東方古神録   作:しおさば

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作「はい、コラボ第2話ですよー」

霞「まったく。アチラさんに迷惑かけるなよ?」

作「なんと!そんな事はない…………はず」

霞「自信はないのか」


閑話/Collaboration2~レッツゴー幻想郷らしい~

「ちょっ、これ洒落にならんがな!!ゆ、ユウさ〜ん!!た〜すけて〜!!」

俺は今、絶賛命の危機に瀕している。紅いカーペットが敷かれた廊下を全速力で走り抜けるが、一向に撒ける気配がない。振り返ればすぐそこに追手が迫っているような。

 

どうしてこんな状況になったかって?

それは1時間程前の事だ……。

 

 

 

「ってなわけで、この『幻想郷』ってのを見て回ろうと思うんだが」

1通り自分達の事を説明し終えると立ち上がり、背伸びをする。博麗神社でノンビリ過ごすってのも良いが、それだと元の世界と何ら変わらないしな。

「まずは何処か珍しい場所はないかね?」

「珍しいって、どんなんだよ」

相変わらず紫に抱きかかえられているユウは頭を抑える。え?そんなに変なこと言ったか?

「まず、霞の世界がどんなんだか知らないんだから、何が珍しいなんて決められないだろ」

それもそうか。俺からしたらこの世界自体珍しいが、ユウ達からしたら日常そのものなんだ。

「んー。そうだなぁ。例えば面白い奴のいる場所とか?」

「面白い、ねぇ……」

小さいなりで考えるユウは、確かに母性本能を擽るのだろう。隣の美鈴が面白い物を見るように笑顔だ。

「なら紅魔館がいいんじゃないかしら」

「おぉ、そうだな。アソコなら面白いもんが見れるぞ」

コーマカン?初めて聞く単語だ。

「そこに住んでる奴らも面白いが、特に美鈴ちゃんは驚くだろうな」

急に話を振られた美鈴は驚く。

何故に美鈴なんだ?

「まぁ、行けばわかるさ」

 

 

博麗神社を後にして、俺達はユウの案内で紅魔館を目指す。空の飛べない姫咲と美鈴は俺が抱えている。

「神様って、全員飛べるものなんですか?」

「まぁ、基本的にはな。だけど訓練次第で美鈴ちゃんや姫咲ちゃんも飛べるようになるさ」

だそうだ。元から飛べた俺としては、どうやって飛ぶのかなんて教えにくい。だって感覚で飛んでるんだから。

暫くすると、大きな湖が見えてきた。と、同時に視界に靄がかかる。

「ここが霧の湖。紅魔館はすぐそこだ」

「神秘的ね。夏場は涼しそう」

何をいうか。夏はクーラーの真下から動かない姫咲はよくわからない事を言う。なんだ?知らない人の前だとお淑やかになるのか?

「……殴るわよ」

「殴ってから言うなよ」

そんな会話をしていると、目の前に大きな影が見えてきた。それは洋風の館で、全身真っ赤に染められていた。なんとも、目に悪い色だ。こんな物がうちの世界にもあるってんなら、問答無用で白に塗り直すぞ。

「ここが紅魔館。吸血鬼の住む館だぞ」

なんか最後に聞きなれない単語があった気がする。

「吸血鬼?」

「あぁ、レミリア・スカーレットと言う幼じ……少女が主を務めているんだ」

ほう。吸血鬼なんて初めてだ。これはこの世界に飛ばされた甲斐があったってもんだな。……夢乃には帰ってからお仕置きするけど。

 

俺達は門の前に降り立つ。姫咲と美鈴を下ろすと、ぼんやりと門のところに誰かが居るのが見えた。

長身に緑のチャイナ服、長く綺麗な赤い髪が目立つ。何処かで見たことあるような女性は、門に寄りかかって眠っているようだ。器用なことで。

「おい、起きろ」

ユウが女性に話しかける。何度か揺すっているが、それでも一向に起きる気配はない。

つーか、あの人ってもしかして……。

「はぁ……流石にこんなんじゃ起きないか」

そう言うとユウは大きく息を吸い込む。

「咲夜ぁ!!」

思わず耳を塞ぎたくなるような大声で誰かを呼ぶ。こんな大声を近くで出されてもこの子は起きないのか。

「ユウ様、妹様がお休み中でございます。お静かに願います」

気がつくと1人のメイドがユウの隣に立っていた。いつの間に現れた?なんとなく時間の流れが乱れたと思ったらイキナリだ。

「おぉ、悪い悪い。実は客人を案内しててな、もし良かったら中を見せて貰えないだろうか」

「はぁ、一応お嬢様に確認させていただきますが、宜しいでしょうか」

銀髪のメイドは凛々しい表情でコチラを一目見ると、再び姿を消そうとした。しかし門の前で寝ている女性を見ると、大きな溜息を吐いて何処から取り出したのかナイフを構える。なかなかに手入れの行き届いた、まるで調度品の様なナイフはメイドの手を離れ、次々に女性へと刺さっていく。うわぁ、痛そう。

「いったぁぁああっ!!」

「だろうな」

「…………あ!寝てませんよ咲夜さん!?これはその……瞑想していたんです!!」

いや、その言い訳はどうなんだ?

これだけ周りが騒がしいってのに、身動き一つしなかったじゃないか。

「……はぁ、とりあえずお説教は後よ。私はお嬢様に知らせて来るから、美鈴はユウ様をご案内して」

「ユウさん?……あれ?ユウさん、どうしたんですか?」

突き刺さったナイフを引っこ抜きながら、漸くユウの存在に気がついたのか不思議そうな顔をしている。うん、さっき呼ばれてたし、確定だろうな。

「なに、異世界の神を案内しててな。コチラが創造神の神条霞、鬼の姫咲ちゃん。そんで……」

「……」

どうやら美鈴(幼女の方)も気がついたようで、驚きのあまり声が出ていない。

「……コチラは紅美鈴ちゃんだ」

「…………な、なんですとーーーっ?!」

美鈴(大)と美鈴(小)の出会いだった。

 

 

 

「いやー。私にもこんな時期があったんですねー」

「いやー。私も将来はバインバインになるんですねー」

ほぼ同じ声質がステレオで聞こえてくる。美鈴(大)が美鈴(小)を肩車しているのだ。

「確かに、これは面白いわね」

姫咲は大と小を交互に見る。アレがコウなるのね、と小さく呟いていた。

「挨拶された時に気がついたけど、やっぱり美鈴の幼い頃なんだな」

「まぁ、そちらの霞さんとは初対面ですけど」

それは紫の時に確認済みだ。いくら同一人物がいたとしても、ここは異世界。所謂平行世界なのだから、俺が存在しなくても不思議ではない。むしろ、この世界の俺は今頃、平穏に生きているんじゃないか?

「……ユウ様、お嬢様がお呼びです」

再びいきなり現れたメイドが俺達を案内する。さっきから、この登場の仕方じゃないとダメなんだろうか。

俺はともかく、姫咲と美鈴には心臓に悪いと思うが。

 

 

 

「貴方が兄様の言っていた異世界の神ね」

「あぁ、神条霞だ。よろしく」

俺の数段上から、豪華な椅子にどっかりと座った幼女--レミリア・スカーレットは威厳タップリに語りかける。

「それで、この館を見せて欲しいと?」

「まぁ、そういう事だな」

ピンクの服にドアノブカバーの様な帽子を被り、背中には一対のコウモリのような翼が生えている。小さな口からは小さいながらも鋭い牙が見え隠れして、確かに吸血鬼なのだと認識できた。

「ま、兄様の紹介なのだから無碍にはできないわね。自由に見て構わないわよ」

「おぉ、ありがとう」

俺は礼を言うと深く頭を下げ、部屋を出ようとする。

「……無事でいられるといいわね」

そんなレミリアのセリフは、奇しくも俺に届かなかったが。

 

 

 

「で、なんで俺は1人でこんな所にいるんだ?」

俺は皆とはぐれ、紅く染められたドアの前にいた。多分、さっきの部屋からそんなに離れてないと思うが、つまりはぐるっと一周して戻ってきたのか。皆、迷子だな?これだからお子様達は……。

「と、そんなしょうもないこと置いといて、ホントに何処だよ」

とりあえず、目の前のドアを開けてみるか。

鍵のかかっていないドアは何の苦もなく開かれた。中を覗くと館と同じように赤で統一された内装に、所々壊れた玩具や無残に千切れたぬいぐるみが散乱していた。

部屋の隅には大きな、所謂お姫様ベッドが置かれている。

「……おじゃましま〜す」

なんとなしに小声になってしまう。

内装からしてこの部屋の主は女の子なのだろう。あまり長居はできないが、少し疲れたから休ませてもらおう。

天蓋付きのベッドに腰掛けると何か柔らかい感触がした。なるほど、こんなベッドは初めてだが柔らかい感触なのだな。

「……ふにゃ」

「ふにゃ?」

おいおい、このベッドは音声も出るのか?そんな機能が必要とは思えないけど。

「…………痛い」

「……」

うん。音声機能だよな?音声機能だと言ってくれ。このちっこい人形の膨らみは、多分ぬいぐるみか何かだよな?!

「いった〜い!!!」

 

 

 

「ぎゃぁああああ!!」

「殺すっ!!」

結果、現在幼女に追っかけられる創造神の図が出来上がった。

何この子!寝起き超悪いよ!?言い訳とか全然出来なかったんだけど!!確かに、気付かずに踏んでしまった俺が悪いんだけどね?!

「何事だ?」

少し先のドアが開いて、中からユウが顔を出した。助かった!この子なんとかして!!

「霞?何を……」

そう言って俺の後ろを見ると、いきなり顔色を悪くして無言のまま中に引っ込んでしまう。

「なんで?!」

「……つ〜かま〜えた〜」

突然肩にかかる手、振り返ると悪魔の様な笑顔の幼女が紅い目を光らせていた。

 

……そこから、俺の意識は暗闇へと落ちていった。

後々聞いた話だと、窓を突き破り門の外まで吹き飛んで、地面に頭から突き刺さっていたらしい……。




霞「酷い目にあった……」

作「フランちゃんの寝起きは、ユウさんでも勝てないらしいですからね」

姫「アレはちょっと……私でも相手をしたくないわ」

霞「姫咲がそんな事言うとわ……」

作「んじゃ、次回もお楽しみに!!」



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