作「そうですよ」
霞「あのキャラ出てなくね?」
作「後々出る予定ですよ」
霞「無駄に伏線張って回収出来ないとか無いよな?」
作「……」
「茶がうめぇ」
縁側に座り、お茶を啜る。
アレから数日。事後処理に多少時間が掛かったが、なんとか落ち着いた。
辺りを竹林に囲まれたココは、風に揺れる葉の音が聞こえるだけで、都のような喧騒がない。賑やかなのも良いが、偶にはノンビリ過ごすのもまた良いもんだ。
「いや、なに落ち着きはらってんのよ」
俺の隣には輝夜がいる。お前もノンビリ茶を飲んでるじゃないか。
「後ろを見てみろ。あんな中で落ち着けるとでも?」
後ろの部屋では永琳が弟子+αに俺の過去を話しているようだ。たまに『師匠は昔から規格外なんですね』とか、『そんな事もあったわねぇ』とか聞こえる。
「それにしても、貴方が神様だったとわね」
「そうだぞ。謹んで敬え」
「丁重にお断りするわ」
それもそれでどうかと思うが、まぁ気にしない。第一、俺にご利益が有るのかすら自分でわかっていないんだから。
たしか、昔に『自由を司る神』とか神奈子が言っていた気がするけど。自由を司るって何すりゃ良いんだよ。
「……まさか創造神様と会えるとは思ってなかったうさ」
「そうかい、俺も素兎と会うとわね」
輝夜とは逆隣に、黒髪で頭に兎のタレ耳を生やした少女が座っていた。
「んで、うさ子。お前はあの中に入らないのか」
「……出来れば『うさ子』ではなくて『てゐ』って呼んでくれないうさ?」
因幡てゐ。かの有名(かどうかわからないが)な因幡の素兎だ。まさか妖怪だとは思わなかったが。
「できうる限り善処しよう」
「それ、『断る』の代名詞よね」
余計なことを言うなよ輝夜。
「それよりも、月の民はもう襲ってこないのかしら」
「ん?まぁ当分は大丈夫だろ」
「当分なの?」
態々月に出向いて月夜見と話したのだから、それくらいは抑えてもらわなきゃ困る。今回の事だって、月の上層部が暴走した結果起きたことなのだから。軽く説教したら、上層部の大規模な入れ替えがあったのは別の話。
「師匠〜!どんだけ自由な人……いや神様なんですか〜!!」
そんな事を話していると後ろから美鈴が飛びついてきた。お前は子供か。……あ、子供だ。
「こら!美鈴!!そんな羨ま……いや、羨ましいことを!」
「言い切るのね」
なんかゾロゾロと部屋を出てきてるし。
「ちょっ、まて紫!頭にしがみつくな!折れる、折れるって!首が変な方向に折れるって!!」
「今日からココを『永遠亭』とする!!」
高らかに輝夜が宣言する。まぁキャンプ地じゃないだけ良いか。
「だから偶には遊びに来なさいよね、霞」
「おう。次に会うのはいつになるかわからんが。死なないならばまた会えるだろ」
永琳まで蓬莱の薬ってのを飲んで不老不死になるとは思わなかったが。これで何時でも友人に会えるってもんだ。
今まで出会った人間は、どう頑張っても寿命を迎えてしまうからな。
「貴方なら特別料金で治療してあげるわよ」
「……うん。俺、自分で治せるから」
「大国主に会ったらよろしくうさ〜」
「覚えてたらな」
そう言えば、神の集まりとか1度も参加してないけど、良いのかな?
偶にはアイツらにも会わないと……。
「んじゃ、行くか」
こうして、一番古い友人との再会は、一つの物語として完成されて終わった。
「んー」
輝夜が居なくなったことで都は一時騒然となっていた。帝は躍起になって輝夜を探そうとしているし、お爺さんは悲しみにくれていた。
そんな中、俺はある事を考えている。
そろそろ、頃合いなんじゃないかな。
「師匠、どうしました?」
紫が俺の顔を覗く。
「んー。紫のことを考えてた」
「!?そ、そんな!私の事が頭から離れないなんて!!」
そんなこと言ってない。
俺はアイアンクローをかましながら、ぶら下がっている紫を見る。頭から離れない、は言い過ぎにしても紫の事を考えているのは事実だし。
「痛い!痛いです師匠!!」
頭を話してやると紫はコメカミを押さえている。
「よし、決めた」
「……な、何をです?」
涙目でコチラを伺う。
「紫。お前、独り立ち」
「はい?!」
突然の宣告に紫は目を見開いて驚いている。
少し前から考えていたことだった。既に紫は大妖怪と言ってもいいくらいに成長したし、結界や封印術ならば俺と差し支えない。仮にも俺と姫咲の力を封印出来るくらいなのだから。
「そんな!ま、まだ私は師匠に教えて欲しい事がたくさんあります!!」
「んなもん、これから先自分で覚えろ。これ以上、俺の元に居ても成長はしないし。お前には夢があるんだろ?」
人間と妖怪が共存する世界。夢幻とも言える理想郷。
俺が手伝えば簡単に造ることが出来るだろうが、それじゃ意味がない。紫の夢は紫だけのものなのだから。
「紫が夢を現実にした時、もう一度会おう。それまで一人で頑張ってみろ」
「……師匠」
美鈴と姫咲は口を挟まなかった。これは俺と紫の問題。
「……わかりました。私、必ず夢を叶えます!そしてその時には師匠を案内いたします!」
「うむ。楽しみに待っているからな」
そう言って紫の頭を撫でてやる。初めてあった時よりも成長し、高くなった頭の位置は、これまでの短くも長い年月を感じられた。
「……そうだ。最後に良いものをやろう」
「いいもの、ですか?」
そう言って1本の扇子を創造する。薄い紫色に白で花が描かれた物。開くと端に文字が書かれている。
「八雲……紫?」
「お前に苗字を授ける。八雲の様に幾重にも思慮を重ね、八雲の様に何者にも縛られる事の無い者となれ」
いつまでも名前だけなのは可愛そうだしな。
「……ありがとう……ございます」
頬を濡らしながら、それでも紫は笑顔を見せてくれた。あぁ、良かった。最後に紫の笑顔が見れて。
「独り立ちしようが、お前が俺の弟子だったことに変わりはない。自信を持て、お前は俺が認めた最初の弟子なんだから」
「はい!!」
そう言ってふわりと浮かび上がる紫。
「紫さん!またいつか、お会いしましょう!!」
「まぁ、私は霞とずっと一緒にいるから、いずれまた会うでしょ」
「ふふっ、そうね」
別れを済ませた紫は、空へとその姿を消していった。
長く一緒にいた弟子が、こうして一人俺の元を自らの夢の為巣立っていった。
彼女の名は八雲紫。俺の最初にして最高の弟子。
「あの〜。感動の場面のところスンマセン」
ふと、背後から声をかけられた。どこか関西訛りのあるしゃべり方に振り返るが、誰の姿もない。一羽の烏がいるだけだ。
「神条霞さまでっか?」
「……俺は疲れてるのか?烏が喋ってるように見えるんだけど」
「多分、紫さんとのお別れが辛かったんですよ。だって私にも聞こえますもん」
「……烏って焼き鳥にしても美味しいのかしら」
うん。一人感想がおかしいのは置いといて。
「怖っ。ねぇさん怖いこと言わんといて下さいよ〜」
「……あぁ、やっぱりお前が喋ってたのか」
「そうでっせ。ワイは八咫烏いいます。よろしゅう」
おぉ、コレが八咫烏か。確かに脚が3本あるわ。
烏は俺の肩に留まる。
「天照様から伝言があって来たんですわ」
天照から?あいつの事だ、自分で言いに来そうなものだが。
「まぁ、色々とあるんですわ。そんで伝言ってのが、『そろそろいい加減、出雲大社に顔を出してください』だそうです」
「出雲大社?」
「えぇ、もうすぐ神無月ですさかい」
あぁ、そんな時期なのか。こんな生活をしていると、今が何月なのかとか無頓着になるからな。
「流石に最高神様に起こしいただかないと、天照様がまた天岩戸に隠れますがな」
「え、俺のせいなの?」
俺の知ってる日本神話とは違うような。
父親がかまってくれないから引きこもるって、どんなメンタルしてんだよアイツは。
「……しょうがない。今回は顔を出そう」
「おおきに。ほな早速行きましょうか」
「あ、その前に、ちょっと寄りたい所があるんだが」
そう言って美鈴と姫咲の方を振り返る。今までの会話に付いてこれないのか、眠そうな顔をしている美鈴と、興味が無い姫咲。
「流石にこの2人を置いていくわけにはいかないから。知り合いの所に行きたいんだ」
「ほなまずはそこに行きましょか」
うん。あの2人にも久しぶりに会わないと、後々文句を言われそうだし。
「さ、行こうか。守矢神社に」
霞「卒業証書、授与!!」
作・美・姫「ほた〜るの〜ひ〜か〜り、ま〜どのゆ〜ぅ〜きぃ〜♪」
紫「……」
霞「あれ?気に入らない?」
美「やっぱり翼をくださいの方が良かったのでわ?」
作「そっちだったか!!」
紫「感動が台無しよ!!」
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