東方古神録   作:しおさば

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霞「竹取物語と聖徳太子って、どっちが先なんだろうな」

作「さぁ?」

霞「……んな曖昧なので良いのか?」


恋する乙女と古い友人らしい
35話/夢見がちな幼女らしい


都を離れてから数年。

相も変わらず日本をブラブラしている霞です。

 

ところで、最近気になることがあるのです。えぇ、そりゃどうしょうもないくらい。

だってさ、四六時中見られてたら、嫌じゃない?

いや、別に外を歩いてる時なら良いんだけどね。

流石にトイレや風呂まで覗くのはどうかと思うわけよ。

ここ数日、ずっと見られてる。

まぁ、俺に危害を加えるつもりがないみたいだし、放置してたんだけど。

うん。そろそろ我慢の限界。

「あー。というわけで、出てきてくれない?」

そう言うが、反応はなし。分かってはいたけど。

流石に無反応は嫌だなぁ。なんか俺が痛いヤツみたいじゃん。

「無視ですか。そーですか」

そんな事するなら、神様起こっちゃうぞ。

両手を合わせる。どうやら、俺の異空間と似た能力の様だから、繋げるのは造作無い。

ワームホールを相手の空間に繋げると、手を突っ込み相手の襟首を掴む。こら、暴れるな。

穴から引っこ抜くと、首を銜えられた子猫のようにぶら下がった幼女が現れた。

アレ?この子は。

「……どっかで会ったよね?」

そう紫色の幼女に呟いた。

 

 

「んで?なんで俺を付け回してた?」

俺は近場の岩に腰掛け、幼女と向かい合う。

さっきから幼女は目線を合わせようとしない。

「いや、ついてくるのはいいんだけどさ。流石にトイレとかは止めようよ」

「……」

んー。なんでこの子は無視を決め込んでるんだ?

アレか、黙秘権か。

「……はぁ。だんまりか」

それならばしょうがない。

「こんな小さい子を斬るのは忍びないけど、これも俺の安心安全な生活の為だ。主に精神衛生面でのな」

そう言って夜月に手をかける。少しばかり霊力を込めてみると、幼女からは明らかに焦っている雰囲気が見えた。

「ま、ままま待ってぇ!!」

「お、やっと喋った」

絞り出すように声を出した幼女は、青い顔をしながら若干涙目。ってか、ほぼ泣きそうになっている。やめろ!俺が虐めたみたいだろ!!

「みたいと言うか、虐めです。それだけの霊力を出されたら」

「お、おぅ……」

それはすまなかった。

「んで、お前は誰で、俺に何の用だ」

そう言うと幼女は諦めたように話し始めた。

「……お願いが……あったので」

「お願い?」

幼女は姿勢を正し、頭を下げた。

「どうか、私を弟子にして下さい」

「ん。断る」

 

 

 

 

「……いや、即答で断らないで下さいよ!」

私は彼の軽い返答にツッコミを入れてしまう。普通、幼い子に頭を下げられたら、こんなにも即答は出来ないと思うのだが。

「……あー。なるほど、俺に断られたとき用に、何か俺の弱みを握ろうとしてたのか」

図星を突かれた。結局、何も掴めなかったけど。

「何故ですか?!」

「んー。先ずは君が誰だか知らないし。いや、知ろうと思えばすぐなんだけどね。名前も知らないのに弟子にすると思う?」

「うっ…………」

「次に、その手段も気に入らない。普通にお願いすれば良かったのに、変に俺の弱みを握ろうとするから」

何も言い返せない。

「……」

「まぁ、何かしら理由が有るんだろうけどさ。いきなり君のお願いを聞くほど、俺は寛容ではないよ?」

あ、ヤバイ。また泣きそうだ。

次々に投げられる彼の言葉は、正論過ぎて反論できない。余りにも無礼で不躾な事をしているのはコチラなのだから。

「……私の……名前は……」

 

 

 

 

 

「名前が無い?」

「……はい」

今にも泣き出しそうな幼女は、両手を握りしめて俯いている。

「なんだ、生まれたばかりなのか?」

「……」

妖怪は人間の恐から生まれる。怖いという感情の元生まれるのだから、本来ならば名前が無くても当然だ。

「私は、生まれてすぐにある妖怪の元で奴隷の様に使われていました。もちろん、奴隷なのですから名前など着けてくれる訳もなく、ただひたすらにその日を生き抜くために媚びへつらう毎日でした」

おぉう。いきなりヘビーだな。

「そんな中、ある人間が支配していた妖怪を殺してしまったのです」

良かったじゃないか。

「ですが、私はそれ以降誰にも守られず、毎日を隠れて過ごすしかなくなったのです」

あー。まぁ、弱い妖怪にはよくあることだな。強い妖怪に使われることで、自分の身を守ってもらうと。

「そんなある日、私は何者かに操られてしまい、何年か前の都襲撃事件を起こすハメになりました」

……あぁ、あの時の幼女だったのか!どうりで何処かで見たとおもった。

「あの事件を解決された創造神様なら、私の夢を叶えるのに、お力を借りれるのではと思って……」

「夢?」

「…………人間と妖怪が共存出来る世界」

ん?なんて?

「人間と妖怪が共存?」

「はい」

「なんで?」

妖怪は人間を食料としか見てないだろうし、人間は妖怪を恐れの象徴としか見てないだろう。

「……笑われるかも知れませんが……………私は人間が好きなんです」

「はい?」

人間が……好き?

「妖怪よりも力が弱いにも関わらず、それに知恵と仲間との絆をもって果敢にも向かう姿を見て、素晴らしい種族だと思いました」

「あー。うん。それは俺も思うよ?」

「ですが、私はどうやっても妖怪です。ならば、彼らからは退治する対象でしかありません。ならばいっその事、共存出来る世界を作ってしまえばいいのではと」

なるほど。突拍子もない夢だ。うん。

「それには私は余りにも弱すぎる。もっと力をつけたいのです。ですので、お願いします!私を弟子にして下さい!!」

今度は土下座までしてきた。妖怪に土下座されるとか、初めての体験だ。

「ん、いいよ」

「そうですか。それならもう、私の身体を差し出すくらいしか…………今、なんて?」

「え?いいよって」

「いいんですか?!」

余りにも驚いたのか、俺の胸ぐらを掴んでくる。

「お、おう。ちゃんと理由とか話してくれりゃ、別に断る事はしないよ。それがまともな理由ならね」

「……本当ですか!本当ですよね?!後になってやっぱ無し、とか言いませんよね?!」

「い、言わないから」

だから俺の身体をグワングワン揺らすのを止めろ。

「ならとりあえず、名前を付けてやらないとな」

そう言うと幼女の手が止まる。

「名前、ですか?」

「そ、いつまでも幼じ……お前とか言うのも嫌じゃん?」

「名前…………私だけの、名前!」

嬉しいのか、目を輝かせている幼女。

ヤバイ、これだけ期待されるとプレッシャーがハンパない。ちゃんとした名前を付けてあげないと。

「んー。そうだなぁ」

幼女……金髪……ドレス……紫色……紫?

「むら……ゆかり……紫なんてどうだ?」

「紫、ですか?」

「そ、紫って字、一字でゆかり」

俺はその辺に落ちていた木の棒で地面に漢字を書いてやる。やべぇ、安易だったかな。

「これが……ゆかり。私の……唯一の名前」

幼女……紫は自分も木の棒を握りしめ、俺が書いた字の隣に不器用ながらも書いてみている。

「ゆかり……紫……!!」

何度も何度も呟いて、名前を自らに馴染ませるように、染み込ませるように大事に唱えた。

「…………ありがとう……ございます」

どうやら、今度こそ泣かせてしまったようだ。

 

 

 

「でも、なんで名前だけなのですか?」

漸く泣き止んだ紫は、恥ずかしいのか少し強がりながら訊いてきた。

「んー?まぁ、俺が苗字を考えるのが苦手ってのが一番かな」

「……そうなんですか」

おいこら、あからさまに落ち込むな。なんだ、苗字も欲しかったのか?この欲張りさんめ。

「い、いえ!決して『どうせなら苗字も付けてくれればいいのに』とか、思ってないですよ!?」

「……思ってたんだな」

とりあえず、アイアンクローの刑な。

「いたっ、いだだだだっ!!痛いっ痛いです師匠!!」

「今度からお仕置きはコレな」

「一応、見た目は幼女ですよ?!幼女虐待になりますよ!?」

自分から幼女とか言うなや。

これからは一応師匠と弟子だから?やるべき事はキチンとやらないとね。

「……とは言え、どうするか」

俺からすれば目的のない旅だったのが、今は紫を強くするって言う目的が出来た。

……てか、どれくらい強くするか。

「いっその事、大妖怪までなっちゃうか?」

「そんな簡単に言ってもいいんですか?」

 




霞「作者はロリコンなのか?」

作「どうしてその結果になった?!」

紫「作者はロリコン、っと」

作「紫ちゃん?!そのメモは破りすてようか!」

霞「あ、作者が幼女を襲ってる」

作「やめてぇぇえええ!!風評被害ぃっ!!!」
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