東方古神録   作:しおさば

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作「Twitter始めたよ!!」

霞「活動報告から作るまでが早ぇよ」

作「基本、この小説の事しか呟かないつもりだけどね」



45話/花より男子らしい

ココ最近、雨が降り続いていた。

都の外に貼られたテントから、出るタイミングを逃してしまい、完全に引きこもり生活を送ってしまう。

「暇ですね〜。外に出たいです」

美鈴も余りのやる事の無さに、床に寝転んでグダーっとしている。

「噂で聞いた、かぐや姫とやらを見に行きたいんだがな」

「絶世の美女と有名みたいですね」

紫もリビングで優雅にお茶を飲んでいた。

かぐや姫と言えば、月に行った永琳や月夜見と暫く会っていない事を思い出す。まぁ、永琳に会ってしまえば色々と面倒な事になるのだろうけど。

今更ながらに、前の人生で読んだ神話の神々と知り合いとは、どうも不思議な感覚だ。

かぐや姫が実在していた事にも驚いたが。

「霞〜!このお酒飲んでもいい〜?」

キッチンの戸棚に隠しておいた酒を器用にも見つけ出した姫咲は、見た目幼女には似つかわしくない一升瓶を抱えている。

それは料理用に残しておいたんだから、止めてくれ。

「あ、私も飲みたいです」

こうして、俺の願いも虚しく幼女達の酒盛りがここ毎日のように行われるのであった。

 

 

 

何日ぶりかの雲一つない晴天。ずっと引きこもって鈍ってしまった身体を伸ばすように、都へと足を運んだ。

久しぶりに雨が降らないからなのか、いつも以上に市場は人で賑わっていた。幼女達を引き連れ、露店をひやかしていると、否応にも周りの人の会話が耳に入る。

「かぐや姫が月に帰ってしまうらしいぞ」

「何だって?!俺、まだ1度もその姿を見たことないのに!」

そんな話がそこかしこで聞こえてくる。

どうやら、俺の知っているかぐや姫の話で言えば、物語は終盤のようだ。

これはノンビリしている場合じゃない。

「早速、かぐや姫に会いに行こう」

俺はそこらに居る人にかぐや姫の屋敷の場所を聞き出して、向かうことにした。

 

 

 

 

月から手紙が届いて、既に数日が経った。

内容は簡単に言えば迎えにくるというもの。私を地上に追放したくせに、なんとも自分勝手な連中だこと。

しかしながら、ここで抵抗したところでお爺さんに迷惑がかかってしまう。私は素直に月の迎えを待つことにした。当然、お世話になったお爺さんには話をしたし、私に求婚してきた帝にも迎えの事は伝えた。何故か、帝は迎え撃つ気でいるのだが。

地上の技術で月の武力に勝てるわけが無いのに。

「……はぁ」

もう何度目かのタメ息を吐いてしまう。

本音を言えば帰りたくない。何の為に地上に降りてきたと思っているのだか。

しかも月に帰れば、昔の様な、いや人としての生活なんて送れないだろう。

人体実験のモルモットとしか、月の連中は見ていないだろうし。

だとすれば、どうにかして地上に残りたいのだけれど、余りにも可能性は低い。

希望があるとすれば、迎えに来る人員の中に永琳が居ることだろうか。彼女なら話せば解ってくれるだろうし、彼女の実力ならば多少は逃げ切れる可能性が上がる。まぁ、ホントに多少。雀の涙ほどの可能性だけど。

「……私も空を飛べれば……」

先日、偶然にも目にしてしまった光景が、頭から離れなかった。3人の子供を抱えながら、空を走るように飛んでいった男性。青い着物と白い羽織を纏った姿が、目に焼きついてしまったようだ。

私もあんな風に飛べたのならば、今すぐにでも逃げてしまいたい。自由にこの国を見て回って、死なないこの身で人の行く末というのを見てみたい。

そんな絵空事を思い浮かべて、再びタメ息を吐いてしまった。

久しぶりに雲に遮られない青空を見上げると、数羽の鳥が気持ち良さそうに風を切っていった。

「なんだ、絶世の美女って聞いたんだが、なんだか不幸のどん底みたいな顔してるんだな」

 

声に驚いて、その方向を見ると、塀の上に男と3人の少女が座ってコチラを見ていた。

「……!?」

余りに突然の事に声が出ない。何?誰なの?!

太陽を背にしているから、顔が良く見えない。声からして男だとはわかるし、隣に居るのが少女だと影の形から判断できるけど。

「だ、誰?!」

「はじめまして、って言うべきかな?どうもかぐや姫様」

そう言って男は庭に降り立った。

「俺の名前は神条霞。ただの旅人だよ」

漸く目が慣れてきて男の顔が見えた。黒髪を短く揃えて居る、この辺りでは見ない顔だった。まぁ、見たことのある男なんてそんなに数は多くないけど。

そこで気付く。さっき思い出していた、先日の男だと。

「……大声出すわよ」

「う〜ん。それは困るなぁ」

余り困った素振りを見せないで白々しく言うと、腰に差していた刀を、地面に投げ捨てた。

「……これで少しは話を聞いてくれるかな?」

どうやら私に危害を加えるつもりはないみたい。それでも完全に信用するわけじゃないけど。

「何が目的なの?」

「目的は幾つかあるけれど、一つは君を見てみたかっただけだよ」

そう言って私を指指す。なんか失礼な男だ。

今まで会ったことのないタイプの男に、何処か気が抜けそうになるのを抑えて、何時でも大声を出せるようにする。一応、外には何人か護衛の兵士が居るはずだし。

「で、私が噂のかぐやだけど」

「うむ。噂通り、いやそれ以上だね」

隣にいた少女達は私と男の会話には興味が無いのか、庭の作りに目を輝かせている。

「他にも目的があるみたいだけど?」

私は男を見据える。いくら刀を投げ捨てたとは言え、男の力には流石に勝てないし。用心するに越したことは無い。

「……月に知り合いが居てね、そいつの事を知らないかと思って」

「月に知り合い?!貴方も月の民なの?」

男から聞き捨てならない言葉が聞こえた。月の知り合いだなんて、この地上に月の民の事を知っているのは私しかいない筈なのに。

「俺は月の民ではないよ。ただ知り合いが居るだけさ。八意永琳、と言う名を知っているかい?」

「……!!永琳を知っているの?!」

この男は、私を何度驚かせれば気が済むのだろうか。

 

 

 

「やっぱり知ってるか。アイツ有名だったからなぁ」

ふと、地上に永琳達がいた頃を思い出す。良いようにこき使われたり、人体実験に使われたり、あれ?ろくな想い出が無いな……。

「知ってるも何も、永琳は私の家庭教師よ」

「おぉ、そうなのか」

あいつ、なんでも出来るんだな。

「……貴方、本当に何者なの」

「何処にでもいるただの旅人だよ」

そのセリフに紫達が呆れた表情をしたのは、見なかったことにしよう。

「ただの旅人は空を飛ばないと思うけど?」

「……やっぱ覚えてたか」

塀の上でかぐや姫の事を覗いた時に、気が付いていた。この前空を飛んでいるところを見られた少女だと。

まぁ、覚えていてくれたのなら結果オーライだけどね。

「その辺も話したいんだが、庭で話すような内容じゃないんだよね」

「……まぁ、そうね。上がりなさい、お茶くらい出すわよ」

かぐや姫は立ち上がり、部屋へと案内する。

 

 

 

「で、どうして永琳の事を知っているの?」

「俺が永琳の命の恩人だから」

隠すこともなく男--霞は話し始めた。森で襲われそうになっていた永琳を霞が助けたのが出会いらしい。そう言えば、月にいた頃何度か永琳は昔の話を私にしてくれた。その中でもとある男性が何度か出てくることがあった。おそらく、霞がそうなのだろう。

「俺の話をしてたのか?」

「えぇ。でもその人は月に移住する際に死んだって聞いてたけど」

月に移住するロケットを無事に飛ばす為に残った英雄だと、永琳は誇らしげに語っていた。

その英雄が、今私の目の前にいる。普通なら胡散臭いことこの上ないが、何故か霞ならば有り得ると思ってしまうから不思議だ。

「私は余り外に出なかったから見たことないけど、街には貴方の銅像もあるみたいよ」

「うわ、何それ。恥ずかしいんだけど」

……自分が銅像になっているところを想像してみる。うん、恥ずかしい。

街中の広場、噴水なんかのど真ん中にカッコつけたポーズの自分が立っているのは、外に出たくなくなる程だ。

「まぁ、思い出話を延々とするのもいいんだけど。本題を話してもいいかな?」

「貴方が空を飛んでいた理由でも話すの?」

「いや、それはいつか暇な時に。それよりも、月から迎えが来るってのは本当かい?」

「あら、知ってたの?」

どうやら都では大変な噂になっているらしく、その話を聞いて私のところを訪れたようだ。

「なんか帝は君を返さないように躍起になってるけど、どう考えても地上の人間が勝てるわけないだろ?」

「貴方もそう思うわよね」

月の技術力を知っているものならば、その結果は火を見るよりも明らかだし。そもそも抗おうとも思わない。

「素直に帰るのか?」

「……本当は帰りたくないけど、こればっかりはしょうがないから」

私のせいで多くの人間が血を流す所なんて、見たいわけがない。だからできうる限り穏便に事を済ませたい。永琳ならば、それが可能だろうか。

「……なるほどね。なら手伝ってあげようか?」

「はい?」

何を言っているんだろう、一瞬自分の耳を疑った。月の力を知っているはずなのに、自ら死にに行くような事を言う。

「君だって、永琳から俺の話は聞いてるんだろ?」

確かに、永琳が話す英雄ははるか昔の妖怪や兵士でも太刀打ちが出来なかったと言うし。

もしそれが本当ならば、可能性はかなり上がる。藁にも縋りたい今ならば、お願いするのも吝かではないかな。

「その子達はどうするの?」

出された茶菓子を美味しそうに頬張っていた子供たちは、急に自分達の話をしだしたので驚いたのか、喉に詰まらせている。

「コイツらも、そんじょそこらの妖怪よりははるかに強いよ」

……そうは見えないけど。

「まぁ、貴方がそこまで言うなら……お願いできるかしら」

それでも、私は月に帰らなくていい可能性が少しでもある方に、賭けることにした。

「任しとけ」

そう言う霞は、笑顔で答えてくれた。




かぐや「ってか、なんで霞は私を見ても平然としてるの?!」

紫「師匠はロリコンですから」

霞「おい、バカ弟子」

かぐや「……うわぁ、引くわー」




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