東方古神録   作:しおさば

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霞「なぁ、前回出てきた幼女ってさ……」

作「言うな!!」

霞「いや、でも……」

作「奴に……見られているぞっ!!」

霞「な!?」

作「ならば言う事は一つ!!」

霞・作「きさま!見ているなっ!!」


34話/ヒーローは人知れず去る、らしい

さて、どうしようか。

 

鬼と全力で戦ったせいで、ものの見事に辺りは無残な状況になっている。

うーん。異空間に入ってもらってる人間も、そのままにするわけにはいかないし。

「……はぁ、めんどくせぇ」

 

いや、都を元に戻すのは簡単だよ?

普段なら両手を合わせればポンッと出来るし、今は所謂『神様モード』だから、手を合わせる必要もない。

だから、既に修復作業は終わっている。

問題は中にいる人間達だ。

非常事態とは言え、強制的に異空間に入れてしまった。人質に取られたりしたら面倒だったからね。

流石に、記憶を操作する能力はないし。

 

……あ、ないなら造ればいいのか。

 

 

 

 

「んっ……」

目を覚ますと見知らぬ町並みが見えた。ここは何処だ?

「お、起きたか勇儀」

「アンタは……霞?」

声がした方を向くと、先日萃香と喧嘩をして、珍しく勝った人間の霞がいた。いたんだが……。

「あんた、ホントに霞かい?」

この前あった時は、間違いなく人間だったはずだが。今はどういう訳か霊力を感じない。しかも霊力を感じない代わりに馬鹿でかい神力を感じる。え?なに?神様なのかい?

「あー。そういや言ってなかったな」

霞は私に近づくと右腕を取る。ってか、なんで私の腕は折れてるんだ?

「俺は……所謂神様って奴だ。それも1番最初の神。創造神だな」

「は?」

霞の手に力が込められると、瞬く間に私の腕が治っていく。

「……どうやら、本当らしいね」

萃香に勝った時よりも、はるかに超える力を目の当たりにすれば、信じざるを得ない。

「……そう言えば、ココは?」

「ん?あぁ、此処は都さ」

「都?いったいなんでそんな所に……」

そう言って、私は思い出した。

そうだ、私は……。

 

 

 

 

山に再び誰かがやって来たのを天狗が知らせてきた。

霞が来たのかと最初は思ったが、天狗が言うには別の人間だということ。

妖怪の山には入ってこないという約束の筈なのに、霞は何をやっているんだ?

いや、もしかするとこの人間はその約束を知らない、通りすがりの奴なのかもしれない。

「とりあえず山を下りるように言ってやりな」

その時は、それで終わる筈だった。

異変に気がついたのは、一向に天狗が帰ってこないのに気がついた頃。

天狗は性格が生真面目だから、その後の報告もキチンとする。それが無いって事はなにかあったのだろう。

手下の鬼に、見に行く様に言うと、何か言い知れぬ冷たい予感が頭を過ぎった。

静かなのだ。森も川も、この山すべてが。

聞こえてくるのは、周りにいる仲間の鬼達からの音だけ。

そう言えば、今日は萃香の姿も見ていない。

 

草影から出てきたのは、天狗でも手下の鬼でも、ましてや萃香でもなかった。

布で出来た蓑笠の様な物を羽織って、顔はよく見えないが。見た目からすると多分男だろう。

「アンタ、誰だい……」

必要以上に警戒する。それもそうだろう。男の背後には、先ほどの天狗と手下の鬼が控えていたのだから。

2人の目は光を無くし、虚ろになっている。

「お前達、何をしているんだ」

後ろの2人に声を掛けても反応は帰ってこない。

「どうも初めまして。ワタクシ、無明と申します」

「そうかい、私は星熊勇儀。鬼の四天王が一人さ」

「えぇ、存じ上げております」

つまり、此処に鬼がいるってわかってて入ってきたと。

「で?なんの用だい?」

すると男はコチラに右手を向けた。

「いえ、大層な用など無いのですが。そう、ごく簡単な事なのですよ。私にとっては」

……要領を得ない。回りくどい言い方は嫌いなんだが。

「そう、ほんの一瞬ですよ」

そう言った瞬間、私の身体は私の物ではなくなった。

『な!なんだこれ!?』

「おや、まだ意識はあるのですね。流石鬼の四天王だ」

『てめぇ、何をした!!』

身体を動かそうとするが、ビクともしない。辛うじて動くのは目ぐらいか。

「ワタクシの能力です。なぁに、取り立てて特別な能力ではありませんよ。ただ、アナタの『身体の支配権』を『頂いた』だけですから」

そう言いつつ私に近づく男。コイツ、ヤバイ。

「そして、今度はアナタの『意識』も『頂く』事にしましょう」

 

 

 

 

「そっから先は……良く覚えてないんだ」

勇儀から聞かされた話は、凡そ俺が考えていた内容と同じだった。あの幼女から聞こえてきた男の声。あれが今回の事件の黒幕なのだろう。そして、話の内容から察するに、アイツの目的はどうやら俺のようだ。

「とりあえず、妖怪達を山に返すから、手伝ってくれないか?」

「え?あ、あぁ」

俺はワームホールを開くと次々に妖怪達を投げ込む。

別に外傷はないんだから、妖怪なら平気だろう。

「んじゃ、私は萃香を連れていくかな」

勇儀は倒れている萃香を担ぎあげる。

「それならそこにいる幼女も…………アレ?」

紫色のドレスを着た幼女の姿が消えていた。いつの間に?

「……アンタ、そーゆー趣味なのかい?」

気のせいかな、勇儀が担いでいる萃香を遠ざけたような気がするのは。

「アホか」

そう言って俺は勇儀の足元に穴を作ってやった。

 

 

 

さて、問題は人間の方だ。

一々説明するのも面倒臭いし。

あー。後の事は全部神子に任せよう!!

俺は名案(?)を閃き、手紙を書く。

『後の事はすべて任せた!宜しく』

とだけ残し、都の外まで出る。

後は人間を元いた場所に戻すだけ。

神力を少し開放し、異空間にいる人間を吐き出す。

ちゃんと元の場所ですよ?

「んじゃ、お別れだな」

神様モードを解除し、人間に戻ると飛び立つ。どうせ、神子は何を言っても尸解仙に成るのを諦めないだろうし、いつかまた会えるだろう。

また会える日まで、少しばかり旅に戻るとしよう。

名残惜しい(主に団子屋)が、俺は都を離れ空へと消えるように飛んでいった。

 

 

 

 

気がつくと、見慣れぬ風景にいた。

見知らぬ男性と、倒れている2人の鬼。状況から考えてこの男性が鬼を倒したらしい。だって、有り得ないくらいの神力を纏っているんだもん。

辛うじて動く身体を、気付かれないように起こし、『スキマ』を開く。

なにが起きているのかわからないけれど、多分このまま此処にいても良くない気がする。

スキマに潜り込み、男性を観察する。見た目は20代くらいだろうか。黒髪に青い着物、白い羽織。何処かで聞いたことがある様な容姿だけど。

あ、鬼の1人が起きた。死んでなかったのか。

「俺は……所謂神様って奴だ。それも1番最初の神。創造神だな」

やっぱり神様なのね。…………え?!創造神?!

思わず声に出しそうになるのを必死に抑える。昔聞いたことがある。その姿は確かに聞いていた創造神と同じだ。

まさか創造神様を、この目で見れるとは。

…………私の目的の為力を貸してもらえないだろうか。

私が夢見る、幻の様な理想郷の為に。

 

そう考え、私はスキマの中で彼を観察する事に決めたのだった。




作「はい、って事でこの章は終わり!!」

霞「なんか最後の方投げやりだな」

作「なら残って後処理する?」

霞「絶対ヤダ」

作「子供か」



作「あと、あの子も出ましたね」

霞「……いや、うん。そうだけどさ。すっげぇ見られてるんだが」

紫「じーーーーーーー……」

霞「しかも口で『じー』とか言っちゃってるんだけど。アホなの?」

作「ほら、だってまだ紫さんは子供だから」

霞「これからバインバインになるのか……」

紫「神様は巨乳好き……と」

霞「変な事メモしてんじゃねぇ!!」
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