東方古神録   作:しおさば

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霞「おい、なんだこのタイトルは」

作「ノーコメントで」

紫「私が大活躍なのと関係が?」

作「ノーコメントで」

美「私の活躍は?」

作「ありません」

美「私の時だけなんか違うっ?!」


42話/さよなら師匠。こんにちは師匠。らしい

姫咲の纏う妖力は、霊力を3割開放している俺ですら、圧倒される程だった。いやいや、俺よりってかなり異常だぞ?これでも創造神だからね?

「おいおい。お前1人でこの大陸消し飛ばすつもりか?」

「貴方が本気になってくれるなら、それもいいわね」

是非とも遠慮したいんだけど。

夜月を握り直し、構える。

「とりあえず、半分か」

「……言ったでしょ?」

すると視界から姫咲の姿が消える。張り巡らしている霊力の網が姫咲を捉えた瞬間には、目の前に拳が迫っていた。

「……本気でやってって」

殴られると同時に訪れる浮遊感。吹き飛ばされた俺は、かなりの距離を飛び、地面に落ちてもその勢いは止まらなかった。

漸く止まると、何年ぶりかに口の中に鉄の味がした。クソが。

「やっぱり、貴方は最高ね。今ので死なないんだもの」

「普通なら死んでるわ」

霊力での防御も間に合わなかった。咄嗟に後ろに飛んで威力を殺すくらいしか出来ない。

つーか、制限くらい外すの待ってろよ。

「……霊力開放……5割」

俺の周りに漂う霊力が、より濃い色になり、輝き出す。

ここまでの霊力は流石に最近使っていない。

「おら、来いよ」

口の中の血を吐き出すと、強がってみせる。本当は今にも紫と美鈴を抱えて逃げ出したいのよ?

でも、コイツは逃げても追いかけてきそうだし、ってか逃げきれなさそうだし。

「いいわ……いいわよ!!もっと!もっと私を楽しませて!!」

それからは、二人とも言葉を交わすことがなくなった。

俺からすればそんな余裕は無いからだ。5割も開放しているのに、それと同等の力を持っているのだから。

夜月を振るうとそれを避けられ、拳が迫ればそれを受け止める。

「だりゃぁっ!」

避けきれず、蹴りを腹に食らってしまう。うっわ……腹の中身全部出ちまいそう。

込み上げる吐き気を無理矢理抑え込み、両足で踏ん張ってその場に留まる。

「くそがぁっ!!」

夜月を横に振り抜くと、姫咲の肌を切り裂き血が滴る。夜月で斬れないってどういう事だよ。コイツで斬れない物があるとは思わなかったわ。

「……何年ぶりかしら……血を流すなんて」

指で血を拭うと、恍惚とした表情でそれを舐めとる。

「もう少し、力を出してもいいかしら」

「……」

若干、5割でも足りないと思ってたのに、これ以上本気にならないでくれないかな……。

「貴方が半分なら、私も半分ね」

はい?今までどんくらいでやってたんだよ。

「いくわよ?」

もう、滅茶苦茶だよ。これ以上コイツに本気になられたら、マジで大陸が消し飛ぶぞ。

妖力を更に吹き出し、とうとう俺の網にすら感知できない様になった。

気がつくと俺は吹き飛び、直ぐに脇腹に激痛が走る。どうやら殴られたらしい。

「し、師匠!!」

吹き飛ばされながら、紫が叫んでいるのが聞こえた。そんな泣きそうな声を出すなよ。

「……がっ!!」

骨を何本か折ったらしく、呼吸がままならない。

飛ばされた時に夜月も手放したようで、遠くに突き刺さっている。

なんとか立ち上がると、腕も上がらない。あぁ、そりゃそうか。

「師匠!!う、腕が!!」

さっきのは腕を殴られたらしい。その結果、腕は無残にもはじけ飛んだようだ。左腕の肘から先がなくなっていた。くそ、痛くて今にも意識を手放してしまいそうだ。

「あら、あらあら、大丈夫?まだ続けられるわよね?」

「なんて答えようと止めないくせに」

額からは冷汗が噴きでる。単純に考えて、霊力を全開しても、姫咲の全力に勝てないという事なのだが。どうするか。

「……これ、かなりマズイな」

小さく呟くと、とりあえず腕を霊力で止血する。

なんせ、腕が無いから今すぐには創造することが出来ない。両手を合わせる事が出来ないからな。

「……紫、頼みがある」

あんまりやりたくは無いのだが。

俺に駆け寄った紫に耳打ちする。流石にこれ以上、アイツの好き勝手にさせるわけにはいかない。

「俺が今からヤツの動きを止めるから、アイツの力を封印する術を組み上げろ」

「わ、私がですか?!無理です!アレだけの妖力を私1人では抑え込めません!!」

「んなこた解ってる。俺が今から神力で抑えるから」

「なら師匠がやった方が……」

「アホ。アイツの妖力と俺の神力がぶつかったら、お前達所かこの大陸すら原型留めてないわ」

だから俺は神様モードになれないのだ。神様モードの俺と渡り合えるだけの力を持つ者なんて、本来ならいる訳が無いのだが、どういう事か姫咲は持っている。そんな力と力がぶつかれば、この星に多大な影響を及ぼすのは火を見るより明らか。

「……やれるな?」

「……そんな……わ、私には」

不安そうに俯く紫。いつもなら元気よく『やれますっ!』と根拠の無い返事をするくせに。

俺は残っている右手で紫の頭をポンポンと撫でてやる。

「お前は誰の弟子だ?俺の弟子だろう?なら大丈夫だ」

出来うる限りの笑顔を作り見せてやる。

本当はそんな余裕はないのだが、今回ばかりは紫に頑張って貰わないと困る。

「俺は紫を信じてるよ」

 

「さて、お望み通りの全力だ」

「あら、やっと本気になってくれるのね」

姫咲は冷たい眼をしながらも、嬉しそうに笑う。

「後悔すんなよ?」

「ここで本気になってくれなきゃ、そっちの方が後悔するわ」

「あぁ、そうかい。神力開放、1割。『神様モード』」

そう言うと俺の力の質が変わる。霊力から神力に変換されると空気が震える。

「……素晴らしいわ。貴方の正体とかどうでも良くなるくらいに」

「……無駄口叩いてねぇで、遊んでやるからかかって来いや」

次の瞬間には眼前に迫る姫咲の蹴りを、仰け反って避けながら背中を蹴り飛ばす。

「かっ……!!」

肺の空気が吐き出され、吹き飛んでいく姫咲。しかし身体を捻って着地をすると、再び地を蹴って今度は拳の連打を繰り出す。

俺は神力で壁を作り出し、防ごうとするがその威力に耐えきれず、脆くも崩れさる。

しかしそれで良かった。一瞬でも間があれば、神力を溜められる。

掌大の弾を腹に叩き込むと、爆風が至近距離で起こり、視界が遮られる。

そろそろ、俺も準備をしなきゃな。

 

 

 

師匠に頼まれたのは、あの馬鹿げている妖力を抑え込む封印。本来ならそんなもの、今の私では不可能なのだが、師匠の言葉を信じるならばやるしかない。

確かに、師匠が霊力から神力へと力の質を変えると、先程とは打って変わって、鬼ヶ原を圧倒し出した。

もはや私には、その動きの全てを見る事は出来ないけれど、師匠に傷が増えていないことから、一方的な展開になっているのだろう。しかし、鬼ヶ原も未だに半分の力を残していると言う。これは早く術式を組み上げるべきだろう。

私は両手を合わせる。以前、師匠が能力を行使する際に両手を合わせているのを見てから、私も真似をする様になった。気分の問題かも知れないが、こうすることによって力の巡りが良い気がする。

アレだけの妖力を封印するには、私自身も莫大な妖力を必要とする。今の私ではギリギリ足りるかどうかだ。

『俺は紫を信じてるよ』

師匠が私を信じてくれているなら、私も私を信じる。

 

 

 

徐々に妖力の出力を上げ出す姫咲。

そろそろ、神力1割でもキツくなってくる。

紫はまだなのだろうか。

「もっと!もっと上があるでしょう?!」

「ふざけんな。お前如きに本気になんてなるか!」

流石に片腕のハンデは大きい。左側の防御があからさまに薄いのだから。

そろそろ2割にまで上げないと行けないか?と思い始めた頃、後ろから紫の声が聞こえた。

「師匠!出来ました!!」

その声に振り返りそうになるのを必死に抑える。今度は俺の番だ。弟子の努力を師匠の俺が無駄にするわけにはいかない。

俺は一気に神力を3割開放する。

一瞬、姫咲は俺の力に驚いた表情をするが、直ぐにまた笑みを浮かべた。

「やっぱり、貴方は最高ね!!」

んなセリフもこれで終わりだ。

俺は神力を操作することなく、姫咲へとぶつける。純粋な力の圧を受けて、姫咲は動きを止める。とうとう膝から崩れ、地に手を着いてしまう。

「がっ……く!!」

俺は神力で押さえ込みながら、姫咲から溢れる妖力を掻き消す。これならば紫の妖力でもコイツに術式が届く。

「今だ!打ち込め!!」

「で、でも師匠!そこに居たら師匠も封印に……!!」

んなもん構うな。今はそんな事を言ってる場合じゃない。

「いいから!!早く!!」

少しづつだが、抵抗する力が増してきている。

「早くっ!!」

「くっ……!!」

迫る紫の術式。それは俺と姫咲を包み込み、陣が力を抑え込む感覚に陥った。

 

 

 

こうして、姫咲は力の大半を封印された。

 

 

俺の神力、霊力と共に。

 




紫「……」

霞「お、おい!紫!!いきなり土下座なんかしてんな!!」

紫「だ、だって師匠も一緒に封印を!」

霞「あ〜。気にするな。それも含めてバカ作者は考えてるんだろ」

作「それに、大半を封印されても、規格外は規格外だからね?」

霞「まぁ、言い方はアレだけど。気にすんな」

紫「師匠……」




美「誰か私の心配もしてくれませんかね?」
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