作「言うな!!」
霞「いや、でも……」
作「奴に……見られているぞっ!!」
霞「な!?」
作「ならば言う事は一つ!!」
霞・作「きさま!見ているなっ!!」
さて、どうしようか。
鬼と全力で戦ったせいで、ものの見事に辺りは無残な状況になっている。
うーん。異空間に入ってもらってる人間も、そのままにするわけにはいかないし。
「……はぁ、めんどくせぇ」
いや、都を元に戻すのは簡単だよ?
普段なら両手を合わせればポンッと出来るし、今は所謂『神様モード』だから、手を合わせる必要もない。
だから、既に修復作業は終わっている。
問題は中にいる人間達だ。
非常事態とは言え、強制的に異空間に入れてしまった。人質に取られたりしたら面倒だったからね。
流石に、記憶を操作する能力はないし。
……あ、ないなら造ればいいのか。
「んっ……」
目を覚ますと見知らぬ町並みが見えた。ここは何処だ?
「お、起きたか勇儀」
「アンタは……霞?」
声がした方を向くと、先日萃香と喧嘩をして、珍しく勝った人間の霞がいた。いたんだが……。
「あんた、ホントに霞かい?」
この前あった時は、間違いなく人間だったはずだが。今はどういう訳か霊力を感じない。しかも霊力を感じない代わりに馬鹿でかい神力を感じる。え?なに?神様なのかい?
「あー。そういや言ってなかったな」
霞は私に近づくと右腕を取る。ってか、なんで私の腕は折れてるんだ?
「俺は……所謂神様って奴だ。それも1番最初の神。創造神だな」
「は?」
霞の手に力が込められると、瞬く間に私の腕が治っていく。
「……どうやら、本当らしいね」
萃香に勝った時よりも、はるかに超える力を目の当たりにすれば、信じざるを得ない。
「……そう言えば、ココは?」
「ん?あぁ、此処は都さ」
「都?いったいなんでそんな所に……」
そう言って、私は思い出した。
そうだ、私は……。
山に再び誰かがやって来たのを天狗が知らせてきた。
霞が来たのかと最初は思ったが、天狗が言うには別の人間だということ。
妖怪の山には入ってこないという約束の筈なのに、霞は何をやっているんだ?
いや、もしかするとこの人間はその約束を知らない、通りすがりの奴なのかもしれない。
「とりあえず山を下りるように言ってやりな」
その時は、それで終わる筈だった。
異変に気がついたのは、一向に天狗が帰ってこないのに気がついた頃。
天狗は性格が生真面目だから、その後の報告もキチンとする。それが無いって事はなにかあったのだろう。
手下の鬼に、見に行く様に言うと、何か言い知れぬ冷たい予感が頭を過ぎった。
静かなのだ。森も川も、この山すべてが。
聞こえてくるのは、周りにいる仲間の鬼達からの音だけ。
そう言えば、今日は萃香の姿も見ていない。
草影から出てきたのは、天狗でも手下の鬼でも、ましてや萃香でもなかった。
布で出来た蓑笠の様な物を羽織って、顔はよく見えないが。見た目からすると多分男だろう。
「アンタ、誰だい……」
必要以上に警戒する。それもそうだろう。男の背後には、先ほどの天狗と手下の鬼が控えていたのだから。
2人の目は光を無くし、虚ろになっている。
「お前達、何をしているんだ」
後ろの2人に声を掛けても反応は帰ってこない。
「どうも初めまして。ワタクシ、無明と申します」
「そうかい、私は星熊勇儀。鬼の四天王が一人さ」
「えぇ、存じ上げております」
つまり、此処に鬼がいるってわかってて入ってきたと。
「で?なんの用だい?」
すると男はコチラに右手を向けた。
「いえ、大層な用など無いのですが。そう、ごく簡単な事なのですよ。私にとっては」
……要領を得ない。回りくどい言い方は嫌いなんだが。
「そう、ほんの一瞬ですよ」
そう言った瞬間、私の身体は私の物ではなくなった。
『な!なんだこれ!?』
「おや、まだ意識はあるのですね。流石鬼の四天王だ」
『てめぇ、何をした!!』
身体を動かそうとするが、ビクともしない。辛うじて動くのは目ぐらいか。
「ワタクシの能力です。なぁに、取り立てて特別な能力ではありませんよ。ただ、アナタの『身体の支配権』を『頂いた』だけですから」
そう言いつつ私に近づく男。コイツ、ヤバイ。
「そして、今度はアナタの『意識』も『頂く』事にしましょう」
「そっから先は……良く覚えてないんだ」
勇儀から聞かされた話は、凡そ俺が考えていた内容と同じだった。あの幼女から聞こえてきた男の声。あれが今回の事件の黒幕なのだろう。そして、話の内容から察するに、アイツの目的はどうやら俺のようだ。
「とりあえず、妖怪達を山に返すから、手伝ってくれないか?」
「え?あ、あぁ」
俺はワームホールを開くと次々に妖怪達を投げ込む。
別に外傷はないんだから、妖怪なら平気だろう。
「んじゃ、私は萃香を連れていくかな」
勇儀は倒れている萃香を担ぎあげる。
「それならそこにいる幼女も…………アレ?」
紫色のドレスを着た幼女の姿が消えていた。いつの間に?
「……アンタ、そーゆー趣味なのかい?」
気のせいかな、勇儀が担いでいる萃香を遠ざけたような気がするのは。
「アホか」
そう言って俺は勇儀の足元に穴を作ってやった。
さて、問題は人間の方だ。
一々説明するのも面倒臭いし。
あー。後の事は全部神子に任せよう!!
俺は名案(?)を閃き、手紙を書く。
『後の事はすべて任せた!宜しく』
とだけ残し、都の外まで出る。
後は人間を元いた場所に戻すだけ。
神力を少し開放し、異空間にいる人間を吐き出す。
ちゃんと元の場所ですよ?
「んじゃ、お別れだな」
神様モードを解除し、人間に戻ると飛び立つ。どうせ、神子は何を言っても尸解仙に成るのを諦めないだろうし、いつかまた会えるだろう。
また会える日まで、少しばかり旅に戻るとしよう。
名残惜しい(主に団子屋)が、俺は都を離れ空へと消えるように飛んでいった。
気がつくと、見慣れぬ風景にいた。
見知らぬ男性と、倒れている2人の鬼。状況から考えてこの男性が鬼を倒したらしい。だって、有り得ないくらいの神力を纏っているんだもん。
辛うじて動く身体を、気付かれないように起こし、『スキマ』を開く。
なにが起きているのかわからないけれど、多分このまま此処にいても良くない気がする。
スキマに潜り込み、男性を観察する。見た目は20代くらいだろうか。黒髪に青い着物、白い羽織。何処かで聞いたことがある様な容姿だけど。
あ、鬼の1人が起きた。死んでなかったのか。
「俺は……所謂神様って奴だ。それも1番最初の神。創造神だな」
やっぱり神様なのね。…………え?!創造神?!
思わず声に出しそうになるのを必死に抑える。昔聞いたことがある。その姿は確かに聞いていた創造神と同じだ。
まさか創造神様を、この目で見れるとは。
…………私の目的の為力を貸してもらえないだろうか。
私が夢見る、幻の様な理想郷の為に。
そう考え、私はスキマの中で彼を観察する事に決めたのだった。
作「はい、って事でこの章は終わり!!」
霞「なんか最後の方投げやりだな」
作「なら残って後処理する?」
霞「絶対ヤダ」
作「子供か」
作「あと、あの子も出ましたね」
霞「……いや、うん。そうだけどさ。すっげぇ見られてるんだが」
紫「じーーーーーーー……」
霞「しかも口で『じー』とか言っちゃってるんだけど。アホなの?」
作「ほら、だってまだ紫さんは子供だから」
霞「これからバインバインになるのか……」
紫「神様は巨乳好き……と」
霞「変な事メモしてんじゃねぇ!!」