに、あの幼女の能力で妖怪達が移動出来たようだし、あの子を断ち切ればこれ以上妖怪達は現れないだろう。

「さぁ、来いよ。俺と喧嘩、したかったんだろ?」

こんな状況では無いだろうがね。

 

 

萃香の拳を紙一重で避けると、そこを見計らったかのように勇儀の蹴りが来る。

勇儀の蹴りを躱せば、今度は萃香の妖力弾が飛んでくる。

見事なまでの連携に、見とれてしまいそうになるが、今はそんな場合じゃない。

妖怪弾を払うとと、そのまま萃香を断ち切ろうとする。

萃香に刃が触れる瞬間、勇儀が萃香の襟首を掴み、投げ飛ばす。おいおい、そんなことしていいのか?

投げ飛ばされた萃香は、空中で妖力を放ち、その姿をドンドン大きくしていく。

見上げるほどに巨大になった萃香がそのまま重力に従い落ちてくる。

「うぉぉいっ!そんなのアリか?!」

地面を転げるように避けると、目の前には勇儀の拳。あ、これは痛い。

咄嗟に左腕を上げることで防ぐが、鬼の全力で殴られれば流石に痛い。数メートル吹っ飛ばされ、土煙を上げて止まると今度は萃香が俺を踏み潰そうと足を下ろしている。

左手で止めようとするが違和感。あ、折れてるわ。

全力の鬼2人を相手に、片腕のハンデとか洒落にならんぞ。

回復させようにも、2人を相手にしながらは流石に集中しなきゃいけない作業は不可能だ。

「くそっ」

萃香の踏み下ろす脚に蹴りを入れ、軌道をずらす。バランスを崩した萃香は、なんとか踏みとどまるが、隙が出来る。

俺は神力で足場を造り、一気に萃香の眼前まで迫ると夜月で断ち切る。

気を失ったのか、萃香は大きさを戻し地面に倒れ込む。

「これで後は1人!!」

 

2人を相手にするよりは、幾らか楽になったとはいえ、流石に鬼が相手では骨が折れる。……いや、実際折れてるけど。

 

勇儀の戦法は、どうやら小細工を使わない、力のみの、悪くいえば脳筋の戦い方だ。

「そんなら俺もお前に合わせてやろう」

俺は夜月を納めて右手のみ構えをとる。

折れた左腕が痛みの信号を頭に送るが、俺は強制的に遮断する。どうやって?んなもん気合だ。

「ほら、手加減してやるから全力で来いよ」

「……」

無言の勇儀は、右手に妖力を溜め始める。

これはコイツらの言う『母様』が使った技と同じか。

たしか『三歩必殺』だったっけ?

それを見て、俺も右手に神力を溜める。勇儀からは紫の、俺からは青のオーラが立ち込め、空気が一気に冷たくなったように感じた。

最初に動いたのは勇儀だった。

一歩、二歩とその妖力は膨れ上がり、地面が悲鳴をあげ割れていく。

それに合わせて俺も歩を進め、もはや2人の間合いは触れ合う寸前まで近づいた。

振りかぶり、最後の一歩を同時に踏むと、お互いの力は爆発を起こしてぶつかった。

 

 

 

 

 

土煙が晴れると、立っていたのは俺だけだった。

勇儀を見れば、無残にも右手が砕け、血だらけになっている。

まぁ、俺も折れてるんだけどね。

「……」

勇儀は無表情だが、しかし目は悔しそうに俺を睨む。

俺は折れた両手を合わせて、自らの治癒力を高める。

なんとか右手のみ治すと、夜月を抜く。

「痛くはないから安心しろ」

そう言って勇儀に刀を振り下ろした。

倒れ込んだ勇儀を確認すると、傷を癒すことに集中する。

霊力ではなく、神力を使えば、通常よりは早く治る。

「んで、お前は見てるだけなのか」

振り向くと、紫ドレスの幼女はただ黙って俺を見ていた。

その目は虚ろだが、何処か悲しみを抱えているように見えた。まるで、こんな事をしたくはないと訴えるかのように。

「まぁいい。後はお前だけだぞ」

「『いやはや、流石創造神様だね』」

幼女から聞こえてきたのは、凡そ似つかわしくない男の声だった。

「誰だ……お前は」

「『これはこれは、御挨拶が遅れました。ワタクシ、無明と申します』」

無明と名乗る男は、幼女の身体を通して俺に語りかける。

「『いかがでしたか?ワタクシの用意した喜劇は』」

「……胸糞悪いな」

「『おやおや。それはそれは』」

胡散臭い喋り方に苛立ちを覚える。コイツ、何が目的なんだ。

「『この喜劇。貴方はお気に召さなかったようですね』」

「……いい加減、姿を現したらどうだ」

「『ワタクシ、どうも人前に出るのは苦手でしてね』」

ほぼ治った両手を確認すると、夜月に手をかける。

「『まぁ、今回は目的も達成しましたし。これで失礼致しますよ。……またいつか、お会いする日まで』」

そう言うと幼女の身体から、一筋の煙が立ち込めた。

「『……御機嫌よう。創造神、神条霞』」

 

 

 

こうして、都を襲った事件はその終わりを誰の目にも触れることなく幕を閉じた。

 




作「次でこの章は終わり!」

霞「なんか他のよりも長くなったな」

作「このあたりから色々な原作キャラが出てくるからね」

霞「この章だけでも神子、布都、青娥、萃香、勇儀と5人か」

作「あと、本当は屠自古も出すつもりだったんだけど。布都ちゃん大活躍よりも前の時間に出会ったって事で」

霞「?よくわからんが」

作「まぁ、後々出てくるから」





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